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それでもヒラリーよりはマシか 強欲資本主義なれの果て
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2017年1月26日 日刊ゲンダイ 文字お越し
バンバン署名…(C)日刊ゲンダイ
トランプ米大統領が就任早々、フル回転で世界を揺さぶりまくっている。TPP離脱など、オバマ前政権の方針をひっくり返す大統領令を連発。25日もメキシコ国境での壁建設や、シリアなど中東・アフリカ7カ国からの難民入国を規制する大統領令にサインした。
メーカーへの恫喝も止まらない。24日はGM、フォード、クライスラーのCEOをホワイトハウスに呼び出し、「メキシコでの新工場建設をやめ、米国内に新工場を建設しろ」と要求。日本の“ドル箱”産業である自動車貿易を目の敵にし、「日本の市場は不公平だ」と発しただけで、翌日には大新聞が軒並み1面から大々的に報じた。
米国製品を買わせ、米国人の雇用を生み出すためなら、なりふり構わず。つぶやき一つで日本を振り回しているが、正式就任から連日、物議を醸し続ける“米国第一大統領”に、「あながち悪くない」と意外な評価を下したのは、米アカデミー賞監督のオリバー・ストーン氏だ。
「プラトーン」や「7月4日に生まれて」など、数々の反戦映画を世に出してきた同氏がトランプを評価する理由は、やはり「戦争」。24日付の朝日新聞のインタビューで、〈米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変えるのがよいと信じている〉と大統領の座を争ったヒラリー氏を批判。〈彼女が大統領になっていたら世界中で戦争や爆撃が増え、軍事費の浪費に陥っていたでしょう〉とまで言ってのけた。
対するトランプは〈他国の悪をやっつけに行こうなどと言いません〉〈彼は、イラク戦争は膨大な資産のムダだった、と明確に語っています〉と、その“反戦姿勢”を称えた。ストーン氏は「ヒラリーよりはマシ」という評価だが、それもあくまで米国人による見立て。日本人にとって「よき大統領」かといえば、見方は当然違ってくる。
むろん、日本にとって一つも得にならないTPPの離脱は大歓迎だし、同盟国が愚かな戦争に突入しないに越したことはない。それでも、日本には“悲劇的な結末”が待っているに違いない。
日米交渉の担い手が、独自の外交ビジョンは一切なし。米国隷従しか能のない“ポチ首相”である限り、トランプに日本の富をむしり取られるだけである。
欧州右派が集結(21日、ドイツ・コブレンツ)/(C)AP
貪欲な米国第一にますます火をつける卑屈外交
同盟国のトップとしてホワイトハウスに「一番乗り」を果たす夢は破れたが、安倍首相は今なおトランプとの早期会談を実現させようと必死で、外交スタッフをけしかけている。そんなに急いでトランプに一体何を語りかけるつもりなのか。
そのヒントが、トランプが「永久的な離脱」を決めたTPPへの飽くなきこだわりだ。国会でも安倍は「腰を据えて理解を求めていきたい」とか言っていたが、圧倒的な“数の力”によるTPPの強行批准には、「まずTPP水準まで日本の国益を差し出すことは国会で決めました」というメッセージが込められているのだろう。経済アナリストの菊池英博氏はこう言った。
「あとはトランプ大統領の要望に応じて、もっと日本の国益を差し出しますので、どうか東京五輪まで、首相をやらせて下さいと拝み倒しているような印象です。まだ“首相継続”の確約を得られていないから、早く会いたくてウズウズしているようにも見えます。施政方針演説では『農政改革を一気に加速する』と豪語し、JA全農改革に言及しましたが、改革とは名ばかりで間違いなく『解体』されます。そしてJAマネーの運用資金150兆円を、トランプ大統領への“手土産”のひとつとして献上するのが狙いでしょう。ハナから交渉するつもりなどなく、へりくだるのみ。安倍首相の卑屈な態度は、逆にビジネスマンのトランプ大統領の心証を損なうだけだと思います」
生き馬の目を抜くような世界で生き残ってきたトランプにとり、ハナから勝負を諦めた交渉相手は単なる「チキン野郎」。そんなやつからはとことんむしり取ってやるという判断になるだろう。
安倍が米国のトップにはひたすら平伏しておけばOKなんて甘く考えていたら、この国はトランプに骨の髄までしゃぶり尽くされることになる。
■反グローバル主義のリーダーたちには格好のカモ
とことん貪欲なトランプの米国第一主義を支えているのは、「強欲資本主義」に対する貧困層の怒りだ。
過去四半世紀にわたって欧米に蔓延した新自由主義経済は、グローバル時代に猛威を振るった。ヒト・モノ・カネが自由に国境を行き交う中、巨大資本は安い労働力を求めて、自国を捨てて途上国に生産拠点を移していった。
移転先の国が豊かになれば、より貧しい国への繰り返し。そのたび多くの人々の雇用が奪われ、地域社会が荒廃しようがお構いなし。そんな強欲な収奪に拍車を掛けたのが、会社は株主のモノという考えだ。
株主還元を増やせば株価も上がる。それをテコにM&Aを仕掛ければ、欲しい技術もたやすく手に入る。研究開発に時間やカネをかけるのは愚かな企業で、手っ取り早く利益幅を増やすなら安い労働力が一番。こうして目先の利益のみを追いかける「今だけ、カネだけ、自分だけ」の拝金主義が吹き荒れたのである。
そんな刹那のマネーゲームは、世界中に行き過ぎた格差と富の集中をもたらしたが、リーマン・ショックを経て、いよいよ限界に達した。増加する低所得層の不満が爆発し、反グローバルの大きな揺り戻しの潮流が、グロテスクな大統領の誕生に帰結したのだ。
「反グローバルの潮流は世界レベルで広がっていますから、今後も各国でトランプ的指導者が次々と誕生するのは間違いありません。すでにフランスやイタリアなどEU各国で、反グローバルを標榜する排他主義の右翼指導者が台頭しています。恐らく世界規模で、自国の利益のためなら何でもアリの壮大な争奪戦がもうすぐ始まります。その時、トランプ大統領にシッポを振り、地球儀俯瞰外交でアチコチに景気良くカネをばらまく安倍首相はどう映るのか。確実に貪欲なリーダーたちの格好の餌食となり、日本の富がどんどん奪われかねません」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
ミニ・トランプの跋扈になす術なし。そんな安倍政権に任せておけば、この国は反グローバルの激流にむざむざと水没していくだけである。
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