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大臣は答弁不能で逃げの一手 「共謀罪」はデタラメの極み
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2017年2月9日 日刊ゲンダイ 文字お越し
法相の資質なし(C)日刊ゲンダイ
「テロ等準備罪」と言い換えた希代の悪法「共謀罪」を巡って、国会が大混乱だ。金田勝年法相がマトモに答弁できない上、法務省があり得ない事例を乱発するなど、審議は安保法と同じくメチャクチャな展開になっている。
ついに8日は、金田が指示して6日に法務省が報道機関に配った「文書」が問題視され、野党4党が「法相辞任」を要求する事態に発展した。
文書は予算委員会での共謀罪に関する質疑について、「法案はまだ提出されていない。与党協議も終わっていない。審議は提出後にすべきだ」とする前代未聞の内容で、野党から「質問封じだ」と猛反発を浴びた。金田は文書を撤回し、謝罪したが、それで済む話じゃない。
なぜ金田がこんな文書を出したのかといえば、予算委で共謀罪に関して野党から質問攻めに遭い、審議が度々中断、ギブアップ状態だったからだ。
例えば、共謀罪が必要だとして法務省が挙げている3つの事例。いずれも現行法や現行法に予備罪を付与することで対応できるものだ。野党からそれを突かれて、金田は立ち往生している。そのひとつが「テロ組織が殺傷力の高い化学薬品の原料を入手した」ケース。政府は現行法で対応できないので「共謀罪が必要」と言うのだが、これを巡って、先月30日の参院予算委では驚くべきやりとりがあった。
民進党の福山哲郎議員が「予備罪で対応できる」と指摘すると、金田は「裁判例を見ると、予備に当たるとは言い難い」と答弁。これを受け福山が「具体的な判例は?」と聞くと、ナント、金田は「直接の判例はありませんが、判例的な考え方を申し上げている」と答えたのである。一事が万事、この調子。野党が法相の資質を疑問視し、辞任要求するのは当然である。
■稚拙で粗雑、劣化著しい法務官僚
金田が「審議は法案の提出後」と逃げるのは、共謀罪が過去3度、廃案になった経験で、政府・与党が細かな議論を避けたいと思っているからだ。
「特定秘密保護法や安保法のように、法案提出後にロクな審議もせず、数の論理で押し通そうというのでしょう。だから、それまでは曖昧にしておきたい」(政治学者・五十嵐仁氏)
いい加減な答弁は金田だけじゃない。安倍首相も「共謀罪と呼ぶのは全くの間違い」などと強弁。廃案になった悪いイメージ払拭に必死だが、「国際組織犯罪防止条約を批准するのに必要」という理屈は過去の共謀罪法案と同じだから、要するに中身は変わらないのだ。名称を変えただけのペテンである。
極め付きは、「昭和42年高裁判決」だ。安倍も金田も答弁でこの裁判例を何度も口にしているのだが、これも酷い事例だ。「三無事件」と呼ばれるクーデター計画の共謀事件で、未遂のまま一網打尽に逮捕され、破壊活動防止法が初めて適用、陰謀罪で有罪になった事件である。検察は予備罪の適用も主張したが、高裁は「実質的に重要な準備がなされたとは言い難い」として予備罪の適用は退けた。法務省はこれをもってして「予備罪適用は難しく、共謀罪が必要」と言うのだが、そもそも「共謀罪」と同じ内容の「陰謀罪」で処罰されているのだから、筋が通らない。
こうした政府側の“論理破綻”をブログなどで鋭く指摘しているのは、世田谷区長の保坂展人氏だ。2005〜06年にかけ、野党の衆院議員として共謀罪法案を巡って国会論戦を担った。あらためて保坂氏に聞くと、こう言った。
「10年前に比べ、法務官僚の質が著しく低下していると感じざるを得ません。出してくる事例が矛盾だらけで、676種類もの犯罪に共謀罪を作らなければならない理由には、およそなっていない。特に『昭和42年高裁判決』は未遂で一斉に逮捕され、その後に共謀を処罰する陰謀罪で有罪とした裁判例です。今回の包括的共謀罪創設を必要とする事例ではなく、稚拙で筋が通りません。法務省は矛盾して筋が通らなくても、数の力で簡単に法案を通せると思っている。粗雑な対応で、国会審議なんて適当に流しておけばいいという驕りが見えます」
