2020年年末から21年前半での関東地方陸域でのかなり大きな地震発生予測 以下の6点から、この年末から来年2021年前半に関東地方内陸部でのM5以上、多分M7程度の地震が起こると予測します。 (1)311大地震の震源域の北側と南側でM5以上地震の発生数の不均衡が大きくなっている。 311大地震の震源域の北側とは、宮城県以北の地震で北海道での地震を含む。 311大地震の震源域の南側とは、福島県以南の地震で、東北及び関東の地震。北陸は新潟県を含み、富山県、石川県などは含まない。 =========北側==南側 2018年:33件ー26件 2019年:21件ー26件 2020年:15件ー35件(*12月24日現在) 2018年は311大地震の北側での発生が多いが、今年はそれが半分以下にあり、南側は北側の2倍以上になっている。そのため、今年以降311大地震の南側での太平洋プレートの沈み込みが急激に大きくなっているように見える。 (2)関東地方で茨城県地震と千葉県地震の件数の差が大きくなっている。(*全体に対する割合とは、関東地方の震度1以上地震の合計に対する割合) 震度1以上の地震で見て、茨城県地震はこの1月から一か月あたり10件前後で推移している。しかし、千葉県地震は今年前半から見て減少傾向にあり、特にこの12月は27日現在までに2件しか発生が無く、明確に地震静穏化が発生している。地震静穏化はM7以上の大きな地震が起こる直前数か月に発生する傾向がある。 01月:(茨城県計:13件、全体に対する割合:56%)(千葉県地震:05件、全体に対する割合:22%) 02月:(茨城県計:11件、全体に対する割合:46%)(千葉県地震:09件、全体に対する割合:38%) 03月:(茨城県計:09件、全体に対する割合:38%)(千葉県地震:05件、全体に対する割合:21%) 04月:(茨城県計:11件、全体に対する割合:39%)(千葉県地震:12件、全体に対する割合:43%) 05月:(茨城県計:08件、全体に対する割合:30%)(千葉県地震:06件、全体に対する割合:22%) 06月:(茨城県計:10件、全体に対する割合:45%)(千葉県地震:08件、全体に対する割合:36%) 07月:(茨城県計:13件、全体に対する割合:50%)(千葉県地震:05件、全体に対する割合:19%) 08月:(茨城県計:10件、全体に対する割合:43%)(千葉県地震:08件、全体に対する割合:35%) 09月:(茨城県計:16件、全体に対する割合:62%)(千葉県地震:05件、全体に対する割合:19%) 10月:(茨城県計:11件、全体に対する割合:39%)(千葉県地震:05件、全体に対する割合:18%) 11月:(茨城県計:09件、全体に対する割合:45%)(千葉県地震:05件、全体に対する割合:25%) 12月:(茨城県計:13件、全体に対する割合:24%)(千葉県地震:02件、全体に対する割合:04%)12月25日正午現在 (3)伊豆諸島付近での地震多発が起こる12月18日の前日である17日までの震度1以上地震の起こり方を見ると、関東多発の傾向にある。 12月11日から17日までの7日間の震度1以上地震は34件で、その内、関東での地震が12件、35%を占める。しかも、12日の岩手県沖M5.6以降で見ると、46%にもなる。 また、12月1日から17日までで、全国で64件の震度1以上地震があり、関東はその内23件で35.9%にもなる。この割合は2018年1月以降の月別の数値では最大。同様に、関東+東北の合計地震数に対する関東の割合で見ても、2018年1月以降で最大となる。伊豆諸島付近での地震多発が18日以降発生したため、12月27日現在で見ると、圧倒的にこの12月は関東地方の地震割合が大きい状態になっている。311大地震直前の2月から3月10日までの期間は東北地方の地震が多発であり、関東のこの12月の状況は良く似ていると言える。 (4)海溝型の大地震M8以上が起こる前には、陸域でM7程度の地震が起こる傾向がある。 海溝型のプレート境界地震である311大地震が起こる前、2004年中越地震、2007年中越沖地震、2008年岩手・宮城内陸地震とM7クラスの地震が続発している。