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(回答先: GHQによって抹殺された歴史 投稿者 中川隆 日時 2018 年 5 月 15 日 08:14:46)
【藤井聡】「日米地位協定」問題について、日本人は無知すぎます。2018.09.17
From 藤井 聡(表現者criterion編集長・京都大学教授)
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20180917/
この週末、当方がコメンテーターで登壇しました
東京MXTVの激論サンデークロスという番組で、
「日米地位協定」問題が取り上げられました。
http://urx2.nu/M0sb
ちょうど、先月沖縄でのシンポジウムでも、
日米地位協定問題が取り上げられており、
日本の「自主独立」を考える上で、
避けては通れない問題だと考えていましたから、
個人的にはとてもタイムリーな番組となりました。
この問題を考える上で改めて感じたのが、
この問題の基本構造を、
大半の国民が認識していない―――
という事実。
ついてはこの番組でも、
賛否以前の問題として、
「基本事実」を伝えることに注力しました。
当方が申し上げたポイントは、以下の3点です。
(1)日米地位協定があるのは、世界の常識である。
日米地位協定とは、
『日本に駐留する米軍に、どのような特権を与えるのか』
という事の取り決めで、日米政府間で取り結ぶものです。
そもそも、米軍とは「米政府」の組織。
だから、外国に駐留する際、
その活動が全て、当該国の法律に制約されていては、
「米軍」活動ができなくなります。
だから、「軍隊が、外国に駐留する」状況では、
「地位協定」を取り結ぶのは、世界の常識です。
だから、世界に展開する米軍は、
欧州各国や韓国、アフガニスタンなど、
あらゆる国家と「地位協定」を結んでいます。
ですから、日米地位協定があることそれ自身は、
(米軍が駐留することを前提とする限り)
批判の対象ではありません。
(2)他国の地位協定に比べて、日本だけ過剰に不利な点が散見される。
今、日本で問題となっているのは、
「日本だけ過剰に不利な点が散見される」
という点です。
この認識は、今の総裁選で
「改定」を主張している石破氏だけでなく、
「運用改善」を主張している安倍氏(総理)においても、
共有されているもの。
例えば、「敗戦国」であったドイツですら、
米兵が「レイプや殺人」を犯した場合、
ドイツ政府が裁判を行えるということが
(補足)協定に「明記」されていますが、
日本ではされていません。
(例えば、https://synodos.jp/politics/17510)
結果、12歳の少女が米兵に集団レイプされても
その犯人が日本側に引き渡されなかった事件などが
起こっています(1995年 沖縄米兵少女暴行事件)
同じく、「敗戦国」だったイタリアの地位協定では、
基地が作られる地⽅公共団体と、
オフィシャルなチャンネルを持たないといけない、
という事が明記されていますが、
日本にはそういう記載はありません。
あるいは、NATOでは、
米軍関連の「民間業者」の者は、
米軍人等と異なり、犯罪をすれば、
「受け入れ国の法律で裁かれる」
ことが明記されていますし、
アフガニスタンでも、
国内登録することが義務づけ有られていますが、
我が国の協定にはそうした規定はありません。
結果、「民間業者」が犯した犯罪も、
日本で裁けない、という事態が過去において
生じています。
そして何より、ドイツやイタリアでは、
施設の管理権は受け入れ国側にあると
明記されていますが、
日本ではそうではありません。
つまり、日本の地位協定は、
他の国比べて「不平等感」が強いと
判断せざるを得ないケースが散見されるのです。
(3)外国では、地位協定は改定されているが、日本はされていない
政府は、こうした「不平等」の解消に対して、
日米で協議を重ね、「運用の改善」を図ってきました。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H02_V00C16A7MM0000/
しかし、「条文改定」は一度も行われていない、
というのが、実態です。
言うまでも無く、制度上、条文改定は可能であり、
事実、諸外国では条文が繰り返し改定されてきました。
例えば、韓国は、
不平等の改善を果たすために二度改定しています。
同じく敗戦国だったイタリアやドイツも、
冷戦終結と共に大きく改定されました。
フィリピンに至っては、
米軍に対する反発する世論を背景に、
米軍撤退と共に、協定が「撤廃」されています。
こうした「改善」はいずれも、
受け入れ国の「世論」からの反発があった
という背景を受けてのもの。
ところが我が国は、冒頭でも指摘した様に、
「地位協定問題」がほとんど世論に認識されておらず、
国民からの反発もさしてなく、
戦後直後の状況が
「放置」されているのが実態なのです。
・・・
以上が、日米地位協定を考える上での、
「基礎的認識」です。
纏めて言うなら、
「地位協定があること自体は普通だが(1)、
日本だけ不平等性が高く(2)、
にも関わらず、日本だけ、改定されていない(3)。」
わけであり、かつ、
「これらの事実を多くの国民が認識していない」
という次第です。
したがってこの地位協定の問題は要するに、
「日本の対米従属度の高さと、
独立しようとする努力の低さ」
を象徴しているわけです。
いわば、日本の「植民地根性」の濃密さを
証明するかのような問題が、
この日米地位協定問題なわけです。
・・・ちなみに、
そもそも、NATO各国の地位協定が、
欧州各国にとって不利ではないのは、
互恵性(つまり、欧州各国の軍隊が米国に駐留する可能性)
があることが、強烈な理由になっています。
もしも互恵性があれば、
米国政府自身がそんな「不平等」を撤廃するべく、
努力するに違いありません。
ところが日本は「互恵性」が無く
日米間の関係は「片務的」なわけで、
これが、不平等の解消を阻害する主要因なのです。
ですから、日米地位協定の改定の議論は本来、
「日本の真の独立」=「対米従属の脱却」を目指した
「憲法九条と日米安保条約の改定・解消」
とセットで進めなければならぬものです。
ただし、それらの中でも、
諸外国が皆改定している地位協定問題は、
最も取り組みやすい「レッスン1」に
位置づけられ得るものでしょう。
折りしも本誌「表現者クライテリオン」では、
この問題に取り組むべく、
「対米従属文学論」をシリーズ展開
しています。
ついては、少なくとも本メルマガ読者だけでも、
こうした最低限の「事実認識」を
共有頂きたいと思います。
追伸:この問題は、「週刊ラジオ表現者」にて沖縄を論じた際にも様々にお話しています。是非、お聴き下さい!
https://the-criterion.jp/radio/r20180903/
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20180917/
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