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気候変動での年間死者25万人は“控え目な予測”と最新論文。日本も例外ではない
大倉瑶子
Jan. 22, 2019, 05:00 AM LIFE
「気候変動は、健康上の緊急事態だ」
世界で最も歴史を誇る米医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新論文で、研究者たちが警鐘を鳴らした。
氷面が減り追い詰められるホッキョクグマ
地球温暖化や気候変動の問題は誰もが知っているが、その深刻さは想像以上だと指摘する声が出ている。
shutterstock / Alexey Seafarer
異常気象が次々と観測される中、「地球温暖化」「気候変動」という言葉はもはや耳慣れたものとなった。
2018年10月には、国連の気候変動に関する政府間パネルのレポートが、2030年にも世界の気温が産業革命前に比べて、1.5度上昇すると警告したばかりだ。この気温の上昇により、洪水や干ばつ等の異常気象のリスクが高まり、海面も2100年までに0.26〜0.77メートル上がると予測されている。
死者数への影響はもっと複雑
栄養失調の男の子
気候変動による死者と予想される25万人には、多くの子どもたちも含まれている。
Getty / Daniel Berehulak
気候変動が我々の生活に及ぼす影響は、健康・医学分野も例外でない。
5年前、世界保健機関(WHO)は気候変動が現状のまま進行すれば、熱中症やマラリア等の感染症が深刻化し、このような病気による死者が2030〜50年には、現在より年間で約25万人増加するとの予測を公表した。
この25万人のうち、高齢者の熱中症が3万8000人、マラリア感染者が6万人、そして、子どもの栄養不足が9万5000人だ。
しかし、先日発表された最新論文では、年間25万人の死者数は控えめな予測であると断言した。
研究共著者のアンディ・ヘインズ氏はCNNの取材に対して、「死者数への影響はもっと複雑で、穀物等の食糧の生産量や気温の上昇による農家の生産性、さらには、気候変動による人口移動も考慮する必要がある」と取材で述べている。
日本でも変わる野菜や果物の収穫
さつまいもを収穫している様子
日本では野菜の生育状況にも変化が現れている。
shutterstock / hiroshi teshigawara
気候変動の大きな要因となっているのは温室効果ガスの排出だが、数ある温室効果ガスの中でも、二酸化炭素の影響は深刻だ。論文ではこの二酸化炭素の濃度が上昇することで、米や麦等の穀物の栄養価(プロテインやビタミンB)が下がると指摘。さらに、2050年には野菜や果物の収穫量も減少し、約53万人もの死亡につながるとするデータを紹介している。このような死亡例の大半は、南アジアと東アジアで起こるという。
食糧供給への影響は、日本も例外ではない。
環境省も、気候変動の影響が全国の野菜の生産に現れていることは「明らかである」と言い切っている。特にキャベツなどの葉菜類や大根などの根菜類では、収穫が早まる傾向にあるほか、生育障害の発生頻度の増加もみられると予測されている。野菜は、栽培時期の調整や適正な品種選択により、生産ができなくなる可能性は低いとしつつも、今後さらなる気候変動が、野菜の計画的な出荷を困難にする可能性があるという。
一方で、果物は気候への適応が非常に低いうえ、一度植栽すると同じ樹で 30 〜40 年栽培するため、特に1990年代以降の気温上昇に 適応できていない場合が多いとしている。
医療施設・従事者も気候変動へ対応を
パソコンに向かう医師
病院や医者のキャパシティが試される。
Alexander Gatsenko / Shutterstock.com
対応策が講じられない限り、高温や空気汚染による病気や媒介性の感染症が広がるうえ、食糧不足による栄養失調も進み、人々の疾病率と死亡率は増加する。
論文では、このような状況に対応できるよう、病院や医者のキャパシティも試されていると、医学界に呼びかけている。例えば、海面温度・気温上昇によって変わる感染症の発生時期や場所を把握して、予防・適応策を講じるほか、医療施設が洪水等のリスクにさらされていないか、立地も再考する必要がある。
本記事の筆者も、米系国際NGOのMercy Corpsで、「Zurich Flood Resilience Alliance」という洪水防災の5カ年プロジェクトを担当している。洪水の被害を、適切な政策や投資によって、最小限にとどめることが最大の目標だ。ただ、気候変動により増加する洪水被害を考える際には、現場の知識やプログラム運営に加えて、学問的データも必要となるため、チューリッヒ保険やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスと組み、官民学が連携する形で事業を進めている。
