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“危険な台風” 気象庁会見から見えたものは…
2019年10月11日 21時00分台風19号 警戒点
大型で非常に強い台風19号。12日に東海地方または関東地方に上陸する可能性が高まってきた。今の勢力で上陸すれば東日本では観測史上初めて。
気象庁は11日に開いた会見で、1200人を超える犠牲者が出た61年前の台風を引き合いに出し「それに匹敵する」と呼びかけた。
今回の台風19号。
気象庁が指摘する「危険な状況」とは、いったいどういうことなのか。
記者会見から台風の姿や警戒点を読み解いた。
(社会部記者 老久保勇太 ネットワーク報道部記者 管野彰彦 斉藤直哉)
大雨特別警報が関東・東海に?
「広い範囲で記録的な大雨となる見込みで、状況によっては大雨特別警報を発表する可能性があります」
11日午前11時からの会見序盤、気象庁の梶原靖司予報課長はこう述べ、最大級の警戒を呼びかけた。
もし、関東地方で大雨特別警報が出るとなると、平成27年の「関東・東北豪雨」で栃木県と茨城県に発表されて以来。
『特別警報』ということばが与えるインパクトや影響を気象庁が知らないはずはない。これまでの会見では質疑の中で可能性に触れることはあったが、会見の“ど頭”から言及すること自体、異例のこと。
ある幹部は「気象庁に長年いるが、関東に近づくこんな台風は見たことない」と漏らす。
会見室にいた記者(老久保)は、それだけ今回の台風に対する危機感を伝えようとする気象庁の意図を感じた。
“犠牲者1200人超 狩野川台風に匹敵か”
「12日から13日にかけて、西日本から東北地方では広い範囲で台風に伴う非常に発達した雨雲がかかるため、非常に激しい雨や猛烈な雨が降り、東日本中心に“狩野川台風”に匹敵する記録的な大雨となるおそれがあります」
梶原課長が大雨の見通しを語る中で言及したのが、61年前の「狩野川台風」だ。
昭和33年(1958年)9月に静岡県へ接近し、神奈川県の三浦半島に上陸。
台風による大雨で伊豆半島を流れる「狩野川」が決壊したほか、各地で氾濫や土砂災害が相次いだ。
犠牲者は、合わせて1200人を超えた。
年配の人の中には、今も強い記憶となって刻まれている台風だ。
この台風では、とにかく雨が降り続いて記録的な豪雨となり、伊豆半島中部では総雨量が750ミリに達した。
また1日に降った雨の量は
▽伊豆大島で419.2ミリ ▽東京の都心で371.9ミリ
▽埼玉県秩父市で288.7ミリ ▽横浜市で287.2ミリ。
東京の都心と横浜市の観測史上最多雨量は令和の今に至るまで、この時から更新されていない。
今回の台風では、接近前から東日本の太平洋側を中心に、雨が長時間にわたって降り続くと予想されている。
雨の予想は変わる可能性があり、地域によって土砂災害や洪水のリスクが高まる雨量に差はあるものの、平年の数か月分に達するような雨量に至る可能性がある。
これだけの雨が降れば、大きな河川でも氾濫の危険性が高まり、土砂災害が起きるおそれが十分にある。
そうした危険性を知ってもらうためにも、あえて「狩野川台風」を引き合いに出したという。
暴風と高波高潮の危険も
「12日から13日にかけて、西日本、東日本、東北地方の広い範囲で猛烈な風が吹き、記録的な暴風となるところもある」
会見では大雨だけでなく、風や波、高潮にも繰り返し警戒が呼びかけられた。
11日夕方時点の予想では、12日にかけての最大風速は東海で45メートル、関東甲信で40メートル。車を運転するのも難しく、走行中のトラックが横転するような風とされ、屋外での行動は極めて危険だ。
さらに最大瞬間風速は東海、関東甲信ともに60メートルと予想されている。
先月の台風15号の際、千葉市で観測した最大瞬間風速は57.5メートル。
去年、関西空港で強風に流されたタンカーが連絡橋に衝突した台風21号の際に58.1メートルを観測した。それに匹敵する風が吹く可能性があるというのだ。
また東海、関東、伊豆諸島の沿岸では、うねりを伴って波の高さが13メートルの猛烈なしけが続くと予想されている。
台風21号で被害を受けた関西空港(去年9月)
さらに、高潮。
台風の中心付近は気圧が低く、海面が吸い上げられてふだんよりも上昇する。今は大潮の時期で、満潮時刻と台風の接近・通過が重なると高潮が発生するおそれがある。
加えて、非常に強い南風が吹くと海水が吹き寄せられて海面はさらに高くなるおそれもある。高波と違い海面全体が盛り上がるため、海岸近くは非常に危険だ。
