ダニエル・ライアン
公開日時: 2017年11月26日 10:25
RT
本当の宣伝屋はどちらだろう? 人々に、自由に、信じたり無視したりできる情報を提供する人物か、それとも、真実とウソを見分けるため、人々が自分の頭脳を使い始めるのを恐れて、人々が見るものを管理しようとしている人物か?
これこそまさに、グーグルの持ち株会社アルファベット社会長エリック・シュミットが、このウェブサイト、RTのニュース記事に対して行っていることだ。シュミットはヒラリー・クリントンの大統領選挙運動に密接に関与しており、最近のインタビューで、グーグルが、RTのニュースを濾過し、グーグル検索結果で、より目立たなくする特別なアルゴリズムを制作していることを認めた。彼自身の表現は、RTの内容をより見えにくくするため、グーグルは“システムを変更”しようとしている、というものだ。
この検索エンジン改ざんの表向きの狙いは、ロシアによる“プロパガンダ”と“虚報”と戦うことだ。本当の目的は、人々が異なる視点を読んで、不都合な質問をするのを防ぐため、政治的言辞を支配することだ。
更に読む
ニュースの審判、グーグルのエリック・シュミットは、オバマとクリントンとつながりが長い
もしRTが毎日ウソばかりたれ流しているのであれば、極少数の人々しか読もうとしないので、全く重要ではなくなるはずで、グーグルが“ランクを引き下げる”必要などないはずだというのが真実だ。そこで、RTをめぐるヒステリーに内在する逆説に辿り着く。RTを批判する人々は、どちらを信じさせようか決められないように見えるのだ。RTは人々の頭脳を乗っ取り、痛めつける能力を持った全能の組織なのか、それとも、我々の弱い精神に対する影響力は全く取るに足らないのか?
言い分だけではなく、言わないこともプロパガンダだ。グーグルの場合、何を促進するものとして選び、何を隠したり、人目につかないようにしたりするものとして選ぶかだ。RTのランク引き下げを正当化する口実は、ウソを流布するからだと言うのだが、シュミットは例を挙げていない。
同じインタビューで、シュミットは“検閲には強く反対する”し、グーグルは決して、RTを完全に“禁止”するつもりはないと言っている。シュミットが見逃しているように見えるのは、何かを禁止することだけが検閲の方法ではないことだ。グーグルは、その膨大な権力を、人々が見るものを支配するのに利用しており、驚くべきことではないが、グーグルは、グーグルと、グーグルが親密にしているアメリカ政府機関に関する、よりお世辞的な報道を人々に読ませたいのだ。シュミットが認めようと認めまいと、それは検閲だ。
グーグルがランク引き下げをしているのはロシア・サイトだけではない。インターネットで、ほとんど完全な独占を享受しているこの企業は、Alternet、Democracy Now、Truth-out.org、CounterpunchやTruthdigなどの左翼、反戦ウェブサイトを検閲しているとして既に批判されている。これらウェブサイトの中には、グーグルの検索アルゴリズムが“偽ニュース”と戦うために変更されて以来、トラフィックが大幅に低下したと報じているものがある。グーグルが、アメリカ軍国主義の応援団で、兵器産業と議会内の戦争で儲ける連中の忠実なパートナーであることを、これほどはっきり示すものはない。それなのに、同社は依然として、真実の良き審判という評判を広範に享受している。
‘現代版検閲:グーグルは、RTはプロパガンダだと判断したが、何百万人もの人々は不同意だ’ https://t.co/qDbaHV5Xtz pic.twitter.com/hOv4q9z7WG
- RT (@RT_com) 2017年11月21日、
究極的に、グーグルは、インターネットに関して、人々を管理したがっているのだ。シュミットは、自分が人々の手をとって、何を読み、誰を信じるか教えてやる必要があると考えているのだ。RTのようなランクを引き下げられたサイトは、益々オーウェル風未来への滑りやすい坂道、主流マスコミのジャーナリスト連中は気にかけていないようだ。実際、マスコミのグーグル報道は非常に好意的に見える。結局、この連中が、この種の検閲で恩恵を得るのだ。
