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日本の好況は継続する、工作機械・半導体製造装置ともに絶好調
http://diamond.jp/articles/-/155734
2018.1.13 三井住友アセットマネジメント 調査部 ダイヤモンド・オンライン
好調な世界経済で設備投資も改善
日本の輸出も勢いよく増加中
皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。今回は、来週発表される「工作機械受注」や「機械受注」の統計に焦点を当てます。
2016年後半から徐々に始まった世界経済の同時回復は、このところ発表された経済データを見ると、ますます堅調さを増しています。企業に景況感を聞いたサーベイ調査は世界的に上振れてきており、世界貿易も好調な伸びを保っています。株式市場も年初から勢いよく上昇しており、これも経済活動に活気を与えることと思われます。
この活況には二つの特徴があります。一つは世界的に景気回復の裾野が広がっていて、先進国のみならず新興国の景気も回復、拡大していること。もう一つが、リーマン危機後に停滞していた設備投資が活発化していることです。
これは世界の貿易統計を見ると、機械類の輸出入が増えていることや、日米独などの資本財受注や工作機械受注が伸びてきていることから確認できます。
設備投資の活発化は、経済全般にとって重要です。設備投資が伸びることで生産性が上昇したり、資本投入が増加するため、潜在成長率が高まることが期待できます。企業活動と賃金の関係を見ると、企業にとっては労働者に支払う賃金を増やしてでも、売り上げや利益を維持したり、高めたりすることが可能になります。結果として、インフレを招かずに、賃金の上昇が達成できる可能性が高まります。
来週発表される「工作機械受注」や「機械受注」のデータを見れば、設備投資が堅調に推移しているかどうかをある程度確認することができます。
ここで、二つのデータのこれまでの動きを見てみましょう。
機械を作る「工作機械」の受注は
過去最高を更新する見通し
まず、「工作機械受注」です。これは、機械を作る機械で、全ての機械の元になっていることからマザーマシンと言われます。工作機械の性能の優劣が、生み出される機械の性能の優劣を、ひいては最終的に生み出される製品の競争力を大きく左右します。このため工作機械は産業全体にとって重要です。
日本には世界クラスの有力メーカーがいくつもあり、国際的に競争力の高さが示されています。優れた工作機械を作るにはノウハウや技術の蓄積が必要ですが、これらは日本人が得意な領域と言われています。
17年の工作機械受注は極めて好調で、輸出を中心に拡大しており、過去最高を更新する見通しです。月間で工作機械受注金額が1000億円を超えると好況と見なされますが、16年の11月からそれを上回っていることに加え、17年11月には受注金額が1500億円を超え、単月で史上最高の受注金額を記録しました。これは、前年比で見ると+46.8%になります。
今後も好調な受注が続くかが注目されますが、どんな製品、用途向けの需要が強いかを見ると、予測が立てやすくなります。
足元で需要が著しく強いのは中国向けで、特に11月は、携帯電話等を受託製造しているメーカーが多額の発注を行なったようです。それ以外にも、賃金の上昇や人手不足に対応するための自動化向け(ロボット)、新しい技術が発展しつつある電気自動車や有機EL向けなどの需要も強いと見られます。これらは中長期的に続きそうな要因ですから、今後も工作機械受注は堅調さが続く可能性が高そうです。
強い需要といえば、半導体への需要が急速に伸びていることにも言及したいと思います。
スマホに加えAIなどにも活用で
半導体価格は顕著な上昇局面に
世界の半導体売り上げは、17年の見込みで、前年比+20%の4080億米ドル(世界半導体市場統計による)です。
半導体売り上げは、2000年のITバブル、07年の住宅バブル期に大きく伸びた後にバブル崩壊で落ち込み、そこから回復するといったように、数年単位で上昇と下落を繰り返してきました。
08年のリーマン危機後は、10年にかけて回復した後、約3000億米ドル付近の水準を横ばい状態で推移してきましたが、16年の後半から顕著な上昇局面に入っています。
これはiPhoneに代表されるスマートフォンの需要拡大や、高機能化に伴う半導体需要の高まりを受けているほか、最近ではビッグデータやAI、IoT(Internet of things=モノのインターネット)など、新しい技術がどんどん実用化されて積極的に活用され始めていることが背景にあると見られます。
