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Column | 2017年 04月 4日 15:47 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
離脱後の英国二分する「不完全な羅針盤」
Peter Thal Larsen
[ロンドン 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - デービッド・グッドハート氏の著作「The Road to Somewhere」は注目すべき1冊である。同作のなかでグッドハート氏は、階級の概念を中心には回っていない英国社会について論じている。
欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の決定は、国際的なエリート層と急速な変化によって置き去りにされた人たちの分断を露呈したと同著は主張している。しかし、緊張は実際に存在するものの、そのような区別は政策を語るうえで不完全な羅針盤だと言えよう。
英国は29日、正式なEU離脱手続きを開始した。しかし離脱を決定した昨年の国民投票以前にも、社会科学者たちは左や右といった旧来の区別を超えた新しい政治的志向を提案していた。
その一方は、経済発展と社会的自由の強化という「2重のリベラリズム」を広く支持する高学歴の都市居住者。もう一方は、自由化の恩恵をあまり共有しておらず、その影響によって不安定な状況に置かれている人たちである。グッドハート氏は、この2つのグループを「Anywheres」と「Somewheres」と呼んでいる。英国の国民投票によって、後者による前者の拒絶が示された。
人口6500万人の国家を2つのグループに分けようとすることは全くの一般化につながる。英国民投票における投票パターンはそのような単純化とは一致しない。例えば、英国の政治エリートの権限を拒否するスコットランド国民党支持者の多くはEU残留を支持しているし、EUの規制を嫌う自由貿易の強い支持者たちの多くは、離脱運動に加わった。
グッドハート氏も、大半の人が自身の区分けにうまく当てはまらないと認めている。とはいえ、同氏は人々の見方を単純化したり誇張したりすることをあきらめてはいない。
「より良いグローバル化は可能であり、多くのSomewhere国家の協力に基づく世界秩序は、1つの超国家的なAnywhere大国によるものよりもはるかに好ましい」と同氏は指摘。だが、この場合のグローバルな政府を誰が支持しているかについては説明していない。
グッドハート氏は、Somewheresがあまりに長きにわたって無視されてきたと考えており、大半の英国人が地理的な流動性に欠け、多様性を受け入れず、彼らを代表して決断を下す政治的・官僚的階級よりも不平等の拡大に苦しんでいることを示す統計や世論調査を振りかざしている。これらの要因は、ブレグジット派にとって決定的問題の1つである反移民姿勢に表れた。
このような分析には重大な欠陥がある。
英国で最も外国人が少ない地域において、反移民感情が最も強くなることがよくある理由を説明していない。また、経済不安は、数世代前から英国で暮らす南アジア出身のマイノリティーと比較的新しい東欧出身者との文化的対立のせいだと混同している。しかしこうした議論において、感情が事実を支配している。
グッドハート氏は、遠い昔の英国を気難しく嘆いている。それは、自由貿易が製造業を空洞化し臨時雇いの雇用を生み出す以前に、減税とグローバルな資本主義が富の分配を二極化する以前に、ポーランドから配管工がやって来る以前に、そしてイスラム教徒の前に「過激派」と付く以前に存在した英国である。
英国の首都については次のように豪語している。「一部が主張するように、もしロンドンが国全体の未来だというなら、それはほとんどの人が望んでいない未来である」と。
リベラルな「プロスペクト」誌の元エディターであるグッドハート氏は、自身の恵まれた経歴と、最終的に都会的な仲間を拒絶するに至った思考過程について正直に記している。しかしながら、「白人の英国人」という種族に対する擁護が時に押しつけがましく感じられる。それはかつて、ロンドンのサロンにいながら労働者階級を称賛した社会主義者の知識人を思い起こさせる。
