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日本の流通業界がアマゾンに潰されないための策はあるか
http://diamond.jp/articles/-/154331
2017.12.26 森山真二:流通ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
国内の流通業がアマゾンエフェクトに飲み込まれない戦略はどうすればいいのか――。アマゾンの会員制の有料サービス「アマゾンプライム」、商品をボタン一つで即座に注文できる「アマゾンダッシュボタン」、低価格のクラウドサービス「アマゾンウェブサービス」等々。いわゆる一度導入したら自動的にアマゾンのサービスを使い続けるはめになる便利な仕掛けである。このまま私たちの生活はアマゾンに囲い込まれてしまうのか。国内のリアルの店舗やネット通販企業がアマゾン対抗できる方策とは。(流通ジャーナリスト 森山真二)
アマゾンエフェクトに対し
危機感が高まる国内流通業界
国内の流通業界では、アマゾンエフェクトに対する危機感が否が応にも高まっている。イオンの岡田元也社長は12月の中期経営計画の発表会の席上、アマゾンを名指しして「(我々)小売業が気がついていないことを教えてくれた」とし、その「便利さと低価格を実現している」ことに「追いつかなければならない」と指摘した。
イオンでは今後2020年までに、デジタル化などに従来の2.5倍のとなる5000億円を投じ、アマゾンに対抗できる体制を構築していく方針という。
アマゾンジャパンの顧客囲い込みはすごい勢いだ。2017年12月、「ダッシュボタン」に新ブランドを追加すると発表した。2016年の12月に導入以来、その合計数は130種類、このボタンで注文できるアイテムは計1000以上になった。
ダッシュボタンは、花王やユニ・チャームといった日常的に購入する生活必需品のブランドのボタン。冷蔵庫や洗濯機、はたまた洗面所に張り付けておき(ネット環境が必要だが)ポチッと押せば注文完了となる便利な仕組みである。プライム会員向けに1つ500円で販売するが、初回注文時に500円が還元されるので実質的には無料となる。
洗面所には歯磨きのブランドのボタンやヘアケアブランドのボタン、冷蔵庫には台所用洗剤のボタンなどとシチュエーションに応じて配置すると便利だ。
アマゾンではこのボタンで、パソコンやスマートフォンでの購入では捕捉しきれない、例えば歯磨き粉の使用サイクル、特定商品の購入頻度や、使用量をボタンから収集している可能性がある。ボタンを押すたびに生活実態が明らかになるのである。しかし、一度使うともう手放せない。便利なので、ついついボタンをポチッと押してしまうのだ。
知らず知らずのうちに
アマゾンに囲い込まれる
考えてみれば、われわれは知らず知らずのうちにアマゾンに生活を彩られている。アマゾンプライムはコストパフォーマンスがいい仕組みである。年会費3900円を払えば、まず当日配送される「当日お急ぎ便」、注文から3日以内に商品が配送される「お急ぎ便」も無料である。
この配送の便利さに加え、映画やテレビ、ドラマなどが見放題の「プライム・ビデオ」、100万曲以上の楽曲が楽しめる「プライム・ミュージック」などと、なにしろプライム会員はお得感満載なのである。米国ではプライム会員の年会費は1万円以上もするから、日本での割安感は際立つ。
低価格の年会費で特典を満載し、常にアマゾンのサイトに移動できるような環境を作り出し、商品の注文につなげる。しかも音楽や映像というエンターテインメントの嗜好などもマーケティングにも活用しているのだ。
アマゾンプライムの会員制度が儲かっている否かの収支は別にして、アマゾンは会員を増やせば増やすほど、本業の物販での販売機会が増えるという仕組みである。知らず知らずのうちに、消費者の囲い込みが行われているのである。
「便利なんだから、別にいいじゃん」という意見もある。だが、このままでは日本の流通業界はアマゾンに席巻される。今後、無人コンビニのアマゾン・ゴーなどが本格展開されれば、国内の消費者はさらにアマゾンに囲い込まれていくのは間違いないだろう。消費市場でアマゾンの寡占化が進むとなると、アマゾンに蹂躙される事態も想定できなくはないのだ。
アマゾンに市場を侵食されている
ネット通販企業の逆襲も始まっている
では一体、アマゾンに対抗できる体制とはどんなものだろうか。最近ではアマゾンに市場を侵食され始めているネット通販企業の逆襲も始まっている。
例えばアパレルは今後、アマゾンが力を入れていく分野だ。
一部の報道によるとアマゾンのアパレル分野の16年の売上高は2兆〜4兆円に達しているとされ、仮に4兆円規模になっているとしたら、米国のアパレルで売上高の大きい、ウォルマートの2兆8000億円やメイシーズの2兆4600億円を抜いている計算になる。アパレルという利益率の高い商品を拡大したいのは、アマゾンの目指すところだろう。
アマゾンが現在の状態で成長し続けていけば、2020年までにアパレルの売上高は約5兆円から、9兆2000億円に拡大するという予測もあるほどだ。
9兆円という予測数字は日本などでも、既存の百貨店や専門店などアパレル販売者をなぎ倒して達成する数字と見られるが、ところがどっこいアマゾンの顧客買いこみを阻止せんというのが、スタートトゥデイが展開するアパレルのネット通販サイト「ゾゾタウン」だ。
ゾゾタウンはアマゾンばりの顧客囲い込み戦略をとる。採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布を始めるのだ。プライベートブランド(PB)「ゾゾ」の採寸用で、全身に伸縮センサが内蔵され、スマートフォンのアプリと連動、着用で体の寸法が分かる仕組みだ。
サイズが分かっているので、一度顧客になったら繰り返しの購買も想定され、アマゾン対抗の顧客囲い込みといえるだろう。
アマゾンエフェクトに
巻き込まれないためには
アマゾンエフェクトに巻き込まれないために、第一には「オリジナル商品」、そしてウォルマートがネットでも仕掛けているような「アマゾンを圧倒する低価格」、さらに実店舗ならばドン・キホーテのようなアマゾンが真似できない「エンターテインメント性のある商品政策」がカギを握ると見られている。
例えば神戸物産が運営する「業務スーパー」という店は、店名とは違って一般消費者でも入店できる食品中心の店だ。ほとんどの商品がオリジナル商品で、食の製造小売業(SPA)である。オリジナル性の高い商品ならば、アマゾン効果にも巻き込まれないし差別化もできる。
ウォルマートはネット通販企業のジェット・ドット・コムを買収しているが、アマゾのプライム会員による囲い込みに対し、ジェットは買った商品の中身や量、さらに商品がある倉庫、支払い方法などで合計金額が変わる仕組みを持っている。いわばネット版のエブリディ・ロー・プライスを実践するツールともいえるが、この低価格戦略でアマゾンに対抗していく。
今後、メーカーもネット通販企業が拡大してくれば販路別の商品政策や価格政策を展開するのは必至だ。イオンやセブン&アイ、さらにアマゾンなどと販路によって商品や価格を変える戦略である。価格や商品でのバッティングが少ない。
アマゾンエフェクトは、もはや押しとどめようもない。ならば国内の流通業は防波堤を築き、さらにアマゾン包囲網を築く方策を考えるべきだろう。
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