“沿岸前線”で長雨のおそれ
台風19号は多くの人が暮らす首都圏を直撃しようとしている。
会見ではふだん雨量が多くなりやすい山の南東側の斜面だけでなく、平地でも記録的な大雨になるおそれが指摘された。
その原因は、局地的なため天気図には現れにくい「沿岸前線」だ。
狩野川台風の時も、この“沿岸前線”によって大雨となった可能性があるとのこと。
今回も首都圏の平地でも長時間雨が降り続き、記録的な雨量となるおそれがあり、警戒が必要だ。
「本州上の朝の気温が結構冷え込んだりということで、大気の下層に冷たい空気がたまっているという状況がありまして、湿った暖かい南東風と陸上の冷気層との間の前線が、非常に明瞭になるということも想定されまして、そういった前線は停滞性が強いということもあり、その前線の近くで総雨量が非常に多くなるというおそれがある」
東側だけじゃない 北西側にも気をつけて
今回の台風19号、関東や東海を中心に影響が避けられないが、日本海側でも警戒が必要だ。その理由は『秋台風』と『高気圧』。
「今回の台風はいわゆる秋台風でして、大陸方面から日本海方面にかけて、勢いよく高気圧が張り出してくるということで、台風の危険範囲ではない北西側などでも、この高気圧と台風との間で気圧の傾きが急になり、台風の北側あるいは西側でも暴風あるいは強風が広い範囲で吹く。また、湿った北東風、北風の吹きつけによって、北陸から山陰地方などでも総雨量が多くなるおそれがある状況を想定しております」
反時計回りに風が吹く台風は、進路と風の向きが重なるため、一般的に東側で風や雨が強まることが知られている。
ところが今後、大陸から日本海にかけて移動性の高気圧が張り出す予想となっている。
その高気圧と北上する台風の間で気圧傾度(気圧の傾き、狭いほど風が強まる)が急になり、台風の北西側、つまり北陸や山陰など日本海側でも暴風や強風が吹くおそれがある。
また日本海側では、北寄りの湿った風が吹きつけることで雨が降り、台風が三陸沖に進んだあとも湿った空気が流れ込み続ける。
総雨量が多くなるおそれがあり、警戒が必要だ。
かなりの大雨と暴風 確実に
「難を逃れることを最優先にして、不要な外出はせずに、安全を確保していただきたい」
会見で梶原課長は、繰り返し命を守る行動をとるよう呼びかけた。
特に気がかりなのは、先月の台風15号で大きな被害を受けたばかりの千葉県や伊豆諸島だ。千葉では3万5000を超す住宅が被害を受けた。今も屋根にシートをかけた家も多く、復旧は十分に進んでいない。
「台風15号の被災地では、ブルーシートの状態の家屋もまだたくさんあるという状況です。そういった場合、今回の台風によって、まず確実に、かなりの大雨でかなりの暴風となるということで、家の中にとどまること自体、危険なことも想定されます。地元の市町村が開設している避難所をとにかくを活用するとか、あるいは早い段階で親戚といったところに退避するとか。とにかく難を逃れる方策をしっかりとってもらいたい」
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気象庁「1200人以上犠牲の狩野川台風に匹敵 特別警報も」
気象庁「1200人以上犠牲の狩野川台風に匹敵 特別警報も」
2019年10月11日 20時04分台風19号 警戒点
台風19号について、気象庁は午前11時から記者会見を開き、静岡や関東で1200人以上が犠牲となった狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となり、大雨の特別警報を発表する可能性もあるとして、厳重な警戒を呼びかけました。
台風19号について気象庁は午前11時から記者会見を開き、梶原靖司予報課長が今後の見通しや警戒点を説明しました。この中で梶原課長は、「台風は非常に強い勢力を保ったまま、あすには東海、または関東地方に上陸する可能性が高まってきた。暴風や高波に加えて関東地方を中心に記録的な大雨となるおそれがある」と述べました。
そのうえで、「あす12日からあさって13日にかけて東日本を中心に西日本から東北の広い範囲で猛烈な風が吹いて海は猛烈なしけとなり、記録的な暴風となるところもある見込みだ。台風本体の非常に発達した雨雲がかかるため、広い範囲で記録的な大雨となる見込みで、大雨特別警報を発表する可能性がある。伊豆に加えて関東でも土砂災害が多発し、河川の氾濫が相次いだ昭和33年の狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となるおそれもある」と述べ、強い危機感を示しました。