さらに言えば、Somewheresとしてグッドハート氏が一緒くたにするあらゆるグループが、一元化された目標を認識しているわけではない。イングランド北東部の元工場労働者と同南西部の農業従事者に、明らかに重なる利害はほとんどない。このような共通点の欠如は、格差を縮めるための政策を立案する難しさを浮き彫りにしている。
グッドハート氏は、英国市民のために公共部門の雇用確保、退学者の将来に道を開くために徒弟制度の復活、そして小政党や地域政党の声をより届けるため選挙制度の改革などを提唱している。だが、そのような政策課題を支持する確かな協力は存在しないと認めている。
同氏はまた、英国の高齢化する労働力を活性化する移民の役割や、ロンドンと南東部の活動が他の地域を支援する規模といった経済的考察については重視していない。
ブレグジットが決まってから9カ月が経過したが、英国の政治は抜本的な再編成をまだ経験していない。国民投票は、経済的・社会的リベラリズムに対する世界的な反動の始まりを示していたのだろう。あるいは、他の多くのことには賛同しないであろう有権者たちの緩い連帯をもたらしたのかもしれない。
「言うまでもなく、変化は絶え間なく、それは人間の存在においてわれわれの大半が好ましく思わないことの1つである」とグッドハート氏は記している。奇妙なことだが、まさにこうした感情が、多くの年月で英国が経験してきたなかで最も痛みを伴う変化が起きるのを後押ししたのである。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-brexit-flawed-compass-idJPKBN17603Z?sp=true
[FT]英領ジブラルタルが示すEU離脱の危険(社説)
2017/4/4 16:40
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Financial Times
マイケル・ハワード氏は短期間ながら保守党党首を務めたが、2005年の総選挙で敗北を喫し、上院に転じて影の薄い存在になっていた。そのハワード氏が今も騒ぎを起こせるというのは気がかりだ。英国が欧州連合(EU)からの離脱交渉に入ろうとするなか、英領ジブラルタルに関するハワード氏の好戦的な発言は無益と言わざるをえない。同氏は2日、35年前にサッチャー首相が英領フォークランド諸島をアルゼンチンから守ったように、メイ政権もスペインからジブラルタルを守るために戦争をする覚悟があるだろうと述べた。
ジブラルタルに翻る(左から)英国、ジブラルタル、欧州連合(EU)の旗=ロイター
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ジブラルタルに翻る(左から)英国、ジブラルタル、欧州連合(EU)の旗=ロイター
ジブラルタルの地位を英国のEU離脱交渉の優先事項の一つにするという欧州理事会の決定に、英政府は不意を突かれた。EUの交渉指針の草案には、将来の対英関係に関する合意はスペインの同意なしにジブラルタルに適用されることはないと明確に記されている。
EU側の指針の草案にスペインの拒否権が明記され、スペイン政府が英国のEU離脱交渉でジブラルタルの共同主権を主張する可能性があることについて、英政府が不安を感じるのも無理はない。しかしながら、この微妙な時期での暴言、ましてや戦争を口にすることなど正当化できない。
■EU内で特権的な地位
イベリア半島の南端に位置するジブラルタルは、1713年にスペインから英国に割譲された。ジブラルタルは英国の海外領として唯一、EUの領域となっている。昨年の英国民投票では、ジブラルタルの有権者の96%がEU残留に票を投じた。
それには相応の理由がある。ジブラルタルはEU内で特権的な地位を享受しているのだ。関税同盟の外にありながら単一市場の中にあるという環境は、スペイン側から「密輸拠点」とさえいわれる。ジブラルタルへのモノの流入はほぼすべてスペインからで、1万人以上のスペイン人労働者(ジブラルタルの労働力の半数を占める)が毎日、自由に境界を越えている。
このミクロな経済が栄えたのは、おおむねEUのおかげだ。スペインは3世紀にわたり英国のジブラルタルに対する主権に異を唱え、境界の長期封鎖という事態にも至った。その封鎖は1985年、スペインの欧州共同体(EC、EUの前身)加盟決定とともに解除された。それからの30年、境界はEU法の下で開放されている。
