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トランプ政権vs諜報機関、後戻りできない対立へ  米国務長官は南シナ海に言及せず トランプが火に油注いだウクライナ・ロシ
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/697.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 23 日 12:34:54: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


トランプ政権vs諜報機関、後戻りできない対立へ

FBIとNSAの長官が全面否定、トランプ氏にとって最悪の1日

2017.3.23(木) Financial Times
(英FT.com、2017年3月20日付)

トランプ陣営とロシアとの共謀「証拠なし」 下院情報委員長
米首都ワシントンのホワイトハウスで、米小売業界トップらと会談するドナルド・トランプ米大統領(2017年2月15日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News〕
?ドナルド・トランプ米大統領が就任して以来、事実上毎日が「こんなことでっち上げられない」という瞬間の連続だった。だが、20日の議会公聴会――および公聴会に関するトランプ氏のライブツイート――は、ねつ造を完全に葬り去った可能性がある。米連邦捜査局(FBI)と米国家安全保障局(NSA)のトップが、大統領は何の根拠もなく陰謀論をぶち上げたと事実上証言したのだ。

?ジェームズ・コミーFBI長官とマイク・ロジャーズNSA長官が証言している傍らで、トランプ氏は両氏が言わなかったことを発見しようと必死だった。「NSAとFBIは議会で、ロシアは選挙プロセスに影響を与えなかったと証言した」とトランプ氏はツイートした。このツイートが投稿されたのは、FBIがトランプ陣営とロシア政府との共謀について捜査していることをコミー氏が正式に認めた直後のことだ。

?どんな基準で測っても――そして、これは傾斜の大きい尺度だ――、この日はトランプ氏にとって、これまでで最悪の1日だった。

?米国史上前例のない組み合わせという政権の最高幹部2人が、大統領の選挙チームの刑事告訴につながりかねない審問をめぐって、現職大統領の言い分を真っ向から否定したのだ。たとえFRBの捜査が何の成果も生まなかったとしても、両長官の証言はトランプ氏の権威を致命的に損ねた。

?英国がトランプ氏にスパイ行為を働いたという同氏の主張を「ナンセンス」「不条理」として一蹴した英国政府の意見に同意するかどうか問われると、ロジャーズ氏はためらうことなく同意した。米国最大の諜報機関のトップが、自身が仕える大統領の発言に対する外国の痛烈な描写を支持したのだ。リチャード・ニクソンでさえ、これほど直接的に否定されることはなかった。

?これでトランプ氏はどんな立場に置かれるのだろうか。まず、少なくともさまざまな捜査が終了するまでは、ロシアの影がトランプ政権に付きまとうことが確実になる。それも疑いが払拭されるのは、当局が訴追しないことを決めた場合に限られる。捜査終了までには、数カ月、ことによれば数年かかる可能性がある。その間ずっと、まだ続くリーク、面目を失うような証言によって憶測が激しくなるだろう。しかも、トランプ氏が新たな陰謀論を付け加えないで、このありさまだ。

?次に、トランプ氏は今、米国の諜報機関、米議会情報委員会の共和党トップ、事情を知る立場にいる事実上すべての人に退けられた虚偽バージョンの出来事に完全にコミットしたことになる。

?トランプ氏には、バラク・オバマ前大統領がトランプタワーの盗聴を命じたとする突拍子もないツイートを撤回するチャンスが何度もあった。ところが同氏は、自分がミスを犯したことを認める代わりに、米国にとって最も緊密な同盟国である英国、ドイツ両国の政府を架空の物語に巻き込んだ。

?大きなナゾは、トランプ氏がなぜ、打ち消すことができた何気ないツイートをめぐり、米国の同盟関係と自身の政権の地位にこれほど大きな巻き添え被害を与えようとしているのか、ということだ。

