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「日本死ね」は変えられないのか
記者の眼
2017年1月18日(水)
西 雄大
「保育園落ちた日本死ね」
2016年のユーキャン新語・流行語トップ10にも選ばれた待機児童問題。厚生労働省によると、待機児童者は2015年10月時点で4万5315人と増加傾向にある。保育士の有効求人倍率は1.5倍以上と高い状況が続いている。
個人的な話で恐縮だが、私の息子は昨年認可保育園に入園できず、認証保育園に通っている。いまの保育園には3歳まで通えるが、小学校入学までの数年間は決まっていない。
認可保育園は認証保育園に比べて園庭があったり、兄弟で通うと保育料が安くなったりするなどの特典が多い。私の息子は待機児童者数に含まれていないが、親の気持ちからすれば認可保育園へ入園させたい。“隠れ待機”も含めると、実態としての待機児童者数は統計値よりもっと多いと思う。
先日、来年度の入園希望を役所に提出したものの、叶いそうにない。入園可能者よりも多いため選考がある。1歳児に試験を課すわけにもいかない。私が住む地域では、親の保育困難状況を点数化して決める。夫婦共働きなのか、親が遠方に住んでいるのかといった保育が困難な状況を数値化する。
私の持ち点は「夫婦共働き、親が遠方に住んでいる」状態。今年は認証保育所に通っていたので加点がある。それでも、申し込み前から入園できる可能性がない保育園がたくさんあった。過去の実績から入園できた児童の持ち点を元にボーダーラインが設定されているためだ。その中には近所にある認可保育園も含まれており、すでに来年度もあきらめている。
ベトナムで保育士を養成
待機児童をなくすためには保育士の確保が先決となる。しかし、冒頭で触れたように求人倍率は高く、人手の確保は困難だ。そこで、何かいい方法はないかと考えた。まず思い浮かんだのが外国人の活用だ。保育士と同様に人手不足が問題となっている看護師や介護士も活用の動きが出ている。
都内を中心に約100の保育園を運営するグローバルキッズ(東京都千代田区)は、企業進出を支援するアセゴニア(東京都渋谷区)とともに、ベトナムへ進出する。2017年中をメドにハノイ近郊に保育園を開設。ほかにも開園を目指している。日本から保育士を派遣し指導にあたる。
この保育園は日本人駐在員の子供ではなく、現地の子供を受け入れる。ベトナムの国民平均年齢は約28歳と若く、共働き家庭が増えている。だがベトナムには日本のような保育園がない。日本で培った教育体系や保育に関する質の高いサービスを輸出する。
グローバルグループはベトナム・ハノイ大学と提携。まず日本式の保育園を開設。保育士不足の解消を目指す。
グローバルキッズが海外進出する狙いは保育園を運営する以外にもある。ベトナムで保育士を養成し、日本へ送りこもうとしているのだ。
ハノイ大学と組み、保育士を養成するプログラムも開設する。プログラム参加者は来日して、同社が運営する保育園で実地研修を受けるなどして保育士に必要な知識を学ぶ。
グローバルキッズは日本とベトナム間での保育士の相互派遣を目指している。
日本国内の保育士は不足しているため、ベトナムで養成した保育士を日本で勤務させることを検討しているが、実現に向けては高い壁が立ちはだかる。就労する上での在留資格を満たしたうえで、日本語による保育士の資格試験をパスしなければならない。宇田川三郎取締役は「前例がないので実績を作り、将来的には外国で取得した保育士資格でも働けるよう国に働きかけていきたい」と話す。
ロボットを副担任にして負荷軽減
もうひとつはロボットの活用だ。同じように人材不足の課題を抱える介護業界でもロボットの活用が進んでいる。園児の見守りロボット「MEEBO(ミーボ)」がそれだ。保育士の副担任を目指しているという。
ミーボは身長28センチメートルのロボットで、音楽に合わせてダンスしたり、しゃべったりできる。目の代わりにカメラを搭載し、園児の様子を確認したり、その模様を保護者に送れる。保育士の業務には、園児睡眠中のチェック(0歳児の場合は5分おき)なども含まれており、非常に多忙。体温測定といった定常業務をミーボに任せられれば、保育士は少なくても質が高い保育を実現できる可能性がある。
もちろん保育園の開設には人材確保以外にもハードルは多い。騒音問題で用地を取得できないなどの課題もある。「日本語が堪能でない外国人に代わりができるのか」「ロボットに任せられるのか」といった疑問も出てくるかもしれない。
ただ今後も現状のままだと、人手不足が加速することだけは間違いない。
トーマツベンチャーサポートによると、2040年には保育産業を含む医療福祉業界で74万人分の人手が不足すると見込む調査もある。
保育に対する柔軟な考え方が不可欠になる。日本は保育以外にも、高齢化や介護などの深刻な課題にほかの国よりも早く直面する。課題先進国であるからこそ、試行錯誤し様々な取り組みができる。新しい保育のあり方も先行して示せる可能性がありそうだ。
このコラムについて
記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/011700389/
安倍首相と黒田総裁に伝えた国の借金の返し方
ニュースを斬る
「ヘリマネ」政策の提唱者、アデア・ターナー氏に聞く
2017年1月18日(水)
武田 健太郎
1月初旬に米著名投資家ジョージ・ソロス氏と共に来日し、安倍晋三首相や黒田東彦・日本銀行総裁と経済政策を巡って議論した人物がいる。彼の名はアデア・ターナー氏。英金融サービス機構(FSA)の元長官で、イングランド銀行総裁候補にもなった金融界の大物だ。