十分な医療施設がないことで広がる被害
日本でも、この100年間で国内の主要10都市すべてが2度以上、高くなっている。2018年の夏は特に記録的暑さとなり、熱中症で過去最多の9万5000人が救急搬送され、160人が死亡した。高齢化が進む中、救急搬送者の約半数が65歳以上であったことも、特筆すべき点だ。
また、地球温暖化が進めば、海水からの蒸発が盛んになり、大量の水蒸気が大気中に蓄えられ、より強い熱帯低気圧が発達しやすくなる。2017年にプエルトリコを襲ったハリケーン・マリアの犠牲者のうち、3人に1人の死因は、強風や大雨の直接的被害ではなく、十分な医療施設やヘルスケアがなかったためであることは、あまり知られていない。
もちろん、気候変動の根本的な要因の根絶や現状への対応をするには、あらゆる分野と人々が力を合わせる必要がある。しかし、このような健康・保健上のリスクが明らかになっている中、緊急時に頼りとされる医学界も気候変動に取り組まなければいけないということだ。
論文と合わせて発表された医学雑誌の社説でも、化石燃料の使用等による環境破壊が、空気汚染や熱中症などの健康被害にどうつながるか、医師ならではの立場を活用し、人々の理解を促すことができると、懸命な呼びかけが綴られている。
「私たちも、気候変動がコミュニティや未来の子どもたちの健康に及ぼす影響を恐れている。しかし、ただただ絶望するのではなく、自分たちの声を最大限活用して、医学生に環境にやさしい行動を呼びかけたり、同様な問題意識を持った研究者とつながったり、政策決定者と対話をしたりする必要がある。アメリカには現在100万人以上の医師がいるが、行動に責任を持たなければならない。次の世代に、“気候変動に対して何をしたか“と聞かれたときに、しっかりと答えを提示したい」
と、締めくくっている。
大倉瑶子:米系国際NGOのMercy Corpsで、官民学の洪水防災プロジェクト(Zurich Flood Resilience Alliance)のアジア統括。従業員6000人のうち唯一の日本人として、防災や気候変動の問題に取り組む。慶應義塾大学法学部卒業、テレビ朝日報道局に勤務。東日本大震災の取材を通して、防災分野に興味を持ち、ハーバード大学大学院で公共政策修士号取得。UNICEFネパール事務所、マサチューセッツ工科大学(MIT)のUrban Risk Lab、ミャンマーの防災専門NGOを経て、現職。インドネシア・ジャカルタ在住。
https://www.businessinsider.jp/post-183577
気候変動が海上の雲を壊して温暖化を加速、最新シミューレーション結果で判明
2019年2月26日 by Devin Coldewey
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気候変動が世界中の天気やエコシステムに影響を与えていることは周知の事実だが、正確に何がどのように起きているかは今も学者たちが真剣に研究しているところだ。超高速コンピュータで可能になった最新シミュレーションによると、二酸化炭素が一定濃度に達すると、海上の雲が消滅し、温暖化が加速して悪循環に陥る可能性がある。
Natureで公開された論文には、最新のシミュレーションによる雲の形成および太陽光の与える影響が詳しく書かれている。カリフォルニア工科大学の研究者らは、従来のシミュレーション技術の精度ではメートル単位での影響を調べることはできかったと説明した。
従来のモデルでは海上に浮遊する層積雲の予測が特に苦手で、それが大きな問題だった、と彼らは書いている。
層積雲が熱帯海洋の20%を覆い、地球のエネルギーバランス(短波放射の30〜60%を反射して宇宙に戻している)に著しい影響を与えるにつれ、その気候変動のシミュレーション結果は地球全体の気候応答を示している。
気温の変化と温室効果ガスの濃度がどのように影響を与えているかを知るためには、雲のより精密なシミュレーションが必要になる。テクノロジーはそれに貢献できる。
高速コンピューターと雲のラージエディーシミュレーション(LES)が進化したおかげで、研究者は「限定された領域内の積層雲をかぶった境界層の統計的に安定した状態を正確に計算できる。ここで『限定された領域』というのは、詳しくシミュレーションされている5 km四方の領域のことだ。
Weather and climate-related disasters cost the US $80 billion in 2018, but go ahead and say climate change isn’t real