?決定的な答えが出てくるまでには、長い時間がかかるかもしれない。その理由は、トランプ氏が自分の選挙陣営が米国の選挙に影響を与えるために積極的にクレムリンと共謀したという事実から世間の関心をそらそうとしているからかもしれない。そのような事実が判明すれば、ウオーターゲート事件よりも大きな事件になり、大統領の弾劾、失職につながる可能性もある。

?同じように、その理由は、トランプ氏はたとえ自身の政権の信頼性を犠牲にしようとも、心理的に過ちを犯したことを認められないからかもしれない。後者の方が比較的些末であり、我々がすでに知っている事実にも一致する。

?20日の出来事の後、我々には分かっていることが、もう1つある。就任から2カ月経った今、トランプ氏は米国最大の法執行機関と米国最大の諜報機関のトップによって、暗に夢想家のレッテルを張られたということだ。しかし、トランプ氏は戦術を変える気配を一切見せていない。トランプ氏のホワイトハウスとインテリジェンスコミュニティーの関係がもう後戻りできない地点を通り越すのは間違いなく時間の問題だ。

By Edward Luce

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49504

 

 

世界情勢 アメリカ 中国 安全保障
米国務長官はなぜ南シナ海に言及しなかったのか
トランプ政権の南シナ海政策に揺さぶりをかける中国
2017.3.23(木) 北村 淳

中国・北京の人民大会堂で握手する習近平国家主席(右)と米国のレックス・ティラーソン国務長官(2017年3月19日撮影)。(c)AFP/Lintao Zhang〔AFPBB News〕

 トランプ政権のレックス・ティラーソン国務長官(元エクソン・モービルCEO)が日本、韓国を訪問した足で中国を訪問し、王毅外相、習近平国家主席と会談した。
 中国当局は、トランプ政権国務長官の初の訪中を前に、南シナ海のスカボロー礁に環境観測所を建設する方針を明らかにした。

最後に残された焦点、スカボロー礁
 南シナ海での軍事的優勢を手にする海洋戦略を推し進める中国は、西沙諸島を手に入れ、南沙諸島での優勢的立場も手にしつつある。そして、スカボロー礁に対する軍事的コントロールの確保が、中国海洋戦略にとって残された重要課題となっている。
 フィリピン沿岸から230キロメートルほど沖合に浮かぶスカボロー礁は、マニラから直線距離で350キロメートル程度しか離れていない。そして、アメリカ海軍がフィリピンに舞い戻ってきた場合に主要拠点となるスービック海軍基地からも270キロメートル程度しか離れていない戦略的要地である。
 スカボロー礁には1990年代末からフィリピン守備隊が陣取っていたが、2012年に人民解放軍海洋戦力がフィリピン守備隊を圧迫・排除して以来、中国が実効支配を続けている。ただし、フィリピンと台湾もスカボロー礁の領有権を主張しており、いまだに決着していない。
中国人民解放軍による南シナ海コントロールの状況。南シナ海は国際通商航路帯(シーレーン)が縦貫する
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/a/f/-/img_af2fba8d209447b0141ec8f157350595282653.jpg

スカボロー礁もいよいよ軍事拠点化
 スカボロー礁より550〜700キロメートルほど南西には南沙諸島の島嶼環礁が点在しており、そのうちの7つの環礁に中国が人工島を建設し軍事拠点化している(その状況は本コラムでも繰り返し取り上げているとおりである)。
 オバマ政権は、そうした中国による人工島建設作業を半ば見過ごした形になってしまっていたが、強力な軍事施設の誕生を目にするや、ようやく(遠慮がちにではあるが)中国に対して警告を発し始めた。
 とりわけスカボロー礁に関しては、「中国がスカボロー礁に人工島や軍事施設を建設することは、アメリカにとってレッドラインを越えることを意味する」と強い警告を発した。
(参考・関連記事)「レッドラインを超えた?中国がスカボロー礁基地化へ」
 警告を発した2016年夏の段階では、中国によるスカボロー礁の埋め立て作業や人工島建設作業などはまだ実施されていなかった。その後もしばらくの間、スカボロー礁の本格的埋め立て作業は確認されていなかった。
 だが、今年に入ってフィリピン政府が「中国がスカボロー礁を軍事拠点化しようとする兆候を確認した」と警鐘を鳴らし始めた。

