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まさかが現実になる!? トランプの日本口撃が怖すぎる 驚くべき知的水準…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50900
2017.02.09 週刊現代 現代ビジネス
メキシコ国境に壁を作るぞ、TPPなんてクソくらえ――威勢のいい言葉は、票集めのための空約束ではなかった。史上最も「知的水準の低さ」が危ぶまれる大統領の言動に、世界が震撼している。
■水責め拷問を肯定
「壁の建設は数ヵ月以内には始まるだろう」
1月25日、メキシコ国境沿いに壁を設けるという大統領令に署名したドナルド・トランプ大統領は、米ABCニュースのインタビューでこう明言した。「現代の万里の長城」「どうせ実現できるはずがない」と揶揄されてきた政策が実行に移された瞬間だった。
トランプ氏は他にも矢継ぎ早に大統領令に署名、自らの政策実現に向けて動き出した。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの永久的離脱、環境的配慮から凍結されていた石油パイプライン施設工事の再開など、半年前には実現不可能と思われていた政策を次々に具体化、しまいには水責めの効果を肯定しつつ、過酷な拷問の復活まで示唆した。
外交ジャーナリストの手嶋龍一氏が語る。
「過激な発言は選挙で人気を集めるためのもの、実際に大統領に就任すれば、穏健な姿勢を示すだろう――日本やヨーロッパの識者は、そう考えていました。
しかし、その憶測が間違いだったことがはっきりした。大統領が口にした瞬間、どんな破天荒に見える政策も現実として独り歩きし始めるのです」
まさかと思うことが現実になる様子を目の当たりにして、世界中の良識ある人々が、クビを傾げている――この男は正真正銘の「バカ」なんじゃないかと。就任演説の内容もその疑念をふくらませた。
「権力を取り戻すのです、あなたたち国民に」という一節が、『バットマン』に登場する悪役の発言そのままだったのだ。
「大統領の演説は、建国の理念である自由や民主主義について触れながら、人々の心に訴えかけるべきものです。娯楽映画の、しかも悪役の台詞を引用するなんて前代未聞のこと」(外務省関係者)
新聞やテレビなどの旧来のメディアと敵対するトランプ氏は、ツイッターを使って情報発信することを好んでいる。
「わずか140字の短い文面で、自分の気に入らない敵をやり玉に挙げるのです。その手法は橋下徹元大阪市長のそれを彷彿とさせますが、言うまでもなくトランプ氏はアメリカの大統領。影響力が違い過ぎます」(前出の外務省関係者)
エコノミストで丸三証券経済調査部長の安達誠司氏が語る。
「最初に無理筋な話をしておいて、自分の有利なほうへと誘導する――いかにもアメリカのビジネスマンがやりそうなことです。私の知り合いのアメリカ人投資家もそういう交渉のしかたをする。
発言の内容と、想定している落としどころにはズレがあると思います。その辺りのことをよく承知した上で、交渉のテーブルに着く必要がある」
ビジネスの世界では、そのような放言も「ブラフ」として通用したのかもしれない。だが、政治とビジネスが別世界であることは言わずもがな。トランプ氏はそのことが理解できないか、理解しようとしない。
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■自宅に本が一冊もない
トランプ氏のことを間近で見てきた人物も、その危険性を憂慮している。'80年代にトランプ氏のゴーストライターとして18ヵ月に及ぶ長期取材を行ったトニー・シュウォーツ氏である。
「どのような話題をふってみても、インタビューが5分と続くことはありませんでした。彼は一つのテーマに集中することができない性格で、過去のことを聞いても『終わったことを話してもしょうがない』と怒り出す始末。まるで教室でじっとしていられない幼稚園児のようでした。
トランプ氏のような人物が、核ミサイルのボタンを押す決定権を握っているということは、恐怖以外のなにものでもありません」
シュウォーツ氏は、「トランプ氏には知性のかけらもない」と語る。
「知的水準の低さは驚くべきものです。当時、彼の情報源は、ほぼすべてテレビでした。わかりやすい言葉で短く説明してもらわないと興味が持てないのです。
そもそも1年以上にわたって取材を続けていたあいだ、彼が本を読んでいるところを一度も見たことがありません。それどころか、オフィスにも自宅にも一冊も本が見当たりませんでした」
恐るべき人物が超大国の最高権力者に就任してしまった――世界の政治家、経済人、安全保障関係者たちは、そのことにやっと気付きつつある。
「通例では新しいアメリカ大統領と最初に会談するのは最重要同盟国の日本の首相です。それが今回のように期日がずれこんで(2月10日の予定)、英国のメイ首相に先を越されてしまったのは、日本軽視の現れです。『11月の当選後に会ってやっただろう。また会談したいなら、なにか手土産を持ってこい』というわけです。
実際、日米会談が決まったのは、トヨタがアメリカで新たに400人を雇用すると具体策を発表した後のこと。本当に目先の利益しか見ていないのです。
1月17日にはスイスで開かれたダボス会議で中国の習近平国家主席の演説がありましたが、外務省内では『いいこと言うなあ』という讃嘆の声が上がりました。つい最近までは傲岸で無法な発言者だと思われていた仮想敵国のトップでさえ、トランプ氏に比べれば優等生に映るのです」(前出の外務省関係者)