これは、大きな固着域である海溝部から海のプレートの沈み込み圧力が陸のプレートへ伝わり、結果として陸のプレート内で活断層地震が起こり、それによって海溝部の大きな固着域のかみ合わせが緩み、海溝型のプレート境界地震が起こると説明できる。なお、一連の地震の始まりは1993年の北海道南西沖地震だと思われる。このM8級の地震が日本海で発生したため、日本海東遠歪み集中帯という地震の帯の存在が認めらた。また、事実、日本列島が地震の活動期に入ったと言われた阪神大震災は1995年のことである。 関東地方を見ると、その西側である大阪で2018年に大阪府北部地震M6が発生し、今年3月からは次のように関西から中部圏でM5以上が7件も発生している。 2020年03月13日 02時18分頃 石川県能登地方 M5.5 最大震度5強 2020年04月23日 13時44分頃 長野県中部 M5.5 最大震度4 2020年05月19日 13時13分頃 岐阜県飛騨地方 M5.3 最大震度4 2020年05月29日 19時05分頃 岐阜県飛騨地方 M5.2 最大震度4 2020年08月07日00時35分頃 三重県南東沖 M5.2 最大震度2 2020年09月04日09時10分頃 福井県嶺北 M5.0 最大震度5弱 2020年09月27日13時13分頃 静岡県西部 M5.3 最大震度4 気象庁の震度データベースで、震央地名を富山県東部から大阪湾までの49地域、M5以上で年別回数表を出力させると、 2012年:04件 2013年:01件 2014年:02件 2015年:00件 2016年:02件 2017年:04件 2018年:05件 2019年:01件 2020年:10件(12月25日現在) となり、関西から中部地方でのM5以上地震が、311以降の2012年からの9年間で、今年は2倍以上に増えていることが分かる。なお、気象庁の震度データベースは気象庁が地震直後に発表するデータとは震源地やマグニチュードなどが一致しないことがある。 311大地震前はM7規模の地震が東北地方で続発したが、今年、中部から関東での地M5規模の地震しか発生が無い。この原因としては、311大地震がM9規模で非常に大きかったことに対し、今後関東で起こる海溝部でのプレート境界型大地震はそこまでは大きくないM8規模であると予測されること。そして、311大地震での固着域が基本的に一か所であったのに対し、関東付近の固着域はいわき沖から茨城県北部、犬吠埼付近、そして房総半島南端から南東に離れた鹿島第1海山の3か所に分散しているため、そこから陸のプレートへ伝達される海のプレートの押す力が比較的平均的に伝わって大きなものになりにくいことの二つがあると思われる。 (5)関東地方の陸域のM5以上地震を見ると、2019年1月以降は半年で陸域多発の期間が繰り返されている。2020年前半は7件あったが、後半はまだM5以上の発生が無く、2021年前半は関東陸域でのM5以上多発が予測される。 以下、関東地方を3つに区分して、地震を分類してあります。 「関東陸域」とは震源地が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県の海域を含まない地震のことです。よって、茨城県沖は含まず、茨城県南部は含むというようなことになります。 海域については、「関東海域」と「伊豆・小笠原」に分けてあります。つまり、関東平野に近い海域を「関東海域」とし、伊豆諸島と小笠原諸島に関連した海域は「伊豆・小笠原」と分類しています。 関東陸域の頻発が半年ごとに繰り返されているように見える。 2019年前半:関東陸域:3件 2019年後半:関東陸域:0件 2020年前半:関東陸域:7件 2020年後半:関東陸域:0件 以下の一覧で、行末に「**関東陸域」とあるのは関東陸域、「**」とのみあるのは関東海域、何もないのは伊豆・小笠原。 関東地方のM5以上の地震で、震度1以上を記録しなかったものも一部に含まれている。 以下、震源地名の右側にある数値は、マグニチュード、最大震度を示す。 