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2017年2月23日 ロイター
負のサイクルを断ち切れないイタリアの銀行
2月22日、イタリアの不良債権問題には、一部で改善の兆しも出ているが、銀行はまだまだ過去のツケを払う必要がある――。不良債権の専門家の間で、こんな見方が浮上している。写真はブダペストで2011年11月撮影(2017年?ロイター/Laszlo Balogh)
[ミラノ?22日?ロイター] - イタリアの不良債権問題には、一部で改善の兆しも出ているが、銀行はまだまだ過去のツケを払う必要がある――。不良債権の専門家の間で、こんな見方が浮上している。
?同国では昨年、不良債権の発生ペースが8年ぶりの水準に低下したが、それでも、過去の破綻債権化のペースを踏まえると、今後も年80億ユーロ(85億ドル)程度の償却が新たに必要になる見通しだ。
?同国の「貸倒懸念債権」は1300億ユーロ。この債権が実際に債務不履行に陥ると「破綻債権」となる。現在、イタリアの銀行が抱える破綻債権は2000億ユーロに達する。
?破綻債権化を防ぐには、融資先の支援が欠かせない。
?コンサルティング大手PcWのアソシエート・パートナー、カティア・マリオッティ氏は「貸倒懸念債権は過去のツケだ。不良債権地獄に落ちたくなければ、ツケを払わなければならない」と指摘。「積極的な対応が必要だ」と語る。
?PcWによると、2015年は260億ユーロの貸倒懸念債権が、破綻債権化した。
?こうした中、問題債権を減らすため、貸倒懸念債権の回収に力を入れているのが、ジェノバの中堅銀行カリジェだ。
?同行では、同族経営の造船会社向けの融資4億2000万ドルが焦げ付いたため、この会社の資本提携を支援するなど、積極的な対応に乗り出している。同行は、資本提携が実現すれば、債権回収の可能性も高まると期待を寄せている。
売却か差し押さえか
?債権を回収できない場合は、貸出債権の売却か担保資産の差し押さえが必要になるが、債権の売却では、多額の損失が発生するケースが少なくない。
?貸倒懸念債権の帳簿価格は現在、平均で額面の約72%。破綻債権の帳簿価格も、額面の約41%に達しているが、国内大手のウニクレディトの不良債権売却では、売却価格が額面の13%にとどまる予定だ。
?担保資産を差し押さえれば、融資先の「息の根を止める」ことになり、債権の全額回収は難しい。
?通常は、債務再編と企業再編の組み合わせがベストだが、イタリアのように中小企業が多く、銀行側も支店の担当者が1人というケースでは、対応は困難を極める。
?不良債権の専門家であるプレリオス・クレジット・サービシングのリカルド・セリーニー最高経営責任者(CEO)によると、貸倒懸念債権の担保資産の大半は不動産。このため、すばやい対応がカギになる。
「未完成の不動産プロジェクトが担保資産の場合、バローロ(ワイン)と違って、時間が立てば立つほど状況が悪化する」(同氏)。
?PcWの2015年のデータによると、国内大手20行の貸倒懸念債権の56%は、1年後も貸倒懸念債権のままだった。破綻債権化したのは22%。正常債権化もしくは回収を終えた債権は18%だった。
?イタリアの銀行は2012年―15年にかけて1070億ユーロの不良債権を償却。大手6行は、昨年だけで240億ユーロを償却している。
(By Valentina Za)
http://diamond.jp/articles/-/119224
2017年2月23日 ロイター
広がる仮想通貨に法的な穴、世界的な対応の遅れも
2月23日、仮想通貨取引所の登録制が4月から始まるのを前に、法制度の不備が専門家から指摘されている。その1つが、現行法で仮想通貨を差し押さえの対象にできない点だ。写真のビットコインは、フランス・パリで2015年5月撮影(2017年?ロイター/Benoit Tessier)
[東京?23日?ロイター] - 仮想通貨取引所の登録制が4月から始まるのを前に、法制度の不備が専門家から指摘されている。その1つが、現行法で仮想通貨を差し押さえの対象にできない点だ。
?破産の危機に陥った個人が、財産を仮想通貨に換えれば財産を防衛できるという法的な「穴」が存在し、同じような不備は欧米でも指摘され、グローバルな課題となっている。課税や会計処理でも対応が遅れており、早急な法整備が大きな懸案として浮上している。
