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責任転嫁: アメリカは、一体どのようにして、イランに、9/11の責任を負わせたのか
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/911-394f.html
2017年6月 4日 マスコミに載らない海外記事
Eric ZUESSE
2017年5月29日
イランは、アメリカでの9/11攻撃に責任がある国だというのが、アメリカ政府公式説明だ。2016年3月9日、アメリカの民事裁判所が、イランは、9/11攻撃犠牲者の一部に、105億ドルの罰金を支払わなければならないと評決し、オバマ政権は何もいわず、アメリカ・マスコミは、ほぼ完全に判決を無視した。しかし、この評決は、これまでのところ、事件から16年後、9/11攻撃の国家支援に関するアメリカ裁判所唯一の公式評決だ。だから、2016年3月9日のこれは、アメリカ政府が、イランが9/11攻撃を引き起こしたと非難し、結果的に(イスラエルが長年主張しているように)‘第一番のテロ国家’にできる判例を産み出した大ニュースだ。しかし、これは当時ほとんど報道されなかった。
この評決の判例は極めて重要だが、大半の‘報道’機関は、この重要判例を全く報じなかった。イランが、2001年9月11日にアメリカを実際に‘侵略した’と主張するアメリカ政府最初の正式結論なのだ。ところが、まだアメリカ政府が、国民に、アメリカ軍によるイラン侵略を支持させようとしていないので、イランが、9/11にアメリカを侵略したとは今も誰も言っていない。それでも、この判例は、イランを憎悪するアメリカ‘同盟諸国’であるイスラエル、および/あるいは、サウジアラビアどちらにも、イランを侵略させるようにできなかった場合、そうした準備のきっかけになりうる。
5月20日、トランプ大統領は、歴史破りの3500億ドルにものぼるアメリカ製兵器のサウジアラビア向け輸出を発表し、イラン侵略の可能性に向け、大きな一歩踏み出し、“この防衛機器とサービスの契約は、イランの脅威に対する、サウジアラビアと湾岸地域の長期的安全保障を支援する”とホワイト・ハウスは述べた。象徴的な意味は、サウジアラビアはアメリカの同盟国で、イランはアメリカの敵ということだ。アメリカ大統領が出演する気になった場合の舞台は整ったのだ。
2017年2月5日、トランプ大統領は、スーパー・ボウルのテレビ・インタビューで、イランに関する、彼の政策はどのようなものかと質問され、彼はこう答えた(ビデオはここ、書き起こしはここ): “彼らはわが国のことを完全に軽視している。彼等は一番のテロ国家だ”。(2016年の、アメリカ大統領選挙戦中、彼が語っていたのはこれだけだった。“ワールド・トレード・センター攻撃でのサウジアラビア人とサウジアラビアの役割だ。これは極めて深刻だ。一体誰が友人で、おそらく誰が敵なのかを知るのは良いことだ”。ところが、アメリカ大統領の座につくや、彼の最大で最初のアメリカ雇用実績が、史上最高の3500億ドルものアメリカ製兵器のサウド王家への販売で、大統領としてのトランプは、サウド王家は、もはやテロ支援者ではなく‘同盟者’としてしか触れない。)
9/11におけるイランの実際の役割に関して知られている全ての情報は、民事裁判訴訟の裁判官の2011年12月22日“事実認定と法的結論”に含まれており、それは裁判官が、もっぱらアメリカ人犠牲者を代理して訴えている法律事務所がまとめた調査を元に述べたものだ。基本的に、彼らの主張の要点は、9/11ハイジャッカーの何人かが、9/11以前にイランを旅行していたことだ。この“事実認定と法的結論”中には、イランが 9/11攻撃計画に参加したことを証明する証拠の主張はなく、イラン人の誰もハイジャッカーの誰にも金を支払っていない。ところが、メスバヒという名の一人の反政府イラン人が、イランから購入された可能性があるフライト・シミュレーターについて言及し、“シミュレーターは、おそらく、9/11ハイジャッカー・パイロットを訓練するのに使われたと思う”と言ったとされている。それが全てだ。こうしたことに対し、裁判官はイラン政府に105億ドルの罰金を科し、告訴した犠牲者たちに、彼らが使える何らかの方法で金を得るように言ったのだ(イランが評決を嘲笑し、否定したので、全く可能性はないかも知れないが、‘イランが9/11を引き起こした’という判例は確定した)。
すると、イランと9/11攻撃の現実は一体どうなのだろう? 民事訴訟の原告でさえ、9/11以前の時期については、なんら実質的なものを主張していなかったが、9/11以後の時期については、どうだろう?
