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2019年5月21日の米ナショナルジオグラフィックより
・Strange waves rippled around Earth. Now we may know why.
・A million tiny quakes shook Southern California — and no one knew
やや異常な状態の地球にて
なんだかこう変な表現になるのですけれど、最近「地球が変」なのです。
1週間くらい前に、ペルーでマグニチュード 8.0の大地震が発生した時に、以下のブログ記事で、「大地震が発生した後は、地震が連鎖しやすい」ことにふれました。
その後、特別大きな地震は起きてはいないですけれど、「奇妙な地震」が増えています。
たとえば、今日の地球の記録の以下の記事では、バルカン半島にあるアルバニアという「地震がほぼない」国で「短時間のうちに、大きな地震が複数回発生した」ことを取り上げました。
・300年以上大きな地震が起きていないバルカン半島のアルバニアで2時間のうちに6回の地震が発生。そして、その日は「ヨーロッパを地震が駆け抜けて」いた
地球の記録 2019年6月4日
このアルバニアの地震そのものも珍しいのですが、この地震の発生日である 6月1日の世界の地震の発生状況を見てみますと、
「ふだんは地震が起こらないような場所で、ずいぶんと地震が発生していた」
ことがわかったりもしました。
下の図は、その 6月1日に、地球で発生したマグニチュード 3.0以上の地震の震源です。
2019年6月1日に発生したM3.0以上の地震
・Earthquake report world-wide for Saturday, 1 Jun 2019
図の中で囲みました中東からヨーロッパにかけて、1日でこんなに M3.0以上の地震が発生するというのは、あまり見たことのない状況だと思います。
そして、冒頭の 2つめでご紹介しました「カリフォルニアの群発地震」については、このタイトルにあります「 100万回」というのは、2008年から 2017年までのデータを最新の解析によって分析し直すことにより、180万回の地震が記録されていたというものですが、しかし、実はこの 10日間くらいの間に、このカリフォルニアの群発地震が激化していまして、たとえば、6月4日の CNN は以下のように報じています。
400回超す小規模地震、カリフォルニア南部で集中発生
CNN 2019/06/04
米カリフォルニア州南部のジュルーパバレーで小さな地震が集中的に発生している。米地質調査所は3日、同地で観測された地震が5月25日以来、432回に上ったと伝えた。
地質調査所の専門家、ロバート・グレーブズ氏によると、地震の規模を表すマグニチュード(M)は0.8〜3.2の範囲内で、揺れを感じる大きさの地震は数回程度だった。
さらにはですね、少し前の 5月21日には、カリフォルニアのサンディエゴでは、
「地震ではない揺れ」
が報じられています。以下のような報道でした。
Not an earthquake: San Diegans report strange shaking
地震ではない奇妙な揺れがサンディエゴで報告される
5月21日、サンディエゴで、多くの人たちから激しい揺れが報告された。しかし、アメリカ地質調査所(USGS)によれば、現地ではその時、地震は記録されていないという。
USGSの地震の専門家たちは、サンディエゴで人びとが揺れを感じた時間に地震の発生はなかったことを確認した。
この揺れの原因を突き止めるために、当局は米軍とも連絡を取った。しかし、現時点で、米軍の当局者たちは、サンディエゴで広範囲にわたって揺れを引き起こした原因についてはわからないと述べている。
ここにある、
「地震ではない揺れ」
ということで、思い出したのが、冒頭のナショナルジオグラフィックの記事にあります、
「現在、地球を駆け巡っている謎の地震波」
のことでした。
この「謎の地震波」が最初に報じられたのは、昨年 12月のことでした。
これは、日本語版のナショナルジオグラフィックにも記事があり、そこから一部を抜粋しますと、以下のような事象です。
謎の地震が世界を駆け巡る、20分超継続、原因不明
ナショナルジオグラフィックニュース 2018/12/05
2018年11月11日の朝、世界時 9:30になる直前に、謎の地震が世界を駆け巡った。
その地震は、アフリカ大陸の東海岸とマダガスカルの北端とに挟まれる、仏領マヨット島の24キロメートルほど沖で発生した。
震動はザンビア、ケニア、エチオピアといったアフリカ諸国のみならず、チリ、ニュージーランド、カナダ、そして1万8000キロメートル近くも離れたハワイにまで到達した。
加えて、地震は20分以上続いた。にもかかわらず、揺れを感じた人間は誰もいなかったようなのだ。
異変に気づいたのは、米国地質調査所のリアルタイム地震観測モニターを見ていた、ある人物だった。その人物が、この奇妙なジグザグの波形の画像をツイッターにアップロードした。このちょっとした行動は、世界中の研究者たちがこの震動の原因を探ろうとするという別の波紋を広げた。
隕石が衝突したのか? 海底火山の噴火なのか? 海の底から古代の怪物が現れたのか?
