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米情報トップ3人、中央がグラッパー国家情報長官 Jonathan Ernst-REUTERS
「トランプ圧政」で早くもスパイ流出が心配される米情報機関
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6675.php
2017年1月6日(金)19時00分 エミリー・カデイ ニューズウィーク
<「トランプvs米情報機関」の対決が、まだ大統領就任前というのにトランプ有利に傾きつつある。情報機関の分析を頭から信じない、情報機関のリストラ計画をリークするなどの攻撃に、タフなはずの情報機関も守勢に立たされている>
米情報機関のトップは木曜、これまで攻撃される一方だったドナルド・トランプ次期米大統領に反撃した。金曜には、ロシア政府が米大統領選に介入した問題をトランプに直接説明する予定だ。情報機関を目の敵にするトランプに、ここで巻き返しを図れるだろうか。
木曜にはジェームズ・クラッパー国家情報長官、マイケル・ロジャース国家安全保障局長、マーセル・レター情報担当国防次官がそれぞれ上院軍事委員会の公聴会で証言した。民主党全国委員会などがハッキング被害を受けてメールが流出した事件について、ロシア政府が関与したとする分析結果を改めて強調。その上で、ロシアの関与を頭から取り合わないトランプの姿勢は情報機関職員の士気を損ない、究極的にはアメリカの国家安全保障を傷つける可能性があると批判した。
「国内はもちろん、諸外国からも、アメリカの情報機関が信頼と確信を得ていることは重要だ」とクラッパーは言った。「それが信用を失くしかねない事態に、今や各国の交渉相手から懸念の声が多数寄せられている」
【参考記事】オバマが報復表明、米大統領選でトランプを有利にした露サイバー攻撃
米国家情報長官と国土安全保障長官は10月に共同声明を発表し、ロシア政府が民主党全国委員会とクリントン陣営の選対本部長だったジョン・ポデスタのメールのハッキングは「ロシア政府の指示」によると断定。その結論に対し、トランプは繰り返し疑問を呈してきた。さらに、米情報機関が2002年に「イラクに大量破壊兵器がある」と誤った情報を流した過去の失態をやり玉に挙げ、当局が出す情報は信頼性に欠けるとこき下ろした。
【参考記事】米国大統領選挙を揺さぶった二つのサイバーセキュリティ問題
■トランプの下でスパイはやりたくない
加えて4日には、トランプの政権移行チームが情報機関を統括する国家情報長官室や中央情報局(CIA)の再編を検討していることを米メディアが報じた。
トランプが情報機関をないがしろにしていることに関して質問を受けると、クラッパーは慎重に言葉を選びつつ、こう指摘した。「為政者は常に懐疑的であるべきだが、情報に対する健全な疑問と単なる情報軽視は区別しなくてはならない」
民主党議員から情報機関で働く職員の士気について尋ねられたロジャース国家安全保障局長は、トランプ次期大統領から支持を得られなければ職員の退職が相次ぐ事態を招きかねないと懸念を示した。「国家の指導者から信頼されていることが、我々を奮い立たせる面は大いにある。とにかく職員が退職するような事態は望まない」
【参考記事】クリントンよりトランプの肩を持ったFBI長官
米情報機関はバラク・オバマの大統領命で米大統領選を狙ったロシアのサイバー攻撃について徹底調査を行ってきたが、この日の公聴会ではその内容について目新しい証言は出なかった。機密扱いの部分を除いた報告書は来週早々に公開されると、クラッパーは言った。議会に対しては今後、機密情報も含めたブリーフィングを行う予定だ。
米情報機関は、ロシア政府の指導者が指示して選挙に介入したと確信していると、クラッパーは繰り返した。「10月7日に発表した声明の確証は益々強まった」
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