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「こんな気苦労をするとは」老人施設の“ヒエラルキー”を入居者語る
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180124-00000004-sasahi-hlth
週刊朝日 2018年2月2日号
終のすみかはどこにする?(※写真はイメージ)(c)朝日新聞社
終のすみかはどこにするか。高齢者にとっては重要な問題だ。介護の取材が長く、共著『介護破産』などがある村田くみ氏は、自宅で最期を迎えたい人向けのサービスが充実していると解説する。
* * *
首都圏のある有料老人ホームは、「地主や元社長らお金持ちが入る場所」と地元で評判だ。入居金1人3千万円以上で、24時間の安否確認、3度の食事に大浴場、娯楽施設もある。
ただ、入居者の女性(82)は「施設内ではほとんど遊ばない」という。数年前に夫(90)と入居したが、他の入居者に干渉されるのが嫌なのだという。
施設の入居費用は部屋によって違い、入居階や間取りで自然と“ヒエラルキー”が生まれる。この施設では入居者同士でいがみ合いが起き、「お互いの居室訪問は控え、なるべく娯楽室を使って」とのお達しが出たこともある。
「こんな気苦労をするとは思わなかった。施設でもイベントはありますが、ここの人たちとあまり関わりたくないので(笑)、外のカルチャーセンターに出かけているんですよ」(女性)
ホテルのように、価格が高ければ快適かというと必ずしもそうではない。設備とともに、介護サービスの提供体制、安否確認や看護師の配置など医療措置、入居後に認知症が重くなったり、要介護度が高くなったりしても住み続けられるかどうか……。こうした視点は施設選びに欠かせない。また、施設内での人間関係やルールなどは、盲点になりがちだが重要なことだ。
特に、元気なうちに入居する「住宅型」の有料老人ホームは、住み替えが難しい。どんな雰囲気なのか、見学時によく確かめたい。
集団生活は嫌だが万一の際の安心感を得たい人に人気なのが、「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)。2011年からの5年で約20万戸に増えた。
介護サービスは提供されないが、安否確認と生活相談サービスがあり、自由に暮らせる。在宅介護サービスのデイサービスやホームヘルプを使うことになるが、要介護度が低いと1週間の利用回数などに限度があるため、注意が必要だ。
最近は在宅向けのサービスが充実していることにも注目したい。
06年から始まった「小規模多機能型居宅介護」は、デイサービスを中心に、ホームヘルプ、ショートステイを組み合わせ、利用者の状態に応じたケアプランを立てられる。要介護度が低い人でも、週5日程度、デイサービスに通うプランが可能。しかも、費用は要介護5でも月3万円程度(1割負担の場合)と安価に抑えられる。
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、1回15分程度のホームヘルプを1日4〜5回組むケアプランを立てられる。例えば、朝昼夕と夜中に訪問するプランのほか、緊急時に手元のブザーを押すと、ヘルパーが駆けつけるシステム。要介護度が高くなり、自力でトイレに行けなくなった時なども、ヘルパーが来ておむつの交換や排泄介助をしてくれる。デイサービスと組み合わせて利用することが一般的だ。
こうした在宅サービスは年々充実している。うまく活用すれば、施設に入らなくても最期まで自宅で住み続けられる。
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