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クリスマスしか食べないケンタッキーの危機…ファミマ怒涛のチキン攻勢に「食われ」始めた
http://biz-journal.jp/2018/01/post_22001.html
2018.01.16 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
フライドチキンの店舗(撮影=編集部)
ケンタッキーフライドチキンを展開する日本KFCホールディングスは、昨年12月23〜25日のクリスマス期間3日で、過去最高となる60億円(前年同期間比1.4%増)の売り上げを達成したと発表した。
クリスマスにケンタッキーのフライドチキンを食べる人は少なくないだろう。そういった需要が過去最高の売り上げを実現させた側面があるが、さらに昨年は特に鶏肉料理を売りやすい環境が整っていたといえるだろう。
飲食店情報サイトを運営する「ぐるなび」が、その年の世相を反映し象徴する食を毎年選んで発表する「今年の一皿」で、2017年は「鶏むね肉料理」が選ばれたことからもわかる通り、昨今の食の健康志向を追い風に、特に昨年はたんぱく質が摂れるうえにヘルシーなイメージが強い鶏肉料理に関心が集まっていたためだ。
そうしたなか、ケンタッキーは「パーティバーレル」3種や「クリスマスパック」5種などバラエティー豊かな期間限定メニューを用意し、クリスマスキャンペーンを展開した。
また、フライドチキンなどを囲んでクリスマスを過ごす家族を描いたテレビCMを放映したり、歌手の竹内まりやが歌うケンタッキー向けのクリスマスソング「すてきなホリデイ」を店舗のBGMで使用するなど、キャンペーンを積極的に盛り上げたことが奏功した。
「クリスマスに鶏肉料理」という風習はアメリカやカナダで古くから行われていたもので、感謝祭には七面鳥が供され、クリスマスでも食卓を飾ることがあるという。日本ではそういった風習はなかったが、ケンタッキーの並ならぬ努力で日本で定着していったという歴史がある。
ケンタッキーの日本1号店が誕生したのは1970年で、その頃の日本は欧米化を志向し、特にアメリカ文化が急速に普及していった時期だった。ただ、この頃はフライドチキンという食べ物が日本に馴染んでいなかった。
そんなある日、ケンタッキーは店舗の近くにあるミッション系の幼稚園から、「フライドチキンを買ってクリスマスパーティーをしたいので、サンタクロースに扮装してパーティーに来てもらえないか」との相談を受けた。そこで店長がサンタクロースに扮してパーティーに参加したところ、子供たちは大喜びしたという。
これをヒントに営業担当者が「クリスマスにケンタッキー」を広くアピールしようと考えたのだ。そして、74年から毎年全店でクリスマスキャンペーンを実施しているという。こうした努力が実って、「クリスマスにフライドチキン」「クリスマスにケンタッキー」という風習が日本で根づいていった。
こうしたケンタッキーの努力は、クリスマスでは大きな威力を発揮している。それが「過去最高の60億円の売り上げ」という結果を生んだといえる。
■コンビニの脅威に怯えるケンタッキー
しかし、その一方で手放しでは喜べない事情が存在する。というのも、クリスマス以外では苦戦を強いられているからだ。ケンタッキーの業績は厳しい状況にある。
ケンタッキーの全店(直営店+フランチャイズ店)の1店あたり平均売上高は、昨年10月から12月まで3月連続で前年を下回った。直営既存店売上高も同様だ。17年4〜9月期のケンタッキー事業の売上高は前年比で0.9%減少している。それ以前は好調で、セグメント変更により比較可能な16年3月期以降では、2期連続で増収を達成していた。それが一転、今期は厳しい状況が続いている。
ケンタッキーが苦戦を強いられている要因のひとつには、コンビニエンスストアの存在があるだろう。コンビニ各社が鶏肉料理に力を入れるようになったため、ケンタッキーが追いやられている側面があるのだ。
まずは、ファミリーマートのフライドチキン「ファミチキ」が筆頭格だろう。累計で10億個以上を販売する大ヒット商品だ。「ファミチキ先輩」という独特なイメージキャラクターを起用したことでも話題を呼んでいる。
昨年のクリスマスには「恋するフレフレチキン」や「ファミチキ先輩BOX」などを販売し、クリスマス需要の取り込みを図った。需要を喚起するため、歌手の松任谷由実やファミマの澤田貴司社長、ファミチキ先輩が出演するトレンディドラマ仕立てのウェブ動画を公開したことも話題となった。ケンタッキーのお株を奪っているともいえるだろう。
セブン-イレブンは従来の「揚げ鶏」に加え「ななチキ」を投入するなど、フライドチキンを充実させている。ローソンは「Lチキ」「黄金チキン」を投入し対抗している。その他のコンビニも、多くがフライドチキンを拡充させている状況だ。
鶏肉を使った「ヘルシーメニュー」を見ても、ケンタッキーとコンビニは需要の綱引きを演じている。
ケンタッキーは健康志向の高まりに対応するため、原料や製法などの基礎研究を主に行う「研究開発部」を昨年4月に新設した。その研究開発部は野菜をたっぷり使ったヘルシーメニュー「あったか野菜スムージー 国産鶏がらスープと9種の野菜」や、同メニューに良質なたんぱく質が摂れる「オリジナルチキン」1ピースと「ブランパン」1個が付いた「バランスセット」を昨年末に販売するなど、ヘルシーメニューを充実させている。ただ、まだ知名度が高いとはいえないだろう。
一方、セブンは、昨年の「今年の一皿」に選ばれた「鶏むね肉料理」の先駆的存在ともいえる「サラダチキン」を販売し話題を集めた。同商品は鶏むね肉を蒸してパック詰めにしたもので、すぐに食べられるという利便性と、たんぱく質が豊富で低カロリーというヘルシーイメージが消費者に大いに受けている。昨今の健康志向の高まりが追い風になったのだ。ファミマやローソンも同様の商品を販売し、ヘルシーな鶏肉料理を求める消費者の需要に応えている。
このように、ケンタッキーにとってコンビニは大きな脅威となっている。コンビニ大手3社だけで全国に5万店以上を展開しているが、ケンタッキーの店舗数は1100店程度にすぎない。そうしたなか、コンビニ各社はフライドチキンの販売を強化している。ファミマは「ファミ横商店街」と命名したコーナーをレジ横のカウンターに設けて、フライドチキンなどファストフーズ総菜の販売を強化しているほどだ。力の入れようがわかるだろう。
こうしたコンビニ勢の攻勢を前に、ケンタッキーは正念場にあるといえそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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