「似たものは今までに見たことがありません」と、米国コロンビア大学の地震学者で珍しい地震を専門とするヨラン・エクストローム氏は話す。
「必ずしも、原因まで変わったものだ、ということではありません」と同氏は言う。とはいえ今回の地震波は、そのあまりの単調さといい、低い周波数や地球全体への広がりといい、様々な点でとても妙だ。そして、研究者たちはいまだに、この地質学上の難題を解きかねている。
全文は上のリンクからお読みになることができます。
冒頭に貼りました最近のナショナルジオグラフィックの記事には、「その原因がわかったかもしれない」とあるのですけれど、これは決定した項目ではないですけれど、その原因と考えられることを簡単に書きますと、
「インド洋の海底に新しい海底火山が誕生した」
ことがわかったというものなのです。
・advocator.ca
この「誕生した」と思われる火山は、謎の地震が広がった震源地付近であるマヨット島から東に約 50キロ離れた海域の水深 3200メートルに「出現した」のです。
この火山の現在の高さは 800メートルほどで、火山の直径は広い所で 4.8キロと計測されまして、これは「観測史上最大級の海底火山活動」なのだそうです。
現段階では、「地球を駆け巡っている謎の地震波」は、この誕生した海底火山の活動によるものではないかとされているのです。
それに異を唱える気はないにしても、ただ・・・先ほどの記事には、謎の地震波が、
> 1万8000キロメートル近くも離れたハワイにまで到達した
とあるのですね。
つまり、文字通り、この地震波は「地球全域を走り巡った」のです。
仮に地震波の発信源はその海底火山だったとしても、なぜ、「地震波が地球全体を走り巡るのか」については、どうも疑問が残ります。どれだけ大規模な地震でも、地震波がそんなに大規模に地球全域を駆け巡るということはないと思うのですが・・・。
そういうところからも、
「この謎の地震波の問題は、その海底火山に限定されたものではなく、もっと何か地球単位での地質活動と関係している可能性はないのだろうか」
というようなことを思ったりもします。
また、記事には、
> 今回の地震波は、そのあまりの単調さといい、低い周波数や地球全体への広がりといい、様々な点でとても妙だ。
ともあり、火山性の地震なら、そんな「まるで自然ではないような地震波」を出すことはないのではとも思います。
いろいろとある不思議な感じは、海底火山説ではあまり解消していない感じはしないでもないのですね。
なお、この、地球を駆け巡る謎の地震波が出現したのは、データからは 2018年5月で、それ以前に、このような「謎の地震波」は地球では観測されていません。
ということは、この最近の1年ほどの間に、急速に「何かが変化してきた」ということは言えるのかもしれません。
まあ、この謎の地震波については、推測してもわからないですが、何だかこう、他のことにしても、地質的にいろいろなことがリンクしてきている感じはするのです。
たとえば、通常の火山の活動。
これも、ペルーの大地震以来、大変に活発になり続けていまして、「近年最大級の噴火」となっている火山が多いのです。
昨日(6月3日)は、メキシコのポポカテペトル山が、噴煙の高さが 11.3キロメートルに及ぶ近年最大の噴火を起こしました。
写真では、雲の上へ噴煙が突き抜けている様子がわかります。
・Manuel Monge
各地で大きな噴火が発生していますが、5月には以下のような噴火を記事にしています。
・イタリアのエトナ火山が溶岩流を伴った噴火を起こし、活動を激化
・インドネシアのシナブン山が2018年4月からの13ヵ月の沈黙を破り再び大噴火
・インドネシア・バリ島のアグン火山がまたも噴火。その爆発の瞬間の壮絶な光景
地震にしても噴火にしても、現時点では、壊滅的な被害を与えるような事象は起きていませんので、あまり気にすることではないのかもしれないですが、どうも最近は、一般的な地質の概念からは想定しにくい事象が多くなっているようです。
そういえば。
先ほどナショナルジオグラフィックの記事をご紹介しましたけれど、同じナショナルジオグラフィックで、以下のような報道があったのも 5月でした。
大西洋沖の怪現象に新説、プレートが剥離中?