ターナー氏が著作「債務、さもなくば悪魔」で提唱しているのは、中央銀行が財政赤字を穴埋めするヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策。日本政府の債務は1000兆円を超す一方、昨年末に決まった2017年度予算案では歳出の膨張に歯止めが利かない。窮地に立たされる政府財政にとって、ヘリマネは本当に「唯一無二の解決策」となるのか。ターナー氏に聞いた。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/011700539/p1.jpg
日本の財政問題は解決可能と訴えていますね。
ターナー:「マネーファイナンス」と呼ぶ経済政策が有効的だと主張している。今すぐにも検討する必要がある。
アデア・ターナー(Adair Turner)氏
英シンクタンク、インスティテュート・フォー・ニューエコノミックシンキング会長。1955年生まれ。米マッキンゼー・アンド・カンパニー、米メリルリンチ(現バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)などを経て、2008年から2013年まで英国金融行政の監督機関である英金融サービス機構(FSA)の長官を務めた。昨年末に著書『債務、さもなくば悪魔 ヘリコプターマネーは世界を救うか?』を上梓した(写真:木村 輝、以下同)
マネーファイナンスとは、いわゆるヘリコプターマネー(ヘリマネ)のことですね。
ターナー:その通り。日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)比で250%。国際通貨基金(IMF)が公表する純債務残高でも140%にのぼる。このうちGDP比で80%近くの国債を日本銀行が保有している。この日銀保有分を帳消しにしてしまえば、財政問題は解決するというのが私の提唱するマネーファイナンスだ。
日銀が持つ国債を帳消しすれば良い
国債の帳消しとは、どういうことでしょうか。
ターナー:日銀は金融緩和政策を通じて大量に買い入れた日本国債を、最終的には民間に売却すると説明している。私は単純に考えてそんなことは無理だ、あり得ないと思っている。
その代わり、日銀が保有する国債を無利子の永久債に転換する。そして、その永久債を徐々に償却、つまり消していくことで政府債務を減らすことができる。
その政策では、いくらでも国債の発行が可能になります。政府の財政規律が緩み、最終的にはハイパーインフレにつながる可能性があるはずです。
ターナー:ハイパーインフレにはならないと断言できる。例えばマネーファイナンスを通じて1円を政府が手に入れても、インフレにはならない。一方。これが100兆円となるとインフレを引き起こす。要は程度の問題だ。規律を保つことでハイパーインフレは避けられる。
インフレを考慮し、日銀が償却できる国債の限度を定期的に設定する。例えば、一定期間中にGDP比20%まで償却して良いと決めると、純債務残高は現在の140%から120%まで減らすことができる。
問題は政治的リスクだ。「なぜ20%なのだ。60%や80%でも良いだろ」と大きな声で主張する人が出てくると、規律が崩れてしまう。そのため、政策委員会を日銀内に設置するようルールを作り、委員会だけが償却限度を決められるようにする必要がある。このようなマネーファイナンスの仕組みは、世界中どの国でも導入可能だ。
日本を見れば世界経済の先が読める
なぜあえて日本まで来て、マネーファイナンスを訴えるのでしょう。
ターナー氏は「日本に残された解決策はマネーファイナンス=ヘリマネ政策しかない」と断言した
ターナー:それは、世界の経済現象において日本が常に先駆けであるからだ。日本では1980〜90年代に不動産ブームが起き、そしてバブルが弾けた。2008年の世界金融危機でも同じことが起きた。
日本ではバブル崩壊後、政府が財政出動を繰り返し、債務残高を積み上げてきた。同じ現象が、金融危機後の世界中で繰り返されつつある。
これまでの金融緩和政策だけでは、政府債務問題を解決できていない。他国に先駆け債務を積み上げてきた日本にとって、残された解決策はマネーファイナンスしかない。
日銀の黒田総裁などは、あなたの提案に関心を示していましたか。
ターナー:あくまで個人的な面会だったので、議論の具体的内容については控えたい。米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ前議長と同様、私も日本にマネーファイナンスの検討が必要と感じている。
いつまでに政策を実行に移すべきでしょうか。
ターナー:可能な限り早く導入すべきだろう。国債の償却が始まれば、政府は財政規律をわずかに緩め、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を2020年度から2025年度などに先送りするだろう。
財政規律が緩み、政府支出の増加が適切なインフレを引き起こせば、(政府の実質債務が目減りするため)、国債の追加償却は必要なくなる。一方、インフレが起きなければ、国債償却を続ける必要があるだろう。
1月20日に米国にトランプ新大統領が誕生します。今後、世界経済にどのような影響を及ぼすでしょうか。
ターナー:就任したから急に何が変わるという事はない。何事にも時間がかかる。閣僚候補が上院で承認されるまでに時間が必要であるし、大統領の裁量の範囲も定まっていない。
ただ、経済全般としてトランプ氏の就任はややポジティブに見ている。可能性が高いインフラ投資は、たとえ効率的に実行されなかったとしても、米国や世界経済への影響は大きい。心配なのは貿易問題だ。中国製品に高い関税を課したら、中国との間に「税戦争」が始まり世界経済を下押しする。トランプ氏が公約してきたことを実行しないことが、最も好ましいシナリオだ。
このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
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