米国の“本気度”を試した?
 トランプ政権は、中国による南シナ海の支配権獲得行動に強い危機感を表明している。ティラーソン国務長官は、「中国が南シナ海をコントロールすることは何としてでも阻止しなければならない。そのためには中国艦船が人工島などに接近するのを阻止する場合もあり得る」といった趣旨の強固な決意を語った。
 そのティラーソン国務長官が訪中する直前、三沙市市長がスカボロー礁を含む6カ所の島嶼環礁に「環境観測所」を建設することを公表した(三沙市は、南シナ海の“中国海洋国土”を統括する行政単位。政庁は西沙諸島の永興島に設置されている)。「環境観測所」建設の準備作業は2017年の三沙市政府にとって最優先事項であり、港湾施設をはじめとするインフラも併設するという。
 これまで中国が誕生させてきた人工島の建設経緯から判断するならば、観測所に併設される港湾施設や航空施設などの各種インフラ設備は、いずれも軍事的使用を前提に建設され、観測所は同時に軍事基地となることは必至である。この種の施設を建設するには、スカボロー礁の埋め立て拡張作業は不可欠と考えられている。
 中国に対して弱腰であったオバマ政権ですら、「スカボロー礁の軍事基地化を開始することは、すなわちレッドラインを踏み越えたものとみなす」と宣言していた。そして、トランプ政権が誕生するや、外交の責任者であるティラーソン国務長官は「中国による南シナ海支配の企ては、中国艦船を封じ込める軍事作戦(ブロケード)を実施してでも阻止する」といった強硬な方針を公言した。
 そのティラーソン国務長官が訪中する直前に、中国側はスカボロー礁に環境観測所を建設する計画を発表したのである。まさにトランプ政権の南シナ海問題に対する“本気度”を試した動きということができよう。
南シナ海問題は後回しに
 中国を訪問したティラーソン国務長官がどの程度南シナ海問題(とりわけスカボロー礁に関する中国の動き)を牽制するのか、アメリカ海軍関係者は大いなる関心を持っていた。
 ところが、ここに来て急遽、アメリカにとって中国との関係悪化を食いとどめなければならない事態が発生してきた。すなわち、北朝鮮のアメリカに対する脅威度が大きくレベルアップしたのだ。
 軍事力の行使を含めて「あらゆるオプション」を考えているトランプ政権としては、中国の北朝鮮に対する影響力を最大限活用せざるを得ない。要するに「あらゆるオプション」には、いわゆる斬首作戦をはじめとする軍事攻撃に限らず、「中国を当てにする」というオプションも含まれているのだ。
 そのためティラーソン長官としては、この時期に中国側とギクシャクするのは得策ではないと判断したためか、北京での会談では南シナ海問題に言及することはなかった。
 いくら中国が南シナ海をコントロールしてしまったとしても、それによってアメリカに直接的な軍事的脅威や経済的損失が生ずるわけではない。ところが北朝鮮の核弾道ミサイルはアメリカ(本土はともかく、日本やグアムのアメリカ軍基地)に直接危害を加えかねない。したがって、南シナ海問題を後回しにして北朝鮮問題を片付けるのが先決という論理が現れるのは当然であろう。