さらに、「全国的に、暴風、うねりを伴った高波、土砂災害、低い土地や地下施設の浸水、河川の増水や氾濫、高潮や、高潮と重なった高波による浸水や沿岸施設の損壊に、厳重に警戒してほしい。自分の命、大切な人の命を守るため、風や雨が強まる前に、夜間暗くなる前に、市町村の避難勧告などにしたがって、早め早めの避難や安全確保をお願いしたい」厳重な警戒を呼びかけました。
1200人超える犠牲者
狩野川台風は、昭和33年9月に静岡県へ接近し、神奈川県の三浦半島に上陸した台風です。
この台風では、伊豆半島や関東を中心に記録的な豪雨をもたらし、伊豆半島中部では総雨量が750ミリに達しました。
また、1日に降った雨の量は、伊豆大島で419.2ミリ、東京の都心で371.9ミリ、埼玉県秩父市で288.7ミリ、横浜市で287.2ミリ、埼玉県熊谷市で277.2ミリ、茨城県つくば市で230.1ミリに達しました。
このうち東京の都心と横浜市は観測史上最も多い記録となっています。
この豪雨で伊豆半島を流れる「狩野川」が決壊して洪水が発生するなど、関東を含む各地で川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、合わせて1200人を超える犠牲者が出ました。
「沿岸前線」平野部でも大雨警戒
11日の会見で気象庁の梶原靖司予報課長は、天気図にはあらわれにくい局地的な前線=「沿岸前線」ができることによって、ふだん雨量が多くなりやすい山の南東側の斜面だけでなく、首都圏などの平地でも記録的な大雨になるおそれがあるとしています。
梶原課長は「朝の冷え込みで、本州付近の大気の下の部分には冷たい空気がたまる。そこへ台風から暖かく湿った南東の風が流れ込むことで冷たい空気の間に天気図には現れにくい前線ができる。これを『沿岸前線』と呼んでいるが、こうした前線は停滞しやすく、 総雨量が非常に多くなるおそれがある」と述べました。
そのうえで「台風から流れ込む湿った空気による大雨は、一般的には山間部の南東側の斜面を中心に総雨量が多くなる傾向がある。ただし、沿岸前線ができると山間部だけでなく首都圏などの平地でも記録的な大雨となるおそれがある」として、ふだん大雨になりにくい地域でも警戒が必要だとしています。
日本海側でも暴風大雨警戒
警戒が必要なのは、太平洋側の地域だけではありません。
比較的台風から離れた北陸など日本海側でも暴風が吹くおそれがあるほか、大雨のおそれがあるということです。
気象庁の梶原靖司予報課長は「台風が大型の状態を維持したまま近づくため、広い範囲で強い風が吹く。また台風は通常、進行方向の右側の『危険半円』で特に暴風に警戒が必要だと言われるが、今回は日本海側でも警戒が必要だ。大陸から日本海にかけては高気圧が張り出す予想で、この高気圧と台風の間で気圧の傾きが急になる見込みだ。このため北陸や山陰の日本海側でも暴風や強風が吹くおそれがある」と述べました。
また、大雨に関しては「日本海側では北よりの湿った風が吹きつけることで雨が降る見込みだが、台風が三陸沖に進んだあとも湿った空気の吹きつけが続く見込みだ。大雨の時間が長くなることで総雨量が多くなるおそれがある」と警戒を呼びかけました。
災害や被害の広がり 類似台風でも異なる
気象庁は今回の台風19号で予想される大雨が、昭和33年の狩野川台風に匹敵するとした一方、災害が起きる場所や被害の広がりについては、個別の台風ごとに異なる点に注意してほしいとしています。
梶原靖司予報課長は「今回、類似台風として狩野川台風を持ち出したのは、予想される現象や災害の程度が著しいことや、大きさや進路・勢力・北上スピードなどが似ていることから説明に用いようと判断した。一方で、類似台風を持ち出して呼びかけることは非常にリスクがあるとも考えている。災害の起こる場所や広がりについては事例ごとに大きく異なる」と述べ、狩野川台風で被害がなかった場所が安全というわけではないと強調しました。
台風19号について 気象庁 梶原靖司予報課長が会見(全文掲載)
2019年10月11日 19時01分台風19号 警戒点
台風19号について、気象庁は11日午前11時から記者会見を開き、静岡や関東で1200人以上が犠牲となった「狩野川台風」に匹敵する記録的な大雨となり、大雨の特別警報を発表する可能性もあるとして、厳重な警戒を呼びかけました。
会見内容は以下の通りです。
“台風19号 概要”
