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商工中金の完全民営化が結局「旗印だけ」に終わる理由(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/513.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 1 月 18 日 22:04:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

商工中金の完全民営化が結局「旗印だけ」に終わる理由
http://diamond.jp/articles/-/156140
2018.1.18 室伏謙一:室伏政策研究室代表・政策コンサルタント  ダイヤモンド・オンライン


区切りがついた!?「商工中金の在り方検討会」
金融庁と経産省の意見対立で長引く


    
写真は昨年6月に業務改善計画を提出した後、報道陣の取材に応じて謝罪する商工中金の安達健祐社長 Photo by Takahiro Tanoue

 危機対応融資を巡る不祥事に端を発した商工中金改革、昨年11月から始まった「商工中金の在り方検討会」における議論が1月11日の第7回会合で一応の区切りがつけられ、検討会の提言として取りまとめられた。

 この検討会、当初年内で終了の予定だったのだが、結局年をまたぐことになった。その背景としては、本件の主務官庁である金融庁と経産省の意見対立が激化し、ガバナンスとビジネスモデルの転換でお茶を濁して早期の幕引きを図ろうとする経産省に対して、特に地域の金融機関の健全な業務推進の阻害要因と目されている商工中金の、実質的な現状維持はさせまいと、金融庁が徹底抗戦の腹を決めたことがあったようである。

 そして金融庁にそう腹を決めさせたのは、立憲民主党の落合貴之衆院議員が衆院経産委員会で行った、商工中金不祥事における金融庁の果たすべき役割についての以下の質問に背中を押されたところが大きいようである。

 「金融庁に伺いたいんですけれども、金融機関を監督する立場である、ある意味、監督のプロであるわけでもあります。(中略)全件検査に準ずるような検査を危機対応融資の案件以外にもする必要があるのではないか。

 これまでも金融庁は商工中金に対して何回も何回も検査をしてきたんです。それなのに、今回発覚するまで、はっきりとこういった事例が出てこなかった。でも、危機対応融資のこれだけの割合、しかも、ほぼ全部の店舗で不正が行われたことを見抜けなかったんです。これは何でですか。金融庁の検査に問題があるんじゃないでしょうか」

 「資料の改ざんとか自作とか、チェックシートの自作ですとか、具体的に出てきているわけです。これに対して検査を徹底的に追加で行うのかどうか。

 それから、(中略)反省するだけでは、同じ間違いを繰り返す可能性があるわけです。しかも、今回、ほとんどの店舗で、2000億もの融資額で、しかも2割の人がかかわっている不正さえも何年も見抜けなかったという失態をしているわけです。これは、反省するべきところは反省するだけじゃ組織の存在意義がないんじゃないですか。これはどう行動するんですか。それをお聞かせください」

経産省側の思惑どおりには
進まなくなってきていた検討会


 実際、第4回会合(昨年12月15日開催)の頃から経産省側の思惑どおりには進まなくなってきていたようで、既に検討会は事務局の経産省の統制が効かなくなっていたと聞いている(座長に対して公然と反旗を翻すといってもいいような強硬な主張をする委員が現れたのもこの頃からで、その背後には金融庁による演出・振付があったようだ)。

 非公開とされた第5回会合(12月20日開催)も、その理由は公開になじまない内々の議論を行うためと説明されていたが、実は、議論がまとまらないどころか事務局が議論をコントロールできずに、いってみれば議論が「散らかって」しまっている状態であったため、座長の判断で一度整理するために非公開となったというのが実情のようだ。

 その第5回会合では、危機対応はオールジャパンで、中小企業向けの金融は政策系でやってほしいといった意見も(おそらく利用者側の委員を中心に)出たようであるが、ビジネスモデルの転換と必要なガバナンス、コンプライアンス体制の確立に関し、大きな方向性について議論が行われ、概ね合意が得られた。

 ビジネスモデルについては、民間金融機関が本来業務としてできるはずだがそれができていない分野、民間金融機関では手が出せない業務を商工中金が担う方向に転換する、いわゆるミドルリスク層への業務とミドルリスク業務へシフトしていくこととされた。

 一方でガバナンス等については、完全民営化には時間がかかるという前提に立って、完全民営化の旗を降ろすことはしないが、まずは民営化までの間のガバナンスやコンプライアンス体制を構築することが必要とされ、5年程度の期間をおいてこれを構築するとともに完全民営化できるか否か見極めることとされた。

