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・米中冷戦時代がはじまる〜日本は?(『ロシア政治経済ジャーナル』メルマガ)
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/223.html
投稿者 無段活用 日時 2017 年 1 月 11 日 10:22:01: 2iUYbJALJ4TtU lrOSaYqIl3A
 

(回答先: ・2017年はどうなる?1〜グローバル化からナショナリズムへ(『ロシア政治経済ジャーナル』メルマガ) 投稿者 無段活用 日時 2017 年 1 月 11 日 10:19:03)



http://archives.mag2.com/0000012950/20170110000000000.html[本文のみ]


RPE Journal==============================================


       ロシア政治経済ジャーナル No.1486


               2017/1/10


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★米中冷戦時代がはじまる〜日本は?


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


モスクワ、1月7日、8日の夜は、マイナス35度まで下がったそうです。

うう寒い。

前号と前々号で、「2017年世界はどうなる?」という話をしました。

「二つの時流があります」と。

一つ目は、「グローバリズムからナショナリズム」という時流。

これで、「イギリスのEU離脱」「トランプ勝利」が起こった。

もう一つは、「アメリカと中国は対決する」という時流。

オバマさんが作った流れが、トランプでもっと強くなっていく。

今回の話、前号、前々号を読んでいないとわかりづらいと思います。

まだの方は、まずこちらからご一読ください。


●EU崩壊?キリスト教が危機に?日本は?ド〜なる、2017年の世界
http://www.mag2.com/p/news/233444

●2017年はどうなる?2〜米中覇権争奪戦のはじまり
http://archives.mag2.com/0000012950/20170108000000000.html


しょっちゅう書いていますが。

1937年、日中戦争がはじまりました。

この時、中国は、アメリカ、イギリス、ソ連から支援を受けていた。

(初期は、ドイツからも支援を受けていた。)

つまり、日本は、アメリカ、イギリス、ソ連、中国の4大国と戦っていたのです。

こんなもん、勝てるはずがありません。

私は自虐史観の持ち主ではありませんが、米英ソ中を同時に敵にまわすのは、愚かだったと思います。

普通はどうするのでしょうか?


▼イギリスは、なぜドイツに勝てたのか?


たとえばイギリスとドイツの関係を見てみましょう。

イギリスが衰退したのは、「20世紀に入ってから」と思われがち。

しかし、実をいうと、イギリスは1890年時点で、ドイツにあらゆる面で負けつつありました。

劣勢のイギリスはどうしたのでしょうか?

「三大国と和解すること」で挽回したのです。

「三大国」とは、フランス、ロシア、アメリカのこと。

イギリスは当時、フランスと、アフリカ、インドシナで争っていた。

そして、ロシアとは、ペルシャと中央アジアで争っていた。

イギリスから独立したアメリカとは、当時全然「特別な関係」ではありませんでした。

1890年代〜1900年代はじめ、イギリスは、ドイツに対抗するため、フランス、ロシアと和解し、アメリカとの関係を改善させていきます。

結果、ドイツは1914年にはじまった第1次大戦で大敗しました。

イギリスは、ロシアとアメリカを味方をつけたので勝つことができた。

見事です。

1890年からドイツを仮想敵と定め、フランス、ロシア、アメリカを味方につけた。

その大局観、長期的視点、戦略性を、私たちも見倣うべきです。

今の日本にあてはまるなら、敵ドイツにあたるのは、明らかに中国でしょう。

なんといっても、「日本に、沖縄の領有権はない!」と宣言している。

イギリスがドイツと戦うために和解し、関係を強化しつづけたのは、アメリカ、ロシア、フランスでした。

今の日本にあてはめれば、アメリカ、インド、ロシアでしょうか。

日本はこれら大国との関係を、「一貫して」「長期にわたって」強化していかなければなりません。

問題が多い日ロ関係についても、少なくとも20年ぐらい先を考えるべきです。


▼アメリカは、なぜソ連に勝てたのか?


さて、イギリスは、第2次大戦でもドイツに勝利しました。

今回も、アメリカとロシア(当時ソ連)を味方につけて勝った。

面白いのは、アメリカとイギリスが、「資本主義打倒」「米英打倒」を「国是」とするソ連と和解してドイツと戦ったこと。

米英は、「戦争に勝つためなら、なんでもする」ことを示しています。

さて、第2次大戦が終わると、アメリカとソ連の「冷戦時代」がはじまります。

アメリカ、今度は2次大戦中敵だった、日本とドイツ(西ドイツ)を味方につけることにしました。

また「敵」と組んだのです。

日本とは「日米安保」が結ばれた。

「日米安保」には二つの目的がありました。

まず第1に、ソ連の脅威から日本を守ること。

第2に、日本が再びアメリカに逆らわないようにすること。

2番目の理由で、「アメリカは日本を守るが、日本はアメリカを守らなくていい」という、「変な」軍事同盟になった。

日本がアメリカを守るためには、相応の軍事力をもつ必要がある。

日本に軍事力を持たせると、またアメリカに歯向かうかもしれない。


▼米ソ冷戦下で、空前の成長を遂げた日本経済


「冷戦」は、日本にとってどうだったのでしょうか?

