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日本はどうなる? トランプの経済政策と資本主義の終焉
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/197559
2017年1月14日 日刊ゲンダイ 文字お越し
11日、トランプタワーで会見した次期米大統領(C)AP
当選後はじめての会見で何を言うのか、世界中が注目した11日のトランプ次期米大統領の会見。「国境税」の導入に意欲を見せるなど、選挙戦で主張してきた保護主義政策を下ろす気はないようだ。これまでに指名した通商担当者の顔ぶれを見ても、「自由貿易反対」の主張は本気だということが分かる。
会見では、貿易赤字相手国として中国、メキシコ、日本を名指しで批判し、貿易不均衡の是正を口にする場面もあった。
そんな中、ノンキに東南アジア3カ国と豪州に出かけ、「自由貿易の重要性を説いて回る」と言っているのが日本の安倍首相だ。
「首相周辺は、根気よく説明すればトランプ氏も自由貿易の重要性に気づいてくれると考えているようですが、トランプ発言は単なる思いつきではありません。彼が大統領に選ばれた背景には、グローバル経済が多くの米国人の生活環境を悪化させたという怒りがある。米国企業が海外に流出し、雇用が減少して熟練工も仕事を失ったことへの不満です。だから、トランプ氏がTPPに反対し、国内での雇用創出を強調するのは自然な流れで、メキシコに工場を建設するトヨタに対して『米国で工場建設するか、高額国境税を払うかだ』と恫喝したことも、決して唐突ではないのです。トランプ大統領の誕生は、米国自身が長い時間をかけて築いた自由貿易秩序からの転換を意味している。つまり、安いところでモノをつくって売るという経済体制の根本が問われているのに、教条主義的に自由貿易を信奉している日本は、周回遅れもいいところです」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)
■覇権国家は内部から不安定化
「覇権安定論」の提唱者であるプリンストン大学教授のロバート・ギルピン氏は、自由主義的な国際秩序が保たれるためには、覇権国家の存在が不可欠だと説いた。覇権国家の米国が環境を整備し、維持してきたから、冷戦後の世界では、自由貿易やグローバル化がスタンダードになった。
そのルールに守られてきたのが日本であり、TPPなんかは覇権国家による自由貿易ルールづくりの典型なのだが、トランプ大統領の誕生によって、状況は一変。もはや、米国に寄り添っていれば安泰という時代は終わったということだ。
もっとも、ギルピン氏は、覇権国家が築いた秩序は内部から不安定化し、崩壊していくことも予見していた。覇権国家による秩序が世界中に浸透し、繁栄をもたらせば、やがて覇権国はその世界秩序を支える負担に耐え切れなくなるからだ。ここに、資本主義の限界がある。
経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「覇権国家が衰退していく過程には共通点があります。国際社会への経済的支援を減らすことと、軍事的関与を減らすこと。トランプ氏が大統領選で『米国は世界の警察官であることをやめる』と宣言し、日本やNATOなどの同盟国に対して『駐留経費を全額負担しろ』と迫ったのは、覇権国家としての経費を削減するためで、理にかなっている。また、米国にはドルという基軸通貨があるから、保護主義政策で封じ込めて、国内に集中することができる。貿易赤字の均衡を求めていることも同じ文脈です。グローバル資本主義を捨て、内需拡大に注力する限定的な資本主義にシフトチェンジすることで、権威を保持する道を選んだ。英国のEU離脱も本質は一緒で、国民がグローバル化に『NO』を突きつけたということです」
嘘ばかりの安倍首相(C)日刊ゲンダイ
1%のためのグローバリズムは国家を幸せにしない
欧州は今年、独仏など主要国で重要な選挙が行われるが、中産階級の没落や、それに伴う排外主義の台頭、ポピュリズムの蔓延はトランプ大統領を生んだ米国とそっくりで、極右政党が各国で支持を拡大している。保護主義的な傾向が強まり、日本とEUとの間で進めている経済連携協定(EPA)も暗礁に乗り上げる可能性がある。16年内の合意を目指してきたが、折り合えずに越年。17日からベルギーで交渉官レベルの協議が再開されるものの、「ここで決まらなければ、TPPと同様に漂流してしまう」(外務省関係者)といわれている。
「所得の適切な再配分が行われなければ、グローバリズムは国民にとってマイナスでしかありません。だから、世界各地で反グローバリズムの嵐が吹き荒れている。冷戦後の一国覇権で世界システムを構築してきた米国でも、過去30年で物価上昇より所得が上がった人は1%に過ぎないとされます。世界的に見ても、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産を上回る水準にある。米国が推し進めてきた新自由主義は、グローバル企業の経営者が莫大な利益を得るだけで、一般労働者を不幸にし、社会に不満が鬱積するということがハッキリしたのです。日本も小泉・竹中構造改革で新自由主義に舵を切ったことで格差が広がり、第2次安倍政権でその傾向が加速している。アベノミクスの4年間で、国民の実質賃金は17万円も減ってしまいました。過去30年間、言われ続けてきた『自由貿易は経済を発展させて、国民の所得を増やす。グローバル化が国民生活を豊かにする』という神話は嘘だったのです。その矛盾が今、世界中で噴出しているのですが、新自由主義の弊害を最も被っているのは日本の庶民ですよ。トランプ氏の発言を批判し、『強権的』だの『ポピュリズム』だの言う日本のメディアはピントがズレている。まずは、自国の誤謬をただすべきではないでしょうか」(菊池英博氏=前出)
■世界の潮流から取り残される
11日の会見で、トランプは「報道の自由を尊重する」と言いながら、自身に不利な報道をしたCNNの記者の質問を受けつけなかった。雇用創出などの自画自賛に終始し、批判に正面から向き合おうとしない。選挙戦で納税記録の資料を公開しなかったことを突っ込まれると、「私は選挙に勝ったのだから問題ない」と切り捨てた。これも、どこかで見たような光景だ。選挙に勝てば、「信を得た」と言ってやりたい放題してきたのが安倍だし、メディアの選別という点では、日本の方がヒドイ。
首相自ら参院予算委で「安倍政権打倒が朝日新聞の社是」とデマ発言をして朝日の政権批判を封じ込め、安倍政権に好意的な産経や読売、NHKにスクープを抜かせる。民放には「公平性を欠いた放送をすれば電波停止もありうる」と恫喝し、テレビメディアから政権に批判的なコメンテーターが消えてしまった。
米大統領選でトランプを熱狂的に支持したのが、オルト・ライト(オルタナティブ・ライト)と呼ばれる白人至上主義の新右翼だった。共和党の伝統的な保守主義とは一線を画し、ネットを中心に愛国心をあおる偽ニュースや陰謀論を投稿して、排他主義をまき散らす。彼らは自由経済も否定した。
オルト・ライトに支持されたトランプと、ネトウヨと呼ばれる人々に支持される安倍政権の構造はよく似ている。安倍が中国敵視で差別主義者の支持を集め、長期政権を視野に入れている日本の方が、むしろ先を行っているとも言える。
「日本の有権者も何となく『おかしい』と思ってはいるのでしょうが、それが政治勢力と結びついていない。手品のように、次から次へと外交案件で目くらましを試みる安倍政権の思惑にメディアが加担し、国内問題の深刻さが覆い隠されてしまっているのです。しかし、このまま米国盲従を続けていれば、国際社会で孤立化し、反グローバリズムの潮流から取り残されてしまいます」(孫崎享氏=前出)
覇権国家・米国の歴史的転換を嘆いてばかりもいられないが、漫然と安倍政権を支持していていいのか。経済的にも、外交的にも、日本も岐路に立たされていることは間違いない。
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