大型の台風19号が非常に強い勢力で日本の南海上を北上しています。
台風は非常に強い勢力を保ったまま。12日土曜日に東海、または関東地方に上陸する可能性が高まってきました。
暴風や高波に加え、関東地方を中心に記録的な大雨となるおそれがあります。大型で非常に強い台風19号は12日夕方から夜にかけて、非常に強い勢力を保ったまま、東海地方または関東地方に上陸し、その後、東日本から東北地方を北東へ進む見込みです。
12日から13日にかけて、東日本を中心に、西日本から東北地方の広い範囲で猛烈な風が吹き、海は猛烈なしけとなり、記録的な暴風となるところもあるでしょう。
また、台風本体の非常に発達した雨雲がかかるため、広い範囲で記録的な大雨となる見込みです。
状況によっては、大雨特別警報を発表する可能性があります。
伊豆に加えて、関東地方でも土砂災害が多発し、河川の氾濫が相次いだ、昭和33年の狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となるおそれもあります。
全国的に暴風、うねりを伴った高波、大雨による土砂災害、低い土地や地下施設の浸水、河川の増水や氾濫、高潮や高潮と重なり合った波浪による浸水や沿岸施設の損壊に厳重に警戒してください。
また、落雷・竜巻などの激しい突風に十分注意し、交通障害や農作物の管理、停電、塩害などにも留意してください。
各地の気象台の発表する警報注意報など、気象情報に留意するとともに、自分の命、大切な人の命を守るため、風雨が強まる前に、夜間暗くなる前に、市町村の避難勧告等に従って、早め早めの避難、安全確保をお願いします。
“進路予想”
台風の最新の進路予想ですけれども、現在台風は非常に強い勢力を保ったまま、日本の南海上を北上しています。
このあと、非常に強い勢力を保ったまま、12日夕方から夜にかけて、東海地方、または関東地方に上陸する可能性が高まっています。
その後、東日本から東海、東北地方にかけて速度を速めながら、北東に進み、北海道の南東海上で温帯低気圧にかわると予想しております。
“暴風と高波”
暴風と高波の見通しです。
東日本・西日本の太平洋側では11日は昼すぎから大しけとなり、11日夕方から非常に強い風が吹き、11日夜までには猛烈なしけとなるところがある見込みです。
12日から13日にかけて、西日本・東日本・東北地方の広い範囲で猛烈な風が吹き、記録的な暴風となるところもあるでしょう。
太平洋側では、猛烈なしけが続きます。
また、日本海側でも暴風が吹き、大しけとなる見込みです。
先の台風第15号と同程度の暴風のおそれもあり、また、台風が大型のため、15号に比べて日本海側も含め広い範囲で暴風となる見込みです。
各地で予想している最大風速および最大瞬間風速は、東海地方では最大風速45メートル、最大瞬間風速60メートル。関東甲信地方では最大風速40メートル、最大瞬間風速60メートルなどと予想しているところです。
また波についても、東海地方・関東地方・伊豆諸島では波の高さが13メートル。
波の高さが9メートルを超える場合、猛烈なしけというふうに表現しておりますけれども、それをはるかに上回る13メートルの高波を予想しております。非常に危険な状態です。
“大雨”
次に大雨の見通しです。
11日午後から、西日本太平洋側や東日本の南東向きの斜面を中心に、非常に激しい雨が降り始めます。
12日から13日にかけて、西日本から東北地方では広い範囲で台風に伴う非常に発達した雨雲がかかるため、非常に激しい雨や猛烈な雨が降り、東日本中心に狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となるおそれがあります。
12日12時までの24時間の雨量は、多いところで東海地方で500ミリ。
その後の24時間、13日12時までの24時間の雨量は、東海地方では600から800ミリ。
関東甲信地方と北陸地方では300から500ミリなど、広い範囲で大雨となるおそれがあります。
“高潮”
高潮にも警戒が必要です。
10月14日が満月となっております。
それに近い、大潮の時期にあたるということで、特に満潮の時刻と台風の影響による潮位偏差が、重なり合いますと非常に高潮災害の危険度は高まります。
各地の満潮時刻ですが、例えば東京湾。
東京の場合ですと、12日の満潮時刻は16時31分。13日は4時29分となっています。