改善されたシミューレーション結果は不安を誘うものだった。二酸化炭素濃度が1200 ppmに達すると、増加した入射電磁波によって雲の上端の冷却が妨害され雲の形成が突然破壊される。その結果雲は容易に作られなくなり、太陽光の入射が増えて温暖化問題が悪化する。このプロセスは亜熱帯地方の温暖化を8〜10度上昇させる可能性がある。
もちろんまだ抜けている点はある。シミューレーションはシミューレーションにすぎない。ただしこのシミューレーションは今日の状況をよく予言しており、雲系の中で起きているさまざまなプロセスを正確に反映しているようだ(しかも起きうる誤差は悪い方に働くかもしれない)。現在の世界は1200 PPMにはまだ遠く、NOAAの現行測定値は411だが、一貫して増加している。
https://techcrunch.com/wp-content/uploads/2019/02/noaanasaPPM.png
これが起きるまでには数十年かるだろうが、一度おきてしまえば被害は壊滅的でおそらく戻すことはできない。
なお、火山噴火などの大きな気象イベントによって、こうした数字が一時的だが劇的に変わることがある。過去に地球は気温や二酸化炭素濃度の急激な変化を経験しており、雲の消失とその結果起きる温暖化のフィードバックループがそれを説明している。(Quantaの記事に現状と背景が詳しく書かれているので興味のある方には一読をおすすめする)。
積層雲の不安定化の可能性についてはさらに調査を重ねて、現在モデルで推測している部分を埋めるデータを得る必要がある。多くの頭脳(とGPUクラスター)が参加するほど、気候変動が今回のような特定の気象系に与える影響についてよいアイデアが見つかるだろう。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook )
https://jp.techcrunch.com/2019/02/26/2019-02-25-climate-change-kills-off-clouds-over-the-ocean-in-new-simulation/
地球温暖化で自然災害の深刻さは増すばかり ── 2018年、記録やぶりとなった自然災害を振り返る
Peter Kotecki
Dec. 10, 2018, 03:00 PM NEWS
炎が燃え広がることを防ぐ消防士。カリフォルニア州パラダイス。2018年11月9日。
Justin Sullivan/Getty Images
2018年は、山火事、ハリケーン、地震などさまざまな自然災害によって数千人が亡くなった。
こうした自然災害は地球温暖化の進展とともに深刻さを増すと科学者らは述べた。
2018年、死者数や風速や降水量などで記録破りとなった自然災害を見ていこう。
2018年、自然災害が世界中の地域を破壊した。数千人が命を落とし、被害額は数十億ドル相当にのぼった。
9月には、マグニチュード7.5の地震が発生し、高さ最大20フィート(約6メートル)の津波がインドネシアを襲い、少なくトオ1900人が死亡した。
翌月の10月にはアメリカ本土に上陸したハリケーンの中で、過去50年で最も勢力の強いハリケーン「マイケル」がノースカロライナ州、サウスカロライナ州を襲い、十数人の命を奪った。
その直後にはアメリカ史上最悪とも言える火事がカリフォルニア州で発生した。車は溶け、遺体は骨になるまで焼かれ、町全体が焼き尽くされた。
こうした記録的な自然災害の多くは、陸地や海での気温上昇によって引き起こされた。地球温暖化によって、自然災害の深刻さは大きくなる一方と科学者らは語った。
2018年に発生した自然災害を振り返ろう。
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10月、フロリダ州パンハンドルを直撃したハリケーン「マイケル」は、同地域に上陸したハリケーンの中で最も勢力が強いハリケーンとなった。死者は60人にのぼった。
ハリケーン「マイケル」が去った後、瓦礫が残った。フロリダ州、メキシコビーチ。2018年10月11日。
ハリケーン「マイケル」が去った後、瓦礫が残った。フロリダ州、メキシコビーチ。2018年10月11日。
Gerald Herbert/AP
海沿いの小さな町メキシコ・ビーチは、最も被害を受けた地域の1つ。ハリケーンの中、人口約1000人のうち、およそ285人が避難せずに家に残った。
ハリケーン「マイケル」に破壊された家の残骸の中に立つ女性。
ハリケーン「マイケル」に破壊された家の残骸の中に立つ女性。
Joe Raedle/Getty Images
山火事「キャンプ・ファイア(Camp Fire)」は11月8日に燃え広がり、カリフォルニア史上、最悪の山火事となった。死者は少なくとも88人。
山火事「キャンプファイヤー」と戦う消防士
山火事「キャンプファイヤー」と戦う消防士。カリフォルニア州パラダイス。2018年11月8日。
