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「史上最低」な米露関係、お互い「引けない」理由(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/kokusai20/msg/254.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 8 月 08 日 14:20:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「史上最低」な米露関係、お互い「引けない」理由
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10298
2017年8月8日 廣瀬陽子 (慶應義塾大学総合政策学部教授) WEDGE Infinity


 8月3日、ドナルド・トランプ米大統領は、ロシアとの関係が「史上最低」な危険な状態にまで悪化したとツイッターで述べた。その背景には、昨年の米大統領選への干渉疑惑(ロシアゲート)を受け、米国内で、トランプが「米国政治史上最大の魔女狩り」と称するロシアと関係を持った者たちへの追及がある。

 バラク・オバマ元大統領が、自身の任期末期にロシアゲート問題を批判して以降、トランプ政権においてロシアゲート問題はずっと最も深刻な爆弾の一つとしてトランプ一族及び側近を脅かしてきた。2月のマイケル・フリン大統領補佐官の辞任やジェフ・セッションズ司法長官、トランプの娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、トランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏、トランプの選挙対策本部長を一時務めていたポール・マナフォート氏などの不適切なロシアとの接触の追及、そして、5月17日には議会からの圧力を受けてロバート・モラー元連邦捜査局(FBI)長官が特別検察官に任命され、議会が成立させた対ロ制裁強化法にトランプが8月2日にやむなく署名したことなど、トランプ政権におけるロシアゲート問題は極めて深刻なファクターとなってきた。

■非公式会談で話された「養子縁組問題」が意味するもの

 その約1カ月前の7月7日、ドイツで行われたG20首脳会談の際に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、トランプ大統領による米露初会談が行われた。

 トランプは、当初、プーチンへの親近感を表明していたが、上述したように米国でロシアゲート問題が深刻化した結果、対露関係に慎重にならざるを得なくなり、首脳会談もなかなか実現しなかったという背景がある。

 米露首脳会談は30分の予定を大きく超過して2時間15分にも及んだ。冒頭、トランプが米国大統領選挙へのロシアの関与について厳しく問い質したが、プーチンは関与を否定し、トランプがその主張を一応受け入れたこととなっている。その他、シリアの停戦が決定され、サイバーセキュリティ問題での協力、ウクライナ問題、戦略的安定や武器規制問題、北朝鮮問題など多くの国際問題について議論がなされた。北朝鮮問題では進展がなかったものの、両首脳は会談の成果を高く評価し、米露関係の深化を謳い上げた。

 加えて、2時間以上にも及んだ首脳会談の後、G20の夕食会の際に、プーチンとトランプは、15分ほど非公式に話をしたという。その非公式会談については詳らかにされていないが、その内容を問われた際に、トランプが「ロシアの子供の養子縁組問題」について話したことを明かした。

 この問題は実は非常に重要な意味を持っている。かつて、ロシア人の子供と米国の家族との養子縁組はかなり行われていたが、いわゆる「マグニツキー法」(後述)に反発したロシアが、米国に養子に取られたロシア人の子供たちが虐待を受けているという言いがかりをつけて、米国人との養子縁組を禁止する法律を制定していたという経緯がある。つまり、「マグニツキー法」と養子縁組禁止法はセットで考えられるべきものであり、養子縁組の問題が話されたということは当然ながら、「マグニツキー法」の撤回という展開も双方の脳裏にあったであろうことは間違いないだろう。

 「マグニツキー法」とは、ロシア人弁護士だったセルゲイ・マグニツキー氏が顧問をしていた英国人投資家が、ロシア国営企業の大規模不正を暴露した際に、代理人として逮捕されたマグニツキー氏が投資家に不利な証言を迫られたもののそれを拒否した結果、一年以上拘留されながら暴力を受け続け、結局2009年に獄中死したことに端を発する。米国投資家らの運動により、「弁護士の死とロシアにおける人権侵害に関わった全ての者に制裁を科す」として2012年に成立したのが同法だ。

 人権侵害を行なった者への制裁の内容は、ビザ発給禁止や資産凍結などである。同法は、ロシアにとって極めて厄介である一方、自由や民主主義を標榜する米国にとっては、ロシア側に改善が見られない以上、その撤回は国家の威信をかけてできないのである。そして、依然としてロシアの人権問題が深刻である中、この問題が議論されたということは、同法の撤回が現段階でないとはいえ、議論が行われたということだけでも、トランプのプーチンへの歩み寄りの姿勢が強く感じられるのである。

