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平昌冬季五輪の参加に迷走する米国と沈黙を守るロシア
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2017-12-09 天木直人のブログ
思った通り、来年2月に韓国で開かれる冬季五輪参加を巡って国際政治の駆け引きが始まった。
きのうの夕刊フジ(12月9日号)が、ヘイリー米国連大使が6日の米テレビ番組(フォックス)で、米国の参加は未確定、と発言したことを取り上げて、米国の不参加もあり得ると書いた。
もっとも、ホワイトハウスはこの騒ぎを見て7日に米国の参加を表明している。
しかし、IOC会長のロシア締め出しを受けて、米国が真っ先に発言したのは興味深い。
しかも発言が迷走している。
無理もない。
北朝鮮へのクリスマス先制攻撃の可能性が高まりつつあるからだ。
不参加を明言すれば、はやりそれまでに米国は北朝鮮を攻撃するつもりだと勘ぐられる。
たとえクリスマス攻撃がなくても、米国と北朝鮮の緊張関係は平昌五輪に向けて続き、高まる。
ヘイリー大使が米国の選手たちの安全性を心配するもの無理はない。
だから米国は迷走するのだ。
その一方で、ロシアのプーチン大統領は、大統領4選の立候補を宣言し、その健在ぶりを世界に誇示した上で、ロシアボイコット決定については、様子を見ているごとくだ。
怒って真っ先にボイコット発言をしてもよさそうなものだ、むしろ選手の参加に任せるような発言をしている。
これを要するに、平昌五輪をめぐる国際的な駆け引きが始まったということだ。
もし米国がロシアより早く不参加宣言をすれば、プーチン大統領は、たとえロシア国としての参加が認められなくても、ロシア選手団の派遣を積極的に支援するだろう。
事実上のロシア参加だ。
そうすることによって韓国に恩を売る。
もちろん韓国との関係改善に舵を切った中国は、韓国の冬季五輪の成功に全面的に協力する。
そうなれば、北朝鮮の参加もありうる。
つまり米国抜きで、北朝鮮参加の冬季五輪が、中露韓の三か国の主導で開催されることになる。
そうなればトランプ統領の外交失策だ。
さすがのトランプ大統領もそこまで馬鹿ではないだろう。
そこで問われるのは安倍首相だ。
もし米国が平昌五輪をボイコットするようになれば、一番困るのは安倍首相だ。
日本が韓国の冬季五輪をボイコットする理由はどこにもない。
それでも平昌冬季五輪を参加しないなら、その理由はただひとつ、トランプ大統領の米国と歩調を合わせることにした、ということしかない。
そんなことをすれば、参加するつもりで練習を重ねて来た日本の選手団や、冬季五輪を楽しみにしている国民から、不満が出る。
しかし、たとえ参加しても、米国抜きの冬季五輪では、安倍外交は中・ロ・韓国・北朝鮮の連携の中で孤立する。
いまごろ官邸と外務省は、トランプ政権に対し、平昌五輪をボイコットしてくれるなと、必死に働きかけているに違いない。
これから2月にかけて、平昌冬季五輪をめぐって、関係国間の駆け引きから目が離せない(了)
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