2019年1月6日 7時54分ごろ 小笠原諸島東方沖 5.6 1 2019年1月18日 21時46分ごろ 千葉県北東部 5.3 3 **関東陸域 2019年1月29日 12時42分ごろ 千葉県東方沖 5.3 2 ** 2019年2月12日 21時36分ごろ マリアナ諸島 6.6 1 2019年3月3日 1時34分ごろ 硫黄島近海 5.4 1 2019年4月5日 18時57分ごろ 鳥島近海 5.9 2 2019年4月12日 16時31分ごろ 父島近海 5.6 1 2019年5月25日 15時20分ごろ 千葉県南部 5.1 5弱 **関東陸域 2019年6月2日 5時14分ごろ 硫黄島近海 5.7 1 2019年6月4日 13時40分ごろ 鳥島近海 6.1 4 2019年6月17日 8時00分ごろ 茨城県北部 5.2 4 **関東陸域 2019年6月24日 9時11分ごろ 千葉県南東沖 5.5 4 ** 2019年6月29日 0時52分ごろ マリアナ諸島 6.5 1 *13(伊豆・小笠原:8件、それ以外:5件)関東陸域:3件、関東海域:2件 2019年7月25日 7時14分ごろ 千葉県東方沖 5.3 3 ** 2019年7月30日 5時38分ごろ 八丈島東方沖 6.0 3 2019年9月16日 09時29分ごろ 硫黄島近海 5.4 1 2019年10月09日 17時52分ごろ 鳥海近海 5.0 1 2019年10月12日 18時22分ごろ 千葉県南東沖 5.7 4 ** 2019年10月19日 04時15分ごろ 父島近海 5.4 1 2019年12月30日 13時11分頃 父島近海 5.4 1 *7(伊豆・小笠原:5件、それ以外:2件)関東陸域:0件、関東海域:2件 **20(伊豆・小笠原:13件、それ以外:7件)関東陸域:3件、関東海域:4件 2020年01月03日 03時24分頃 千葉県東方沖 5.9 4 ** 2020年01月05日 11時11分頃 硫黄島近海 5.7 1 2020年01月14日 04時53分頃 茨城県南部 5.0 4 **関東陸域 2020年02月01日 01時11分頃 千葉県北東部 5.1 3 **関東陸域 2020年02月01日 02時07分頃 茨城県南部 5.3 4 **関東陸域 2020年02月06日 20時20分頃 茨城県沖 5.6 2 ** 2020年03月26日 14時53分頃 硫黄島近海 5.8 1 2020年04月12日 00時44分頃 茨城県南部 5.1 4 **関東陸域 2020年04月18日 17時26分頃 小笠原諸島西方沖 6.9 4 2020年04月18日 18時25分頃 小笠原諸島西方沖 6.0 2 2020年05月04日 22時07分頃 千葉県北東部 5.5 4 **関東陸域 2020年05月06日 01時57分頃 千葉県北西部 5.0 4 **関東陸域 2020年05月11日 08時58分頃 茨城県沖 5.5 3 ** 2020年06月01日 06時02分頃 茨城県北部 5.3 4 **関東陸域 2020年06月04日 15時26分頃 父島近海 5.0 1 2020年06月25日04時47分頃 千葉県東方沖 M6.1 5弱 ** *16(伊豆・小笠原:5件、それ以外:11件)関東陸域:7件、関東海域:4件 2020年07月06日21時59分頃 マリアナ諸島 M5.8 1 2020年07月07日03時20分頃 鳥島近海 M5.5 1 2020年07月30日09時36分頃 鳥島近海 M5.8 -- 2020年08月06日02時54分頃 茨城県沖 M5.6 3 ** 2020年07月30日09時36分頃 鳥島近海 M5.8 -- 2020年08月06日02時54分頃 茨城県沖 M5.6 3 ** 2020年09月03日00時21分頃 父島近海 M5.5 4 2020年09月07日06時34分頃 茨城県沖 M5.2 3 ** 2020年10月03日18時31分頃 八丈島東方沖 M6.0 3 2020年10月22日00時20分頃 硫黄島近海 M5.0 1 2020年11月07日10時11分頃 小笠原諸島東方沖 M6.2 1 2020年11月18日10時01分頃 東海道南方沖 M5.1 1 ** 2020年11月22日19時06分頃 茨城県沖 M5.7 5弱 ** 2020年12月06日13時07分頃 八丈島東方沖 M5.0 1 2020年12月18日18時09分頃 伊豆大島近海 M5.0 5弱 *15(伊豆・小笠原:10件、それ以外:5件)関東陸域:0件、関東海域:5件 **31(伊豆・小笠原:15件、それ以外:16件)関東陸域:7件、関東海域:9件 (6)311大地震以降あまり起こっていなかった地震がこの12月発生している。 