これまで、半導体はパソコンやスマートフォン・携帯電話を中心に使われてきましたが、これが自動車や機械全般に使われるようになれば、需要は今後も拡大すると考えるのが自然です。
なお、これまでに半導体市場の好不況の大きな波を作り出してきたのは、実は需要ではありませんでした。将来の需要を見越して供給能力を拡大し、半導体を作り過ぎた供給側に原因があったのです。
半導体製造は装置産業のため、半導体メーカー各社は需要が好調な時に市場シェアを伸ばす狙いで積極的な設備拡張を行います。これが続くと、半導体の製造キャパシティが需要を上回り、半導体の価格が下落します。この時にわずかでも需要が減少すれば、さらなる価格の下落→収益性の悪化となり、半導体業界にとっては状況が一層悪化します。
現在のところ、半導体需要は供給能力を上回っていると見られ、特に需要が強い高機能メモリーの半導体価格は上昇傾向にあります。
ただし、同時に半導体製造装置の売り上げも急増しているため、将来の需給悪化のタネがまかれつつあることにも注意が必要です。
官公需と非製造業が足を引っ張り
「機械受注」は数年間横ばい
さて、来週は「工作機械受注」とともに「機械受注」統計も発表されます。
世界的に景気が良く、設備投資が回復してきていること、日本が競争力を持つ半導体製造装置の需要が極めて強いことなどから、日本の機械受注も強いのだろうと想定されやすいのですが、実は機械受注は過去数年ほぼ横ばいの動きが続いています。
日本の機械受注の内訳を見るとその理由がよく見えてきます。
日本の機械受注金額は年間で大体、27兆円ですが、足元で好調な外需は10兆円程度で全体の4割弱に過ぎません。また、内需を官公需要と民需に分け、その民需を製造業、非製造業で分けると、より好調な製造業が約4兆円で、全体の約15%となります。
つまり、機械受注の半分強は堅調な外需と内需の製造業ですが、残り約半分はあまり伸びていない官公需と内需のうちの非製造業になります。官公需は日本全般の財政状況が厳しいことから、ここからの伸びを期待するのは難しそうです。
非製造業については、日本経済が潜在成長率を超えて拡大していることから、事業拡大の必要性は高いと思われ、人手不足の状況が年々厳しくなっていることから、効率化への投資も必要になるでしょう。
一方、スーパーやレストランなどでは、従業員の確保ができないため、24時間営業をやめたり、休業日を増やしたりする動きが出ています。これらのプラスとマイナスが相殺しあって、非製造業の機械受注はほとんど伸びていない状況になっていると見られます。
最後に日銀が昨年12月に発表した短観の設備投資の見通しを確認しましょう。
非製造業の設備投資
活況はこれから
上記の製造業と非製造業の景況感の違いは、日銀短観でも確認できます。短観の業況判断指数は、製造業では16年の中ごろから上昇傾向に入っていますが、非製造業は16年の後半から17年初にかけて回復した後は、横ばいの状況です。
非製造業も、業況判断指数の水準自体はそれほど低くはないのですが、目に見えて業況が改善しているわけではありません。
設備投資については、短観によると、計画では全規模・全産業ベースで前年比+6.3%と9月調査の同+4.6%を上回り、全産業としては設備投資に前向きになっている模様です。
ただし、製造業と非製造業で分けてみると、製造業の今年度の設備投資計画が前年比約10%の伸びとなっている一方、非製造業はその半分の約4%となっています。
ここまで、日本の非製造業についてネガティブな数字を並べましたが、悲観的になる必要はないと思われます。日本の名目GDP成長率は概ね2%程度で伸びると見込まれており、非製造業の利益や設備投資がそれよりも高い伸びで拡大するならば、経済に対してはプラスに寄与していると考えられます。
今後、好況の持続とともに人手不足の度合いがより高まるにつれて賃金上昇率も高まり、消費活動が緩やかに活発化すると見られます。これにつれて、非製造業の事業活動や設備投資も緩やかな成長が続くと期待できます。また、機械設備投資にはそれほど積極的ではないにしても、研究開発などは増加すると見られ、これも前向きな点と考えられます。
(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)
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