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オバマの執念! 4年後、ミシェルが米大統領になる!
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2017/01/29/h1h1.html
サンデー毎日 2017年1月29日号
牧太郎の青い空白い雲 604
これほどオバマ米大統領がしぶとい!とは思わなかった。
話題満載のトランプ次期大統領の登場で、すでに「死に体」になったハズの現職大統領が、次から次へと刺激的な「手」を打っている。
たとえば......。
12月20日、北極圏の米海域の大半と大西洋の一部について、新たな石油・天然ガスの掘削を禁止した。トランプ氏がエネルギー資源開発の必要性を主張しているのに......真っ向から戦う姿勢である。しかも、である。なんと半世紀以上も前の法律を持ち出しての"戦い"である。
大統領選のさなか、クリントン陣営の電子メールがハッキングされた騒動――。
オバマ氏は「ロシアの国家的陰謀だ」として、ロシアの外交官35人を国外退去させた。プーチン大統領好き?のトランプ氏に面当てした気分なのだろう。
任期8年でもできなかった「大胆な政策」を次々に打ち出している。レームダック(足の不自由なアヒル)のはずが、オバマ氏はワシントンの水をかき回しているのだ。
日本の外交筋は「オバマ氏の元気の理由」が理解できないのだろう。だからというべきか、日本の大半のメディアは「オバマ氏の元気な近況」をほとんど報道していない。
× × ×
大体、外交筋といわれる人の予測はアテにならない。
「トランプ氏はビジネスマンだから、大統領になれば現実的な政策を打ち出すだろう」なんて"悠長"なことを言っている。日本に防衛分担金を全額支払うように求める!ということはないだろう、と分析している。
でも、どうだろう?
これは希望的観測にすぎない。
トランプ氏は「アメリカファースト」である。世界は二の次である。日本は三の次である。
トランプ氏がもし「ビジネスマン」ではなく「革命家」だったら......妥協せず「アメリカファースト」の原則で突っ走るはずだ。ともかく、わが外交筋は「クリントン当選」を信じていたのだから、とても信じられない。
オバマ氏の執念も、トランプ氏の執念も、彼らには想像できないのだ。
× × ×
外交には素人の当方である。もちろん自信はないが、トランプ氏は大統領就任後も言いたい放題を繰り返すだろう。
ポピュリズムの時代だ。
一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを巧みに利用して、既存のエリート主義を否定するのが「流行(はや)り」である。それに一面的な欲望に迎合して大衆を操作するのが、革命家である。大衆迎合の時代、革命家トランプ氏は一定の支持を得られるだろう。
しかし、革命は(レーニン、毛沢東などを除けば)頓挫する。なぜなら「グローバリズムの潮流」も時代の流れだからだ。一方的に「愛国革命の勝利」とはいかないだろう。
4年後、トランプ氏に強敵が現れると見る。
(外交筋は信じないだろうが)"強敵"はミシェル・オバマさんである。初の"黒人ファーストレディー"として、マイノリティーのロールモデル(模範)として大きな影響を与えた女性だ。
1月6日、ミシェルさんはスクールカウンセラーの顕彰式で、米大統領選の期間中、移民やイスラム教徒を攻撃したトランプ氏を意識して、
「あなたやあなたの両親が移民であるなら、あなたは米国の誇り高き伝統の一部だということを心に刻んでください」
「宗教的な多様性も米国の偉大な伝統であることを忘れないでください」
などと演説し、喝采を浴びた。
多分、今後トランプ氏の最大の敵はミシェルさんになるだろう。オバマ一家は任期いっぱい反トランプ政策を打ち続け、4年後を狙うのではないか。
トランプ氏が大統領に就任する1月20日、ミシェルさんは夫のオバマ氏と共に、8年間過ごしてきたホワイトハウスを去る。
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