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パナソニック、巨額投資に回収不安か
http://biz-journal.jp/2018/01/post_22032.html
2018.01.19 文=編集部 Business Journal
パナソニック・津賀一宏社長
パナソニックは3月に創業100周年を迎える。それに合わせて、創業者の松下幸之助氏の経営思想や、今後のビジョンを紹介する展示会を国内外で開く。今月9〜12日に米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「CES」に出展したのを皮切りに、東京など国内外の都市で開催する。
松下幸之助氏が松下電気器具製作所を大阪市内に創立したのは1918年3月7日。組織再編などを経て、35年に松下電器産業、2008年にパナソニックと社名を変更してきた。事業内容も大きく変わった。
高度成長時代は、テレビを中心とする消費者向け家電製品が花形だった。しかし、デジタル化の進展に伴い、テレビなどの価格が急落。韓国勢の攻勢や08年のリーマン・ショックに見舞われ、奈落の底に転落。最終損益は09年3月期が3789億円の赤字、10年同期が1034億円の赤字、12年同期が7721億円の大赤字を計上した。なお、11年同期は740億円の黒字だった。
そんななか、12年6月27日に津賀一宏氏が社長に就任した。
1977年、松下幸之助氏が社長の松下正治氏を会長に棚上げし、末席の取締役だった山下俊彦氏を社長に指名した。世間は「山下跳び」ともてはやしたが、このとき山下氏は59歳だった。津賀氏は、山下氏より4歳若い55歳での社長就任となった。瀕死の重傷を負ったパナソニックは、若い津賀氏に再建を託したのだ。
津賀氏は不振のプラズマテレビから撤退し、自動車や住宅といったBtoB(法人向け)分野へ事業構造を大胆にシフトした。
パナソニックの17年4〜9月期連結決算(国際会計基準)の売上高は前年同期比9.0%増の3兆8578億円、営業利益は10.4%増の1965億円、純利益は10.9%減の1189億円だった。自動車向けの電子ミラーや電池が伸び、太陽光パネルの生産停止にかかる費用を吸収した。純利益は前年同期に繰り延べ税金資産の戻し益を計上した反動で減益となった。
成長の柱に据える自動車向け事業は好調だ。オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)の売上高は1兆3430億円、営業利益は385億円。売上高は全社の35%、営業利益は同20%を稼ぐ。かつての大黒柱だった家電事業のアプライアンスの売上高(1兆3274億円)を上回った。自動車向け事業が大きな柱に育ったことを数字が裏付けた。
AIS部門のうち車載のオートモーティブ事業の売上高は前期比33%増の4271億円。自動車向けの電子ミラーを製造販売する欧州の会社を連結子会社にした効果が出た。また、二次電池のエナジー事業は15%増の2611億円と順調に伸びている。
■パナソニックがトヨタを戦略パートナーとする理由
家電から自動車へ――。津賀社長は電気自動車向けのリチウムイオン電池に社運を賭ける。
17年12月13日、パナソニックとトヨタ自動車は、電気自動車(EV)などの基幹部品である電池事業で協業を検討すると発表した。リチウムイオン電池の開発で手を組むことになる。さらに、トヨタが20年前半までの実用化を目指す次世代電池、全固体電池の共同開発も検討する。
独フォルクスワーゲン(VW)を筆頭に、世界の自動車メーカーは次々にEVの販売計画を打ち出した。だが、日本勢は「リーフ」で先行する日産自動車を除き、商品化で出遅れた。
トヨタの豊田章男社長は12月13日の記者会見で、「車の電動化のカギとなるのは電池だ。競争力のある電池を開発して、安定供給することが重要」と語った。競争力のあるパートナーとしてパナソニックを選んだということだ。
リチウム電池は高出力、大容量が特徴。スマートフォン(スマホ)やノートパソコンなど情報機器の電源として需要が急拡大してきた。1991年にソニーが実用化して以来、日本勢の独壇場だったが、ここへきて中韓のメーカーが追い上げてきた。
リチウムイオン電池の世界シェアはパナソニックが22.8%でトップ。2位が韓国サムスンSDIの20.8%、3位が韓国LG化学の14.0%(2016年、テクノ・システム・リサーチ調べ)。
ここへきてスマホやパソコンの需要拡大のペースが鈍化。EVや電動工具、電動自転車、ドローン(小型無人機)など、モーターを動かす電源として需要が増えている。
パナソニックが成長の柱に据えるのは、EV向けリチウムイオン電池である。最大の顧客はEVベンチャーの米テスラ。テスラとパナソニックは11年、電池供給のパートナー契約を締結した。
テスラは17年7月、価格をそれまでの車種の半額となる3万5000ドル(約390万円)に抑えたEVの「モデル3」を発売した。すでに50万台分の受注があり、EVの本格的な普及につながると注目されている車だが、立ち上げ段階で苦戦を強いられている。
17年1月、テスラは6000億円を投じた世界最大の車載電池工場「ギガファクトリー」(ネバダ州)の稼働を始めた。これにパナソニックは2000億円弱を負担した。モデル3向けに乾電池サイズのリチウムイオン電池を生産している。
電池をパッケージ化する自動化ラインが立ち上がらず、テスラは現在、手作業で組み立てざるを得ない状況となっている。新しい技術を量産ベースで確立するための産みの苦しみを味わっているところだ。
そのため、17年7〜9月期のモデル3の生産は、1500台の目標に対して260台にとどまった。さらに、生産台数を週5000台に引き上げる計画の実現を3カ月先送りし、18年3月に再設定した。モデル3の生産の遅れが長引けば、パナソニックは巨額投資の回収に不安が出てくる。
ベンチャー企業であるテスラ1社に依存するリスクは高い。そこでトヨタと手を組み、円筒型電池はテスラ、角形電池はトヨタと、リスクを分散することにしたわけだ。
豊田社長は記者会見で「幅広く自動車メーカーの電動車の普及にも貢献したい」と語っている。トヨタと提携関係にあるスズキ、SUBARU、マツダ、それにトヨタ子会社のダイハツ工業などの完成車メーカーへの電池の供給を、パナソニックが一手に引き受けることになる可能性もある。
トヨタは、30年までEVなどに使う車載電池の開発や生産に1兆5000億円を投資する方針を打ち出している。トヨタと組むパナソニックは、自動車部品メーカーとして世界のトップ10入りが射程距離に入ってきた。
18年、“津賀パナソニック”は車載ビジネスで大きく飛躍する年になるだろう。
(文=編集部)
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