今のところ、台風が予報円の中心を進む場合ですと、ちょうどこの12日の夕方、あるいは13日の明け方という満潮のタイミングとぴったり合うという状況ではありませんけれども、微妙なタイミングの違いによって、高潮の可能性は高まりますし、非常に強い南風が吹いた場合には、満潮であろうが干潮であろうが、それをりょうがするほどの潮位偏差をもたらすおそれもありますので厳重な警戒が必要です。
“非常に強い勢力”
気象衛星雲画像では、11日10時の最新の気象衛星雲画像で、台風の目がまだパッチリしている。
昨日までと比べると、この台風の中心付近を取り巻く雲域の雲頂高度が少し低くなったということで、「猛烈な」台風から、その1段階下の「非常に強い」のレベルに強さはダウンしていますが、それでも非常に強い勢力を保っております。
画像では、いまだ非常に円形度が高い真ん丸な、雲域の形状を示していて、台風の目もパッチリしているということで非常に強い勢力を維持している状況が見てとれます。
また、この台風の中心と離れた北から、北西方向にも非常に発達した雨雲が面積広く広がっておりまして、その一部が、すでに伊豆諸島にかかり始めており、伊豆諸島では雨が強まり始めております。
このあと、伊豆諸島では11日は激しい雨が降り続き、次第に雨足も、さらに強まるということが予想されております。
“前線が停滞”
また、日本の東の海上から関東地方付近にかけては、前線が停滞していまして、これに食い込むように台風が北上する。
さらに台風が北上しますと、台風の東側の湿った南東風が前線にぶつかる。一方、前線の北側は秋の冷涼な移動性高気圧いうことでこの前線の活動が活発になり、かつ停滞をするようになりまして、この前線付近で、総雨量が非常に多くなるおそれもあります。
“雨雲の様子”
現在、梅雨前線に伴う雨雲は東北地方付近にかかっている程度ですけれども、台風の北側から北西方向に広がる、非常に発達した雨雲の一部が、レーダーでも捉えられ始めてきております。
発達した雨雲の一部が、もうすでに伊豆諸島、南部方面にかかり始めていて、次第に北上してきますので、警戒が必要な状況です。
“東海または関東に上陸か”
台風の予想進路です。
現在925ヘクトパスカル、非常に強い勢力、50メートルの最大風速です。
その後、北北西進し、少し北寄りに進路を変えて、12日の朝9時には時速20キロ程度で北上する。12日朝9時の時点で935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速45メートルと予想しております。
その後も、ほぼこの勢力を保ったまま北上し、945か950ヘクトパスカルで中心付近の最大風速45メートルという非常に強い勢力を保ったまま、東海地方または関東地方に12日の夕方から夜にかけて上陸すると見ております。
その後、東日本か東北地方方面を北東に速度を速めながら進み、13日9時には三陸沖、この時点ではまだ台風と見ておりますけれども、その後、三陸沖から北海道の南東海上を進む段階で、温帯低気圧に変わるというふうに見ております。
“予想天気図”
予想天気図です。
台風19号は非常に強い勢力を保ったまま、東海地方また関東地方に上陸する見込みです。
前線は引き続き、東北地方南部あたりにかかっていまして、広い範囲で大雨が降ると予想されます。
台風は、海面水温が非常に高い領域を北上しているということで、なかなか勢力を弱めないで、非常に強い勢力を保ったまま、日本にやってくるということが想定されます。
“狩野川台風”
冒頭で例示しました昭和33年(1958年)9月26日に上陸した「狩野川台風」ですが、狩野川が氾濫したということで、伊豆方面で1000名前後の非常に大変な死者が出ているということで、「狩野川台風」と名付けられておりますが、この台風は、首都圏を含む関東地方一帯に記録的な大雨をもたらしたということでも歴史に名を留めているものです。
東京の日降水量は371.9ミリということで、これは今もって東京の日降水量の記録第1位となっているものです。
その他、秩父とか熊谷、広い範囲で記録的な大雨となっているということで、河川の増水・氾濫も相次いだという状況があります。
“局地ではなく広範囲”
今回の台風に伴う大雨は、局地的に猛烈な雨が降るタイプとは違って、非常に広い範囲で非常に激しい雨、あるいは猛烈な雨が降ることによって総雨量が多くなる。
そのために、流域平均雨量が非常に多くなるということが想定されまして、中小河川のみならず、大河川でも、河川の増水あるいは氾濫のおそれがあるということで、厳重な警戒が必要です。
以下、会見の質疑応答です。
“北側でも総雨量増えるおそれ”
Q.
