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(回答先: ・2017年はどうなる?1〜グローバル化からナショナリズムへ(『ロシア政治経済ジャーナル』メルマガ) 投稿者 無段活用 日時 2017 年 1 月 11 日 10:19:03)
http://archives.mag2.com/0000012950/20170108000000000.html[本文のみ]
RPE Journal==============================================
ロシア政治経済ジャーナル No.1485
2017/1/8
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★2017年はどうなる?2〜米中覇権争奪戦のはじまり
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
引き続き、「2017年はどうなる?」を考えます。
昨日は、二つの時流のうち一つ目、「グローバリズムからナショナリズムへ」を見ました。
今回は、もう一つの時流について考えます。
それは、「アメリカと中国は対決する」という時流。
▼世界は、「米中二極時代」
第2次大戦終了から1991年までを、「冷戦時代」と呼びます。
別の言葉で、「米ソ二極時代」。
1991年12月、ソ連は崩壊し、新しい時代が到来した。
二極の一極(ソ連)が消え、一極(アメリカ)だけが残った。
それで、1992年から世界は、「アメリカ一極時代」になった。
「アメリカ一極時代」は、08年にはじまった「100年に1度の大不況」で終焉しました。
そして、また新たな時代に突入します。
09年から世界は、「米中二極時代」になりました。
世界は、GDP、軍事費世界1位のアメリカ、GDP、軍事費世界2位の中国を中心にまわっている。
(中国のGDPは、2010年日本を抜いて世界2位になった。)
しかも、米中の関係をみれば、明らかに、「沈んでいくアメリカ、昇っていく中国」という関係だった。
▼オバマ外交の迷走
オバマ大統領の一期目(09〜12年)、外交らしい外交はほとんどありませんでした。
というのも、「100年に1度の大不況克服」で忙しかった。
しかし、2期目になると、オバマさんは、かなり積極的な外交をするようになっていきます。
ところが、彼の外交は、アメリカの国益にまったく一致していないものでした。
2013年8月、オバマは、シリア・アサド軍が「化学兵器を使った」ことを口実に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。
しかし、2013年9月、「やっぱ、やめた」と戦争をドタキャン。
世界を仰天させました。
2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシアのヤヌコビッチ政権が崩壊。
2014年3月、ロシア、クリミアを併合。
アメリカは、欧州、日本を巻き込んで、対ロシア制裁を発動。
2014年8月、イスラム国への空爆開始。
このように、「アジア・ピボッド」「アジア・リバランス」などと言いながら、やってることは、シリア問題、ウクライナ、ロシア問題。
この期間、中国は誰にも邪魔されることなく、南シナ海の埋め立てを行うことができたのです。
オバマが迷走している間、習近平は、「中国の夢」にまい進していました。
▼目覚めたオバマ
しかし、2015年3月に「AIIB事件」が起こるとオバマは目覚めました。
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国などがアメリカの制止を無視し、中国主導「AIIB」への参加を決めた。
「親米諸国ですら、アメリカではなく中国を選ぶのか!!」
これでオバマは、ようやく「真の敵は、中国」であることを悟ったのです。
目覚めたオバマは、以後「天才リアリスト」のようにふるまいはじめました。
まず、2015年2月、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナが、「ウクライナ内戦停戦合意」に達していた。
オバマは当初、ウクライナ軍に武器を与えることで、これをぶち壊そうとしていました。
しかし、「AIIB事件」を受け、ウクライナ問題を放置することにします。
アメリカの干渉が無くなり、ウクライナは平和になりました。
2015年5月、ケリー国務長官はロシアに飛び、「制裁解除」に言及します。
つまり、ロシアと和解しはじめた。
2015年7月、アメリカはロシアと協力し、歴史的「イラン核合意」を実現します。
2016年2月、アメリカはロシアと協力し、「シリア内戦停戦合意」を実現しました。
(この合意は後に破棄されました。
しかし、2016年12月30日、ロシア、トルコ、イランの仲介により、「シリア停戦合意」が実現しています。
今回は、「アメリカ抜き」ですべてが行われました。
トランプは、「アサドは悪だが、ISよりマシ」と断言しているため、アサド政権が存続する可能性は、とても高くなっています。)
このように、「AIIB事件」後オバマは、
・ロシアと和解し
・ウクライナ問題
・シリア問題
・イラン核問題
を解決しようと努力し、かなりの成果をあげた。
一方で、中国による「南シナ海埋め立て問題」を大騒ぎしはじめ、対決姿勢を強めていきます。
2015年9月、訪米した習近平を冷遇し、米中関係悪化が誰の目にも明らかになった。
しかし、米ロ関係は現在、再び悪化しているように見えます。
アメリカ大統領選が近づくにつれ、両国関係は悪化してきた。
その理由は、「ヒラリーを勝たせるため」だろうと思います。
ロジックは、
・トランプは、「プーチンとの和解」を明言している。
・そのプーチンは、「悪魔のような男」である。
・トランプは、「悪魔」の「傀儡」である。
・だから、ヒラリーに投票してね!