日本は腹をくくった戦略が必要
 アメリカが強硬な態度に出られないのは、中国がすでに南シナ海での軍事的優勢を確保しつつあり、その状況を覆せないという事情もある。
 いくらトランプ政権が「スカボロー礁はレッドライン」と警告し、ティラーソン長官のように「南シナ海でのこれ以上の中国海軍の動きは阻止する」と言ったところで、現実的には現在のレベルのアメリカ海洋戦力では虚勢に過ぎない。トランプ政権が着手する350隻海軍が誕生してもまだ戦力不足であると指摘する海軍戦略家も少なくない。そのため、アメリカ海軍が南シナ海で中国の軍事的支配を封じ込めようとしても、それが実行できるのは5年あるいは10年先になることは必至である(そのときは南シナ海は完全に“中国の海”になっているかもしれない)。
 いずれにせよ、老獪な中国、そして怪しげな中国─北朝鮮関係によってアメリカの外交軍事政策が翻弄されているのは間違いなく、アメリカが強硬な南シナ海牽制行動をとることは難しい。その結果、中国による南シナ海のコントロールはますます優勢になるであろう。
 南シナ海の海上航路帯は“日本の生命線”である。そうである以上、日本は“中国の圧倒的優勢”を前提にした戦略を打ち立てなければならない。
[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49482

 

 

トランプが火に油注いだウクライナ・ロシア紛争
対立が一段とエスカレート、米国の対ロシア政策の重石に
2017.3.23(木) 杉浦 史和
ロシアのクリミア編入から3年、記念行事の盛り上がりは控えめ
ロシアのクリミア編入から3年を迎え、港湾都市セバストポリで行われた記念行事の様子(2017年3月18日撮影)〔AFPBB News〕
?ウクライナとロシアの関係が再び急速に悪化している。3年前にロシアがクリミアを併合してから、ウクライナ東部地域における対立はミンスク合意以降、小康状態にあったかに見えた。

?しかしながら、特に2017年に入って戦闘が激化し多数の死傷者が出てミンスク合意は事実上反故にされているほか、様々な形の対立が進んでいる。

?まずは文化面での対立だ。

?欧州最大の音楽イベント、「ユーロ・ヴィジョン・ソング・コンテスト2017」はウクライナで開催されることになっている。

?しかし、ロシアを代表する歌手でソチ・パラリンピック大会開会式でも車椅子から美声を披露したユーリヤ・サモイロワさんがクリミア併合を祝う席で歌ったことを理由に、ウクライナが参加拒否の姿勢を示している。

コンクリートで封鎖されたロシア資本の銀行

?さらに経済面での対立としては、先週、ウクライナ・ズベルバンクのキエフ支店前の玄関が、ウクライナ民族主義派によりコンクリートとセメントで文字通り封鎖されるという事件が発生した。

?その実力行使の様子は映像で見ることができる。ロシアとウクライナの対立の根深さを象徴するものだ。

?ズベルバンクとはロシア最大の国営銀行であり、ウクライナ・ズベルバンクは、その100%出資子会社である。ロシアの金融機関であるという理由で民族主義派らの憎悪の標的となった。

?民族主義派の過激行動は1店舗に限らず、他の多くの地域で同行のATMが破壊されたほか、同じくロシア系の金融機関であるアルファ・バンクのシャッターや壁などにペンキで落書きがされるなどの破壊行為が報告されている。

?これは、2017年2月18日付の大統領令でウラジミール・プーチン露大統領が親ロシア派の占領しているルガンスク、ドネツク地域で親ロシア自治政府が発効したパスポートを身分保障書類として公式に認めるよう要請したことに端を発する。

?ウクライナ・ズベルバンクはこの要請を受け入れたとされ、東部ウクライナでの独立に強く反対する民族主義派らの反発を招いた。

?ウクライナ・ズベルバンクによれば、3月9日にこの要請受け入れを撤回すると表明していた。14日からキエフ支店での営業が停止されたほか、翌15日から個人普通口座からの現金引き出し額を3万グリブナ(約1120ドル)までに引き下げている。

?これに関連して3月15日には、ウクライナ国家安全防衛会議でロシア国家資本が入っている銀行のウクライナ国内における営業停止を求める決定がなされた。

?ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はこれを翌16日に採用し、今後1年間のウクライナ・ズベルバンクをはじめ計5行のウクライナにおける営業に制限をかけた。同大統領は、西側に対しても同様の制裁措置をとるように求めている。

