http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/842.html
Tweet |
外国人から見た東京の不動産「安いが、未来はない」という残念な現実 単なる投資の対象で、住む場所じゃない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54425
21018.02.10 渋沢 詠一 現代ビジネス
東京圏の不動産人気が続いている。タワーマンションや富裕層向けのハイグレードマンションの建設が相次ぎ、分譲価格はこの10年間で3割以上上昇。いまなお高止まりが続いている。「局地バブル」と指摘する専門家もおり、先行きは不透明で、購入や売却、投資のタイミングに迷う人も多いようだ。
海外からは日本のこの状況がどう見えているのだろうか。世界各国のメディアの論調を見てみると、日本人の視点とはだいぶズレがあることがわかってきた。
「日本ならビル一棟まるごと買える」
「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」(2017年7月7日)は、日本の不動産への投資が活性化する現在の状況とその理由をこう報じている。
「今日の(日本における)不動産価格は、上昇ペースは年1%ほどにスローダウンしたものの、2013年に比べて30〜40%値上がりし、リターンは平均3〜4%に落ちた。それでもなお投資は可能だし、主要都市にある物件は、香港の投資家にとって魅力的であり続けている」
「海外の不動産を買う人たちは、それぞれの理由を持っている。イギリスに買う場合、子どもの教育のためとか、オーストラリアなら、定年後をそこで過ごすとか。そして、日本の不動産を買う人たちの理由は、何と言っても『(不動産の)金額』だ」
「東京、横浜、大阪、京都のいずれかに自由土地保有権の(貸借でない)不動産を所有できるのは、香港の投資家にとって魅力的なことだ。香港にちょっとしたアパートを買うカネがあれば、日本だとビルが一棟まるごと買えてしまう」
経済メディア「ブルームバーグ」(2017年6月7日)も、住戸供給がダブつき気味で「2019年までに住戸価格が20%以上値下がりする」というドイツ銀行の不動産アナリストの分析を紹介しつつ、最後はシンガポールの不動産コンサルタントのこんな言葉で記事をまとめている。
「日本の不動産はグローバルな視点で見ると非常に安い。東京をはじめいくつかのエリアで価格上昇が起きているのは事実だけど、価格がいくらかでも下がれば、外国人投資家たちがここぞとばかりに買い漁るんじゃないかな」
海外メディアのほとんどは、日本の不動産が「高止まりしている」などとはまったく考えていないのである。
東京は、投資対象として魅力がない
ただ、投資専門メディア「インベスト・アジアン」(2017年8月12日)には、次のような記事が掲載されている。中国人によるアジアの不動産への投資が活発になっていることを受けたものだ。抜粋してみよう。
「東京の不動産価格が高いと言っても、(中国人の投資対象となっている)香港やシンガポールの不動産が高いのとは理由が異なる。外国人たちは、日本で不動産の価値を高めようとは思っていない。日本のビザ取得や不動産購入にはある種の苦痛が伴うので、わざわざ投資しようなどとは思わない。なおかつ、中国人は(観光ならともかく)日本がそんなに好きではない」
ロンドンの街並み photo by iStock
「東京の不動産は外国人投資家が大騒ぎしなくても十分高いのだ。日本の生活水準は高く、インフラも充実していて、一人当たりの国内総生産(GDP)は4万ドルにも達する。東京の戸建てやマンションの価格は、ロンドンやニューヨーク、パリ、ウィーンなど、生活水準や収入レベルが同じ世界の他の都市とそんなに変わらない」
「とはいえ、日本の未来は明るくない。人口減少や末期的な弱い経済は、東京において不動産の需要が減っていくことを示している。この都市で不動産に『投資』を考えることは、どう考えても割に合わない」
日本の収入レベルや生活水準を考えれば、不動産の値段は世界の水準からして妥当だが、将来の発展が期待できない東京は、投資対象としてそもそも魅力がない、というわけだ。
ニセコの一軒家を「9万ドル」で
東京は、単なる投資の対象としては安くて魅力的だが、生活の場としては将来性がない、というのが、外国人たちの一般的な見方のようだ。いっぽう、地方都市のなかには意外な評価を受けているまちもある。
北海道のスキーリゾート・ニセコに外国人観光客が押し寄せているというニュースは、どこかで聞いたことがあるだろう。東日本大震災の起きた2011年に比べて、その数は2倍以上に達しているという。近年では、先に紹介した香港やシンガポールから大量の投資マネーが入っていることが、日本のメディアでも報じられている。
「デイリー・メール・オーストラリア」(2017年6月5日)は、首都シドニーとメルボルンで深刻化している住戸不足を受け、日本に住宅を買う人たちが出てきていることを特集。その一例として、友人たちとニセコの一軒家を「9万ドル」で買った30歳の男性について、次のように紹介している。
「彼らは、雪原のまちニセコに買ったベッドルーム三部屋の戸建てを休日を過ごすために使い、自分たちが使わない時間はエアビー(Airbnb)を通じて短期貸しする計画だ」
海外マネーがなだれ込む北海道・ニセコ photo by gettyimages