英国のEU離脱でジブラルタルの状況が複雑化する大きな理由は、英国が自由な移動を終わらせてEUからの移民流入を制限することに主眼を置いているからだ。これが英国の中心的な要求である限り、EUも同様の姿勢で応じることが考えられる。そうなると、ジブラルタルとスペインの間で厳しい国境管理が行われることになる恐れがある。アイルランドも同様になるだろう。
英国のEU離脱交渉の行方がジブラルタル問題の解決に懸かることにはならないだろう。だが、EU側はこの問題を交渉指針の草案に盛り込むことで、より広範な取引の協議に持ち込もうとする英国への警告としてEU加盟国の団結を示している。
EUの外に出れば厳しい状況が待ち受ける。スペインは事の重大さをさらに思い知らせるべく、スコットランドが英国から独立してEU加盟申請をした場合には反対するとしていた方針を翻した。スコットランド独立派をさらに勢いづかせる材料だ。これまでスペインは、同国東部カタルーニャ地方の分離独立派を勢いづかせることを懸念して反対を示していた。
対英主要投資国であるスペインは、EU離脱後の英国と良好な関係を維持することに、あらゆる点で関心がある。それは英国側にも当てはまる。メイ首相は3日、ハワード氏の発言を一笑に付そうとした。だが、メイ氏も内閣も、保守党内の強硬なEU離脱派の無責任で狭量な発言と距離を置く努力が大きく欠けている。
(2017年4月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H3Y_U7A400C1000000/
Column | 2017年 04月 4日 14:24 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:ギリシャ債務問題、見えてきた第4次支援の必要性
4月3日、ギリシャは、第4次となる新たな支援の枠組みが恐らく必要になるだろう。写真は同国の国旗。アテネで2015年3月撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
Hugo Dixon
[アテネ 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ギリシャの債権団は先週、年金改革を巡る議論が長時間にわたって紛糾したにもかかわらず、第3次金融支援に基づく今回の支払い実行を近く承認する公算が大きい。だがこれはギリシャ政府にとって来年半ばまでの時間稼ぎにすぎない。その後同国は、第4次となる新たな支援の枠組みが恐らく必要になるだろう。
チプラス首相は、7月に期限を迎える約75億ユーロを返済するため、ユーロ圏の債権団から十分な資金を得ることが不可欠だ。ギリシャとして、第3次支援が順調に進んでいると合意しないとそうした資金を確保できない。ところがチプラス氏には、困難な仕事に立ち向かうよりも交渉を引き延ばす性癖があり、これが既に経済に打撃を与えている。ギリシャは昨年第4・四半期にマイナス成長に陥り、今年第1・四半期もプラスに浮上できそうにない。
チプラス氏は、最終的には厳しい改革策を受け入れるように見える。たとえ人気のない年金の削減や2019、20両年の増税を含んでいてもだ。これらの措置によって、国内総生産(GDP)の2%相当の財政資金を節約できる。もっとも緊縮の度合いは今後和らげられるだろう。もしギリシャの財政運営が昨年同様、目標よりも良い成績で推移し続ければ、法人減税などによって改革がもたらす逆風を緩和することは可能になる。
ただしユーロ圏がギリシャを窮地に追い込んでいる。チプラス氏は7月の債務返済に十分な資金を得るはずだが、ユーロ圏の債権団の条件を受け入れないと、国内のサプライヤーに対する支払いの滞納を余儀なくされ、国内経済に痛手となる。こうした苦痛が長引けば、民間セクターの積極的な活動意欲がさらに損なわれてしまう。
チプラス氏にとって致命的とみなされるのは、今後銀行に起こるかもしれない事態だ。今年になって再び預金の流出が続いている。これは単に金融環境がまた引き締まるというだけでなく、経済が新たな下降局面に突入した場合は銀行に改めて資本注入が必要になるということだ。昨年導入された厳しいユーロ圏の銀行ルールに基づけば、預金者が損失負担を迫られるかもしれない。チプラス氏は2015年、瀬戸際交渉戦術で経済を混乱させ、資本規制を採用するという失策をおかしたが、もう一度試そうとすれば愚の骨頂となる。