■ロシアがトランプ一族に近づいた意図

 しかも、この問題は、米国のロシアゲート問題追及の中で、今最も重要なポイントとなっている大統領選期間中の昨年6月に、「民主党候補ヒラリー・クリントン氏に不利な情報の提供」をするというオファーに飛びついて、トランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏や娘婿のクシュナー氏らがロシア人弁護士と面会していた件とも大きく絡む。ジュニア氏やクシュナー氏は、面会の事実は認めながらも、選挙で有利になるような情報は一切得られなかったとしており、話の内容が米国人によるロシア人との養子縁組禁止措置やマグニツキー法の撤回問題であったことを明らかにした。

 実際、ロシア側が明らかに目的を持ってトランプ一族に近づいたということは、ロシア側の面談参加者の顔ぶれを見れば一目瞭然だ。ロシア側からは、ロシア人弁護士のナタリア・ベセルニツカヤ氏、ロシア系米国人のロビイスト、リナット・アフメトシン氏が出席していた。ベセルニツカヤ氏は、ロシア政府が米国民によるロシア人の養子縁組を禁止した対抗措置の撤回を目指す団体を設立するとともに、その根源となったマグニツキー法の撤廃も目指す活動を行なってきた弁護士であり、アフメトシン氏はベセルニツカヤ氏の団体の登録ロビイストだ。

 ロシア側が、選挙でトランプに有利になる情報をもたらしたのかどうかは不明だが、ロシアが大統領候補者にマグニツキー法の問題を切々と訴えたのは、ロシアがマグニツキー法を米露関係の大きなネックと考えている証拠であろうし、その問題の解決なくして、今後の米露関係の発展はないとするメッセージだったのかもしれない。だからこそ、プーチンは非公式会談でもトランプの耳にしっかりその問題を吹き込んだのだと考えられる。

■新たな制裁強化法、ロシアの対抗措置は限定的

 さて、話を、公式の米露首脳会談の方に戻そう。

 プーチンがロシアゲートへの関与を明確に否定し、トランプもそれを一応受け入れたということで、米露首脳会談の成果はロシアでは極めて好意的に受け止められた一方、米国ではトランプがプーチンにやり込められたとして厳しい反応が起きた。他方、ヨーロッパでは、トランプとプーチンが意気投合してしまうなど、米露首脳会談の展開では、米露によって新たな欧州の勢力地図が決められるような「第二のヤルタ会談」になることも危惧されたが、それは防がれ、安堵の空気が漂った。

 それでも、米露関係の実態は極めて厳しい状況にあり、上述の通り、米国でのロシアゲート問題の追及は強まるばかりである。とりわけ、トランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が選挙中のロシア側との接触を明らかにしたことで、トランプ一族への風当たりはさらに深まった。

 そのような折に、対ロ制裁強化法(同法には、対イラン・北朝鮮の内容も含まれている)が米国与野党の広い賛同のもと、可決され、トランプは署名を強いられた。署名を拒否することもできたが、そうなれば当然、ロシアとの特別な関係をさらに疑われ、政権維持が極めて難しい状況になることは自明であったため、署名をせざるを得ない状況に追い込まれた。だが、同法が「制裁の緩和や解除には議会の事前審査が必要」と定めていることについて、大統領権限の制限は憲法違反だとし、「深刻な欠点がある」と批判し、「自分が主導した方がロシアとより良い関係が築ける」と悔しさをにじませながらも、「国の結束のために署名する」と苦渋の決断をしたことを隠さなかった。

 そして、この米国の新たな対露制裁強化法により、米露関係のさらなる悪化が懸念されている。

 実際、ロシアは同法への対抗措置として、9月1日までにロシアにいる米国の外交スタッフを755人減らすよう求めた。ただし、まず削減されるのは、現地採用職員、つまりロシア人職員であると見られているが、755人という人数は、要員の約2/3に相当するため、駐露米国大使館のパフォーマンスが著しく低下するのは免れない。

