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トランプ: アフガニスタン・ファースト
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2017年8月31日 マスコミに載らない海外記事
Tony Cartalucci
2017年8月27日
New Eastern Outlook
アメリカは一体どれほどの平和をアフガニスタンにもたらせるのだろう?
アメリカ政治支配体制の本当の権力源が一体どこにあるのかを知っている人々にとって、アメリカの16年間にわたるアフガニスタン戦争が途切れなく続くのは何ら驚くべきことではない。
ドナルド・トランプ大統領が複数の海外での戦争や紛争から撤退し、“アメリカ・ファースト”にするという国民の希望を代表していると信じていた有権者にとって、そういうことが起きないばかりか、これらの戦争が拡張されるというトランプ大統領の声明は驚きに違いない。
だが、おそらくこれは、誰をワシントン入りさせようと投票しても、方針はどこか他の場所で決定され、押しつけられるのが明白だという、アメリカ国民が学ばねばならない厳しい様々な事実の最初の教訓なのだ。
「Hill」は、“トランプのアフガニスタン演説で5つの考慮すべき点”という記事で、アフガニスタンに関するトランプ大統領の最近の演説について、アメリカが現在8,400人の兵士を派兵しており、更に数千人派兵予定だということなどに触れた。
Hillはこう報じている。
トランプは更に約4,000人の兵士を考えていると言ったが、人数に触れることも、追加アメリカ軍兵士が一体いつまでアフガニスタンに駐留するのかも言わなかった。 “兵士の人数や、将来の軍事活動計画については言わない”とトランプは述べた。“恣意的な予定表ではなく、現地の諸条件が、今後我々の戦略を導く。アメリカの敵が我々の計画を知ってならない. . . いつ攻撃するかは言わないが、我々は攻撃する。” |
これはHillがあげている彼の選挙公約と著しく違う。
“その後で、アメリカ兵士を背後から銃撃するようになるアフガニスタン人を、我々は一体なぜ訓練しているのだろう? アフガニスタンは全くの無駄だ。帰国すべき時期だ!”と2012年に彼はツイッターで書いていた。 |
Hillはこうも書いている。
アメリカ合州国は、現在アフガニスタンに約8,400人の兵士を派兵している。この部隊は、対タリバン戦闘での、アフガニスタン軍を訓練、助言、支援と、アルカイダや「イスラム国」やイラクやシリアの(ISIS)のような集団に対する対テロ任務を行うという二重の任務を行っている。 |
そして実際、それこそまさに、ジョージ・ブッシュ、バラク・オバマから、そして今やトランプという代々の大統領に至るまでの政策立案者や政治家や軍幹部が、15年以上も前に、アフガニスタン紛争について言ってきたことだ。
トランプ大統領は、目標は、もはや特定な時間枠内での撤退ではなく、現地の諸条件によって決定されると主張するはずだ。
“我々の新戦略の主柱は、時間を基準としたやり方から、諸条件を基にするものに移行することだ。軍事的選択肢を開始したり、終了したりする日時を事前に発表するのは、アメリカ合州国にとって、実に逆効果だと私は再三言って来た。” |
アメリカ自身に“習う形で”各国の“国造り”をしているわけではない、というアメリカの主張にもかかわらず、この“諸条件”は、アメリカが支援するカーブル傀儡政権が“自らの将来に責任を持つ”よう要求しているのは明らかだ。この諸条件は、文字通りに受け取ったとしても矛盾しており、トランプ大統領の前任者、オバマ大統領が約束し、破ったものの繰り返しだ。
パキスタンとの更なる戦争をもてあそぶ
トランプ大統領も、彼の前のブッシュやオバマ大統領同様、アフガニスタンにおけるアメリカの軍事的存在をパキスタンが傷つけていると非難して、隣国パキスタンを威嚇している。トランプ大統領は、結局こう警告している。
“我々はパキスタンにもう何十億ドルも支払ってきたのに、我々が戦っているテロリストを匿っている。しかし、これも変わらざるをえず、すぐに変わるだろう”とトランプは明言した。 “パキスタンは、文明や秩序や平和への献身を実証すべき時だ。” |
現実には、アメリカは、決してテロと戦うために、アフガニスタンを侵略したり、今も居座り続けたりしているわけではない。アメリカが戦っていることになっている組織は、アフガニスタンが資金提供したり、命令したりしているわけではなく、連中はサウジアラビアやカタールを含む、アメリカ合州国の最も親密で古くからの中東同盟国に資金提供され、命令されているのだ。
そうではなく、アメリカは大英帝国が何回も侵略し、占領したのと同じ理由で、中央アジアと南アジアを巡る覇権拡張を目指して、アフガニスタンを占領しているのだ。
アフガニスタンは好都合なことに、イラン、パキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンや中国とさえ国境を接している。恒久的なアメリカ軍アフガニスタン駐留と、カーブル政権支配は、アメリカにとって、軍事作戦を含む、あらゆる方向の直接、間接の地政学的影響力の跳躍台になるのだ。この戦略的な足掛かりを、こうしたやり方で利用することは、ずっと昔に始まっていたことは、証拠が示している。
アメリカは、両国に対し、ずっと前から立案された計画で、何十年間もイランとパキスタンに圧力を加えようとして来た。