日本全国で見て、M6以上がこの12月は3件発生している。普通は年間10件から18件程度であるため、12月は多発と言える。また、比較的深い地震としてかなり長く起こっていなかった地震が発生しだしている。深発地震は海のプレートが地表近くから沈み込んだ先で起こるものであるため、沈み込んだプレート全体による引く力を大きくする効果があり、今後、海のプレートから陸のプレートへの押す力が大きくなる可能性が高い。結果的に内陸部でのM5以上地震が今後頻発するようになる可能性が高い。 2020年12月25日05時38分頃 種子島近海 M4.5 最大震度2 種子島近海では、震源深さが100キロ以上で、311以降は10件目。2000年1月から2011年2月までは6件。前回は2018年11月21日。 2020年12月25日06時27分頃 宮城県北部 M4.0 最大震度2 宮城県北部では、震源深さが100キロ以上で、311以降は5件目。2000年1月から2011年2月までは6件。前回は2019年01月06日。 更に、この12月は、311以降で最大の地震が幾つか発生している。 2020年12月21日02時23分頃 青森県東方沖 M6.5 最大震度5弱 青森県東方沖では、311以降で見ると、M6以上は6件でこの12月のものが最大。M6.0が2012年5月24日、M6.1が2019年8月29日、2014年10月11日、2014年8月10日、M6.2が2018年1月24日 2020年12月18日18時09分頃 伊豆大島近海 M5.0 最大震度5弱 311以降で見ると、伊豆大島近海では2014年5月5日にM6.0が発生しているが、震源深さが100キロ以上であり、太平洋プレートの沈み込みで起こったもの。この12月のM5.0は震源深さが10キロであり、性格が異なる。2008年8月以降の日本気象協会のデータベースで見ると、2014年5月5日M6.0に次ぐ大きさであり、震源深さの浅い地震としては311以降で最大。 2020年12月13日08時50分頃 山梨県東部・富士五湖 M4.0 最大震度1 この地震は震源深さ180キロという深発地震であり、山梨県東部・富士五湖を震源地とする地震として、M4以上で震源深さ180キロの地震は、気象庁の1919年1月以降の震度データベースで見て、2020年2月2日のM4.5があるだけ。 2020年12月10日22時20分頃 台湾付近 M6.3 最大震度2 この地震は震源深さが約80キロとされる。 気象庁の1919年1月以降の震度データベースで見ると、台湾付近の震源深さは86キロで、震源深さ70キロ以上は311以降この地震を入れて2件のみであり、他の一件は2012年6月10日のM6.0、震源深さ74キロ。 2020年12月01日07時55分頃 サハリン西方沖 M6.6 最大震度3 震源深さ約610キロの深発地震。 気象庁の1919年1月以降の震度データベースで見ると、サハリン西方沖の地震としてはM6.0以上、震源深さ500キロ以上はこの地震と1939年4月21日のM6.9、震源深さ563キロの2件しかなく、間違いなく311以降で最大の深発地震。 *なお、現在、北海道の襟裳岬の南東沖にある襟裳海山付近で微小地震が多く起こっていることが、Hi-net自動処理震源マップの最新7日間などを見ることで分かります。仮にこの付近でM7以上地震が起こると、関東でのM7以上地震が後続する可能性があります。過去の例としては次の事例があります。 1677年 4月13日(延宝5年3月12日) 延宝八戸沖地震 - 陸奥、陸中、八戸沖(青森県東方沖)で地震 - M 7 1?4?8.0 11月4日(延宝5年10月9日) 延宝房総沖地震(延宝地震) - M 8.0前後(Mw 8.5)、死者500?600人。福島県?千葉県に津波(茨城県地方史上最大の津波被害)。 また、仮に関東平野の東方沖で海溝型の大きな地震が起こると、関東から関西までの内陸部でM5以上地震が頻発する時代になるはずで、毎月1つの震源地でM5以上地震が起こるという状況が100年程度は継続するようになると思われます。 *襟裳海山は日本海溝が千島海溝へ変わる地点。日本海溝の北端に位置する。南端は鹿島第1海山でこれ以南は伊豆・小笠原海溝になる。
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