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「手詰まり」のアフガニスタン問題、トランプは関心なし 岡崎研究所(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/kokusai20/msg/107.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 7 月 19 日 10:40:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「手詰まり」のアフガニスタン問題、トランプは関心なし 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10107
2017年7月19日 岡崎研究所  WEDGE Infinity


 米国平和研究所のハドレーとユスフが、6月16日付けニューヨーク・タイムズ紙に、「アフガニスタンの和平のためにはパキスタンの戦略的関心を汲んだ上での同国との対話が欠かせない、という論説を寄稿しています。論説の要旨は次の通りです。

 トランプ政権のアフガニスタン政策のレビューは、如何なる戦略もタリバンとハッカニに対するパキスタンの支持を縮小することなくしては成功しないという真実と向き合う機会となる。

 パキスタンについて、援助に更なる条件を付ける、制裁を課す、あるいはテロ支援国家に指定することを主張する向きがあることは解るが、この種の「ムチ」はパキスタンの行動を変えることにはならない。変えさせるには、米国はパキスタンの戦略的懸念を理解せねばならない。

 パキスタンの軍の行動はインドとの敵対関係によって規定されている。パキスタンはアフガニスタンとインドによる挟み撃ちを常に怖れている。また、インドの支持に力を得てアフガニスタンが現在の国境の正統性を問題としパキスタン領に領有権を主張することを心配している。インドの対アフガニスタン援助の大宗は経済援助であるが、近年タリバンとの戦闘支援のため軍需品を含む安全保障援助を強化してきている。

 パキスタンにとってタリバンはインドの活動を抑止する存在であるが、パキスタンは、アフガニスタンの混乱の継続、タリバンの勝利を目標にしているわけではない。それはパキスタン国内のタリバンの強化を招くからである。パキスタンの望みは、過激分子が再び国を支配することを許さないようにしつつタリバンを政治体制の中に取り込むための和解のプロセスである。

 パキスタンの懸念を軽減する必要があるが、このためにはインドとパキスタンの関係改善が必要であり、米国はアフガニスタンを含む一連の問題についての対話を手助けすべきである。

 また、米国はアフガニスタンの政治解決に本気で取り組まねばならない。最近、ガニ大統領とシャリフ首相は4ヵ国の調整グループ(米国、アフガニスタン、パキスタン、中国)を再開することで合意した。米国はタリバンを和解のテーブルに着ける方途として、この努力を支持すべきである。タリバンによる暴力を抑え込まなければ、アフガニスタンの政府は交渉に対する国民の支持を取り付け得ない。従って、4ヶ国グループを通じて和解のプロセスに発言権を持つ見返りに、パキスタンはタリバンに対する資金と武器の提供を止め、交渉に反対するタリバンの分子を排除し、交渉に参加の用意がある者にはその自由を与えるための検証可能な措置を取らねばならない。この方向でパキスタンが動くよう、米国は中国と協力すべきである。この新たなより戦略的なアプローチは、米国と協力する上でパキスタンにとってのインセンティブとなろう。

出典:Stephen J. Hadley & Moeed Yusuf,‘For Peace in Afghanistan, Talk to Pakistan’(New York Times, June 16, 2017)
https://www.nytimes.com/2017/06/16/opinion/afghanistan-pakistan-taliban.html

 この論説の筆者のうち、ハドレーは米国平和研究所所長で元米国家安全保障担当大統領補佐官、また、ユセフは同研究所アジアプログラム副所長です。

 論説が書かれた背景は、2月9日、アフガニスタン派遣軍のニコルソン司令官が上院軍事委員会で証言し、現状は「手詰まり」であり、「手詰まり」を維持していくのですら「数千人」の兵員が不足しているとして、増派を求めたことにあります。状況は思わしくありません。アフガニスタンの3分の2は政府の支配下にありますが、10%はタリバンが支配、残りの地域は双方で抗争中だといいます。アフガニスタンが頑強な反乱勢力と機能不全の腐敗政治に喘いでいる基本的状況には変化がありません。アフガニスタン駐留米軍のニコルソン司令官は、タリバンがパキスタンに聖域を与えられている状況では成功は困難であるとして、米国は対パキスタン政策の「全体的レビュー」を必要としているとも述べています。

 トランプ大統領は、この問題に関心はないようです。選挙戦でもアフガニスタンに言及することは殆どありませんでした。ペンタゴンでは3,000ないし5,000の増派が検討されていると言いますが、トランプは増派の規模の判断をマティス国防長官に委ねたと報じられています(駐留兵力はNATO諸国を含め13,000、うち米軍は8,400)。

 敗北よりも「手詰まり」のほうがましです、米軍派遣の一義的目的はアフガニスタンが米国とその同盟国を攻撃するためのテロリストの聖域と化すことを阻止することですから、世界の98のテロ組織のうち20がこの地域に集中している状況で、「手詰まり」すら維持出来ないのであれば、これまでの努力が無駄になる、として増派を支持する意見もあります。しかし、増派の是非、および是非の判断を可能とする新たな戦略(16年に及ぶこの戦争をどうするのかというトランプ政権の戦略)についての議論は、議会を含め置き去りにされています。

 この論説は、対アフガニスタン戦略をめぐる議論に一石を投じる意図で書かれたものかと思われます。しかし、「新たなより戦略的なアプローチ」といってはいますが、論説に書かれていることに別段目新しいことはありません。問題の解決には政治的解決しかないこと、パキスタンの関心が自己の存立に係わる、優れて戦略的なものであることは、つとに認識されています。それでも、事態打開には至っていません。増派に決するなら、それをパキスタンの協力と和平プロセスにつなげる工夫が必要でしょう。最近、マクマスター補佐官がこれら3国を訪問したようですから、何か新しいことが出て来るかも知れません。

 

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