?制裁が禁止する内容は、親銀行を利するようなあらゆる金融取引、配当、金利、銀行間取引、劣後ローンのコルレス勘定からの資金の支払いを禁止している。

?具体的には、ウクライナ国外での資金の引き出しが禁止されるが、ウクライナ居住者と親銀行に勘定のある顧客との間の決済は禁止していない。

?2017年初時点で、ウクライナには96行の商業銀行があり、そのうち外国資本の参加している銀行は25行ある。

?今回制裁対象となったのは、ウクライナ・ズベルバンク(資産残高484億グリブナ、ウクライナ商業銀行中第6位)、プロムインヴェスト銀行(資産残高343億グリブナ、同第11位)、ヴィテベ銀行(資産残高206億グリブナ、同第15位)、ヴィエス銀行(資産残高39億グリブナ、同第32位)、そしてビーエム銀行(資産残高18億グリブナ、同第47位)の5行である。

上位15行のうち3行が制裁対象に

?上位15行のうち3行が制裁対象となり、ウクライナ経済全体にとっての意味は小さくない。5行の資産総額はウクライナ銀行業界の全資産額の8.8%を占める。

?ロシアには国営銀行で資産残高第1位のズベルバンク(貯蓄銀行)と同じく国営銀行のヴィテベ(対外貿易)銀行が存在するほか、国営の開発銀行として対外経済銀行があり、いずれもが何らかの形で国策銀行として機能している。

?今回の5行はいずれもこれらの子会社で、プロムインヴェスト銀行が対外経済銀行の、ヴィエス銀行がズベルバンクの欧州子会社であるズベルバンク欧州の、そしてヴィテベ銀行とビーエム銀行がロシア・ヴィテベ銀行のそれぞれ子会社である。

?ウクライナ側にロシアの国家資本の入った銀行がウクライナから利益を奪い取っているという意識があるのは明白で、ウクライナ中央銀行は、今回の措置を通じてこれらの銀行が適切に売却されウクライナからの退出を望んでいるようだ。

?ロシア側も対外経済銀行はプロムインヴェスト銀行を今年前半にも売却する予定で、タス通信によれば、その売却先も見つかっていたという。

?ヴィテベ銀行もビーエム銀行を売却予定で投資家を探していた。これに対して、ウクライナ・ズベルバンクはこうした方策を全く検討していなかった。

?一般にロシア資本の中東欧地域への進出は、ロシア国家の安全を守るといった特異な意図を持っている。

?とりわけ2007年のミュンヘン会議でのプーチン演説を契機として、利益確保主体ではなく、より安全保障確保を優先したディールを開始しているとの見方がある。

?2008年のジョージア紛争を経て、CIS諸国における政権転覆の動きが強まるなか、これに有効な反対行動を可能とするように対象国の政治体制へも手を伸ばせる形で経済進出を図っているという。

?ロシア資本の金融支配が原因で一国の金融制度全体を揺るがせた事例として、ブルガリアにおける大手銀行の1つ、コーポレート・コマーシャル銀行の2014年の破綻がある。

?ここにはヴィテベ銀行の子会社、ヴィテベ・キャピタルが参加していたが、資金引き上げを契機として破綻し、ブルガリアは信用不安に見舞われた。

?これらの動きを念頭にウクライナにおける3つの国営銀行の進出実態を考えると、まだまだウクライナの政治情勢をロシア有利に動かせるほどの実力はなかったとはいえ、ウクライナが懸念を持つのもある程度は理解できよう。

?しかし現在のロシア・ウクライナの対立は、文化や銀行問題にとどまるものではない。

深刻さ増す東部地域の経済封鎖

?むしろこれよりもはるかに深刻な問題の一端として銀行問題などが表出したというのが実態だ。より深刻なのが東部地域の経済封鎖問題である。

?ウクライナ東部地域には無煙炭の産出地があり、一帯は親ロシア分離派に占拠されているものの、ウクライナ人の実業家が経営に従事し、ここからウクライナの他の地域に暖房用燃料や製鉄用の原料として供給されている。

