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テロ支援国をサウジでなくイランだとマティス国防長官が口にできたところにトランプ政権の弱点
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201702040000/
2017.02.05 12:35:58 櫻井ジャーナル
アメリカのジェームズ・マティス国防長官は東京で開かれた記者会見で、イランを「最大のテロリズム支援国家」と表現したようだ。バラク・オバマやヒラリー・クリントンに匹敵するほどのデマゴーグと言える。アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)に資金を提供しているのはサウジアラビアを中心とするペルシャ湾岸産油国だということはアメリカの政治家や軍人も認めていることだ。
本ブログでは何度も書いてきたが、例えば、2009年12月30日にアメリカの国務省が出した通信文には、サウジアラビアの資金提供者が全世界に展開する「スンニ派テロリスト」への最も重要な資金源を構成していると書かれている。当時の国務長官はヒラリー・クリントンだが、この事実はすでに公表されているもので、マティス長官も知っているだろう。
イランが「最大のテロリズム支援国」でない事実を軍人が知っていることを示す発言もある。例えば、2014年9月にトーマス・マッキナニー空軍中将はアメリカが組織する手助けをしたと発言、またマーティン・デンプシー統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国(敵対しているイランではありえない)がダーイッシュに資金を提供していると議会で語っている。
シーモア・ハーシュによると、デンプシーはアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを危険だと考え、2013年の秋から独断でそうした戦闘集団に関する情報をシリア政府へ伝えたという。バラク・オバマ政権はDIAの報告を承知の上でダーイッシュを生み出し、支援する政策を進めていた。こうした戦闘集団がアレッポで政府軍と戦ってきた。
同じ年の10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると述べ、2015年にはクラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語った。マイケル・フリン元DIA局長は2015年8月、アル・ジャジーラの番組へ出演した際にダーイッシュが勢力を拡大できたのはバラク・オバマ政権の政策があったからだと指摘している。
言うまでもなくフリンはドナルド・トランプ大統領の安全保障担当補佐官だが、DIA局長だった2012年8月にDIAが政府へ提出した文書には、シリアの反政府軍がサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIを主力としていると報告、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとも指摘していた。侵略戦争の旗振り役を演じてきたニューヨーク・タイムズ紙も昨年1月にはサウジアラビアがシリアの反政府軍の資金源だとする記事を掲載している。
ロシアとの関係改善をトランプ大統領は掲げ、フリン補佐官はアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを危険な存在だと考えている。その「テロリスト」に資金を供給しているのがサウジアラビアだが、この国は石油を通じてアメリカの支配層と強く結びついている。石油産業との関係をうかがわせるトランプ政権としてはサウジアラビアを簡単に攻撃することはできないだろう。マティスの戯言を否定することはできないということだ。
このマティス長官はトランプ大統領やフリン補佐官と対立関係にあることを示す記事も伝えられている。国防総省内の人事でトランプの移行チームが提示する人事案を拒否していたという。移行チーム側はトランプの政策を遂行するうえで適切な人物を配置したかったようだが、マティスは自分の命令に従う「イエスマン」で固めたがっていた。マティスにトランプの政策を尊重する意思はなさそうだ。
トランプ政権にはマティスのほかにも問題の人物はいる。副大統領のマイク・ペンスだ。大統領は「アメリカ」を看板に掲げているが、この人物は親イスラエル派として有名。アメリカ議会の大半はイスラエルに忠誠を誓っているようなので珍しくはないが、副大統領の立場が大統領の立場と違うことも確か。2010年にイスラエルの核兵器について聞かれたペンスは質問に答えず、イスラエルは大切な同盟国だと繰り返した。
「イスラエルがわれわれの最も大切な同盟国だということを知っています。そして、イスラエルの自衛権、われわれが自分を守る行動をとるように、彼らが自国を守る必要からそうした行動をとることを私は強く支持します。」
現在、アメリカではツイッターへ「トランプ暗殺」の書き込みが多く、問題になっている。もしトランプがジョン・F・ケネディのように支配層の意向を超えた行動をとったなら、何らかの手段で排除され、ペンスを後釜に据える可能性はある。
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