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現地専門家が見るトランプ政策の勝算 中間管理職的CEOへ脱皮を ウォール街に圧力ファイアウオール復活、次期財務長官が検討
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 20 日 18:46:18: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:
現地専門家が見るトランプ政策の勝算

井上哲也野村総合研究所 金融ITイノベーション研究部長
[東京 20日] - トランプ米国新政権による「最初の100日間」の政策に世界の注目が集まっている。トランプ氏は企業活動の米国回帰というミッションを掲げているが、筆者が年初にニューヨークを訪問した際には、その実現に向けた経済政策として、1)税制改革、2)通商政策、3)インフラ投資の3本柱を挙げる向きが多かった。

このうち税制改革の狙いは、法人税と所得税の引き下げによって国内の支出行動を刺激することだ。なかでも法人税率は、現行の35%から、共和党の案(昨年6月公表の「Blueprint」)では20%、トランプ氏の案(昨年9月の講演などで表明)では15%へと大きく引き下げ、他の先進諸国(20%台に分布)対比でも低位にすることが企図されている。

また、海外子会社による米国の親会社への利益配当にも、双方の案とも法人税の顕著な優遇(現金保有分について共和党の案は8.75%、トランプ氏の案も10%)を提案している。所得税に関しても、累進税における限界税率の簡素化、所得控除の拡充、事業所得との衡平化などを通じた負担の軽減が提唱されている。

税制改革の実現には議会の協力が不可欠であるが、政権と共和党の方向性が一致していることもあり実現の可能性は高い。現地でも、通常の政権移行に比べ具体案の策定が遅延気味との指摘もあるが、遅くとも春以降には議論が本格化し、夏の議会休会前に関連法案が成立するとの見方が聞かれた。

しかも、税制改正の一部は遡及適用される可能性もあり、速やかに企業収益や家計所得に効果を及ぼすことも考えられる。

<国境税をめぐる誤解と本当の効果>

通商政策では、米国の輸出に係る法人税を減免し、輸入に係る法人税を賦課する国境調整(Border Adjustment)の仕組みに関する共和党の提案が注目を集めている。

その狙いは、輸出入の相対コストを変化させることで、米国の輸出の国際競争力を高めることにある。また、共和党案(前述したBlueprint)は、米国企業による海外生産のインセンティブを減殺し、国内回帰を促す効果も目的に挙げている。

もっとも、この政策に関しては、貿易赤字の縮小がドル高を招き、結局は政策効果が減殺されるといった理論的な懸念がある。加えて、税制改革による法人税の簡素化に逆行するという技術的問題もあり、現地の評価は必ずしも芳しくなかった。

ちなみに、国境税という言葉の響きのせいか、関税と解釈する向きがあるが、それは正しくない。実は日本や欧州にも「国境税調整」は存在する。付加価値税(消費税)がそれだ。

例えば、米国から日本へ輸入する業者には8%の消費税が賦課されるが、日本から米国への輸出業者には8%の消費税が還付される(むろん、日本国内においては輸入業者も国内業者にも同率の消費税が課されるので、税制上の不公平は生じない)。

実は米国には、小売段階で課される州レベルの売上税などはあるが、消費税のような多段階課税の付加価値税がない。そのため、実質的に国境調整をすでに行っている日欧との税収面での整合性向上という面は確かにある。

ただし、前述したように、貿易収支改善によって、ドル高を招きやすいことから、通商政策としての有効性には疑問が示されているわけだ。その点では、皮肉なことにトランプ氏による「口先介入」の方が効果を発揮している面もある。

<ドル高を国際政治問題化する可能性>

インフラ投資の狙いは国内需要の刺激にあるが、従来型の投資によって非熟練労働者に雇用機会を創出することも政治的に重要な意味を持つとみられる。

もっとも、現地では3本柱の中で最も期待が薄い印象を受けた。そもそも、総額1兆ドルといった規模感はともかく、トランプ氏は具体案を示していないほか、公共投資による景気刺激が常態化した日本と異なり、企画や優先度の選定、関係先との調整や用地取得などに多大な調整と時間を要するとの見方が強い。トランプ政権の第1期(4年間)をかけても予算の執行が完了しないとの指摘もあった。

これらの政策による経済成長への効果に関しては、具体的な内容が不透明であるだけに現地でも慎重な意見が多かったが、「効果は2017年後半から出現し、18年をピークに19年まで続く」「政策対応がない場合に比べ、ピーク時には年率1%前後の効果を発揮する可能性がある」といった指摘はあった。

それでも、米国の長期的な潜在成長率の低下トレンドを変え、トランプ氏が言う持続的な3%以上の成長をもたらす可能性には、少なくとも現時点で否定的な見方が多かった。

市場への影響では、いうまでもなく、ドル相場が注目されている。財政赤字の拡大(米ブルッキングス研究所は10年間の税収減を約6.1兆ドルと推計)、保護主義的な通商政策、実体経済の拡大に伴う金利上昇とファンダメンタルにはドル高圧力につながる要因がそろっている。