そして、選挙後も、オバマ政権は、プーチン批判をつづけています。
「プーチンがアメリカ大統領選の結果を操作した」というのです。
▼トランプは、「2015年のオバマ路線」を継承、強化する
さて、トランプ。
トランプは、一貫して「プーチンとの和解」を主張しています。
ヒラリーに、「彼はプーチンの傀儡だ」といわれても、気にせず同じ主張をつづけていた。
そして、国務長官に指名したのは、プーチンの「親友」といわれるエクソン・モービルのティラーソン会長。
はっきりわかることは、
「トランプ大統領で、アメリカ、ロシア関係は好転する」
そして中国。
トランプは昨年12月2日、台湾の蔡英文総統と電話会談を行い中国を激怒させました。
アメリカ大統領と台湾総統の電話会談は、1979年の断交以降一度もなかった。
中国が抗議すると、トランプはツイッターにこう投稿しました。
「中国は彼らの通貨を切り下げること(つまり米企業の競争を困難にすること)、中国向けの米製品に重税を課すこと(米国は中国製品に課税していないのに)、南シナ海(South China Sea)のど真ん中に巨大軍事施設を建設することなどに関して、われわれに了承を求めたか?そうは思わない!」
トランプが米中の長年の慣習を破り、台湾総統と電話会談したことについて、「彼は無知だから」という意見があります。
しかし、私は「意図的にやった」と思います。
そして、トランプは、「対中強硬派」でまわりを固めています。
国防相に指名された「狂犬」マティスさんはいいます。
「中国が南シナ海やそのほかで、いじめのような強硬路線を拡大していくなら、現在のわれわれの取り組みと並行して、中国に対抗するための政策を構築して行く必要がある。
その対抗策は、われわれの経済にとって重要な安定と経済的繁栄を維持するための外交的な取り組みであり、太平洋地域の領土問題や安全保障、経済状況に対する中国の拒否権を否定できるものでなければならない」
(2015年1月27日、アメリカ議会での発言)
そして、新設される国家通商会議のトップは、超反中派。
トランプ氏、新設の「国家通商会議」トップに対中強硬派を指名
AFP=時事 12/22(木) 20:38配信
【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は21日、中国批判の急先鋒(せんぽう)として知られるピーター・ナバロ(Peter Navarro)氏を、貿易・産業政策を担う新たな組織「国家通商会議(White House National Trade Council)」のトップに指名すると発表した。
さらに、通商代表部(USTR)のトップも、超反中のライトハイザーさん。
中国は、これにも激怒しています。
中国共産党系メディア、トランプ氏に警告−次期USTR代表人事で
Bloomberg 1/5(木) 18:39配信
中国共産党系の新聞、環球時報は5日の論説で、トランプ次期米大統領が貿易戦争を起こそうとしたり米中関係の緊張を一段と高めようとした場合、トランプ氏は「大棒」に遭遇するだろうと警告した。
中国語の大棒は太いこん棒、力や脅しを意味する。
トランプ氏が米通商代表部(USTR)の次期代表に対中強硬派のロバート・ライトハイザー氏を起用すると発表したことを受け、同紙は「中国商務省の門の周りには花が飾られているが、扉の内側には大棒も隠されていて、その両方が米国民を待っている」との文章を掲載した。
このように、トランプが、「中国と対決する」と決意していることは明らかでしょう。
トランプ外交の基本は、
・ロシアと和解して、
・中国と対決する
です。
世界情勢は、この動きを軸にまわっていきます。
実をいうと、「ロシアと和解して、中国と対決する」のは、
リアリストの大家ミアシャイマーさん
世界一の戦略家ルトワックさん
が勧めている方法です。
そして、「AIIB事件」後のオバマ外交の方針でした。
日米関係は、どうでしょうか?
中国を封じ込めるのに、GDP世界3位の軍事同盟国・日本の協力が必要になる。
当然、両国関係はさらに良好になるでしょう。
そして、日ロ接近をアメリカが邪魔することもなくなるでしょう。
米ソ冷戦下で、日本は、非常に繁栄しました。
米中冷戦開始で、日本には、繁栄の道が開かれています。
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○メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」
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