次に債務軽減の問題がある。ドイツがギリシャ支援へ関与すべきだと主張している国際通貨基金(IMF)は、ユーロ圏の債権団がギリシャの負担を緩和することを望んでいる。そこでドイツのメルケル首相と、IMFのラガルド専務理事は、ギリシャ支援の輪にIMFをとどめながら、総選挙を9月に控えたドイツで有権者によるメルケル氏批判を招かないような形の債務軽減に関する言い回しを一致して生み出さなければならない。
こうした新たな言い回しは恐らく5月に案出され、欧州中央銀行(ECB)にギリシャ国債を資産買い入れ対象に組み込ませるだけの説得力を与えてくれるはずだ。そうなれば先行きへの期待が高まる。ギリシャが具体的な債務減免を受けられるのは来年からになるだろうが、チプラス氏の交渉力が弱まっている現状からすれば、その点について影響力はあまり行使できない。
ギリシャへの第3次支援の期限は来年半ばで、その後同国は自力で市場から資金を調達できるのだろうか。当然ほとんど現実味はなく、少なくとも何らかの助けなしでは立ち行かない。つまり第4次支援が想定される。
最低限としてギリシャはユーロ圏から予防的な借り入れ枠を設定してもらう必要がある。第3次の総額860億ユーロほどでないにせよ、いくらかの「実弾」も不可欠かもしれない。それでも今後の金融支援は、新規融資ではなく主に債務減免の形式になりそうだ。2022年以降に訪れる利払い額が膨らむ局面への対応が優先項目になるだろう。
ドイツなどの債権者は、こうした支援を厳しい条件なしに行うことはあり得ない。意のままにならないロバに言うことを聞かせるには、ニンジンをただ食べさせるのではなく、むちの先にニンジンを括り付けるべきだという古いことわざを彼らは承知している。
だから債務減免は、ギリシャが財政状況を改善させるのに伴って何度にも分けて実施されるとみられる。IMFが支援に加わることになれば、さらなる構造改革要求が盛り込まれても不思議ではない。
度重なる公約違反によって国内での支持が低下しているチプラス氏の立場では、こうした債権者側のすべての要求は受け入れるには過大かもしれない。そうなるとギリシャは来年再び総選挙となり、中道右派の新民主主義党(ND)が勝利に最も近い位置にある。それでも変わりそうにないのは、ギリシャがずっと先まで債務を抱えて身動きがままならない状態に置かれるということだろう。
●背景となるニュース
*ユーログループのデイセルブルム議長は3月31日、ギリシャへの第3次金融支援を巡る最新の審査について、次回4月7日にマルタで開くユーロ圏財務相会合までに結論に達しないとの見方を示した。ただカティメリニ紙によると、デイセルブルム氏はギリシャと欧州債権団の協議は進ちょくしたと述べたという。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-greece-breakingviews-idJPKBN17609S?sp=true
豪中銀:政策金利を据え置き−住宅市場過熱と高失業率で動けず
Michael Heath
2017年4月4日 14:12 JST 更新日時 2017年4月4日 15:15 JST
「労働市場の状況を示す一部指標は最近軟化」−ロウ総裁
ブルームバーグ調査ではエコノミスト29人全員が据え置きを予想
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日、 政策金利を据え置くことを決めた。住宅市場の過熱で緩和に踏み切ることができない一方で、引き締めるには景気が力強さを欠き、一種の政策まひ状態に陥っている。
ロウ総裁率いる準備銀はオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を過去最低の1.5%に据え置くことを決定した。シドニーの不動産価格は3月に急伸し、失業率は2016年1月以来の高水準となった。ブルームバーグの調査ではエコノミスト29人全員が金利据え置きを見込んでいた。
ロウ総裁は声明で、「最近のデータは、現在の緩やかな成長と整合性がある」と指摘。「労働市場の状況を示す一部指標は最近軟化している。特に失業率が若干上昇しているほか、雇用者の伸びは小幅にとどまっている」と分析した。
