★阿修羅♪ > 経世済民125 > 895.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
「大暴落後」の日米の株価は割安か、割高かへの「ひとつの答え」 失業率の動きをもとに分析すると…(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/895.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 2 月 15 日 11:59:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「大暴落後」の日米の株価は割安か、割高かへの「ひとつの答え」 失業率の動きをもとに分析すると…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54471
2018.02.15 安達 誠司 エコノミスト 現代ビジネス


「暴落」後、日米株価は相変わらず不安定な動きを続けている。筆者は、この原因は、FRBのインフレ予想を上回る金融引き締めの「行き過ぎ(実質金利の上昇とFRBの資産圧縮)」が原因だと考えている。

従って、FRBがとりあえず、現状の金融引き締めを中断しない限り、株価の不安定な動きは終わらないと考える。ただし、幸いなことに現時点ではまだ世界の資産市場は「リスクオフ」の局面には移行していない。

よって、現段階までの株価の大幅下落は、かつてのITバブル崩壊やリーマンショックなどのバブル崩壊ではなく、本格的な金融引き締めの初期にみられる株価、もしくは、株価にビルトインされている投資家の経済の先行きに対する「期待」の調整と考えることもできる。

だが、このままFRBが現状の金融政策スタンスを変えずに、引き締め効果が累積していった場合(例えば、FRBの資産残高の減少幅がピークから10%を超えた場合)には、「リスクオフ」への転換もありうるので予断を許さない(これについて、2017年7月20日の当コラム『アメリカ金融政策「利上げ」の次の話題はもっぱらコレだ』を参照ください)。



そのような状況の中で、現在の株価水準が割安か割高かについての議論がいまだに続いている。割高論の代表格は、「バフェット指標」である。

「バフェット指標」とは、株式の時価総額が名目GDPの規模と比較して100%を超えていれば、経済規模と比較して株価が過度に上昇していると判断するものである。ちなみに昨年12月時点の「バフェット指標」をみると、日本は128.5%、米国は112.7%でいずれも100%を越えている。従って、「株価は割高で、調整する運命にあったのだ」ということになる。

一方、割安論の代表格はPERなどの「バリュエーション指標」である。

例えば、予想PERをみると、2月初め時点で、日米とも主要株価指数ベースで15倍から16倍程度である。バブルの頃の予想PERが50倍、ないしは60倍、もしくはそれ以上だったということを考えると、現在の日米の株価はそれほど割高ではないということになる。

これら2つの指標をみると、ともに「なるほど」と思ってしまうが、最大の問題は、ともに割高・割安の「基準」が曖昧な点だ。

「バフェット指標」は一応、「100%」が割高か割安の判断の分かれ目になっているが、100%を優に超えた株価指数も新興国を中心に多く存在する(例えば、シンガポールは269.7%、南アフリカは387.6%、韓国は118.3%など)。つまり100%を大きく超えたとしてもそれは必ずしも将来の株価調整を示唆するものではない。

予想PERも同様である。筆者はPERの「均衡値」がどの程度かを様々な経済指標などを用いて推定してみたが、統計学的に有意な結果をもたらすモデルを探せなかった。PERの均衡値はそのときの株式市場を取り巻くマクロ経済環境によって変化していくと考えるのが自然であるため、PERを用いて株価の割高・割安を考える場合には、過去の平均値と比較してもナンセンスである。

細かい話をすれば、マクロ経済との関連性からPERの均衡値を推定する「モデル」を推定することが必要である。だが、筆者はこれをどうやっても見つけ出すことができなかった。従って、予想PERを用いて株価の割高・割安を判断するのも、少なくとも筆者にとっては難しい話である。

日米株価の適正値はどのあたり?