10日までに比べると、暴風域の広さ・大きさが東西に広がったように見えるが、これによってもたらされる危険な状況を教えていただきたい。
もう一点は、いま南の海上にある雨域が相当雨を降らせていると思うが、あれが関東辺りにかかってくる場合には、どこにかかるのか今わかっているのであれば教えてください。
A.
台風に伴う強風・暴風のエリアですけれども、台風が大型の状態を維持したまま北上していることと、通常台風は進行方向の右側、危険半円が特に暴風に警戒が必要ということをよく言いますけれども、今回の台風はいわゆる秋台風でして、台風の北側には高気圧が張り出してきているということもあり、予想天気図を見ますと、大陸方面から日本海方面にかけて、勢いよく高気圧が張り出してくるということで、この台風の危険半円ではない北西側などでも、この高気圧と台風との間で、気圧の傾きが急になるということで、この台風の北側あるいは西側でも暴風あるいは強風が広い範囲で吹く、かつ、湿った北東風・北風の吹きつけによってですね、北陸から山陰地方などでも、総雨量が多くなるおそれがあるというような状況を想定しております。
関東の雨と前線の関係
それから、雨雲の様子ですけれども、気象レーダーで北側の一部がやっと見えてきたというもので、これがこのあと台風の北上に伴ってどんどん北上してくるということで、どこまでどのような形で雨雲がかかるかというのは難しいですけど、基本的には、まずは関東から東海、それか関東から近畿というような形で、弧を描く形でかかってくるということが想定されますので、東海地方や関東地方で総雨量が多くなることが想定されます。
また、本州上の朝の気温が結構冷え込んだりということで、大気の下層にはですね、冷たい空気がたまっているという状況がありまして、湿った暖かい南東風と陸上の冷気層の間の前線が非常に明瞭になるということも想定されまして、またそういった前線は停滞性が強いということもあり、その前線の近くで総雨量が非常に多くなるというおそれがあり、警戒が必要です。
“伊豆諸島北部や房総半島の前線に警戒”
Q.
雨雲が同じ場所にかかり続ける可能性が高いエリアとしては、前線の位置のやや下というか前線付近というふうに考えてもいいでしょうか?
そうなると関東のふちを回るような形でかかるのかなという想像が、できるんですが、そのあたりどうでしょう?
A.
極東天気図スケールで表される前線というのは東北地方辺りにあるが、必ずしもここで強く吹く、雨が降るというより、陸地の冷地層と南東風との間の前線というのはもっとスケールが小さい、われわれ沿岸前線と呼んでるんですけれども、そういったものがこの房総半島周辺、あるいはもう少し北側かも分かりませんけれども、伊豆諸島北部や房総半島周辺に形成されてかかり続けるという、そちらのほうをむしろ警戒しているという状況です。
“関東地方の総雨量はかなり多く”
Q.
そのことばを解釈すると、関東の雨というのは相当長い時間降るという読み取りでいいでしょうか?
A.
