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いま明かされるアマゾンvs.国税「税の戦争」秘史 書店もスーパーも飲み込む世界企業が…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54176
2018.01.29 週刊現代 :現代ビジネス
日本法人ではなくただの「現地倉庫」!?
アマゾンは日本に税金を払っていない――。パナマ文書やパラダイス文書が公表され、世界の大企業や資産家の多くが租税回避にいそしんでいることが明らかになった現代、アマゾンも「節税のプロ」と世界中から揶揄されるようになった。
実際のところはどうなのか、国税とアマゾンの課税をめぐる「仁義なき戦い」を見ていきたい。
日本の税制は、基本的に住民や企業の「恒久的施設」に対して課税するシステムになっている。法人税であれば、課税対象の法人の活動拠点が日本にあるかどうかが判断の基準になる。
そのため、現行の制度では外国の法人が直接日本国内でビジネスを行った場合、日本への納税義務はないという抜け穴が存在する。
そしてアマゾンは、この恒久的施設の理屈から、日本に税金を納める必要がないと主張してきた。東京財団上席研究員の森信茂樹氏はその経緯を次のように解説する。
「これまでアマゾンは、日本法人に関しては『倉庫および物流施設のひとつで、日本に拠点を置いて事業を行っているわけではない』としてきました。
あくまでアマゾンはネット上に存在している実体のない店舗で、日本にある施設はただの倉庫だから、日本に法人税を納める必要はないという理屈でした。
そして日本での取引で得た売り上げには消費税がかかるはずですが、これについても一部の商品に関しては『サーバーや決済装置が海外にある』という理由で、日本に支払わなくてもよい、としてきたのです」
日本での事業にかかる法人税がアマゾン本社のあるアメリカで課税されているとすれば、日本よりも税率は安く、節税になる。
また消費税に関しても、アマゾンのクレジットカード決済センターはアイルランドにあるため、国内で決済しても「海外での購入」との扱いになり、消費税の課税対象にはならないとしていた。
莫大な利益を上げながら、しかるべき税金を納めない「タダ乗り」状態。だが、あくまでアマゾンのやり方は合法。脱税ではないため、日本の国税当局もそう簡単に取り締まることはできず、歯がゆい思いをしてきた。
実際のところ、アマゾンが1円も法人税を納めていないかどうか、その真相はブラックボックスになっている。
'09年、日本の国税当局はアマゾンに対して約140億円の追徴課税を行ったことがあったが、アマゾンは「日米の当局間で協議して決めてほしい」と日本の国税を相手にしなかった。
結局日本側の主張は米国当局に認められず、またその件に係わる資料も公表されていない。
ただ、だからと言って日本の国税も引き下がるわけにはいかない。'15年10月に「インターネット上のデータ取引であっても、日本で営業活動を行っている企業団体に関しては的確に徴税していく」と、引き続き対抗する姿勢を示したのだ。
この結果、'15年10月からアマゾンで課税されてこなかった商品にも消費税が課税されることが決定した。
このとき焦点となったのが、海外サーバーから配信される電子書籍の売り上げが日本で課税できるかどうかだった。結果として、これもアマゾン側に課税を認めさせることに成功したのだ。
アマゾンというインターネットショッピングサイトは、日本に法人としての実体を持っているのかどうか――。法人税を課税するうえでの最大のポイントは、'16年4月に大きな転換点を迎えた。
世界一の大富豪なのに
アマゾンでは購入者が商品の評価を星1〜5でつけ、購入ページにレビューを書き込むことができる。匿名ではあるが、このレビューを判断基準にしている人は多く、影響力は大きい。
そのなかで、ある本の著者が所属するNPO法人を中傷するようなレビューが相次いだ。
これを受けて、当のNPO法人はアマゾンジャパンに対し、投稿者の情報開示を求めて裁判を起こした。税金とは関係のない裁判だが、結果はNPO法人側の勝訴。
このなかでアマゾン側は「日本向けサイトの経営主体はアマゾンジャパンである」と認め、ついに'16年4月、国内に事業の実体があることを明らかにしたのだ。
そして'00年の上陸から18年、ついにアマゾンと国税の戦いに終止符が打たれようとしている。
「'19年の1月から、税制改革によってアマゾンなどのグローバル企業にも法人税を課税できるように法整備が進められています。
これまで『倉庫は恒久的な活動拠点でない』というのがアマゾンの節税ロジックでしたが、その倉庫などの設備も恒久的施設としてみなすことで課税するのです」(経済ジャーナリストの渡邉哲也氏)
だが、これにて日本におけるグローバル企業の租税回避対策は十分になされたと胸をなでおろすわけにはいかないようだ。
たとえばアマゾン同様に国境のない取引を繰り広げるマイクロソフトも、世界各地で同様の租税回避テクニックを使い、各国から批判を受けている。
またアップルの場合、'08年度から'17年度の10年間にかけて、約1.2兆円もの日本に納めるべき税金を払っていないことが明らかになっている。
アップルは、世界各国で得た販売利益をタックスヘイブンであるアイルランドへ移転していて、この利益は各国政府の課税を逃れ、ほぼ真水でアップルのものになっていたのだ。
このように、グローバル企業が各国の法律の抜け道をついて節税しているケースは枚挙にいとまがなく、世界を股にかけた「いたちごっこ」になっているともいえる。
「国税にとって今後争点になるのは、これまでアマゾンが払ってこなかったとされる法人税をどれだけ遡及的に請求できるかでしょう。海外企業による租税回避の方法はより幅広く、複雑になってきています。
2010年代に5兆円近くを売り上げているアマゾンですから、もしこれまでアマゾンが法人税を回避していたとしたら、相当の金額が還元されるはずです」(前出・森信氏)
ビル・ゲイツを抜いて世界一の富豪となったジェフ・ベゾスの野望は、これからも日本で拡大し続けていく。だからこそ、キッチリ税金くらい払ってもらわないとたまったものではない。
アマゾンの潮流に完全に呑み込まれてしまう前に、彼らの正体を見極め、本当に彼らを信じていいのか、今一度考えたいところだ。
「週刊現代」2018年1月27日号より
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— 日高太郎 (@kaibanohito) 2018年1月29日
アマゾンなど日本で商売をしている多国籍企業など、日本で税金を払うようにもっていくことですね。
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— BizMediaWatch_bot (@BizMediaWatch) 2018年1月29日
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