そこで、今回は、株価の適正水準を考えるための比較的新しいツールを紹介したい。

これは、簡単にいえば、マクロ経済モデルを用いる方法であるが、ただ、使用するモデルはこれまでの主流のマクロ経済モデルとは大きく異なる。

米UCLA(カルフォルニア大学ロサンジェルス校)のロジャー・E・ファーマー(Roger E Farmer)教授は、現在主流のマクロ経済学(「ニューケインジアン経済学」がその代表)は、現実の経済を分析するツールとしては余りにも問題が多いとして、ケインズの「一般理論」の記述をなるべく忠実に再現した「古くて新しいマクロ経済学モデル」の構築に取り組んできた。

彼は特に、「フィリップス曲線」という概念に対して否定的なスタンスをとっており、「フィリップス曲線」の代わりに「信念関数(Belief function)」といわれるものを導入した。

ちなみに、ファーマー教授は、計量経済学の分野では、「レジームスイッチングモデル」などに関して学界で極めて影響力の高い論文を執筆するなど、第一線級の経済学者であることを付記しておく。彼が展開しているこのマクロ経済学の詳細に関しては、彼の著書(例えば、2017年に出版された『Prosperity For All』)を購読されることをお勧めする。

誤解を恐れずに単純化すれば、ファーマー教授は、経済活動を営む人々の、将来の経済に対する「信念」をモデルに組み入れることで、リーマンショックなどの経済危機やそれ以前のブームを考察しようと試みている。そして、この「人々の信念」を端的に表しているのが株価なのである。

そして注目されるのは、この、「人々の信念」を取り入れたマクロ経済モデルでは、その「信念」を代替する株価と経済の需給ギャップ(これは通常のマクロ経済学では、「IS曲線」で表現される)の間にある一定の相互依存関係が存在するとしている点である。

さらにいえば、この経済の需給ギャップは、概ね失業率の動きで代替することが可能であるため、株価と失業率の間にはある一定の相互依存関係が存在するというのが実証分析上の「肝」となっている。

そこで、株価と失業率の推移をみたのが図表1(日本)と図表2(米国)である。





ここでいう「株価と失業率の相互依存関係」とは、計量経済学的には「共和分(Co-integration)」といわれるものである。だが、統計上、この「共和分」の関係は、日本では、1997年を境に、米国では2008年末を境に変化している。これは、日本では、デフレが本格的に始まった年であり、米国はリーマンショックが発生した時期である。

すなわち、図表1、2の関係は、「停滞経済下での株価と失業率の関係」となることに注意いただきたい。

この図表1、2は株価と失業率の間に一定の関係があることを示唆するものであるが、この関係をもとに株価と失業率の間の長期的な均衡関係を定量化することができる(「エラーコレクションモデル(Error-Correction model)」)。

そして、この長期的な均衡関係から現在の株価がどの程度乖離しているかを示したものが図表3、4となる(それぞれ、株価指数の「乖離幅」で表している)。





さて、この長期的な均衡値からの乖離幅をどのように読むかであるが、図表3、4をみると、株価が長期均衡値上で安定的にとどまることは極めてまれであることがわかる。

すなわち、このモデルからは、株価はほぼ絶えず、長期均衡値対比で割高か割安の水準で推移していることになるが、基本的には割高と割安の間を循環していることもわかる。

また、図表中の点線は、もし、株価が、失業率との関係でみた長期均衡から点線の内側の範囲内で乖離しているのであれば、それは「想定の範囲内」の変動であることを意味している。逆にいえば、点線をはみ出す変動こそが、株価が「上げ過ぎ」、もしくは「下げ過ぎ」であることを示唆している。

そして、この上下の点線のところまで乖離が広がると、株価の転換点となる可能性が高いことが示唆される。

具体的にいえば、乖離幅が上の点線を越えると、そろそろ株価の調整が始まる可能性が高まっている、という解釈となる。

例えば、日本の場合(図表3)でみると、1997年は、金融危機による過度の悲観論から株価は過大に割安状態で放置されていた一方、1999年終盤から2000年半ばにかけてのITブーム期は逆に、過剰に割高状態で放置されていたと推測される。また、リーマンショック直後の下げのときにも、過剰に割安に放置されていたということになる(米国の場合も同じように解釈すればよい)。