二つの側面があります。

まず、ソ連という巨大な脅威がいる。 「核戦争で世界は破滅する」という恐怖が、いつでもありました。

ゴルバチョフが登場した80年代半ばまで、そうだった。

一方で、日本は1950年から1990年まで、40年に渡って世界が驚く経済成長をはたしました。

「日本に軍事力を持たせたくない」アメリカが、日本の安全を保証したので、日本は経済に専念できた。

「属国」なのはその通りなのですが、実際日本は、「冷戦でもっとも恩恵を受けた国」だったのです。

冷戦は、1991年末、ソ連の崩壊で終わりました。

日本経済の栄華も冷戦とほぼ同じ時期に終了。

以後、「暗黒時代」に突入していきます。


▼トランプは、どう動く?


こういう歴史を振り返ると、戦略国家アメリカは、


1、仮想敵を定める

2、仮想敵以外の国々と和解する



という、極めて普通のことを、極めて普通にやっていることがわかります。

オバマさんはこれを、8年の任期中6年間やっていませんでした。

というか、「敵」を「見誤った」のです。

GDP世界2位の中国ではなく、GDP世界12位(2015年)ロシアを「敵ナンバー1」と思ってしまった。

それで、ウクライナ、シリアでロシアと「代理戦争」をしてた。

米ロが戦っているうちに、中国はどんどん強力になってしまいました。

しかし、いつも書いているように2015年3月の「AIIB事件」以降、アメリカは変わりました。

ようやく中国を「最大の敵」と定め、動きはじめた。

トランプはどう動くのでしょうか?

「常識的な動き」をするに違いありません。

つまり、


1、中国を敵と定め

2、その他の国々との関係を改善していく



その他の国々の中で、最重要なのが日本です。

なんといっても日本は、GDP世界3位。

そして、親米国家でほとんど唯一「AIIB」参加を見送った。

安倍総理の「希望の同盟演説」は、「AIIB事件」で落ち込んでいたアメリカに力を与えました。

そして、二番目に重要なのがロシアです。

トランプが、「プーチン、プーチン」「ロシア、ロシア」と繰り返している。

「プーチンが、アメリカ大統領選の結果を操作した」といわれても、「別に、俺が勝ったからどっちでもいい」という感じ。

これは、トランプが「戦略的」に考えているから、そういう態度になるのです。

そして、トランプは、インド、ベトナム、フィリピンなどとの関係を、より強固にしていくことでしょう。

オバマさんが嫌悪しているフィリピン・ドゥテルテ大統領についても、「彼のやり方は正しい」といって、喜ばせています。


▼米ソ冷戦時代と米中冷戦時代の違い


トランプ新大統領で、米中冷戦時代がはじまる。

それで、アメリカは日本との関係をさら改善せざるを得ない。

だから、日米関係は良好になり、日本は楽になる。

こういう構図は米ソ冷戦時代と同じ。

しかし、米ソ冷戦時代と米中冷戦時代では、違うこともあります。

まず、経済。

米ソ冷戦時代、日本経済は、大繁栄しました。

しかし、米中冷戦時代に日本経済が、「大繁栄」することはなさそうです。

というのも、日本はすでに十分豊かな「成熟期国家」である。

「高度成長」するはずがありません。

もう一つは、ソ連と違って、中国は世界経済に統合されている。

ですから、今後ますます悪くなっていく中国経済の悪影響は、日本にも及ぶことでしょう。

そして、欧州経済にも暗雲が漂っているので、これも日本に影響します。

さらに、日本にとって、米ソ冷戦時代より米中冷戦時代の方が、「戦争の可能性」が大きい。

もちろん、「尖閣」のことです。

オバマさんは、ほとんどの期間「親中」でした。

しかし、2010年「尖閣中国漁船衝突事件」以降、一貫して「尖閣は日米安保の適用範囲」と断言し、日本を守りました。

しかし、トランプは、どうリアクションするか発言していない。

ですから、中国は、「トランプがどう動くか見てみよう!」と考え、挑発を激化させることでしょう。

「うまくいけば、尖閣をとってしまおう」と考えながら。

そして、最後に、「アメリカの変化」があります。

つまり、米ソ冷戦時代のアメリカと今のアメリカを比べると、明らかに今のアメリカの方が弱くなっている。

トランプさんが、「日本、韓国、NATO加盟国、サウジアラビアにもっと金を払わせる!」

というと、支持率が上がるような国になっている。

日本は、こういう変化をしっかり認識し、日米安保をより「双務的」なものにしていく必要があります。

それをすることにより、日本はアメリカのお墨つきを得て、軍備を増強できる。

そして、「アメリカをもっと助ける」という名目で、「軍事的自立」に近づいていけるのです。

米中冷戦時代がはじまる。

日本にとって、中国の脅威は変わりません。

しかし、2015年3月までずっと「親中」だったオバマ時代より、ずいぶん楽になることでしょう。

もちろん、一瞬たりとも油断は禁物ですが・・・。


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○メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」


発行者 北野 幸伯


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