「『僕は転売するためにニセコの家を買ったわけじゃないし、売り飛ばして儲かったカネでオーストラリアの不動産を買うつもりもないよ。でも、買ってからたった6か月で値段が跳ね上がったんだ、わかるかい?』と彼は言った」
「ちなみに、シドニーの郊外にあるベッドルーム3部屋付きの戸建ての価格を、オーストラリアの不動産ポータルサイトで調べたところ260万ドルだった。メルボルン市内だと、230万〜250万ドル。金融機関OFXの調査によると、18歳から30歳までの若いオーストラリア人のあいだで、海外の不動産を購入する人が増えているという」
日本人にとっては交通の不便な田舎町でも、海外の人たちにとっては「安くて、生活環境もいい」絶好の不動産になりうるわけだ。
日本の不動産市場は「破綻しかけている」
フィナンシャル・タイムズ(2017年11月17日)は、「日本の不動産市場は頭打ち?」と題する記事を掲載した。その要点は次の通りだ。
「忠義を重んじる日本人の象徴とも言える秋田犬『ハチ公』。その銅像は今日も渋谷の待ち合わせスポットとして変わらぬ人気を誇るが、かつて集産主義的だった日本の文化は、徐々に伝統への崇敬を失い、より個人主義を重んじるようになってきている。そのことが、不動産市場の急激な変化に寄与している」
「英不動産大手サヴィルズの担当者によると、2020年東京五輪が海外からの投資を呼び込んでおり、その多くが東南アジアからだという。『東京の不動産は高いというが、濡れ衣だ。ロンドンや香港に比べたら安いくらいだ』とその担当者は言う。実際、都心5区にある中規模の共同住宅は平米当たり1万5000ドル程度だが、香港で同じ物件を買ったら4万ドルはする」
「日本の家屋は1年で10%も価値が下がり、30年ほどで建て直され、最新の耐震技術が組み込まれるのが一般的だ。それでも日本にいる投資家たちはたいてい利益を出している。気前のいい住宅優遇制度と低金利が相まって、リターンは年3〜4%にもなる」
「しかし、そんな市場にも頭打ちの兆候が出てきている。東京圏の12月の価格は前年同月比0.7%減。ジャパン・キャピタル・リアルティの齋藤聖一代表は『我々は、日本の不動産市場は破綻しかけていると考えている』と語ってくれた」
冒頭で紹介した香港の投資家たちと同様に、グローバルな巨大都市に比べたら、日本の不動産が値上がりしているといっても大した金額の話ではないという見方は変わらない。ただし、この記事がもう一歩踏み込んで語っているのは、日本のユルい制度のおかげで投資対象としては悪くないが、そんなオイシイ環境も近々終わるだろう、というのだ。
海外が東京に向ける目は厳しい
「アジア・タイムズ」(2017年8月29日)は、東京五輪を前にした高層ビルや会場建築などの需要に沸き立つ東京について、森ビルによる高層ビル開発の現場を取材したうえで、こう書いている。
「何も森ビルが日本の債務危機や日経平均株価の暴落を引き起こすと言いたいわけではない。しかし、オリンピック規模の第二のバブルと言うのが似つかわしい状況ではある。そこには、何百億ドルものカネをソフトよりハードに投じることで、日本は再び偉大な国になるという信念があるのだ」
「2週間のスポーツイベントのために巨大なスタジアムや高層ビル群を建てることは、日本のデフレ状況を変えはしないし、よりイノベーティブになるわけでもなければ、生活水準を上げることもない。起業が盛んになるわけでもなければ、役員会の多様性が広がったり、女性役員の数が増えるわけでもない。時代に逆行するかのような年功序列的な昇進システムが置き換わるわけでもない」
会場はじめ建設ラッシュの東京中心部 photo by getttyimages
「エコノミストたちは日本がどこへ向かおうとしているのかを考えるとき、膨大なデータや統計に目を向けがちだが、東京の空を切り取る高層ビル群を見上げたほうが、よっぽど物事の本質が見えてくるのではないだろうか」
海外が世界有数の都市・東京に向ける目は想像以上に厳しい。いっぽうで、消滅する、破綻する、などと不穏な予測が飛び交う地方都市については、高い評価を受けているところもある。
いずれにしても、五輪景気だ、建設バブルだと浮かれ、自分たちの土地や家屋、風土の姿が見えなくなってしまうようでは、日本の不動産市場の将来は危ういのではないか。
経済のめまぐるしい変化で、不動産の価値が見えにくいこの時代。人工知能を用いて、マンションの部屋ごとの価格を高い精度で試算できるサービス「家いくら?」がスタートした。ぜひご活用いただきたい。(現代ビジネス編集部) |
人口減少と高齢化を背景に、国のあり方が大きく変わろうとしています。定年までの安定雇用で住宅ローンを返済し、静かな老後生活へ、という人生は、とっくに過去のものとなりました。家を買うのか借りるのか、どこで、どんなふうに暮らすのが幸せなのか。 これからは一人ひとりが新しい時代の「住まい方」を考える時代。現代ビジネス編集部はこのたび、特設サイト『住まい方研究所』を開設しました。皆さんが住まい方を考え、選ぶための役に立つ情報を、さまざまな視点からお届けして参ります。 |
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民125掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民125掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。