豪ドルはシドニー時間午後2時47分(日本時間同1時47分)現在、1豪ドル=0.7580米ドルと、政策発表前の0.7605米ドルから下落。金利先物の動きは、トレーダーが年内の金利変更の可能性はほとんどないと引き続き予想していることを示している。
QICのチーフエコノミスト、マシュー・ピーター氏(ブリスベン在勤)は「利下げも利上げもできないというジレンマは、オーストラリアが現在、財政と金融の両方のマクロ経済安定化政策を活用できなさそうだという好ましくない状況にあることを意味する」と指摘した。
原題:RBA Extends Rate Pause as Property Heat Meets Labor Market Slack(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONVC806JTSE801
Column | 2017年 04月 4日 14:52 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:人民元改革、中国の踏み出す一歩小さく
3月31日、人民元の鳴り物入りの国際金融市場へのデビューに関して言えば、中国は川の小石の上に一歩を踏み出したに過ぎない。写真は人民元紙幣。北京で2011年3月撮影(2017年 ロイター/David Gray)
Tom Buerkle
[ニューヨーク 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トウ小平が約40年前に中国で「改革開放」政策を推し進め、市場経済への移行を始めた際、同氏は自らの改革を「渡り石を探りながら川を渡る」ようなものと例えた。人民元の鳴り物入りの国際金融市場へのデビューに関して言えば、中国は川の小石の上に一歩を踏み出したに過ぎない。
国際通貨基金(IMF)が31日に公表したデータによると、第4・四半期の人民元の外貨準備全体に占める割合は1%強だった。IMFは今回初めて外貨準備における人民元の割合を公表。約850億ドル相当の人民元外貨準備は、カナダドルの半分に過ぎず、ユーロの1兆6000億ドルやドルの5兆1000億ドルに比べるとほんのわずかだ。
中国政府はこれまで、外国中銀との通貨スワップ協定の拡大や人民元建て貿易決済の推進、国内株式・債券市場の海外投資家への開放などを通じて、積極的に人民元の国際化を推し進めてきた。
IMFはこうした取り組みを評価し、昨年IMFの特別引き出し権(SDR)に人民元を採用した。これは、人民元が国際通貨としてIMFの「お墨付き」を得たことを意味する。
もちろん、元の国際化は緩やかに進む。ただ、これまでのところさほど大きな進展がみられないのは、人民元に対する国際的な信認が低下していることを示しているかもしれない。習近平国家主席は自由化に消極的で、国際化の流れに逆行する。
中国当局は2015年、国内株価の大幅下落を受けて様々な措置を講じたが、株価は下げ止まらなかった。その後の元安抑制に向けた為替介入で、中国の外貨準備は約1兆ドル減少した。最近では、資本流出を阻止するために、企業や個人の国外送金の規制強化に躍起だ。
人民元建ての貿易決済はむしろ減少している。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、貿易や投資の決済に使われる通貨のシェアで人民元は、2016年12月に1.7%と、2015年の2.3%から低下した。
今後、人民元の世界的役割は確実に増す。ただ、中国当局が自由化に再び前向きにならない限り、国際化に向け中国が小石の上に踏み出す一歩は小さく、向こう岸はずっと先だろう。
●背景となるニュース
*IMFが31日に公表した第4・四半期の世界外貨準備のデータによると、各国中銀の保有する人民元外貨準備は845億1000万ドルで、全体の1%強だった。
*外貨準備の保有比率が最も高いのはドルで、ユーロ、ポンド、円、カナダドル、豪ドルと続き、人民元は7番目。ドル準備は全体の64%を占め、ユーロは20%だった。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-yuan-reform-idJPKBN1760A2?sp=true
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