 だが、ロシアはそれ以上の対抗措置は取っていない。その背景には二つの理由がありそうだ。第一に、トランプへの配慮である。基本的にトランプ本人が対露関係改善を目指し、プーチンにも理解を示そうとしている中で、トランプを米国内で追い詰めることは得策ではないと考えたということがある。第二に、ロシアの内政問題への悪影響に対する懸念である。ロシア経済は、ウクライナ危機による欧米からの対露経済制裁と石油価格の低迷により厳しい状況にある。報復措置は諸刃の剣であり、例えばウクライナ危機による経済制裁に対するロシアによる欧米諸国に対する報復措置は、ロシアの経済にも直接的な打撃となっていた。今、さらなる経済的な打撃が広がれば、来年3月のロシア大統領選挙にも悪影響を及ぼすことが想定されるため、対抗措置を控えたということも確実にありそうだ。

 これらのことから、現状では米露関係は劇的には悪化しているようには見えない。

■ポジティブな要素もないわけではないが……

 しかし、ロシア周辺で緊張が高まっていることにもまた注意を払うべきだろう。

 昨年7月に、NATOがロシアの脅威に対抗するために、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)及びポーランドというロシアに近接するNATO加盟国に4大隊4000人を配備することが決定されてから、また今年6月に旧ユーゴスラヴィアのモンテネグロがNATOに正式加盟してから、ロシアとNATOの緊張はますます厳しいものとなってきている。ロシアは、ポーランドとリトアニアに囲まれた飛び地のカリーニングラードの軍備を強化する一方、今年7月末には中露海軍がカリーニングラードを中心としたバルト海で軍事演習を行うなど、様々な手段でNATOへのけん制を強めている。その合同軍事演習には、中国から海軍最新鋭のミサイル駆逐艦「合肥」やフリゲート艦「運城」などの艦隊も参加し、かなり大規模に対潜水艦作戦や防空の訓練など行われた。

 一方、米国側もロシアの動きを黙って見ているわけではない。米国のマイク・ペンス副大統領は7月末から8月初旬にかけて、バルト三国のエストニア、ジョージア、モンテネグロを歴訪し、各地でロシアと対抗するそれら諸国を支援する米国の姿勢を強調したのである。

 ペンス氏は、エストニアへの訪問においては、リトアニア、ラトヴィアの首脳も交え、4カ国で首脳会談を行い、エストニアへのパトリオット・ミサイル配備の可能性について言及するなど、ロシアの脅威にさらされたバルト三国防衛への米国の強い意思を表明した。

 同氏は、ジョージアへの訪問では、ロシアの影響下にある同国のアブハジア、南オセチア問題でロシアを激しく非難するとともに、米国のジョージアの領土保全への支持と強い連帯を表明した。また、同氏は、ジョージアで8月30日から2週間行われたジョージア軍と米軍の合同軍事演習の視察も行った。同演習には、英国、ドイツ、トルコ、ウクライナ、スロベニア、アルメニア、ジョージアの部隊、合計2800人が参加した。

 また、NATOは2008年にジョージアのNATO加盟を推進していたが、同年8月のロシア・ジョージア戦争(グルジア紛争)により、その話は立ち消えとなっていた経緯があるが、改めてペンス氏は、米国はジョージアのNATO加盟申請を支持するとも述べた。その一方で、ペンス氏は翌日に予定されていたトランプによる対露制裁強化法の署名を前に、ロシアの態度変更が先決、としながらも「アメリカとロシア両国の関係が改善する可能性は依然としてある」とも語った。

 歴訪の締めとなるモンテネグロへの訪問では、ペンス氏は昨年10月にNATO加盟を阻止するためにロシアがモンテネグロでクーデターを試みた疑惑についてロシアを非難し、ロシアの反対をはねのけてNATOに正式加盟をしたモンテネグロへの支援をロシアに見せつける意図があると考えられる。

 このように、若干のポジティブな要素もある一方で、米露関係が極めて厳しい状況にあるのは間違いない。ロシアが制裁の報復措置を踏みとどまり、米国側も関係改善の可能性を否定していない一方、軍事的な緊張は明らかに高まっており、外交的にも双方の内政の問題も絡み合う中で「引けない」状況があり、融和の空気が醸成されることは極めて難しそうだ。8月は夏休みなどで外交の動きは少ないのが常だが、8月といえば、例年、ウクライナ東部の戦闘が悪化することも忘れられない。また、ロシアゲート問題で新たな展開がある可能性もある。そうなれば、米露関係はますます悪化する可能性も否めず、しばらくは厳しい緊張関係が続きそうである。

 

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コメント
 
1. 2017年8月08日 15:23:38 : P8Xsb092YE : SzZLWSlW5Bk[3]
ロシアゲート真理教

何話してても「韓国ガー」「在日ガー」と叫びだす連中との違いがわからん。


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