伊豆諸島はすでに雨足が強まっていまして、この後、激しい雨が降り続くというふうに予想しております。
関東地方についても、11日の夜になりますと一部で激しい雨が降りだし、その後も、雨足が強まるいっぽうと見ていて、12日の朝6時以降は非常に激しい雨、午後になると猛烈な雨が、12日夜にかけて降り続くというようなことも想定しているということで、総雨量がかなり多くなるおそれがあります。
“平地でも記録的大雨のおそれ”
Q.
それは平野部でしょうか、それとも河川の上流部でしょうか、それとも両方でしょうか?
A.
両方と捉えるべきところです。
一般的に台風に伴う湿った南東風の吹きつけによる大雨というのは、地形性降水が卓越するということで、東あるいは南に向いた斜面を中心に総雨量が多くなるパターンですけれども、先ほど説明しました沿岸前線というものが、房総半島付近などに形成されると、その近くで非常に激しい雨、また猛烈な雨が降り続くという可能性もあり、詳細はわかりませんけど、狩野川台風で東京で377ミリというすごい雨が降ったというのも。
そういったものが影響している可能性があるということで、山地だけでなく首都圏を含む平地でも記録的な大雨となるおそれがある。
“難を逃れること最優先に”
Q.
もう、外出してはいけないレベル?
A.
そうですね。いろいろ報道を見ていますと、いろんな交通事業者が計画運休のようなものを検討あるいは計画しているというようなこともありますし、よくわれわれ、不要不急の外出は避けてと言いますが、本当、難を逃れることを最優先にして、不要な外出はしないというようなことで、安全確保をしていただきたいと思います。
狩野川との類似点は?
Q.
狩野川台風というの例で出していますけども、これは起こる現象として類似したケースということで出してきたのか?エリアとかはまた若干異なるという認識でいいのか?
A.
類似台風を持ち出すのは非常にリスクがあるっていいますか、予想される現象あるいは災害の程度を示すものとしては有効なんですけれども、それが発現する場所や広がりについては事例ごとに大きく異なりますので、ミスリードする可能性はないではない。
今回、狩野川台風を持ち出したというのは、予想される現象あるいは災害の程度が著しいということから、狩野川台風を例示したという点がありますし、また狩野川台風が取った進路や勢力、あるいは北上のスピードなども似ている点がある。
あるいは台風の大きさなども含めて、そういった類似性が高いということで、これは説明に用いるべきだという判断をしたところです。
備えへの呼びかけ
Q.
水曜日の会見では11日までに備えを呼びかけていたが、その後の呼びかけは?
A.
今回、3連休に大型で非常に強い勢力の台風が直撃するおそれがあるということ、また秋の行楽シーズンでもあり、いろんなお出かけされる方も多いだろうと、さまざまな機関がさまざまなイベントを計画しているというようなこともあり、この週末に想定される大荒れの天気を早く皆様にお知らせして、必要な判断をしていていただきたいということで、通常よりかなり早いタイミングでの水曜日に1回目の記者会見を開いたものです。
その際には、台風が近づくまでにまだ3日も4日もあるので、11日金曜日までに備えをしてくださいという具体的な表現で、内閣府が示しているような住宅に対する注意事項なども引用しつつ、備えを促しているところです。
11日までに備えをということで、もうするなということはありませんが、特に風が強まってきますと、もうその段階では、屋根の上に上がるとかそういった行為は逆に危険となりますので、その点は十分留意していただきたいと思います。
いま一度、11日のうちに備えは万全かっていうようなことについて、再点検をしていただければと思います。
上陸後の速度は?
Q.
狩野川台風についてですが、当時、上陸したあとは勢力を落としたかと思います。
最大瞬間風速のデータでも東京で30メートル吹いていないようなデータも出ていますが、今回の台風も上陸したあとは勢力を落とすのか、それともあまり落とさずに多くの被害がでるおそれがあるのかとはいかでしょうか?
A.
狩野川台風も日本の南海上にある一時期、870ミリバール台を観測するという猛烈な台風でしたけれども、上陸直前から急激に勢力自体は弱めてきたという点があり、その最大風速などの風の記録はそんな大したことない。
むしろ、この衰弱で失われたエネルギーが雨に変換されて大雨をもたらしたものと思われます。今回の台風がどれぐらいこれに似てるかっていうのは判断難しいところですけれども、少なくとも、台風19号の勢力について予想する上で、やはり上陸するとかなり勢力は落ちますけれども、それでも比較的勢力を維持したまま、三陸沖に抜けるというふうに見ているところ。
“日本海側は雨が長引く”
Q.