黒を白と言い繕う態度は見苦しい。付け焼き刃の生煮え法案なのになぜ急ぐのか。そこには別の目的がある。
刑法の原則を無視(C)日刊ゲンダイ
「罪刑法定主義」を否定する安倍首相の横暴
安倍政権のドス黒い思惑――。国会審議で見過ごせない場面があった。
3日の衆院予算委員会。民進党の山尾志桜里議員が、くだんの「テロ組織が殺傷力の高い化学薬品の原料を入手した」という、法務省が共謀罪が必要だとする事例に関して質問した時のことだ。化学薬品を使用したテロについては地下鉄サリン事件後、「サリン等による人身被害の防止に関する法律」が制定済みだ。法律にはさまざまな化学薬品が列挙されている。それでも共謀罪が必要というなら、「これに当たらない殺傷力の高い化学薬品の名前を挙げて欲しい」と山尾が追及すると、「具体的な薬品名は想定していない」という法相答弁を補足するように安倍が乗り出してきて、こう言ったのだ。
「(共謀罪があれば)未知の薬品であっても(テロの)準備を行っていることが明らかになれば検挙できる」
これには山尾もア然で、「罪刑法定主義、明確性の原則、国民の予測可能性を担保するという、わが国が積み上げてきた刑法典の根本を覆す答弁だ」と厳しく批判した。
「罪刑法定主義」とは、「どのような行為が犯罪とされ、いかなる刑罰が科せられるか、具体的な内容が事前の立法によって規定されていなければならない」という刑法上の原則だ。どの薬品を用意したら捕まるのか、明示しない法律で網をかけようとする安倍の答弁は、まさにこの原則を否定するものなのである。
憲法学者で慶大名誉教授の小林節氏もこう言った。
「何をしたら捕まるのか分からないようにしておいて、『実は犯罪でした』と闇討ちするようなもので、お代官様の時代に戻ってしまいますよ。何が犯罪に当たるのかを明確に示すのが公権力の責任です。それをしないで網を広くかける。お上の胸三寸で犯罪者にされ、人権を奪われることになるなんて、フザケルナです」
■米軍と一緒に戦争できる国へ
そう。安倍が狙っているのは、お上の判断で狙った獲物を、犯罪者に仕立て上げることのできる法律を作ることなのだ。何のためかといえば、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が、「共謀罪は集団的自衛権で自衛隊を海外に派遣することと関係しています」と言っていた。05年に日米で合意した「日米同盟:未来のための変革と再編」で、「共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置を取る」とされている。共謀罪は日本政府がこれに従って、着々と整備してきた法律のひとつだというのだ。
つまり、特定秘密保護法、安保法に続く、米軍と一緒に戦争できる国にするための“総仕上げ”の法律なのである。国民に文句を言わせず、戦争に反対させないようにするのが目的。政府にとって都合の悪い運動でもしようものなら、すぐにお縄だ。
そのためには、憲法も法律も恣意的に運用する。「私が最高権力者」と宣言したように、安倍は絶対君主のつもりなのだろう。この姿勢は4年間の安倍政治すべてに通じる。
「共謀罪できちんと立件するために、公安当局は日常的に盗聴、尾行、潜入捜査を行わなければならなくなる。過剰な監視社会にして国民を管理する。過去の歴史を見れば、この法案は戦争準備体制づくり以外の何ものでもありません」(小林節氏=前出)
それを隠すために、国民騙しの手口で「2020年東京五輪のために」とか「テロ対策」を持ち出す。そんなにテロリストが怖ければ五輪などやめればいい。米軍と一緒に戦争をしなければいい。本末転倒の議論で、この国を戦前のような恐怖社会にするつもりなのか。本当に許し難い政権である。
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