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ベネチアで記録的な洪水、過去50年で最悪
恒例行事と片付けてはいけない、年々深刻に
2019.11.14
太ももまである長靴を履き、水没したサン・マルコ広場を横断する人々。イタリア、ベネチアの街は53年前に次ぐ観測史上2番目の水位を記録した。(PHOTO BY MARCO BERTORELLO, AFP/GETTY)
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イタリアのベネチアが記録的な洪水に見舞われている。嵐と高潮が原因で、53年前に次ぐ観測史上2番目の水位を記録。世界有数の観光都市の大部分が水没している。(参考記事:「ミステリアスで美しい、ベネチア・カーニバルの魅力」)
ベネチアでは例年11〜12月にアクア・アルタと呼ばれる異常潮位が発生する。季節風によってベネチアを取り巻く潟(ラグーナ)の水量が増し、運河や配水管を逆流。あふれ出た水が街を水浸しにする。今回は1.8メートル超と、観測史上最も水位が上昇した1966年に次ぐ値を記録した。
ベネチアでは、街が水浸しになると、サン・マルコ広場に高床式の歩道が設置される。しかし、複数の報道によれば、歩道はすでに撤去されているという。あまりに水位が高く、歩道が押し流される危険があるためだ。
2018年にも、高潮と大嵐が原因で、歴史的な都市の75%が水没している。(参考記事:「2018年、水の都ベネチアが洪水で水没 悪天で高潮が発生」)
ギャラリー:2018年のベネチア洪水 写真11点
水浸しの店で一服するベネチア市民。(PHOTOGRAPH BY GIACOMO COSUA, NURPHOTO VIA GETTY IMAGES)
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毎年のように水没するベネチアだが、恒例行事と片付けてはいけない。世界的な気候変動と海面上昇の影響で、ベネチアの洪水は年を追うごとに深刻さを増している。
地中海沿岸は21世紀末までに海面が1.5メートルほど上昇するとも予測されている。もしそうなれば、海抜の低いベネチアは、現状の年平均4回より高い頻度で水害に見舞われる恐れがある。
ベネチアのリーダーたちは街を救うため、2003年に野心的な計画を始動。可動式の防波堤で街とラグーナを守る地球工学プロジェクトMOSE(電気機械実験モジュール)だ。しかし、数十年前の技術をベースにした計画であるうえ、予算超過と汚職の問題に悩まされている。
防波堤は2011年に完成する予定だったが、複数の関係者によれば、少なくともあと3年はかかる見込みという。(参考記事:「観光客の波がベネチアを台無しにする?」)
文=NATIONAL GEOGRAPHIC STAFF/訳=米井香織
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/111400662/
史上2番目の大高潮で「水の都・ベネチア」85%浸水 なぜ発生?
森さやか | NHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士
11/14(木) 10:06
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12日のベネチア・サンマルコ寺院の様子(写真:ロイター/アフロ)
水没の危機が叫ばれる世界遺産のベネチアで12日(火)、水位が観測史上2番目の高さまで上昇し、町の85%以上が浸水しました。
浸水の状況
ベネチアは、百以上の小島が数百の橋や運河でつながれた水上都市で、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
ベネチアは潟の上に作られた都市なので、頻繁に洪水が発生します。特に近年は海面水位の上昇で水没の危機が叫ばれています。12日(火)には水位が187センチに達し、観測史上2番目の高さとなりました。町の85%以上が浸水したと伝えられています。
ナポレオンが「世界一美しい広場」と称賛したサンマルコ広場も浸水し、太ももまで水に浸かって歩いている人の姿も見られました。この広場に面して建つサンマルコ寺院も浸水し、タイルやモザイク画などが劣化した可能性があるといいます。サンマルコ寺院が洪水の被害に遭うのは、1,200年の歴史の中で6度目、ここ20年の間では4回目とのことです。
Reuters
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@Reuters
Swimmer takes a dip in the floodwaters of Venice’s St. Mark's square after the iconic tourist attraction was submerged by more than one meter of water https://reut.rs/33IAW6d
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7:30 - 2019年11月14日
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(↑泳ぐ人もいたよう)
浸水の原因
11月から12月はベネチアの洪水のシーズンです。その状態は「高水」を意味する「アクア・アルタ(Acqua Alta)」と呼ばれています。
NASAの12日の衛星画像に筆者加筆
アクア・アルタの起きる原因は、満潮と「シロッコ」と呼ばれる南風、さらに低気圧です。これら3つが重なることで潟内の水量が増え、洪水が発生します。そもそもベネチアはアドリア海の北端に位置しているため、シロッコ(南風)が行き止まる場所にあたり、高潮が起きやすい地形なのです。
