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習近平は今すぐ劉暁波氏を自由にすべきである
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2017-06-30 天木直人のブログ
末期肝臓がんと診断された劉暁波氏を釈放したまではよかったが、その治療で出国を認めるかどうかで、中国政府がかたくなになっている。
この対応を誤ると、習近平の中国は手厳しい国際批判を受けるだろう。
本人や妻がそう希望し、海外での治療が少しでも延命に望みがあるなら、習近平は直ちに出国を認めるべきだ。
そうしない習近平は大きな過ちを犯すことになる。
私がそう思ったのは、きの6月29日の毎日新聞「木語」で、坂東賢治専門編集委員がこう書いていた事を読んだからだ。
中国を代表する文豪の魯迅について、毛沢東はかつて次のように評価したという。
「牢につながれても書き続けるか、道理をわきまえて声を立てないかだろう」と。
これを聞いた当時の知識人は、声を立てれば投獄するという毛沢東の冷徹さに冷や汗を流したという。
魯迅の一筋縄でいかない反骨心を、毛沢東は見抜いていたのだ。
そして坂東氏は、毛沢東のいう、「牢につながれても書き続ける」姿勢を貫いた者こそ、89年に留学先の米国から帰国して天安門での学生運動に参加した劉暁波氏だという。
その劉暁波氏は、2010年のノーベル平和賞授賞式の「私に敵はいない」と題するスピーチの中で、次のように語ったという。
「私は未来の自由な中国の誕生を楽観的に期待している。なぜなら自由を求める人間の欲求はどんな力でも止めることができないからだ」と。
この劉暁波氏を見て、私は南アのマンデラを思い出した。
投獄につながれたマンデラを獄死させるわけにはいかない。
なぜならマンデラが投獄のまま死ねば、その時こそ黒人の暴動は頂点に達するからだ。
さりとてマンデラを釈放させるわけにはいかない。釈放したとたん黒人の暴動が頂点に達するからだ。
このジレンマは、国際圧力に屈した南アの白人政権がマンデラを釈放し、そのマンデラが暴動を抑えて選挙で大統領になった事で平和裏に解決した。
いままさに、劉暁波氏は中国のマンデラだ。
中国で病死させるわけにはいかない。
習近平は毛沢東を師と仰いでいるらしい。
しかし、いまこそ習近平は、毛沢東を超えなければいけない。
劉暁波氏を自由にするのだ。
その事によって起きる政治的リスクを受け止めるだけの寛容さを示すのだ。
寛容さが必要なのは、劉暁波氏の出国だけではない。
香港や台湾で見せる一つの中国への性急なこだわりだ。
南シナ海における軍事覇権の強化だ。
このままいけば習近平は世界の平和に背く国になる。
それは中国だけではないが、いまこそ習近平の中国こそ、世界の指導国を目指すのなら、憲法9条の精神が必要なのだ。
その事を、習近平の中国に諭す事が出来る国は、世界広しといえども憲法9条を持つ日本しかない。
ところが、その日本の首相は、みずから憲法9条を手放して、中国と敵対しようとしている。
これ以上ない間違いである。
残念でならない(了)
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