インターネットの自由を本当に大切と考える誠実なジャーナリストなら、たとえ、RTや他の“ランクを引き下げられた”ウェブサイトが嫌いでも、これはより大きな問題であることを認めるはずだ。グーグルのような政府とつながる企業が制約を受けない権力を振るい、真実に関する究極の審判として行動するのを阻止するのが肝心だ。ここで沈黙していれば、ジャーナリスト連中は、本質的にグーグルのような国家公認の組織が、世の中はどうなっているのかを語るので十分満足していると語っていることになる。
更に読む
想像願いたい!‘完全にフェイスブックとグーグルの掌中’でない‘別のインターネット’を
もし、時に間違えたり、読者に虚報を流したりした、あらゆるニュース・ウェブサイトのランクを、グーグルが下げたら、読むに値するものなど無くなってしまうだろう。しかも、もしグーグルが、虚報の流布を本気で懸念しているのなら、ウソを根拠に戦争を応援し、軍事介入賛成派の評論家や専門家に不相応に長い出演時間を与えているかどで、CNN、MSNBC、Foxなどや、ありとあらゆる他の主流アメリカ・マスコミのサイトを、とっくの昔に、ランクを下げているはずだ。
今お読みになっているこのRTの記事にウソはない。確かな情報に基づく更なる見解もある事実情報だ。それでもシュミットは、人々にそれを読ませたくないのだ。彼としては、おそらく、人々には、いずれも、彼のランク引き下げ構想を、異なる視点という悪に立ち向かうある種の英雄的姿勢として描きだしているViceのMotherboardのこの記事や、ガーディアンのこの記事を読ませたいのだ。
それでも、このニュースの中にも、一つ良いことがある。
RTのランク引き下げは、グーグルがそれを恐れていることをはっきり現している。RTだけではなく、同社の言辞と矛盾し、同社の威信と動機に疑念を呈する、どこの国のものであれ、あらゆる情報だ。RTのランク引き下げは、連中の考え方が、公正な戦いでは勝てないと連中が恐れているのを認めていることだ。‘自由’という連中の言辞に、連中は実に不安なので、連中は精査に耐えると人々を信じさせるために、一層権威主義的手法に頼ろうとしているのだ。真面目に考えれば、これは実に皮肉なことだ。
タイムズ・オブ・ロンドンの最近の報道によれば、グーグルは“幼い子供を食い物にする小児愛者に受けるビデオ広告収入”で何百万ポンドも儲けている。だから、グーグルが心から我々全員の最善の利益を考えているなどと騙されて、信じないようにしよう。
RTのランク引き下げに、高貴なことなど皆無だ。グーグルが行っているのはロシア・プロパガンダに対する戦争ではない。“偽ニュース”や虚報に対する戦争ではない。遥かに壮大な規模の思想戦争なのだ。
シリコン・バレーのグーグル幹部や政府内の連中の協力者が、不適切なニュース、不適切な思想、不適切な考え方だと判断したありとあらゆるものに対する戦争だ。
これはどう見ても、検閲でプロパガンダだ。
ダニエル・ライアンは、アイルランド人フリーランス作家、ジャーナリスト、マスコミ評論家。彼女は、アメリカ、ドイツ、ロシアとハンガリーに暮らし、広く旅している。彼女の署名入り記事は、RT、Nation、Rethinking Russia、BRICS Post、New Eastern Outlook、Global Independent Analyticsなどに掲載されている。彼女は広告文作成、編集プロジェクトでも働いている。TwitterやFacebookやウェブwww.danielleryan.netで彼女をフォローする。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/410981-google-rt-censorship-propaganda/
----------
ロシア政府が資金を出しているRTには、外国代理人登録法に基づいて、登録を強いているアメリカ司法省、BBCや、アルジャジーラなどには登録を強制していない二枚舌。マスコミが大本営広報部でなければ、この問題で大騒ぎしているはずだが、全く見聞きしたことがない。