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【ワシントン山本太一】米国のトランプ政権が環境保護局(EPA)の予算・人員の大幅削減を打ち出したことに抗議し、20年以上、EPAに勤めてきた幹部が今月8日、辞任した。社会的弱者の生活改善に取り組んできた環境正義事務局の上級顧問だったムスタファ・アリさんだ。弱者の現状や支援継続を訴えるプルイットEPA長官宛ての辞任の書簡は、ツイッター上で共感を呼んでいる。
EPAは、黒人や先住民ら貧困層が多く住む1400以上の地域で飲用水を提供したり、劣悪な下水道施設や汚染土を改善したりする事業を支援。アリさんは1992年の環境正義事務局創設に携わって以降、共和、民主両政権下でこうした事業の地元組織や州政府との調整をしてきた。
一方、トランプ政権はEPAの2018会計年度(17年10月〜18年9月)予算を前年度より4分の1減の61億ドル(約7000億円)に抑え、職員約1万5000人を3000人減らすことを検討中だ。実際に予算削減が進めば、事業継続は難しくなる恐れがある。
アリさんは「弱者が多く住む地域への支援を最も優先してきたが、新政権にこうした姿勢はみられなかった」と米CNNに辞任理由を語った。書簡では「今も多くの住民が苦しんでいる」とし、「公衆衛生と環境保護を前進させることを期待する」と求めた。
米国最大規模の環境保護団体「シエラクラブ」は辞任を受けた声明で、「低所得層の生活改善に尽くしてくれたことに心から感謝する」とするとともに、「こうした献身的な公務員を失い困惑している」とした。
書簡はツイッター上で共有され、リツイート(転載)は1万件以上に及んだ。辞任を惜しむとともに「みんな書簡を読むべきだ」と称賛する書き込みが相次ぐ。アリさんは、市民グループの幹部として今後も環境保護に携わるという。
プルイット氏の長官就任を巡っては、EPA元職員約800人が「環境保護の役割を理解していない」と承認拒否を求める書簡を議会に提出。アリさん辞任の翌日、プルイット氏は「二酸化炭素が地球温暖化の主因という考え方に同意しない」とテレビのインタビューで発言し、批判を浴びた。
◇アリさん書簡の要旨
幸運にも才能があり、革新的な考えを持つ職員と仕事ができた。子どもが遊び、農家が穀物を育てることができるよう、きれいな空気や飲み水や土地にする努力をしてきた。
ただ、社会的弱者が多く住む地域では環境への悪影響が残ったままだ。有色人種や低所得者、先住民は平等な保護を受けられず苦しんでいる。地方でも都市でも、有毒なレベルの大気汚染や劣悪な水、貧弱なインフラのもとで生きている。
環境正義のようなすばらしい事業の予算削減が検討されていると聞き、新指導者は支援を必要とする人と話すべきだと思った。あなた(プルイット長官)や、あなたのチームが地域の懸念を解消し、生活を尊重する努力を続けてほしいと願っている。
【ことば】環境正義
環境保護と社会正義を組み合わせた言葉で、環境破壊による被害を公平に負担しあうことを目指す理念。富裕層は良い環境で生活することができるが、社会的弱者は環境破壊の被害を受けやすく、劣悪な環境下で暮らさざるを得ないとの指摘がある。米国では1980年代、黒人や先住民の多い地区に有害廃棄物処理施設が集中したことへの抗議運動が盛んになり、この理念が広まった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170314-00000014-mai-n_ame&pos=3
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