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少子高齢化の波、経営者にも 中小企業に迫る「大廃業時代」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180116-00000500-fsi-bus_all
SankeiBiz 1/16(火) 11:30配信
写真はイメージです(Getty Images)(写真:SankeiBiz)
■産経新聞論説委員・河合雅司
少子高齢化の波は、企業経営者にも押し寄せる。東京商工リサーチの「休廃業・解散企業動向調査」(2016年)によれば、倒産件数が08年の1万5646件をピークに下降線を描く一方で、休廃業や解散は増加傾向となってきた。
16年は2万9583件(8.2%増)で過去最高となった。00年(1万6110件)の倍近い水準だ。サービス業他と建設業で半数を占めた。
中小企業白書(17年版)は10年前に比べ伸び幅が一番大きかったのは、非営利団体や政治団体などを除けば一般診療所(335件増)だったと紹介している。食堂・レストラン(271件増)、土木建築サービス業(210件増)、経営コンサルタント業、純粋持ち株会社(186件増)、歯科診療所(169件増)が続いた。
◇
注目すべきは休廃業や解散した企業の経営者の年齢だ。60歳以上が82.4%(16年)を占め過去最高となった。80歳以上の14.0%も過去一番であった。経営者の高齢化が進んでいる。中小企業全体でも、経営者の年齢構成(15年)は60代(37.0%)や70代(19.1%)のシェアが10年前に比べて増加している。
中小企業経営者の平均引退年齢は70歳だが、経済産業省の資料はこれを超える経営者が25年には約245万人に上ると予測する。約半数の127万社(日本企業の約3割)では後継者が決まっていない。「大廃業時代」が迫ってきているのである。
看過できないのは、休廃業・解散前に黒字や高収益だった企業が少なくない点だ。中小企業白書(17年版)によれば、13年から15年に休廃業・解散した6405社のうち黒字企業が50.5%。利益率10%台が7.5%、20%以上も6.1%である。
生存企業の利益率の中央値は2.07%であり、この水準を上回りながら休廃業・解散に追い込まれたところが32.6%もあった。高収益ながら廃業した企業の約96%は従業員20人以下だ。
経営者の年齢をみると60歳以上が約7割を占めた。黒字経営をしていながら後継者不足によって廃業せざるを得なかったということであろう。極めて異常な事態だ。
大休廃業時代の到来を「潰れた企業の問題」として簡単に片付けてはならない。経産省の資料は、このまま推移すれば、25年頃までの10年間で650万人の雇用が奪われ、約22兆円の国内総生産(GDP)が奪われる可能性があるとしている。
休廃業・解散をきっかけに、熟練した技能を持つ従業員が引退や職種替えを迫られれば特許技術や優良技術は途絶えよう。事業部門の売却・移管、外国企業に再就職する人の増大は技術の海外流出となり、国際競争力の落ち込みともなりかねない。
忘れてはならないのが、地域生活にとって欠かせない業種の休廃業は、地域の存続自体を危うくするという視点だ。例えば、医療機関の場合には医師は住民の健康維持だけでなく、産業医や学校医としての役割も担っているケースが多い。こうした存在がいなくなったのでは、住民の生活が回らなくなるばかりか、地域の企業や学校なども存続できなくなる。
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では、どうすべきか。急がれるのは日本経済の成長分野に資する技術力やノウハウを持つ中小企業への対応だ。
中小企業白書(14年版)によれば親族内継承は減少傾向にある。少子化の影響を考慮すれば、この流れはさらに加速しよう。代わって増えているのが内部昇格や外部招聘(しょうへい)だ。今後は、M&A(企業の合併・買収)をもっと拡大させていかざるを得なくなる。
まずは投資家や若手経営者が、成長力を持ちながら後継者不足に悩む中小企業の情報を簡単に得られるよう態勢を整えることだ。それには「取引所」の整備が欠かせない。後継者不足に悩む企業の内容をデータベース化し、同時に企業買収時の税制優遇や、成長分野に参入しやすくするための規制緩和も推進することで企業再編につなげるのである。成長力の高い中小企業の休廃業・解散は、日本の産業基盤を根底から揺るがす。経営者には、早めの将来設計と決断が求められている。
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