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8月15日、3人の米高官が明らかにしたところによると、トランプ政権では、バノン首席戦略官兼大統領上級顧問(左)とマクマスター安全保障担当大統領補佐官(右)の主導権争いが互いに相手を憎悪する段階にまで激化し、政策運営に支障をきたしているという。ワシントンで4月撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)
米政権、大統領側近バノン氏と安保担当補佐官の対立激化
http://diamond.jp/articles/-/139079
2017.8.17
[ワシントン/ニューヨーク 15日 ロイター] - トランプ米政権では、スティーブン・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問とハーバート・マクマスター安全保障担当大統領補佐官の主導権争いが互いに相手を憎悪する段階にまで激化し、政策運営に支障をきたしている──。3人の高官がこうした内幕を明かした。
両者の「暗闘」の展開次第では今後、ホワイトハウスでまた衝撃の人事があるかもしれない。
共和党穏健派議員からバノン氏を解任するよう求められたトランプ大統領は15日、はっきりとバノン氏を支持する姿勢を示さず、記者団に「バノン氏にこれから起きる事態を見守っていく」と語り、処遇に含みを残した。
この問題でトランプ氏がどう対応するかが、イラン核合意からアフガニスタンへの米軍配備、安全保障チームの人事に至るさまざまな問題の行方を左右する可能性がある。
政権内におけるバノン氏の立場は以前から危うくなっているが、トランプ氏は側近として起用し続けている。それはバノン氏が昨年の大統領選勝利の功労者であり、トランプ氏への忠誠心が最も高い支持者の多くがバノン氏の政治姿勢を是としているからでもある。
ホワイトハウスに近いある関係者はロイターに「トランプ氏はバノン氏を切ることに不安を感じ、恐れているのは間違いない」と語った。
その上でこの関係者は、バノン氏が政権中枢から無理やり追い出されればトランプ氏への痛烈な批判者に転じかねない点を指摘した上で、バノン氏を解任ではなく降格するという方法もあり得るとの見方を示した。
一方、マクマスター氏を支持する2人の高官は、バノン氏がかつて会長を務めた極右サイト「ブライトバート・ニュース」がマクマスター氏を攻撃する論陣を展開している問題で、マクマスター氏がバノン氏を非難していると説明した。
ブライトバートはここ数週間、マクマスター氏があまりイスラエルに肩入れしない点や、国家安全保障会議(NSC)のスタッフをオバマ前政権時代の人物で固めていることをやり玉に挙げ、マクマスター氏を解任するのが妥当だと主張している。
孤立主義者対現実派
2人の高官のうちの1人は、マクマスター氏のこの件に関する怒りはトランプ氏も承知していると述べたが、マクマスター氏がじかにトランプ氏に伝えたのか、盟友というべきジョン・ケリー大統領首席補佐官を介して知らせたのかは明らかにしなかった。
マクマスター氏は13日のテレビ番組で、バノン氏といっしょに仕事はできるかと聞かれても一切回答を拒否した。
また2週間前、政権立て直しのために首席補佐官に就任したばかりのケリー氏も、ブライトバートのマクマスター氏攻撃でホワイトハウスが混乱している様子に腹を立てている、と先の2人の高官は話した。
もっともバノン氏は今年、ホワイトハウスにおける別の権力闘争を潜り抜け、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問との緊張関係は和らいでいる。
バノン氏は、トランプ氏を支えるナショナリスト層の擁護者を自負しており、各種貿易協定の離脱や再交渉を唱えるなど、マクマスター氏よりも孤立主義者の色合いが強い。このため例えば2015年に西側諸国などがイランと結んだ核開発制限の取り決めについてバノン氏は破棄を主張し、マクマスター氏は維持すべきと訴えている。
マクマスター氏はより現実主義的なグループに属し、バノン氏は彼らに「グローバリスト」というレッテルを張ることを好む。さらに最近、マクマスター氏がNSCの陣容を見直し、バノン氏に近い4人のスタッフを辞めさせたことで、バノン氏の支持者の反感を買った。
保守系評論家マイク・セルノビッチ氏はバノン氏に好意的で、マクマスター氏批判派の1人。トランプ氏がバノン氏を解任すれば、最も大統領に忠実な人々の意に背くことになると警告する。
セルノビッチ氏はロイターに、トランプ氏好きの人たちが突然同氏と対決すると宣言することはないしても「一体トランプ氏を支持すべき要素は何なのか」と自問するようになる、と述べた。
(John Walcott、Jeff Mason記者)
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