パキスタンに関しては、2001年のアフガニスタン侵略までは、イスラマバードを脅すという点で、アメリカにはほとんど選択肢が無かった。今やアメリカ軍はパキスタン国境にいて、特殊作戦や無人機が始終パキスタン国境内で任務を遂行している状態で、イスラマバードを脅し、影響力を与えるワシントンの能力は劇的に増大した。
どのような理由であれ、万一トランプ大統領が、パキスタンに対する直接軍事行動を発表するようなことになれば、アメリカは既に好都合にも、そこから攻撃をしかける複数の軍事基地を国境に有しており - 基地インフラは16年の間に進化し、無視できない。万一、アメリカが現在パキスタン国内で支援している分離独立運動への秘密の支援を拡大すると決定した場合、アフガニスタンから、それを好都合に行うことが可能だ。
標的は中国
一見明白には見えないかも知れないが、アフガニスタンからパキスタンに影響を及ぼすというワシントンの能力は、中国とその地域的権益にとっても直接の脅威となっている。
中国の新たな一帯一路構想は、隣国パキスタンての港湾、鉄道や道路、パイプライン、発電、その他の包括的インフラを含んでいる。
パキスタン、西バロチスタン州のグアダル港は、地域を丸ごと切り取り、パキスタンの支配から 独立した国家を樹立するという、アメリカが支援するテロリストや反政府集団による取り組みのど真ん中に位置している。
政治的にも、戦闘の上でも、バロチスタンにおける運動、独立運動、政治的組織化、抗議行動や反政府マスコミは、それを助成する全米民主主義基金プログラムを含め、莫大なアメリカの支援を享受している。
アメリカ政策論文の中で、政策立案者たちは、戦略的に、この動きがいかに、パキスタンと中国両国の勃興を損なうことになるかということに気付いて、バロチスタンにおける反イスラマバード武装レジスタンスをあけすけに組織し、しかける共謀をしている。
“パキスタン: バルチ民族主義の復活” (PDF)と題するカーネギー国際平和基金が2012年に発表された論文は、はっきりこう述べている(強調は追加)。
もしバロチスタンが独立するようなことになった場合、パキスタンは、バングラデシュ分離以来34年後の、新たな分割に耐えることが出来るのだろうか、そして地域の安定性に対する影響は一体どうなのだろう? パキスタンは天然資源の大半を失うこととなり、エネルギー供給でより中東に依存することとなろう。バロチスタンの資源は、現在十分活用されておらず、非バルチ諸州、特にパンジャブの利益にしかなっていないとは言え、これらの資源が独立したバロチスタンの発展に貢献するのは確実だ。 バロチスタンの独立は、グアダル港や他の関連プロジェクトに対するイスラマバードの希望も挫くことになろう。パキスタンが、世界に対し、より魅力的になる可能性は失われてしまうだろう。 |
グアダル港については、パキスタンの損失となるのみならず、中国の損失にもなり、ユーラシアを巡る地域での卓越を再度回復しようというアメリカの取り組みを強化する。
ところが、アフガニスタンからアメリカ軍が撤退するようなことになれば、こうした計画は、完全に挫折しないにせよ、ひどく損なわれてしまう。かくして、またアフガニスタンでの果てしない戦争から撤退を約束したもう一人のアメリカ大統領が、予想通り撤回し - アルカイダや、いわゆる“「イスラム国」”(ISIS)と、その大本 - サウジアラビア、カタールあるいはワシントンそのもので戦うのではなしに - トランプ大統領は、アフガニスタンで連中と戦うため、アメリカ人に更に血と資産を費やすよう提案したのだ。
トランプ大統領は“国造り”を約束してはいないが、アメリカ自身の姿に作り上げられたカーブル政権の存在と、隣国イランや、パキスタンのバロチスタン地域の政治的安定性を損なうための取り組みの継続を含め、そして究極的に、中国の地域的影響力の増大に対し、アメリカ権益を守ることが、アメリカが撤退する為に合致すべき諸条件であることは明白だ。
トランプ大統領と彼の支持者たちは、自分たちが、地球の裏側地域での影響力と支配を争うゲームをアメリカ特権集団がしている地政学的チェス盤の横に立っていることに気づくこととなる。そのゲームでは、彼らは参加者ではなく、観客に過ぎない。
「Hill」は、トランプ大統領のこういう言葉も引用している。
“私の元々の直感は撤退で、これまでは、私は直感に従うのが好きだったが、大統領執務室で大統領の机を前に座ると、判断は全く違ったものになるという話を私はずっと聞かされてきた。” |
確かに、大統領執務室で大統領の机を前に座ると、大統領は、自分が有権者の代弁者ではなく、選挙で選ばれてはいない大企業-ウオール街金融権益の代弁者であることを認識するのだ。ウオール街は、何兆ドルも費やされるそのような活動の後援者なのだから、世界覇権を樹立し、拡大するための長年にわたる取り組みである戦争からの撤退という判断を、ウオール街がすることはあり得ない。
有権者は自分が持っている本当に重要な唯一の“票”は、毎月の給料をもらった後、財布を開け、自分たちの地域社会を強化する地方企業、それとも、自分たちの国、資源、運命を乗っ取った何十億ドルもの巨大多国籍企業、どちらに支払うかを決める時だということを認識すべきなのだ。
Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/08/26/trump-afghanistan-first/
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