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「関東地域の活構造への東北地方太平洋沖地震の影響について」に対する疑問
「関東地域の活構造への東北地方太平洋沖地震の影響について」
http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/activity/216/image216/012.pdf
がこの8月25日に公開されましたが、内容に次のような疑問があります。
1.日本列島下の粘弾性構造は,地震後三年間の GPS 観測による測地データにもとづいて推定した(Freed et al., 2017 EPSL).このモデルに対して,東北地方太平洋沖地震に伴う本震すべり(Hashima et al., 2016 EPS)と余効すべり分布を与え,粘弾性緩和を考慮した 100 年間の応力変化について検討した.余効すべりの時間変化については,指数関数状に減衰し,三年間の積算すべりが Freed et al. (2017)によるすべり量に一致すると仮定した.
とありますが、「地震後三年間」とは、2011年4月から2014年3月まで、または2012年1月から2014年12月までという意味だと思います。
しかし、この期間で起こっていたのは、主に日本海溝から東日本の東岸までの海底での地震活動であり、この地域での太平洋プレートの西進圧力が強まっただけであったはずです。つまり、この期間、関東平野の東岸から日本海溝までの海底ではあまり地震活動が無かったのです。
更に、このことが問題なのは、この間、2011年3月11日当日に発生した震度を観測した地震の分布域、つまり、房総半島の犬吠埼よりも北側での太平洋プレートの西向き圧力が高まった結果、その反動で、犬吠埼の南側では却って太平洋プレートの西向きの沈み込み圧力が減少していたはずであることです。
また、2015年5月30日の小笠原諸島西方沖地震M8以降、犬吠埼以南の地域での太平洋プレートの西進圧力が強まったはずで、その影響を考慮しないシュミレーションは、現状を誤解させる可能性が強いのではないでしょうか。
特に問題であるのは、2016年の熊本地震発生以降の関東地方での震源深さ100キロ程度の微小地震増加が考慮されていない点です。
2.フィリピン海プレート上面におけるプレート相対運動方向のクーロン応力変化は,銚子沖で大きく,ここを中心に断層運動を促進する応力が時間とともに広がる.関東地方で多く見られる北西走向の逆断層においては,東北沖地震の影響は断層運動を抑制する方向に働く.しかし高傾斜の断層の場合は,法線応力増大による強度低下により断層運動が促進される結果となる.富士山東麓など北東走向の断層に対しては,剪断応力が直接断層運動を促進するように働く(図 1).
について、「クーロン応力変化は,銚子沖で大きく,ここを中心に断層運動を促進する応力が時間とともに広がる」は、後半を「断層運動を促進する応力は、時間が経過するに従ってより広域でより大きく働く」とするべきではないのでしょうか。
また、「関東地方で多く見られる北西走向の逆断層においては,東北沖地震の影響は断層運動を抑制する方向に働く」については、単純に疑問です。
太平洋プレートの関東平野の地下への沈み込み圧力増加は、関東平野の東方沖での陸のプレートとの固着面から、陸のプレート内部での西向き圧力増加としても働くはずです。それが「フィリピン海プレート上面におけるプレート相対運動方向のクーロン応力変化」にも影響を与えるはずですが、その評価はされているのでしょうか。
更に、関東平野の直下では、陸のプレートの下にフィリピン海プレートがあり、さらにその下に太平洋プレートがあります。太平洋プレートが西方向、または西北西方向へ沈み込む結果、北西方向の逆断層は、その下側を西向きに押されることから、逆断層上部は却って開口するように力が働くことになり、そのために、「東北沖地震の影響は断層運動を抑制する方向に働く」とされているだけであり、そもそも、関東平野にある逆断層は陸のプレートにかかる西進圧力がもとになって発生しているはずです。太平洋プレートの関東平野の地下部分での動きだけを見れば、上の論文の結論通りなのでしょうが、逆断層地震は陸のプレートと太平洋プレートが直接接している部分からの西向き圧力増加で発生しているはずですから、モデル自体が「北西方向の逆断層」についての評価には適していないと思います。
2017年09月05日20時50分 武田信弘
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