ナショナルジオグラフィック 2019/05/10
新たな沈み込み帯誕生の可能性も、ポルトガル沖の大地震から50年越し
大西洋のポルトガル沖で1969年、大きな地震が起こり、津波が発生した。この謎の現象は、ジョアン・ドゥアルテ氏を長年にわたり悩ませてきた。震源地の周辺には、何の変哲もない平らな海底が続いているだけなのだ。
こんなところでなぜ地震が起こったのか。ポルトガル、リスボン大学ドン・ルイス研究所の海洋地質学者として、ドゥアルテ氏はこの海底で何が起こっているのかを突き止めようとした。地震発生から50年後の今年、ようやくその解答にたどり着いたかもしれない。
ポルトガル沖のプレートの下層が剥離し始めているようだ、というのが氏の説だ。
さらにここは、あるプレートが別のプレートの下に潜り込む、いわゆる沈み込み帯が新たに形成される場所になるかもしれない。ドゥアルテ氏は、この現象を示したコンピューターシミュレーションを、今年4月の欧州地球科学連合(EGU)の学会で発表した。
もしこれが本当ならば、海洋プレートが剥離しているところをとらえた初の研究になる。地質活動により、将来的に大西洋が縮小し、欧州がカナダに接近するという説があるが、これはその始まりとなりうるだろうか。
これは「地震が起きるはずのないところで地震が起きた」ことについて、どのように考えるかということについての仮説ですけれど、注目したのは、「地震が発生する可能性がない場所でも大きな地震は起きる」という事実であり、地球そのものが変化していっているのだとすれば、こういう従来の科学では理解が難しいこともさらに起きていくのかもしれません。
・・・今、地球ではいろいろなことが進行していますからね。
進行している中で最も重大だと思うのは、以下の記事などを含めて、何度か取り上げさせていただいている「地球の磁場の崩壊」についてです。
以前は、「磁場の弱体化」という言い方をしていたのですけれど、上の記事でご紹介した内容などを考えますと、「地球の磁場は崩壊しつつある」と表現して構わないのではないかと考えています。そして、何ともいえないとはいえ、「磁場が地質にまったく影響を与えていない」とは、どうしても考えられないわけで、どういう作用かは別にしても、磁場の弱体化、あるいは崩壊は、地球の地質に何らかの影響を与えているような気はします。
いったい地球に何が起きているのか、あるいは何が起きようとしているのかは結局わからないのですけれど、現状を見ていますと、今は世界中で地震活動あるいは火山の活動が「増加している渦中にある」と考えられなくもないわけで、心構え的なことは持ち合わせていてもいいのかもしれません。
これから夏に向けて気象も地質も「一気に走り始める」ような気配も感じないではありません。
地球で何が起きようとしているのか? 世界規模で継続する「謎の地震波」、そして規模的にも地理的にも拡大し続けている地震と火山活動……次は? INDEEP
https://indeep.jp/what-is-going-on-this-earth-now-june-2019/
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