しかし、それはトランプ氏が掲げる企業活動の国内回帰という目標達成にとって望ましい話ではない。トランプ新大統領がツイッターで「口先介入」を行うことにとどまらず、いずれドル高対策に行き詰まり、最終的に国際政治の場にドル高問題を持ち出すというリスクシナリオを意識する向きも少なくなかった。

*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融ITイノベーション研究部長。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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コラム:中間管理職的なトランプ氏、求められるCEOへの脱皮

Gina Chon

[ワシントン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏の言動は、企業で言えば最高経営責任者(CEO)というよりも中間管理職のようだ。選挙の勝利から、20日の就任式が目前に迫った今までを見ると、些細な問題に関心を向け過ぎるきらいがある。

不動産王として、トランプ氏は、ビジネス上のどんな小さなことにも注意を怠らない人物と評されてきた。大統領に就任すれば非常に幅広く重大な結果をもたらし得る問題に取り組むことになるが、トランプ氏はこのミクロ経営スタイルに固執している。大統領就任式実行委員会のトム・バラック委員長はニューヨーク・ポスト紙に対して、トランプ氏自らが就任パーティー用のテーブルクロスを選んでいると明かした。バラック氏は「トランプ氏にはずっと、テーブルのセットなどは私に任せて、自由世界をどう運営していくかという仕事に戻ってくれと頼んでいる」という。

トランプ氏がとらわれているのは、こうした取るに足らない雑事ばかりではない。彼は国家情報当局から毎日説明を受けるのを拒んでいるが、ボーイング(BA.N)とロッキード・マーチン(LMT.N)のトップと会談して航空機の費用に不満をぶちまける時間はひねり出した。そんな状況で、大統領経済諮問委員会などいくつかの機関の幹部人事はまだ固まっていない。

ニューヨークのトランプタワーには有名人や自治体幹部、スポーツ選手らがトランプ氏に面会するため続々と詰め掛け、同氏は忙しい中で時間を割いている。その中にはラッパーのカニエ・ウエストさんや有名コメディアンのスティーブ・ハーベイさんといったアフリカ系の人々の姿もある。

そしてトランプ氏はツイッターの更新にも熱心だ。雇用問題でゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)などを批判することで、米国の産業政策をそれとなく決定してしまう。それだけでなく、テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で俳優アレック・ボールドウィンさんが演じるトランプ氏の物まねに文句を言い、ゴールデン・グローブ賞授賞式でトランプ氏の差別的言動に物言いをつけた女優メリル・ストリープさんを「過大評価されている」と決めつけた。

トランプ氏の課題は、米国民への新たな医療保険提供から税制の抜本改革、国際貿易協定の再交渉まで多岐にわたる。大統領就任が目前となった今、同氏の振る舞いが本来の地位にふさわしい形に進化するのを願うしかない。

●背景となるニュース

*トランプ氏は20日、第45代の米大統領に正式に就任する。宣誓後にホワイトハウスまでパレードし、夜には舞踏会が開催される。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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ウォール街に圧力も−ファイアウオール復活、次期財務長官が検討示唆
Jesse Hamilton
2017年1月20日 14:28 JST
ムニューチン氏は自己勘定取引の制限に一定の支持を表明
「21世紀版のグラス・スティーガル法」を検討する必要性も認める

トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏は銀行の自己勘定取引を制限するボルカー・ルールに支持を表明し、商業銀行と投資銀行のファイアウオール(分離)を定めたグラス・スティーガル法も何らかの形で復活させるメリットがあるかもしれないと語った。
  米銀ゴールドマン・サックス・グループ出身のムニューチン氏が、財務長官就任後にウォール街が望む全てを与えるわけではないと示唆した可能性がある。
  ムニューチン次期財務長官(54)は19日に上院財政委員会で行われた指名承認公聴会で、預金保険による公的保証の対象となる金融機関には「自己勘定取引という概念はふさわしくない」と指摘し、ボルカー・ルールが銀行による投機を制限していることには意味があるとの見解を示した。
  ムニューチン氏は十数年前に廃止されたグラス・スティーガル法の復活には反対するとしながらも、「21世紀版のグラス・スティーガル法」を政策担当者が検討する必要性を認めた。具体的な中身には踏み込まなかった。
  同氏はその一方で、ボルカー・ルールによる取引制限は行き過ぎだと述べ、簡素化の必要があると考えていると発言。「私はボルカー・ルールを支持するが、何ができて何ができないか銀行が理解できるようにきちんとした定義が必要だ」と述べた。
原題:Mnuchin Puts Pressure on Banks Over Volcker Rule, Glass-Steagall(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK28XH6K50XS01
   

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