 しかしこのガバナンスやコンプライアンス体制に関する議論は、あくまでも完全民営化の可否を見極める期間に行われるものであるから、完全民営化を前提とせず、商工中金として何をすべきかの議論が優先されることとされた。完全民営化には時間がかかるにせよ、完全民営化の旗を掲げながらそれを前提とせずに議論するとは、なんとも不可思議な話である。

座長からの提案という形で
委員全員により承認された


 最終的な取りまとめでは、こうした方向性が踏襲され、他の検討会等と同様に座長からの提案という形で、委員全員により承認された。

 今回の不祥事において問題とされた危機対応業務については抜本的見直しを行うとされ、規模は大幅に縮小される方向とはなった。ただし、災害対応の名目での業務は残される方向となった(なお、本提言には“中間取りまとめ”と付されているが、何かあった場合に議論できるように検討会を残しておくために付されているだけであって、実際には最終報告であることには変わりはない)。

 本取りまとめはあくまでも提言であるので、これを受けて、一義的には商工中金がビジネスモデルの転換やガバナンス改革等の業務改善を進めることになる。

 昨年発出された業務改善命令において、業務改善計画を作成すべきこと等が記載されており、商工中金はこの提言を踏まえた計画を策定、主務大臣は提出された業務改善計画が提言を踏まえたものとなっているか否か検証し、必要に応じて監督等を行うことになる。

 業務改善の期間については、昨年末の第6回会合の段階では、3〜5年と幅が設けられていたが、提言では4年となった。その根拠については明確なものはないようで、3〜5年とされていたので間をとって4年とした程度のものだ。

 そんなことで本当に業務改善が進むのか、第5回会合の議論も踏まえると、そもそも最初からやる気がないのではないかと邪推したくなる。

 しかも、これも第5回会合の議論のとおり、4年というのは4年間で業務改善を行って、4年後に完全民営化するという趣旨ではなく、4年後に完全民営会社に移行できるか否か判断するということであり、仮に移行が困難ということになれば完全民営化は先送りされるか、完全民営化という選択肢自体がなくなる可能性もある。

見掛け倒しの
業務改善か


 仮に完全民営化ということとなると、株式会社商工組合中央金庫法附則第2条、第2条の3等の関係規定の改正が必要となる。なんといってもこれらの規定、平成27年の改正で、それまでの「平成27年4月1日から起算しておおむね5年後から7年後を目途として」と完全民営化の期限が明確に規定されていたものが、「株式会社商工組合中央金庫の目的の達成に与える影響及び市場の動向を踏まえつつその処分を図り、できる限り早期にその全部を処分する」と期限がなくなり、完全民営化の旗は掲げつつも、実質的には完全民営化を永久に先送りするのと同様の内容に変更になったばかり。

 これを「◯年後を目途に」といったようにまた当初と同様の規定に戻すことになるわけであるから、平成27年当時の経産省が抱いていたであろう、危機対応を大義名分とした半官半民状態の維持という思惑は、これで完全に崩れ去ることになる(経産省はリーマンショック等を奇貨としてそれまでも2度、完全民営化までの期間の延期を図ってきている。27年の衆院経産委員会における改正法案の質疑では、期限を明示すことはなかなか難しいと宮澤経産大臣(当時)が答弁するにまで至っている)。

 しかし、ビジネスモデルを転換してもなお完全民営化にはなじまないといった判断になれば、別の方向の改正となり、平成27年の改正で描かれた思惑どおりではないが、少なくとも完全民営化は回避されることになる。

 むろん、提言に記載こそないものの「中間解はない」ということは今回の検討会の結論に含まれている。半官半民状態で商工中金が未来永劫存続し続けるということはありえないわけではあり、完全政府系化なり日本政策金融公庫への統合等といったことになることが想定される。規模を縮小の上、機能を特化・専門家し、かつ地域の金融機関の業務の阻害にならないというのであれば、それはそれでいい方向性ではあると思うが。

 4年という期間を逆手に取った見かけ上の、見かけ倒しの業務改善に堕してしまうのか、商工中金の利用者のみならず、地域金融機関の事業の阻害要因除去をはじめとして、地域金融の適正化の観点から、22日から始まる通常国会での積極的な議論が待たれる。

(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント 室伏謙一)


 

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