急速に普及するビットコイン
?日本国内でビットコインの利用者は、急速に伸びている。取引量で国内最大のビットコイン取引所「ビットフライヤー」の登録ユーザー数は、2016年12月に40万人を突破。月間取引量は今年1月に3200億円を超えた。月間取引量が10億円を突破した15年10月から、1年3ヵ月間で取引量は320倍に膨れ上がった。
?別の取引所「コインチェック」によると、ビットコインが利用できる国内店舗は2月1日時点で前年比5倍の約6000店。飲食業に限らず、不動産仲介や美容関係の店舗でも導入が進み、年内に2万店に達すると同社は予想している。
?今年4月からは、仮想通貨取引所の登録制がスタートする。顧客保護のために、取引所に顧客財産の分別管理や会計監査を義務づけた。業界関係者は、そのことが「利用者の安心感につながり、ビットコイン普及の一因になった」と話す。
仮想通貨の法的対応、米欧でも後手
?しかし、仮想通貨に対する法規制は後手に回っている。法曹関係者がまず指摘するのは、仮想通貨は国が「差し押さえ」できない点だ。
?専門家によると、仮想通貨の差し押さえは、普及度が高い米国や欧州などを含め、世界的にも議論が進んでいない。「ブロックチェーン(分散型台帳)に組み込まれた仮想通貨を、そもそも債務者からどう切り離して債権者や管財人の管理下に置くのか。物理的、技術的に差し押さえとは相性が悪い」(アナリスト)との指摘が出ている。
?差し押さえは、期限が来ても債務の履行がない場合、債権者が権利行使をするための最終手段。
?例えば、貸したお金の返済がなく、貸し手が訴え、返済を求める判決が出たケースでは、借り手が返済しなければ、貸し手は裁判所に対し、借り手が財産を自由に使えないように求めることが可能だ。
?これが差し押さえで、裁判所は債務者の保有財産を強制的にお金に換え、債権者の権利を実現する。
?しかし、現在の法律で国が差し押さえることができるのは、銀行預金や給与、不動産、自家用車といった財産で、仮想通貨は対象として法律に明記されていない。
?債務者は、開示請求が来れば民事執行法により自分の財産を開示しなくてはならない。開示することで、財産の所在や規模が明らかになり、国の差し押さえが可能になる。
?民事執行法にもとづき、債権者は仮想通貨を管理するIDやパスワードを開示するよう請求できるが、それ以上は踏み込めない。
?みずほ中央法律事務所の三平聡史代表弁護士は、破産のリスクが高まった個人や企業が自分の財産をビットコインに換えてしまえば、債権者は回収できず「法的にお手上げ状態」だと指摘した。
仮想通貨、課税や会計なども未整備
?差し押さえ以外の法的対応や、課税、会計処理、監査基準などの分野でも、仮想通貨の扱いは整備されていない。
?法律面では、仮想通貨取引所に対して顧客資産の分別管理が義務づけられるが、仮想通貨を法務局に供託することはできない。
?また、仮想通貨を貸し付けても、利息制限法や貸金業法は適用されない。仮想通貨を原資産とするデリバティブ取引は、金融商品取引法上のデリバティブ取引には該当しない。
?課税面では、仮想通貨を譲渡する際の消費税を非課税とすることが2017年度の税制改正大綱に盛り込まれたが、積み残しの問題が山積している。
?仮想通貨を差し押さえるには何が必要か――。ある政府関係者は「差し押さえを可能にするために法律に仮想通貨を書き加えるとか、解釈で可能にすれば足りるとかいった以前の問題。仮想通貨を法律的にどう捉えるべきなのか、まずは研究という段階だ」と話す。
?仮想通貨の法制度の整備に本気で取り組むとなると、広範囲に及ぶのは必至だ。しかし「こむずかしい議論は、避けたいというのが規制当局の本音」だと、政府関係者のひとりは明かす。
「新たな不祥事が起きて社会的に関心が高まらない限り、当局者の問題意識や危機意識は高まらないのではないか」と、ある弁護士は話している。
(和田崇彦?編集:布施太郎、田巻一彦)
http://diamond.jp/articles/-/119221
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