11日から非常に激しい雨が降り始めて12日も猛烈な雨になるということですが、雨のピークと台風が過ぎ去ってからも警戒が必要なのかどうかについては?
A.
12日12時までの24時間に予想される雨量は、関東甲信地方および伊豆諸島で250ミリなどと予想しているところで、その後、12日12時から、13日12時までに予想される雨量は多いところで、東海地方で600から800ミリ。
関東甲信地方で300から500ミリとなると予想しているところです。
雨の強さのピーク時間帯ということになりますと、やはり台風中心付近を取り巻く非常に発達した雨雲がかかる時間帯がそれに該当するということで、例えば関東甲信地方では、12日の昼前から夜のはじめ頃というのが、猛烈な雨の降る可能性のある時間帯と予想しているところです。
今回の台風は、上陸したあと東日本から東北地方を速度を上げながら北東進し、三陸沖に抜けるということで、今のところ、台風が三陸沖に抜けたあとは、関東地方など太平洋側の雨はそんなに尾を引くタイプではないと見ておりますけれども、一方、日本海側では湿った北風の吹き付けによって、台風が三陸沖に進んだあとも、大雨の状況が長時間続く可能性があるとみています。
“線状降水帯タイプではない”
Q.
沿岸前線の話があったんですが、こういったものが停滞するとその付近で線状降水帯ができやすいっていうふうに言っていいでしょうか?
A.
これは線状降水帯と分類するタイプの雨雲ではないと判断しております。むしろ、温暖前線面に近い構造ですね。
陸地側に形成されている冷気層の上を滑しょうするような形で、暖かく湿った南東風が滑しょうしていくと。
その状況が長い時間続くということでもたらされる大雨で、線状降水帯と違うタイプと見ております。
台風の速度は
Q.
台風がいつどういうふうに加速するかによって、雨量はだいぶ変わってくると思うんですが、関東を抜けるまでは少なくとも割とノロノロ行って、その後加速していくという形になる?
A.
ご指摘いただいたとおりでして、現在、北北西25キロ、時速25キロ。
12時間後も時速20キロで北北西。24時間後も北に20キロということで、台風が上陸するまでは25キロないし20キロで、加速することなく、むしろ若干減速しつつ、日本にやってくると見ております。
その後、北東に向きを転じて以降、次第に加速しますけれども、これも顕著に加速というほどのことはありません。
ただ、三陸沖の時点では、予想される進行方向・速度は北北東方向に時速45キロと予想しておりまして、時速20キロあたりで上陸したものが三陸沖では45キロと、倍ぐらいにスピードアップすると予想しております。
Q.
「狩野川台風」の上陸時の気圧と最大風速は、どういう数字だったんでしょうか?
A.
上陸したのは神奈川県三浦半島なんですが、そのときの中心気圧は965ミリバールでした。その当時は台風の解析に関しては中心気圧のみ解析してまして、最大風速は解析していませんでした。
Q.
避難するしないの判断というのは、なにに注意すればいいのか?
仮に家にとどまっている場合はどういうところに注意したほうがいいのか?
A.
いま私が行っています記者会見で説明したことは、日本列島スケールで各地で予想される最大風速等を説明したんですけれども、地域で予想される最大風速や最大瞬間風速は、地元の気象台が発表する府県気象情報等で詳しく予想を提供しておりますので、ぜひそういった地元気象台が発表する気象情報や警報等を参照して、どれぐらいの風が自分のところで吹きそうかっていうのを参照していただきたいと思います。
特に、例えば千葉県や伊豆諸島の被災地、台風15号の被災地などではブルーシート状態の家屋もまだたくさんあるという状況であり、そういった場合、今回の台風によって、まず確実にですね、かなりの大雨、かなりの暴風となるということで、家の中にとどまるということ自体危険なことも想定されるということからしますと、地元市町村が開設している避難所に、とにかく今回は避難所を活用するとか、あるいはもう早い段階で、親戚があるような場合には、そういったところに退避するとか、とにかく、難を逃れる方策というのをしっかりとってもらいたいなと思っています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191011/k10012123711000.html
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