今回は12日がちょうど満月で大潮であったこと、発達した低気圧が2つも接近していたうえに、強い南風も吹いていたことから、水位が上昇したと考えられます。そのうち一つの低気圧は、メディタレニアン(地中海)とハリケーンの造語である「メディケーン」という名前の、地上に暖気、上空に寒気を伴った強い嵐でした。
これまでの最高水位は1966年11月に観測された194センチで、この時は町の90%が浸水、数千人が家を失ったといわれています。
地球温暖化と地盤沈下
ベネチアの洪水は年々増加しています。その理由は、温暖化による海面水位の上昇と、地下水のくみ上げ過ぎやプレートの沈み込みによる地盤沈下といわれています。19世紀後半に比べて海面水位が28センチも上昇しているようです。
イタリア政府は、水路に可動式のゲートを設置して、海水の浸入を防ごうとする「モーゼ計画」を2003年から実施していますが、いまだ完成には至っていません。
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森さやか
NHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士
NHK国際放送局気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に「竜巻のふしぎ」「天気のしくみ」(共著/共立出版)がある。
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森さやか | NHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士 11/8(金) 13:12
台風23号の衛星画像 (出典元: 左は気象庁、右はNOAA)
今日11月8日は暦の上で「立冬」です。立冬とは「秋が極まり、冬の気配が立ち始める時期」のこと。北海道では雪が降り、東京でも朝晩の冷えが身にしみて感じられる季節となってきました。
一方で海上ではいまだ複数の台風が渦を巻いています。
RAMMB/CIRA出典の衛星画像に筆者加筆
特に日本の南東の海上に発生している台風23号(国際名:ハーロン)は、大発達を遂げました。
気象庁によると、6日(水)の中心気圧は905hPa、最大風速は60m/sで、15号や19号より強く、今年最強の台風となりました。
実はこの台風、今年最強どころか、もしかすると「世界史上最強クラス」である可能性が囁かれています。なぜでしょう。
アメリカのウィスコンシン大学のホームページには、23号の中心気圧が推定で892hPaまで下がったと書かれてあるのです。これは、気象庁の発表した気圧と13hPaも低いことになります。
台風の解析方法の違い
●ドボラック法●
この差は、台風の解析方法の違いに起因します。
台風の強さは「ドボラック法」を用いて決定されています。ドボラック法とは、1970年代にアメリカの気象学者ヴァーノン・ドボラック氏が考案した、気象衛星画像から強度を推定する方法です。
具体的には、台風の雲のパターンから「CI数」と呼ばれる台風の強さを決定して、そこから下のような表に照らし合わせて最大風速や中心気圧を推定するのです。
気象庁気象研究所のリストを参考に筆者作成
●新ドボラック法
一方でウィスコンシン大学はドボラック法を元に独自の「新ドボラック法」を開発しています。23号の中心気圧892hPaというのは、この解析方法を用いた値です。
新ドボラック法で最強と記録されている台風は、1位がハリケーン・パトリシア(2015年メキシコ上陸)、2位が台風・ハイエン(2013年フィリピン上陸)、そして3位が台風・チップ(1979年日本上陸)となっています。今回の23号は、上位10位以内に入ってくる可能性があります。
ではどちらの方法が真実に近いのでしょう。
一例ですが、2004年のハリケーン・アイヴァンの例において、新ドボラック法の値の方が気象偵察機を飛ばして測った実測値に近い数字が出たという結果が出ています。
さよなら、23号
いずれにせよ、これほどの規模の台風が立冬のシーズンに現れるのはそうあることではありません。11月以降に中心気圧が905hPa以下に下がった台風は、1951年からこれまでに13例しかないのです。
23号の国際名ハーロン(Halong)の名前の由来は、ベトナム語のハロン湾ですが、フィリピンのイロンゴ語では「さよなら」を表す単語でもあるそうです。ハーロンは名前の通り日本から遠ざかっており、ほっとひと安心です。
***参考文献***
"Reprocessing the Most Intense Historical Tropical Cyclones in the Satellite Era Using the Advanced Dvorak Technique" (PDF)
"The Advanced Dvorak Technique: Continued Development of an Objective Scheme to
Estimate Tropical Cyclone Intensity Using Geostationary Infrared Satellite Imagery" (PDF)
"台風の強度推定" 気象庁気象研究所
森さやかNHK国際放送局 気象アンカー、気象予報士
NHK国際放送局気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に「竜巻のふしぎ」「天気のしくみ」(共著/共立出版)がある。
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20191108-00149881/
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