2013年5月23日、FBI捜査官ダニエル・A・メホチコが、Army School of Advanced Military Studiesの“AOASF [この学校の]プログラムで最高の小研究論文を書いた”ことで表彰されたが、この104ページの研究は“9/11後のイランの大バーゲン: イランとアメリカ合州国間の戦略的和解の失われた好機”という題だった。その“要約”と“結論”にはこうある。
9/11の出来事は、アメリカ合州国とイラン間における戦略的和解の未曾有の好機をもたらした。9/11後、イランは攻撃を非難し、アフガニスタンで、アメリカ合州国に協力したのみならず、いかなる前提条件も無しで、食い違いの包括的解決交渉まで申し出た。
イラン国民の主体性に対する1953年クーデターの大きな影響を認知しそこない、続いて、シャーを支援するという政治決定は、アメリカ合州国が、イランの屈辱の主原因だという考え方を強化するだけだった。… アメリカ国家安全保障会議NSCの政策形成過程を牛耳るブッシュ・ネオコンは、アルカイダやタリバンやサダム・フセインを見るのと同じレンズを通して、イランを見ていた。アメリカ人の注意持続時間は短い。政権は、1979年の文脈で、イランに対応し、大半のイラン人が、いまだに、アメリカを、1953年の出来事を通して見ていることを考えた人々はわずかだった。イランにとって、政権転覆は、まずい政策なのだった。政権が、アフガニスタンとイラクでは実にうまく行ったと考えた軍事力を使う外交政策手法は、イランには当てはまらない。ブッシュ政権が後に気づくように、中東という複雑なものに、一つだけの政策を適用することはできないのだ。ブッシュ・ドクトリンは、まさにそれをした。
ジョージ・W・ブッシュの政策を継続するトランプ。
メホチコは、52ページでこう書いている。
9/11に対するイランの反応は、多くの専門家を驚かせた。テヘランでのロウソクを灯す自発的な集い、アメリカ人死者を悼み、テヘランとイスファハンの知事は、ニューヨーク市民にお悔やみの言葉を贈り、イラン人は、サッカー試合前に黙祷した。イラン政府は、テロ攻撃を非難する強い声明を発表し、ハタミ大統領は“犠牲者に対する深い遺憾と共感”の意を公に表明した。11月の国連総会訪問時、ハタミ大統領は、犠牲者のために祈り、ロウソクを灯すため、グラウンド・ゼロ訪問許可まで依頼した。88
55ページ:
2002年1月、東京でのアフガニスタン復興支援に関する国際会議で、イランはアフガニスタン新政権支援に、5億4000万ドルを約束したが、比較すると、アメリカ合州国の約束は2億9000万ドルだった。東京滞在中、イラン代表は、アフガニスタン担当のドビンズ特使のもとにやってきて、アフガニスタンでの協力を継続するのみならず、他の問題でも、適任のアメリカ人幹部と検討したいという希望を表明した。同じ会議で、ポール・オニール財務長官も、同様なメッセージをイラン政府から受け取った。ドビンズもオニールも、イランの申し出を、ライスとパウエルに報告したが、イランには何の回答もなかった。後に、2002年3月、ジュネーブでの会談中、イラン代表団は、再度ドビンズと会見し、アメリカが率いる取り組みの下で、20,000人のアフガニスタン軍兵士を受け入れ、訓練する軍事援助を申し出た。ドビンズは、この申し出を政権に伝えたが、パウエルは、この件をライスに任せ、ライスは、この件をラムズフェルドに任せた。数日後、この件が話し合いの議題になった、国家安全保障会議の会合で、ドビンズがイランの申し出を伝えたが、ラムズフェルドはその件を無視し、誰にも興味が無いように見えた。
59ページ:
2001年10月、国務省政策企画本部の中東専門家フリント・レベレットが、シリア、リビア、イランや他の厄介な国々からの支援の申し出に対処する戦略を策定する責任者だった。レベレットがパウエルに出した提案は、基本的にギヴアンドテイクの対応だ。もしこれらの国々が、テロ集団を追放し、大量破壊兵器を入手する取り組みを辞めるのに同意すれば、アメリカ合州国は引き換えに、関係を正常化するのだ。12月、この政策提案が国家安全保障会議の会合(国家安全保障問題大統領補佐官スティーブン・ハドリーが議長をつとめた)で議論の対象になった際、ハドリーも、副大統領事務所とアメリカ国防長官府の代表も、この考えをはねつけた。
更にメホチコはこう述べている。“ペンタゴンは、既にテヘランでの政権転覆のための選択肢を検討していた”。更に: “イスラエルとパキスタンも、イランとアメリカ合州国間の協力の強化を警戒した”。
65ページで、メホチコは2002年1月29日のブッシュ大統領一般教書演説を引用している。
我々の二つ目の狙いは、テロを支援し、アメリカや我々の友好国や同盟諸国を、大量破壊兵器で脅かす政権を阻止することだ。これら政権の一部は、9月11日以来、かなりなりを潜めているが、我々は連中の本性を知っている。北朝鮮は、国民を飢えさせながら、ミサイルや大量破壊兵器を装備している政権だ。イランは、これらの兵器を積極的に得ようとしており、テロを輸出し、選挙で選ばれたわけではない少数の連中が、イラン国民の自由への希望を抑えつけている。イラクは、アメリカに対する敵意をひけらかし、テロを支援し続けている。イラク政権は、炭疽菌や神経ガスや核兵器の開発を、十年以上画策している…このような国々や、連中と同盟するテロリスト連中は、世界平和に対する脅威のための戦いを準備している悪の枢軸だ。
明らかに、アメリカは征服に心血を注いでいる。最初に、アフガニスタンが侵略された。次にイラク。次にリビア。次にシリア - これらの国々全てが破壊され(根本的に変えられた - アフガニスタンで、アメリカは、1979年の昔に始めていた)。たぶん、次はイランだ。このような政府を人々が信じる理由は一体何だろう?