そこで、昨年12月末時点での株価はどう評価すべきだろうか。

まず、失業率との関係でみた長期均衡値は、20500円程度(正確に計算すると20375円)ということになる。そして、12月末の日経平均株価はこの長期均衡値から2300円程度上の水準にあったが、前述の点線の範囲内に位置しており、必ずしも割高ではなかったという結論になる。

今年1月の失業率はまだ発表されていないが、仮に昨年12月と同水準であったとすると、1月23日につけた終値ベースの高値である2万4124円は、前述の上方の点線ギリギリの水準であり、割高感はないものの、サイクル的にはそろそろ調整してもおかしくないタイミングであったといえる。

一方、図表4をみると、SP500株価指数は昨年12月末時点で、前述の上方の点線に到達しており、失業率との関係でいえば、割高な水準に入りつつあったことを意味する。

そして、今年1月に入ってからはさらに加速度的に上昇したことから、SP500株価指数は、「上げ過ぎ」の局面に入っており、日経平均株価以上に調整のタイミングが近かったと推測される。

以上のように、失業率との長期的な相互依存関係から推測すると、昨年末から今年初めにかけて日米の株価は「上げ過ぎ」の局面に入り、「調整のきっかけ待ち」という状況であった。

そして、このような状況下で、FRBが資産圧縮を開始し、米国の実質金利が顕著に上昇し始めたことが「Catalyst(触媒)」となって、一気に株価が調整したと考えられる。

さらに調整する可能性も

もう一つ重要なことだが、今回、このモデルの推定は日本の場合は1997年以降、アメリカの場合は2008年大四半期以降のデータで行った点である。つまり、前述のように、経済危機によって経済が停滞局面に入って以降の株価と失業率の関係をモデル化したものである。

従って、もし、日米両国の経済が、長期停滞から脱した場合には、このモデルで示された関係は崩れ、株価は失業率との均衡値との乖離幅をどんどん拡大させるはずである。

だが、残念ながら、実際は日米の株価は乖離幅の上限に達したところで反転し、調整した。このことは、日米経済が依然として停滞局面から脱しきれていないことを意味しているのではなかろうか。

さて、今後だが、日米の実体景気が回復を続け、失業率がさらに低下すれば、株価の長期均衡値も上方修正されるため、割高感は自然と解消することになる。だが、ここでの株価と失業率は「相互依存関係」にあり、株価の下落局面が続けば、その後には失業率の反転・上昇が起きる懸念があるということである。

そして、もし、失業率が反転・上昇することがあれば、株価がさらに調整する可能性も否定できない。

話は元に戻るが、やはり、この悪い流れを変えるのは、FRBの金融政策の転換ではないかと考える。



 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2018年2月16日 00:06:36 : FCJnxw1kIM : Ehiit95WyKs[1]
株価が上がれば投資マネーが増えるから、従業員を増やして利潤を追求する。だから失業率も下がる。株価が下がれば、リストラやレイオフするから失業率も上がる。
グラフは単に、経営者や株主が従業員を負のコストとしてしか見ていないということを示してるに過ぎない。株価が上がれば、余剰コストを抱えてでも利潤を増やす。株価が下がれば余剰コストである従業員を切り捨てる。ただそれだけだ。あまり意味のある指標とは思えない。

バフェット指数は、緩和マネーがどれだけその国に流入しすぎているかを、示している。シンガポールや南アフリカは地域の金融センターなので、ある程度過剰に流入している。ゆえにもしも、金融センターとしての機能が僅かでも損なわれると、反動も大きいだろう。

そもそも、PERが15倍から16倍程度というのがかなり高いのだ。なぜそうなったかと言うと、過剰に緩和マネーが流入しているからそうなったのだ。緩和マネーが過剰に株式市場に流入すると、企業は緩和マネーに依存体質になる。中央銀行がほんの僅かだけでも発言のニュアンスを変えるだけでも、株価が大幅にふらついてしまう。

