米国第一大統領は「市場原理」を勉強せよ　日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/198268
2017年1月27日　日刊ゲンダイ

　　
　　　不動産業で莫大な資産を築いたトランプ大統領（Ｃ）ＡＰ

　あまりにもレベルの低いイチャモンだ。トランプ米大統領が「日本では我々の車の販売を難しくしているのに、数十万台の車が大きな船で米国に入ってくる」と名指しで批判。「公平ではなく、話し合わなければならない」と日本と協議する考えまで示唆したというから、実にバカバカしい。

　日本は自動車に関税を一切かけていない。逆に米国には２．５％の関税をかけられている。それでも米国産車が日本でちっとも売れないのは、単純に燃費が悪いため。エコ志向の高まるユーザーには見向きもされないからだ。トランプはＣＯ２排出など、日本の環境基準を「非関税障壁」と見なしているようだが、それとて基準に応えられない技術力の問題である。要するに消費者を引きつける魅力に乏しい商品は売れない。それだけの話である。

　どうもトランプは、市場経済と商品経済のメカニズムについて何も理解していないフシがある。新しい商品やサービスを開発し、良いものをより安く提供する。消費者を満足させる「競争力」の高い企業が勝ち残る。そんな当たり前の考えをトランプは何ひとつご存じないようだ。

　アダム・スミスが著書「国富論」で、需要と供給で成り立つ市場のメカニズムを“見えざる手”と表現してから、約２５０年。この世界は市場経済と商品経済にのっとって、技術と文化を発展させてきた歩みを全く承知していないとは恐れ入る。

　トランプは米国有数のビジネスマンという肩書を前面に打ち出しているが、手掛けてきたのは不動産だ。市場原理が比較的、働きにくい業界である。「不動産王」とは呼ばれているが、流通や輸出といった経験には乏しい。ビジネスマンとはいえ、貿易については門外漢。市場原理というものの原点に立ち返って、もっと勉強して欲しい。

　これほど無知で見識のない大統領に会いたくてウズウズしているのが、安倍首相である。国会の施政方針演説でも、わざわざ「できるだけ早期に」と呼びかけたほどで、その後も「日米同盟の絆をさらに強化していく」と連呼しているが、どうやって「絆」を強めるつもりなのか。

　相手は「財政赤字を抱える米国には日本を守る余裕はない」とし、「守って欲しければ在日米軍駐留経費を全額払え」と言い放つ米国第一主義者である。むしろ「自分たちで自国は守れ」と日本にけしかけ、選挙中には核兵器保有すら促していた。日米の「緊密な連携」から手を切りたがっているようなものだ。

　憲法改正に意欲を燃やす首相のことだ。トランプの米国第一主義はもっけの幸いで、中国脅威論をあおり、一気に軍事化を進めるのではないか。「強固な絆」の裏に、薄暗い魂胆が透けて見えるように思えてならない。

高橋乗宣　エコノミスト
１９４０年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大（現・筑波大）に進学。１９７０年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、７３年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった２０００年より明海大学大学院教授。０１年から崇徳学園理事長。０５年から１０年まで相愛大学学長を務めた。

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憲法改正に意欲を燃やす首相のことだ。トランプの米国第一主義はもっけの幸いで、中国脅威論をあおり、一気に軍事化を進めるのではないか。

— toripy（Evil is LDP） (@t_toripy) 2017年1月26日

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安倍総理の外交はただのゴマすりだから、日本のアメリカの犬化が止まらない🐶

— 湊之ヨーコ (@xoxo_me_chu2) 2017年1月27日

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『…これほど無知で見識のない大統領に会いたくてウズウズしているのが、安倍首相である…「日米同盟の絆をさらに強化していく」と連呼しているが、どうやって「絆」を強めるつもりなのか…』

— 吉川　幸男 (@FP_Yoshikawa) 2017年1月27日

トランプはＣＯ２排出など、日本の環境基準を「非関税障壁」と見なしているようだが・・・要するに消費者を引きつける魅力に乏しい商品は売れない。それだけの話である。
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— Isoyama (@isoyamasasayaka) 2017年1月27日

コメント
1. 2017年1月27日 14:43:33 : rEnraJCc7A : PwFEJbZ_kSw[4] ▲△▽▼ それでも日本ではベンツはばか高いよ。中国でもベトナムでもベンツの価格は外の同クラスの車とそう変わらない。日本だけがどこかおかしいのも確か。
2. 2017年1月27日 14:49:09 : FhZAOTZQnc : 1yPBXapd@uI[1] ▲△▽▼ 大量に売れれば価格も下がる そこまで売れないから多少高くなる 安くしても利益が出るだけ売れなければ意味が無い 良いことだけど国内メーカーが強すぎるっていうのもある
3. 英松[228] iXCPvA 2017年1月27日 17:12:19 : wONaLl8IgQ : 6rzrY7eRCSU[124] ▲△▽▼ 当たらぬは滑稽の経済評論家の高橋さんですね。 トランプさんの政治手法、レトリックをそのまま真に受けるのは滑稽です。 ボーっとしていると生き馬の目を抜かれるニューヨークで成功するには並大抵の事では出来ません。 トランプさんは 　表の顔は、不動産王と云われていますが 　裏の顔は、脱税王ともいわれています。 オフィスで文章を書いている経済評論家とは違って、ビジネスを隅から隅までご存じの百戦錬磨の輩なのです。 釈迦に説法とはこの事ですヨ！ ところで、日刊ゲンダイもなかなか曲者です。
4. 2017年1月27日 18:39:08 : V0Btsrz1KA : laC8grG@UtU[143] ▲△▽▼ 安い土地、安い労働力、米国輸出に関税のないメキシコに、工場を造って、アメリカへ巨大な船で、数十万台の車を、輸出するトヨタ。 この事を、アメリカ第一のTrump大統領は、指摘している。 何のおかしいところがない。 このため日本国内は、製造業が空洞化して、労働者の仕事を、なくしているのだ。 更に、国籍日本のこれら製造業は、自国に税金を払っていない。 日本も自国第一に回帰し、Trump大統領を見習うべきである。 ホンダは、日本の工場で車を造り、輸出している。 企業は、儲け主義、tax havenため込み、本国に税金を払わない、この事は全く日本国民のためにはならない。 TPPが発効すると、日本へ安い労働者、移民が大挙して入り、日本の労働者は大損害になるところであったのだが、Trump大統領のTPP離脱で、救われたこと、大いに広報すべきである。 日本を操ってきたジャパンハンドラーも全て失脚し、今こそ日本は自国第一の政治に戻るトイミングにある。 Trump大統領の政策を、誤って論評してはならない。 行き過ぎたglobal化で、格差の開いた日本国民を、Trump大統領は、図らずも救ってくれたのだ。 日本国民第一か、日本国家第一か、前者を標榜する政策を、日本国民も見誤ってはならない。
5. 2017年1月28日 20:11:30 : 9jyOzTBXZs : Uc_G4wHSHso[1] ▲△▽▼ 幻想に　過ぎぬ「絆」と　叫んでも

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