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米国主導時代の終焉を見せつけた「G7サミットの形骸化」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/206545
2017年6月2日 日本経済一歩先の真相 日刊ゲンダイ
イタリア・タオルミナで開催されたG7サミット(C)AP
起源は、いわゆるブレトン・ウッズ体制の礎となった1934年の金本位制の停止にすべきか。あるいは45年の戦後史のスタートか。いずれにしても、70〜80年続いた米国主導の時代は終わったのだ。
先日のイタリア・タオルミナのG7サミットは、その現実をまざまざと見せつけた。戦後の世界秩序を構築してきた米国が自国第一の一国主義になってしまった状況で、他の主要国は何をすればいいのか。その戸惑いしか感じられなかった。
首脳宣言には「保護主義と闘う」との文言をどうにか盛り込んだが、基本は「互恵貿易」ということであり、トランプ政権の方針は変わらない。TPPから離脱するなど多国間交渉には懐疑的で、あくまで2国間交渉を重視。日本にもさらなる農産物市場の開放を求めている。
NATO首脳会議でもトランプ大統領は加盟国に「応分な負担」を強く迫った。「NATOは時代遅れ」発言こそ封印したものの、各国が防衛費を増額し、「米国頼み」から抜け出せという姿勢は崩していない。
これらの方針を突き詰めていくと、いずれ各国はバラバラになる。主要国の首脳が一堂に会する必要性さえ失われる。G7といっても、もはや足並みをそろえて新しい時代のエネルギーを生み出すこともできない。参加各国の国民の感情を揺さぶることもなく、誰もがG7に期待を抱くことはなくなっているのだ。
G7が形骸化する中、求心力を強めているのが中国の「一帯一路」だ。西アジア、中東、ロシア、東欧を取り込んでいく巨大な経済圏構想は、これまでに例のない壮大なシナリオである。米国主導の国際秩序は幕引きへと向かう一方で、バラバラとなった各国のパワーが一帯一路にシフトし、新たな経済を動かすエンジンとなっていく。そんな時代が間もなく訪れることになりそうだ。浜矩子さんが言うように、まさしく「世界経済の大激転」だ。
■アジア重視を目指せ
トランプ大統領の誕生が時計の針を進めた可能性はあるが、米国の時代は遅かれ早かれ終焉の時を迎える宿命にある。それでも安倍政権は米国依存の姿勢を改めようとしない。終わりゆく体制にしがみつくしか道は残されていないのか。
安倍政権はもっとアジアの近隣諸国との対話を重んじた方がいい。欧州にも分断と自国主義の大波は押し寄せているが、ドイツのメルケル首相は近隣諸国との連携を模索している。安倍首相もメルケル首相を見習って、アジアの諸国と手を携え、北朝鮮の脅威を抑える方向性を打ち出したらどうか。
トランプ政権がどこまで本気かは分からないが、北の脅威は朝鮮半島の近海に航空母艦3隻を集結させれば解決する問題ではない。世界に吹き荒れる一国主義の台頭の先にあるのは、壮絶な覇権争いかも知れない。大きな歴史の変わり目に、この国が模索すべきは「アメリカとともに具体的な行動」より、「東アジア版サミット」である。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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