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トランプの米国は習近平の中国には外交力で勝てないだろうー(天木直人氏)
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18th Mar 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
ティラーソン米国務長官の初のアジア訪問が終わった。
日本から始まって韓国を経て中国を訪れた今度のティラーソン国務長官アジア歴訪の
目的は、もちろん、北朝鮮をめぐる中国との外交交渉にあった。
対米従属一辺倒の日本と、大統領不在の韓国訪問は、その露払いでしかない。
そしてティラーソンの国務長官の訪中は、4月にも行われる習近平主席の訪米と、
その時行われるトランプ・習近平首脳会談の準備にあった。
果たしてティラーソン国務長官の訪中はどの様な成果があったのか。
きょう19日の各紙の報道を見ると、武力行使の可能性も排除しない米国と、
北朝鮮に対する厳しい姿勢を見せながらも、
あくまでも対話で解決を促す中国との間に大きな隔たりがあり、
それを埋める事は出来なかったようだ。
そしてその対立はそのまま習近平の訪中まで続き、
最後はトランプ大統領が譲歩せざるを得ない形で終わるに違いない。
私がそう考える理由の一つが宮本元中国大使が書いた
中国とロシアの力関係の逆転の現実にある。
宮本雄二前中国大使は1969年に外務省に入省したかつての私の同期だ。
だから私は彼の発言を今でも気に留めて見て来た。
その宮本氏が3月16日の毎日新聞「経済観測」というコラムで
興味深い事を書いていた。
私はそれを見逃さなかった。
すなわちロシアと中国の立場は、もはや中国優位に逆転したと、
次のようなエピソードを紹介して書いていたのだ。
宮本氏が尊敬するロシアの専門家が
「ロシアは中国のジュニア・パートナーを甘受する事を決めた」と語ったというのだ。
ジュニア・パートナーとは力関係で中国に従うという事である。
あの誇り高いロシアがそんな地位を甘受できるのか、
宮本氏はなかなか咀嚼できないでいたところ、
最近モンゴルの専門家から次のような話を聞いて合点がいったという。
すなわち、モンゴルにおいて中国の出方にあれほど神経質だったロシアが、
まるでモンゴルをあきらめたかのように手をださなくなった、というのだ。
中ロで競り合っていたモンゴルに対する支配権は、
1921年にソ連軍がモンゴルに進駐した時に決着がついた。
それ以来常にロシア(ソ連)が優勢だった。それが逆転したというのだ。
宮本氏はチャイナスクールの一人だが、同時にソ連課の首席を務めたことがあり、
中国とソ連の双方を見て来た外務官僚だ。
その宮本氏が、このロシアと中国の逆転を、
「歴史のあらたな転換期」であると感慨しているのである。
ロシアを逆転した中国に、いまでもロシアと競い合っている米国が
勝てるはずがない。
米国が中国に負けることはないが、
もはや米国は中国に命令できる国ではなくなったのである。
今度のトランプ・習近平首脳会談は、
その事を見事に証明する歴史的会議になるだろう私は思って注視する事にしている。
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