Noah Berger/AP
多くの住民には、電話による避難指示が届かなかった。住民の1人は、パラダイス市から避難する途中、渋滞に巻き込まれ歩いて避難しなければならなかったとBusiness Insiderに語った。
山火事「キャンプ・ファイア」の後に残された車の残骸
山火事「キャンプ・ファイア」の後に残された車の残骸。カリフォルニア州パラダイス。2018年11月9日。
Justin Sullivan/Getty Images
同時に発生したもう1つの山火事「ウールジー・ファイア」は記録やぶりなものではなかったが、今年、最も衝撃を与えた山火事の1つとなった。2人の死者を出したうえ、高級住宅街マリブに迫り、海岸沿いの多くの邸宅を焼失させた。
カリフォルニア州マリブ、マリブ湖付近の住宅を燃やす山火事「ウールジー・ファイア」。2018年11月9日。
カリフォルニア州マリブ、マリブ湖付近の住宅を燃やす山火事「ウールジー・ファイア」。2018年11月9日。
AP Photo/Ringo H.W. Chiu
カナダ・ブリティッシュコロンビア州でも記録的な山火事が発生した。8月、約5020平方マイル(約1万3000平方キロメートル)が焼失、2017年の被害を上回った。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州の山火事
カナダ・ブリティッシュコロンビア州、キャッシュクリークの町の北東部で燃える山火事。2018年7月18日。
Ben Nelms/Reuters
熱波が続き、複数の国で最高気温を記録した。
パリで日傘を差す観光客
日傘を差しながら、パリ・ノートルダム大聖堂を訪れるスペイン人観光客。2018年8月6日。
Michel Euler/AP
アルメニアでは7月、最高気温を記録した。日本でも7月に41.1℃を記録、最高気温を更新した。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校では7月6日、観測地点史上最高となる華氏111度(摂氏約43.8度)を観測した。
またワシントン・ポストも、北アイルランドのベルファスト、カナダのモントリオール、南のロシアの一部でも最高気温を更新したと伝えた。
世界最高の最低気温は華氏109度(摂氏約42.8度)、6月28日、オマーン・クリヤットで記録した。
サイクロン「メクヌ」によって分断された道路を見守る人々
サイクロン「メクヌ」によって分断された道路を見守る人々。オマーン・サラーラ。2018年5月26日。
Kamran Jebreili/AP
観測史上最低の降水量により、多くの地域で深刻な干ばつが発生した。
干上がったライン川の川底
干上がったライン川の川底。草が生え始めた。ドイツ・レーンドルフ。2018年8月17日。
Wolfgang Rattay/Reuters
例えば、ドイツの国際放送ドイチェ・ヴェレによると、2018年の夏と秋はドイツ史上、最も雨が少なかった。
干ばつによって湖や川の水位が下がり、農家は大打撃を受けた。
ハンガリーでもドナウ川の水位は観測史上最低を記録した。干ばつによって、河川輸送が妨げられているとロイターは報じた。
一方で、ボルチモアなどの都市の年間降水量は史上最高となった。
水没した道路を調べる市の作業員
水没した道路を調べる市の作業員。インド、ムンバイ。2018年7月3日。
Rajanish Kakade/AP
インドネシアの地震では1900人以上が命を失い、数千人が行方不明となった。地震と地震による津波の規模は同国史上最大というわけではなかった。しかし、被害が大きかったこと、そして警報システムが機能しなかったためニュースに大きく取り上げられた。
捜索にあたる救助隊
捜索にあたる救助隊。インドネシア・スラウェシ州パル。
Antara Foto/Muhammad Adimaja/ via REUTERS
夏にはインド南部ケララ州を襲った洪水で少なくとも350人が死亡した。
水没するバス
Raj K Raj/Hindustan Times via Getty Images
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[原文:Natural disasters set records around the world in 2018. These were some of the worst.]
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)
https://www.businessinsider.jp/post-180959
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