その結果、中央銀は金融政策不能に陥り、企業は虚弱体質に陥る。
経済の自律的回復を目指し、中央銀行の金融政策機能を回復するためには、引き締めが必要なのだ。ただし、急激に引き締めると、前述の通り株価が大幅にふらつくので、非常にデリケートに引き締めていく以外、方法はない。

だが、日銀の引き締め機能はすでに壊れているので、FRBが幾ら引き締めをしても、別の蛇口からマネー駄々漏れ、という状況は続く。ゆえに早晩金融政策不能に陥ることは否めない。
一つの方策は、日銀の引き締めとFRBの引き締めを、きつ過ぎずゆる過ぎず、連動しながら引き締めていくと言う、離れ業をすることである。しかし、日銀の引き締め金利には上限があるので、引き締め限界がある。恐らく戻せても精々ゼロ金利までだろう。

それでは世界にばら撒きすぎたマネーを回収できない。ゆえに、やはり手詰まりとも言える。


2. 2018年2月16日 21:20:18 : 9PLZrV5slA : xYQxG5BOXMU[67]
リストラの 堰が切れるぞ 贋景気

3. 2018年2月16日 22:44:59 : 71u3cCuCMM : @sW6lSZ9dwI[2]
*1
急激に引き締めると、前述の通り株価が大幅にふらつくので、非常にデリケートに引き締めていく以外、方法はない

デリケート?

心配後無用!

米市場は引き締め歓迎、

利上げ歓迎の、利上げ待ちで

反利上げの住宅が株に抱きついたに過ぎない。

ご苦労にも、

住宅と企業を入念に入れ替えてるな!

依存体質は企業でも経済でもない住宅である。


4. 2018年2月17日 00:47:34 : ZYgvLAOvv6 : GlfmZNdqN90[1]
>>3
米市場というか、株主も企業も利上げ歓迎ではない。ここ20年は甘やかされて育ってしまったからだ。
米市場はいうなれば、500万円の年収の息子にFRBパパが毎年1億円のお小遣いをあげているようなものだ。それが20年以上続いている。

そんな甘やかしをされたら、バカ息子は500万円の給料で、真面目に働くのが馬鹿馬鹿しくなって、働くのをやめてギャンブルで遊びほうけてしまう。そしてFRBパパの顔色ばかり伺うようになる。前に減額した時は、発狂した息子は、祖父の代から続くリーマンブラザーズまでぶち壊して潰してしまった。これにはFRBパパも驚いた。

FRBパパも、そろそろ息子も改心できたかなと思って、つい最近、前よりも僅かに小遣いを下げてみた。どれがどうなったか?その証明がなされたのが、先日の大暴落だ。米市場は、もはや誰もファンダメンタルズ、つまり息子が真面目に働いているかどうかなんか気にしていなかった。

今のアメリカ企業や株主は、FRBパパからの小遣いが、何時どれだけ減額されるかに、戦々恐々としている。突然ゼロにされても文句は言えないが、FRBパパもそんな無碍な事はしないだろう。そんなことをしたら、自分も路頭に迷ってしまう。

だが、お小遣いが僅かにに下げられただけで、米市場は発狂するほどうろたえて、暴落してしまった。すでに、真面目に本業で働くのをやめて、長く経ってしまったからだ。これでは、本業に戻る事は、もうできない。もしも、FRBパパからの小遣いが絶たれてしまえば、収入源も先行きもなくなってしまう。それに恐怖したのだ。

今の米企業や株主、即ち米市場の息子たちは、そのくらいファンダメンタルズが弱ってしまっている。

住宅は、単にバブルの土地ころがしの代わりに家ころがしをやってるだけなので、仮想通貨と同じく、派生ギャンブルに過ぎない。だから本業にはならない。それで、経済の基礎要件がよくなることは一切ない。

だから、マスコミを使って、小遣い上げろ上げろと、追加緩和要求の大合唱をしている。
FRBパパも死に体だから、要求に応じたら、息子がますます働かなくなって死ぬ。
時間と共に発狂暴落も大きくなる。つまりそっち方面でも手詰まりだ。


▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民125掲示板 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民125掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民125掲示板  
次へ