メホチコのレポートは、イスラム世界が、サウジアラビア率いるスンナ派と、イラン率いるシーア派とに別れており、全てのシーア派を絶滅するというサウド王家の願望は少なくとも、1744年のムハンマド・イブン=サウードと、ムハンマド・イブン=アブドゥルワッハーブとの間の盟約、サウジアラビアを作り上げた憎悪の盟約にまでさかのぼる事実を無視している。メホチコのレポートは、アメリカとサウド王家間の極めて重要な同盟を無視している。アメリカ支配層が憎悪しているロシアを征服するため、サウジアラビア支配層が憎悪しているイランを征服するため、アメリカが、サウド王家と共に、1979年にアルカイダを創設した事実をメホチコは無視している。しかし、大半のアメリカ人幹部や軍と諜報職員や学者が、イランや、イランに対して友好的な国々に関して書いているものと比較して、メホチコの論文は非常に正直なので、ここに引用した。
アメリカ政府は、サウド王家指導部、つまりサウジアラビアの全てを所有する王家が、アルカイダと 9/11攻撃の最大の資金提供者であったのみならず、それ以降も、アルカイダだけでなく、アルカイダ指導部を受け入れ、従う多くの他の聖戦戦士集団に対する世界最大の資金提供者であり続けている膨大な動かぬ証拠を持っており、隠蔽している。
もしトランプが誠実なら、彼は、アメリカ外交政策が基づいている欺瞞を公式に暴露し、イランと、スンナ派と同盟しているイスラエルと、スンナ派が支配している国々を除く全世界に対する、サウジが率いる原理主義スンナ派戦争から、イランと、その同盟諸国を、アメリカが守るべきことを証明する歴史記録を暴露するはずなのだ。そうなれば、ロシアと中国とインドも、アメリカ同盟国となり、地球丸ごと絶滅させる核世界大戦、第三次世界大戦の可能性は、即座に消滅しよう。そうでなければ、第三次世界大戦の準備に費やされるはずの何百兆ドルが、建設的支出に使われることになる。しかし、何かが、アメリカ大統領がそのようなことをするのを妨げている。イラン、ロシアと中国を征服するためのアメリカの長年の戦争は、何があろうとも継続すべきもののようだ。9/11攻撃は、それをフル回転にさせた。
最初に、アメリカは、9/11で、アフガニスタンを懲らしめた。次にアメリカは、9/11でイラクを懲らしめた。更にアメリカ裁判所が、どういうわけか、イランは9/11で有罪の国だと言った。そして、アメリカ大統領が、イランは‘一番のテロ国家’だと言ったのだ。
舞台は整った。だが幕間の後、残りの芝居は一体どういうものなのだろう? 今後起きることの脚本は書き終えられているのだろうか? 9/11に始まった芝居が、どう終わるのか知っている人はいるのだろうか?
これまでの証拠から出る結論は、ジョージ・W・ブッシュ政権の内部犯行協力を得て、サウド王家が、9/11を実行し、その後、それに無関係だった国、イラクが侵略され破壊され、もう一つのそれに無関係の国、イランが最近、それを引き起こしたかどで罰金を科されたということだ。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/05/29/shifting-blame-how-us-made-iran-responsible-for-9-11.html
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