http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/463.html
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次の記事へのコメントとして書き始めたが、やや長くなったので、独立した別の記事にすることにした。
☆http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/460.html
フランス大統領選の本当の勝者〈AERA〉
事態は刻々と変化しており、「隙間時間」を利用してウオッチしている私としては、思い立った「ついでのとき」にチラチラと書き綴るしかない。面倒だが、これもボランティア。
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上記の記事(「フランス大統領選の本当の勝者〈AERA〉」) に対する私の見解。
⇒ まったく中身がない記事だ。参照元の主張も同じ。
情報収集力がないのか、のんびり屋なのか、今現在の状況に追いついていない。
マクロンを「既成政党の枠外にいる新参者」と見るのは全くの誤り。
今起きているのは、金融資本に支配された欧州と、ピープル(生活者大衆) の対立。
金融資本と金融支配勢力は、通貨ユーロの維持に必死になっており、そのために加盟各国に緊縮財政を強制している。ところがこの緊縮財政が、グローバル化の中で、ますます国民の多数を困窮化させている。(人々は少数の「勝ち組」と多数の「負け組」へと分断され、格差が拡大し、これが「ピープルの不満」を醸成している。)
ポピュリズムとしては、極右政党「国民戦線」に代表される極右のポピュリズムがこれまで優勢であった。
ところが、今回の選挙では、「差別」を拒否し「平和と共生」を目指す「左翼のポピュリズム」が出現した。メランション派の「不服従のフランス」がそれである。「アンスミーズ」(不服従派)は、「金融資本」と「エリート」と「勝ち組」に支配される政治と国家社会の仕組みに「抵抗」している。この抵抗する姿勢が「不服従」なのである。
マクロンは「中身空っぽな人形」だ。金融資本に求められる役割を演じているにすぎない。
マクロン派の運動に「新規性」はない。マクロンの背後にいるのは、旧来の社会党右派(社会主義とは無縁の資本主義擁護の新自由主義派) と、旧来の共和党(旧ドゴール派=保守派)左派 (「弱者」にも配慮すべきだと考える保守派) だ。 既成政党の分派どうしが合体したものだ。(社会党はほぼ解党状態で、共和党も瓦解を開始している。)
なお、有権者を見ても、本来のマクロン支持層(ルペン阻止のために票を「仕方なく」入れた層ではなく、政策的にマクロン賛同派) は、「高齢な富裕層」だ。(「若年者」や「低所得の庶民」ではない。)
この勢力は、現在のグローバル化の中で、フランスが国際的な資本主義競争に勝ち抜くには、フランス人を互いに競争させてフランスを「弱肉強食社会」にする必要がある、と考えている。
実際にフランスがドイツのような「勝ち組」になれるか否かは不明だが、欧州の金融支配勢力もまた、フランスの「社会福祉政策」を空洞化させ、労働組合を弱体化させ、フランスを「弱肉強食社会」にする必要がある、と考えている。
マクロンには、そのための政策を打つことが期待されている。(御本人は「空っぽの人形」だが、マクロンを押し立てた勢力がそうさせる。) そうして、さらなる労働法改悪が推進される。(強力な産別組合を解体して、日本のような「社畜御用組合」化が推進される。組合がなければ、なおよい。) 老齢年金その他の社会福祉政策の水準切り下げが図られる。
今回の選挙でのマクロン当選は、(金融資本に支配された) メディアが全勢力をかけて、「ルペンを通さないためにマクロンに入れろ!」という大キャンペーンを張り続けたからだ。
これほど悪質なメディア支配はないだろうと思わせるほどのものだった。立候補者の一人で欧州離脱派のアスリノー(旧ドゴール派=保守派、元官僚、初立候補) は、この状況を「まるで北朝鮮だ」と語っている。
ルペンは、欧州の金融支配勢力によって「脅しの道具」として利用された。欧州支配勢力から見れば、国民の不満を押し潰して、ユーロ体制を維持するには、ルペンは全く「都合のよい人物」だった。「ルペンあってのマクロン」だった。(「ルペン家の看板」が、他の欧州懐疑派を不利にした。)
仮にマクロンの言う通り(言わされている通り)、フランスがドイツのような「競争=格差社会」になれば、どうなるのか? (競争はそこで終わるのか?) 彼らの視野の向こうにあるのは、米国や日本だけでなく、それ以上に中国を始めとする新興の資本主義勢力だ。国境を越えた「資本主義競争」が続く限り、国内の競争も強まり、弱者が踏みつけにされる状態が続く。
それを理想と考える者や、「仕方がない」と諦める者だけが「マクロン人形」政治を肯定するだろう。
メランション派「不服従のフランス」は、フランス人どうしが競争し争い合う「弱肉強食」社会モデルを拒否している。メランション派が、極右政党「国民戦線」に流れる弱者をどけだけ吸収できるかが、欧州の「民主主義」(人権と自由と平等) の未来を決めるだろう。
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また、「移民、移民」と言うが、フランスは1970年代の石油危機以降、公式には移民の導入を停止している。その後に入ってくる移民は、単なる「交替要員」や、「家族の呼び寄せ」等の経路で入ってくる者、そして多産が教義でもあるムスリム系住民の人口増加率の高さによるものだ。
それよりも問題なのは、EUという枠組みのために、工場・職場が労働力の安価な東欧に移転することを阻めないばかりか、公共事業一つをとっても外国(EU加盟国)企業の参入(入札) を阻めないことだ。外国企業は東欧等の安価な(フランスの1/3〜1/10の水準) 労働力を「派遣労働者」として使用するから、高価な労働力を使うフランスの企業はコスト面で太刀打ちできず、落札すらできない。(賃金水準に多少制限をつけても焼け石に水だ。) 国内企業が倒産に瀕していても、公共事業の発注で救うことすらできない。
それがフランスの現実だ。
「国家主権」の回復を唱える主張のどこが間違っているのか? 「国家」が「国民」を保護してはいけないのか?
金融資本に支配されたフランスのマスコミは「国家主権の回復」を唱える勢力を「極右だ、ナチだ!」と叫んでいる。金融界の側に立つ世界のマスメディアがその主張を広げ、フランス語もろくに知らない日本のメディアや「学者気取りの曲学者」がそれに同調している。
もちろん、国民戦線の「古層と基層」は「極右」だ。消えるべきだと私も思う。しかしそれを生み出し再生させているのが「グローバル化と新自由主義」である限り、根絶やしは難しいだろう。
「共生」と「平和」のためのポピュリズム(ピープル主権派の前進) が望まれるが、メディアは次第にこの部分への攻撃を強めている。(大統領選挙第一回目の投票の直前に、メランション派を集中攻撃したのはその現れ。)
金融支配層にとって、マリーヌ・ルペンは「本当の敵」ではない。「本当の敵」は「ピープル主権派」だ。
「資本主義の未来」がそこにかかっているからだ。
「金融支配層 vs ピープル」が対立の「真の構図」。
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