?戦闘が起こっても、対立が激化しても、ウクライナの西側は石炭供給に関しては東部地域に頼ってきていたのだ。

?しかしウクライナ民族主義派にとっては、この石炭供給が親ロシア分離派およびロシアを利するのではないかとの懸念が強く、2017年1月からこの石炭供給を差し止めるため、実力で封鎖行動に出ていた。

?この問題はポロシェンコ大統領にとっては頭痛の種だった。

?なぜなら、切実な問題としてウクライナの暖房用燃料の約半分が東部地域の無煙炭により賄われており、特に冬場にその供給がストップすれば、外国から高い燃料を急いで買う必要があり、ただでさえ苦しい同国の経済事情を大いに悪化させる危険性がある。

?さらに政治的な問題として、東部地域との間を経済封鎖すれば、ウクライナから切り離された東部地域がかえってロシア側との結びつきを強め、分離独立の口実を一層与えてしまうからである。

?そもそも経済封鎖自体がミンスク合意に反するという問題もあった。発電の燃料不足にも拍車がかかり停電が頻発するなど、ウクライナ政府は1か月あたり40億グリブナ(約1億5000万ドル)の経済的損失を被っているとしている。

?ウクライナ政府は何度も経済封鎖を解除するよう求めたが、これが長期化したため東部の石炭産業は炭鉱などの操業が事実上停止していることを3月上旬に認めていた。

?こうした状況を背景に、ウクライナ政府は突如3月9日、東部地域との道路・鉄道交通の遮断措置を自らとることを決めた。結局、国内の政治状況からウクライナ民族主義派の圧力にポロシェンコ大統領が屈したのである。

?これに対して、親ロシア分離派は素早く対応した。

?翌週3月15日、ウクライナで一番の富豪と言われるリナト・アフメトフ氏の所有するSCMグループのエネルギー部門であるDTEKエナジーの占領地域における資産を差し押さえ、ウクライナとの貿易も禁止した。

?ウクライナ情勢における東部地域の分離独立問題は、新たな段階に入ったと言える。

トランプ政権誕生が1つの引き金

?こうした事態の急変を受け、国際通貨基金(IMF)はウクライナへの新たな175億ドルに上る融資のうち、10億ドル分のディスバースメントを中止した。結局、ウクライナの方が、ロシア側よりも大きな犠牲を払いそうである。

?しかしながら、政府がそうした措置をとらざるを得なかった理由は、国内政治状況のみで語れるものではない。

?ロシアとの関係改善を訴えて大統領選挙を勝ち抜いたドナルド・トランプ米大統領の登場がその理由だ。

?トランプ氏のロシアとの和解路線はどうやら簡単には進まなさそうであるものの、ウクライナにとって米国・ロシアの和解は、どういう形になるかは不透明とはいえ、現状の追認、場合によっては既に失ったクリミアを回復することはおろか、東部地域の分離独立問題でも何らかの譲歩を求められることになったであろう。

?このため、民族主義派らもポロシェンコ大統領もウクライナ問題は過去のものではないと言うことを示す必要があったのだ。

?同様のことを政府もまた考えていたことを示す例が、本年1月17日に東部地域でのテロ支援を理由にロシアを国際刑事裁判所に提訴した事例だ。

?ウクライナは既にクリミアの併合を巡って国際司法裁判所に訴えてきたが、ロシアは2016年11月、同裁判所がクリミア併合を事実上の占領状態に該当すると判断したことを不服として離脱を表明している。

?このように見てくると、ウクライナとロシアではまだまだ紛争が長期化することが予想され、両者の和解は非常に困難であろう。同時にそのことが米国の対ロシア政策にも大きな重石になるのは避けられないであろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49499
 

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