■為替操作も平気でする
トランプ氏は個別企業を名指しで攻撃することも辞さない。トヨタ幹部が語る。
「1月24日にアメリカのビッグ3(GM、クライスラー、フォード)のトップがトランプ氏と会談していますが、トヨタをはじめとした外国企業は呼ばれませんでした。
とりわけフォードは対日強硬派で、大統領に露骨な利益誘導を求めている。フォードのマーク・フィールズ社長はマツダの社長を務めた経験もあり、日本の自動車産業に詳しいからとりわけ厄介です」
いつ襲いかかるかわからないトランプの口撃に戦々恐々としている企業は他にもたくさんある。日本総研副理事長の湯元健治氏が語る。
「現在、自動車部品メーカーや素材メーカーなど957社の日本企業がメキシコに進出しています。これはNAFTA(北米自由貿易協定)があるからですが、トランプはNAFTAを再交渉したがっており、国境税の話も出ている。そうなると北米進出を一から見直さなければなりません」
TPP交渉からの即時離脱に署名したトランプ政権は、よりわかりやすい形でアメリカの利益を得られるような貿易交渉を行うつもりだ。
「TPPのような多国間交渉ではなく、FTA(自由貿易協定)というかたちで、交渉相手を恫喝しながら無理難題を押し付けてくることは間違いない。自動車はもとより、農業分野においても日本はアメリカの要求を飲まされることになる」(自民党関係者)
為替相場や株式市場も、大きく振り回されている。1月17日の大統領のドル高牽制発言を受け、ドル円レートは一ヵ月半ぶりに112円台をつけた。
「そもそも、各国の首脳はもとより財務大臣や中銀関係者は、よほどのことがないと為替について触れることはタブー。為替操作だと見なされるからです。しかし、トランプはそんな慣例は無視して、経済界の秩序を破壊している」(経済ジャーナリストの磯山友幸氏)
トランプ発言の問題の根が深いのは、現在の米国政権の中枢部にウォールストリートの関係者が多数いることだ。
財務長官のスティーブン・ムニューチンや主席戦略官のスティーブ・バノンは共に投資銀行大手ゴールドマン・サックスの出身者。また、トランプの娘婿で大統領上級顧問を務めるジャレド・クシュナーはウォールストリートの人脈に深く食い込んでいる。
「彼らはトランプの発言一つで相場が大きく動くことを知っています。情報が漏れてインサイダー取引が行われることもあるでしょう。トランプ政権下で、壮大な相場操縦が行われる可能性だって否定できません」(前出の磯山氏)
安全保障の面でも、日本は新大統領の発言に振り回されている。トランプ氏は選挙前から「日本はもっとカネを出せ、さもないと同盟関係を再検討する」と発言してきた。
「大統領の言葉によって、米軍による抑止力に空洞が生まれています。金正恩にミサイル発射を思いとどまらせる抑止力にかげりが出ているのです」(前出の手嶋氏)
■北朝鮮を叩き潰す
トランプにとって最大の仮想敵国は、言うまでもなく中国。だから本来、同盟国である日本とは緊密な関係を築かなければならないはずで、それは米軍関係者がいちばんよくわかっている。
実際、ジェームズ・マティス国防長官が、最初の外遊先に選んだのは日本だった。防衛省関係者が語る。
「2月3日の長官の来日は対中牽制、対日重視の現れです。それ自体は歓迎すべきことで、安全保障の面で日米関係が大きく変わることはないと見ています。
しかし一方で、在日米軍の駐留経費の増額を要求されることも間違いない。要求されれば日本は飲まざるを得ないでしょう。もっとも、単純に防衛予算が増額されることになるので、防衛省としては悪い話ではない。
困るのは、アメリカの貿易赤字解消のために、武器の売り込みをされることでしょう。防衛省には、現在米国から購入しているF35の次世代のステルス機は独自開発したいという意向がある。しかし、米国から大量の戦闘機を購入するように要求されると、開発が大幅に遅れることになります」
トランプ氏が現在のような調子で強硬姿勢を崩さないでいれば、さらに恐ろしい事態も想定される。
例えば、北朝鮮がすでに開発の最終段階にあると主張しているICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射し、ハワイ近くに落ちるようなことがあれば、にわかに緊張が高まるだろう。
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「これまで日本は国連を基軸にして自衛隊の派遣を決定してきた。しかし、気の短いトランプ大統領が国連の官僚的で時間のかかる手続きを待っていられるとは思えません。アメリカが国連を無視して単独行動を起こし、韓国に戦略的爆撃機を配備したり、場合によっては局地戦に発展したりする可能性もある」(前出の防衛省関係者)
日本政府は国連を無視してアメリカにつき従うかどうかという、極めて微妙な政治的判断を迫られることになる。
「トランプの政策は4年後の再選を目指す自分自身のためにはなっても、アメリカ経済全体の利益につながらないことは明らかです。
安全保障の面でも、東アジアの平穏を担保してきた対中政策を見直すことで中国の不公正な貿易に圧力をかけるでしょう。これまでガラス細工のように積み重ねられてきた安全保障の環境をぶち壊してしまう」(前出の手嶋氏)
人気取りにかけては天才的だった大統領。しかし、彼に投票した人々が、「バカに権力を持たせてはいけない」と気付くのは遠い日の話ではないかもしれない。
「週刊現代」2016年2月11日号より
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