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トランプ政権で起こりつつある「静かなクーデター」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9198
2017年3月24日 海野素央 (明治大学教授、心理学博士) WEDGE Infinity
今回のテーマは「トランプの信頼度」です。3月4日ドナルド・トランプ米大統領は、2016年大統領選挙期間中、バラク・オバマ前大統領がニューヨーク市にあるトランプタワーを盗聴したとツイッターに投稿しました。それから2週間が経過しましたが、トランプ大統領は根拠を示していません。同大統領の信頼性が問われています。そこで本稿では、同月16日ワシントンでジェリー・コノリー下院議員(民主党・バージニア州第11選挙区)を対象に実施したインタビューを交えながら、同大統領は信頼に足る人物かについて考えてみます。
ワシントンのトランプインターナショナルホテル(iStock)
■米国民の信頼損なう「盗聴」発言
3月20日下院情報特別委員会で行われた公聴会で、米連邦捜査局ジェームズ・コミー長官は2016年米大統領選挙においてロシア政府とトランプ陣営が連携をしていたのか捜査中であると明かしました。ロシアの情報機関が、民主党全国委員会及びクリントン陣営に対してサイバー攻撃を行いそれに成功したので、コミー長官は次の大統領選挙並びに中間選挙においても介入する可能性がある点に強い懸念を抱いています。さらに、同長官はオバマ前大統領の盗聴に関してトランプ大統領の主張を裏付ける根拠はないと証言しました。
では、なぜ突然トランプ大統領は「盗聴」発言をしたのでしょうか。有権者の中にはロシア政府が大統領選挙のプロセスに干渉し、それがトランプ陣営に有利に働いたのではないかという疑惑の目で見ている有権者がいます。前回の大統領選挙における演説の中で、同大統領はロシアにクリントン前国務長官が削除したメールを発見するように呼びかけています。
政権発足から2カ月が経ちましたが同大統領にはロシア政府の影が付きまとっているのです。そこで、米国民の目を逸らすためにオバマ大統領が盗聴を行っていたと発言したのです。この点に関して、コノリー議員も同様の見方をしていました。
コノリー下院議員
インタビューの中でコノリー議員は、共和党が提案した医療保険制度改革(通称オバマケア)の代替案についても触れました。米議会予算局(CBO)の試算によりますと、共和党が提案した代替案では、2016年までに2400万人が無保険者になります。
同議員は米議会予算局のこの試算を用いながら、トランプ大統領がオバマケアを廃案し、新しい医療保険制度に置き換えることによって、全ての米国民が保険に加入できるようになると主張しているのは間違いであると指摘しました。
オバマ「盗聴」発言に加えて、医療保険制度改革においても信頼性の高い大統領ではないと同議員は捉えています。今回のトランプ大統領のツイッターにおけるオバマ「盗聴」発言によって、同大統領のリーダーとしての信頼性の有無が問われているのです。
■静かなクーデター
トランプ大統領は、政権内からメディア及び野党民主党に情報が漏れている点に怒りと苛立ちを隠せません。政権発足後2カ月が経過しましたが、各省庁における政治任用の高官ポストは埋まっていません。その結果、トランプ政権にはオバマ前政権で任命された幹部職員が残っており、彼らがメディア並びに民主党に情報を漏らしているとトランプ大統領はみています。右派のラジオ番組司会者ラッシュ・リンボー氏はこれを「静かなクーデター」と呼んでいます。大統領首席戦略官スティーブン・バノン氏が元会長を務めていた極右サイト「ブライトバート・ニュース」は、リンボー氏のこの発言をサイトに掲載して、政権内部に反トランプの情報提供者が存在していると述べています。
「静かなクーデター」の例を挙げてみましょう。安全保障問題担当のマイケル・フリン大統領補佐官(当時)が、トランプ大統領就任前にオバマ前政権がロシアに課した制裁に関してロシア大使と協議していた問題です。フリン氏はこれが原因で辞任しています。この情報は政権内の職員が漏らしたというのが一般的な見方です。同大統領はツイッターに情報を漏らした人物を探し出すと投稿しています。
政治任用の高官ポストが埋まっていない状態は、民主党にとってアドバンテージになっています。というのは上で説明しましたように、「静かなクーデター」を通じて政権内の情報を獲得できるからです。民主党が現在の状況を利用するために政府高官の人事を遅らせているという指摘がありますが、「行政国家の解体」を信条とするバノン氏が政治任用に積極的ではないからだという分析もあります。いずれにしても政権内にトランプ大統領に対する不信感が漂っているのは確かです。
■米国の核となる価値観の保持
コノリー議員のパーティに参加した筆者
アイルランド系のコノリー下院議員は、毎年3月17日にバージニア州フェアファックスで「セント・パトリックス・デー」を祝うパーティーを開催しています。筆者は今年もボランティアスタッフの一員として参加し、会場でサーモンを配りました。
パーティーには民主党のバージニア州知事候補及び地元の地方議員が出席していました。彼らはそろってトランプ大統領から「米国の価値観を守ろう」と支持者に訴えていました。同大統領が民主主義、自由、平等並びに人権といった米国の核となる価値観を侵していると彼らはみています。特に、同大統領が署名したイスラム圏6カ国からの入国一時禁止に関する大統領令は、米国の価値観に反していると主張するのです。
トランプ大統領に対する不信の原因は、自国が重視している価値観を尊重していない点にあります。初の議会演説で、同大統領は「結束」を呼びかけました。同大統領が民主党議員との間に信頼関係の構築を望むならば、米国の価値観に沿った政策を実行することが不可欠です。
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