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1946年、ニューヨーク市生まれ。「JFK」「ニクソン」「ウォール・ストリート」など衝撃作多数。「スノーデン」が全国公開中(撮影/写真部・堀内慶太郎)
オリバー・ストーン監督が喝破する「日本は米国の“人質”」〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170202-00000090-sasahi-peo
社会派監督の巨匠が新作「スノーデン」の日本公開にあわせ来日。本誌の単独インタビューで吐露した思いとは──。
2013年、オバマ政権下の米国家安全保障局(NSA)職員のエドワード・スノーデン氏が、米国政府による膨大な個人情報監視の事実を暴露した。英ガーディアン紙がスクープし、世界的な大ニュースとなった。
今年1月27日から日本公開が始まったオリバー・ストーン監督の新作「スノーデン」は、当時29歳だったこの若者が国家機密を暴くに至った経緯を詳しく追いながら、「彼は英雄か、国家の裏切り者か」と観客に問いかけ、国家権力と個人の権利について考えさせる問題作だ。真実に迫るため、スノーデン氏が亡命中のモスクワに監督自ら9回通い、直接話を聞き取った。
「彼は社交的ではなく、多くの時間をコンピューターの前で過ごす面白くない人間だった。オリバー・ストーン映画のヒーロー的存在ではなかったが、彼そのものが私の映画なので、私の考え方は映画から排除した」
●衝撃の監視活動描く
スノーデン氏は自身が関与した監視業務について多くの情報を提供し、映画はそれを再現している。一般人所有のPCのカメラを電源が入っていなくても遠隔操作で稼働させ、ライブ映像や音声を入手できるといった衝撃の監視活動が描かれている。当然、NSAは非協力的で彼の話の裏付けはとれなかった。
「全て正しいか? 私にはわからない。ただ、少なくともスノーデン氏は事実だと言った」
米国では昨年9月、米大統領選まっただ中の公開となった。
「映画への注目が、さまざまな雑音に少なからずかき消された感はある。米国民の多くはスノーデン氏を単に国家機密を売った男として嫌い、なぜ彼がそうしたかの意味について考えようとしない」と嘆いた。
映画制作に対するNSAの妨害や圧力はなかったというが、米国内の映画制作会社はどこも協力を拒み、「政府やNSAから目をつけられたくないという自己検閲が働いていたことが恐ろしい」。
監督はベトナム戦争に出征し、除隊後に映画制作を開始した。名を轟かせたのは「プラトーン」(1986)だ。自身の戦争体験を生かし、米軍のベトナム人虐待や殺戮(さつりく)、米兵内の麻薬汚染などを描いた。以後、戦争や犯罪、国家機密などを正面から取り上げた問題作を次々と発表。「私の映画は売れる映画ではない。タフな映画が多い。だから協力者がなかなか得られない」
そう話す社会派監督の表情は、むしろ誇らしげだった。
●日本は平和憲法尊重を
新作の中では、スノーデン氏が横田基地に勤務中、日本が同盟国ではなくなった時のために仕掛けた「SLEEPER PROGRAM」というウイルスについても語られている。
「戦争につながるとんでもない行為だ。サイバー戦争は米国が始めたことで、世界中に広がった。それは誰が大統領になるかとは関係なく、もっと深い所の機関がやっていることだ。そのうち、本当の戦争につながる。新聞にはなかなか出ないが、横田基地の件は、日本のマスコミがしっかりと調査すべきではないのか。私なら、そうするね。日本は同盟国だって? 違う。日本は『人質』なんだよ」
監督はこの日、複数の取材を受けたが、「日本のマスコミはおとなしい」と危機感のなさを皮肉った。最後にファンへのメッセージを頼むと、監督らしく、こう締めくくった。
「今年は日本の平和憲法施行から70年。こんなに素晴らしい、偉大な憲法を変えようとする安倍晋三首相は間違っている。共謀罪に関する法案も危険だ。沖縄の米軍駐留に反対するような人に使われる。先の戦争で日本が犯した過ちを忘れてはいけない。みなが平和憲法を尊重するべきだと強調したい」
(編集部・山本大輔)
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