2017年12月23日(土) 主張 18年度予算案決定 暮らしを細らせ軍備は増強か 安倍晋三政権が一般会計で97兆7128億円に上る2018年度予算案を決定しました。第2次政権後、当初予算案の編成は6度目ですが、軍事費の異常な突出ぶりと、国民の暮らしを支える社会保障費を容赦なく抑え込む姿勢はいよいよ際立っています。毎年増額を続けてきた軍事費は5兆1911億円とまたも過去最大を更新する一方、社会保障費の「自然増」は今回も大幅にカットしました。大企業向けの新たな減税措置も露骨です。国民生活を置き去りにして、軍拡を推進し大企業を優遇する安倍暴走政治からの転換がいよいよ必要となっています。 国民に冷たい逆立ちぶり 敵基地攻撃可能な巡航ミサイル、北朝鮮の核・ミサイル開発を口実にした「ミサイル防衛」システム、最新鋭戦闘機F35A、垂直離着陸機オスプレイ…。6年連続増の軍事費に盛り込まれた自衛隊の装備は億単位規模のものがずらり並びました。「戦争する国」づくりを進める安倍政権の危険な姿は予算面でも一段と鮮明になっています。辺野古新基地など米軍関連経費も上積みされました。 軍事費への大盤振る舞いに比べ、冷たさがあらわなのが、社会保障予算に対してです。人口の高齢化や医療技術の進歩によって増加が避けられない「自然増」を、またも1300億円以上削り込みました。「削減ありき」の機械的やり方は、社会保障の各制度に深刻なひずみと矛盾を広げることにしかなりません。とくに今度の予算案で直撃されたのは生活保護です。光熱費などにあてる生活扶助を最大5%段階的にカットし一人親家庭を対象にした「母子」加算も減額し、160億円も削るとしています。1079億円ものF35Aの調達費(6機分)など米国製兵器には惜しみなくお金をつぎ込みながら、貧困に苦しむ国民の予算は切り縮める―。これほど逆立ちした政治はありません。 薬価部分を除く医療の診療報酬、介護報酬、障害報酬は、財務省が「マイナス改定」を狙ったものの、現場から厳しい批判が上がり、いずれも若干のプラスとなりました。しかし、この間の社会保障削減でもたらされた医療機関や介護施設の困難などを本格的に打開するにはまだまだ不十分です。給付削減や患者負担増も引き続き強化されており、安倍政権による社会保障破壊路線を中止させる国民的なたたかいがさらに求められます。 安倍政権が「人づくり革命」「生産性革命」を打ち出して最初の予算ですが、「人づくり」関連は「拡充」とは程遠い中身です。保育・幼児教育無償化も詳細は固まっておらず、実施も再来年の消費税増税とセットです。先行して手厚いのは、賃上げする大企業への減税などが中心です。大企業がもうければ暮らしが上向くという経済政策「アベノミクス」の破綻は明白なのに、それにしがみつく安倍政権はあまりにも無策です。 9条と25条を守り生かし 異常な大軍拡は憲法9条に真っ向から反します。生活保護をはじめとする社会保障破壊は、憲法25条の生存権保障などに完全に逆らうものです。改憲に異常な執念を燃やす安倍政権の憲法無視の暴走政治にストップをかけることが急務です。憲法を生かし、平和と暮らしを守る世論と運動を広げる共同を強めることが重要です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122301_05_1.html 2017年12月23日(土) 2018年度政府予算案について 小池晃書記局長が談話 日本共産党の小池晃書記局長は22日、2018年度政府予算案について、次の談話を発表しました。
一、本日、安倍内閣が決定した2018年度の政府予算案は、大企業優先で暮らしに冷たい「アベノミクス」をさらに進めるとともに、9条改憲策動に合わせて、いよいよ本格的に歯止めなき大軍拡への一歩を踏み出す重大な予算案となった。 一、医療・介護などの社会保障予算の「自然増」分は今回も1300億円削減され、安倍政権の6年間で小泉内閣時代を上回る1・6兆円もの大幅削減となった。とりわけ、13年度から3年連続で切り下げられた生活保護費のさらなる削減を打ち出したことは重大である。「格差と貧困」の是正を求める国民の声に背を向け、富裕層の金融所得への優遇税制を聖域としながら、貧困層にはいっそうの負担を強いる安倍政権の姿勢は断じて容認できない。 一、安倍首相が総選挙で「国難」とまであおりたてて公約した「幼児教育・保育無償化」「大学学費の負担軽減」などは、消費税増税を予定する19年度以降に先送りされた。その一方で、文教予算は4年連続でマイナスとなり、生活保護の母子加算や0〜2歳児の児童養育加算も削減された。「子育て応援」のうたい文句とはまったく逆に、教育と子育てに冷たく、「貧困の連鎖」を助長する予算となっている。中小企業対策費や農林水産予算、地方交付税なども軒並み削減され、「地方創生」どころか地域経済の疲弊を加速させるものである。 一、「生産性革命」3カ年計画の初年度予算としているが、その内実は、いっそうの大企業向けの優遇策である。「賃上げ」や「IoT投資」を口実にした企業減税をはじめ、高速道路には1・5兆円もの財投資金が14年ぶりに投入され、国際コンテナ戦略港湾など大型公共投資の予算も増額された。原発再稼働と核燃料サイクル推進の予算も温存された。 一、軍事費は6年連続の増額で5兆1911億円となったのに加えて、17年度補正予算案でも2345億円が追加された。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入関連経費、墜落事故を起こしたオスプレイ、ステルス戦闘機F35、新型空中給油機、無人偵察機グローバルホークなどの兵器が増強される。とりわけ、長距離巡航ミサイル導入のための関連経費を計上したことは、日本が初めて「敵基地攻撃能力」を保有する布石となるもので重大である。補正予算への「ミサイル防衛」予算計上とあわせて、際限のない軍拡につながる危険な予算である。日米地位協定で義務づけられていない米軍への「思いやり予算」、辺野古新基地建設などの米軍再編経費も大幅に増額され、SACO経費を含めた米軍関係3経費は過去最高の4180億円となった。 一、安倍内閣の予算案は、国民の暮らしに冷たく、富裕層・大企業を優遇する政治で貧困と格差をさらに拡大するとともに、「戦争をする国」づくりを予算の面から推進するものである。国民に“貧困と戦争”をもたらす亡国の予算と言わなければならない。日本共産党は、憲法を守り、生かす政治への転換をめざして、政府予算案の抜本的な組み替えを要求するものである。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_02_1.html 2017年12月23日(土) 軍事費過去最大5.2兆円 社会保障は1300億円圧縮 来年度予算案 総額97兆7128億円 安倍晋三内閣は22日、2018年度政府予算案と「税制改正」大綱を閣議決定しました。国の基本的な予算規模を示す一般会計の総額は97兆7128億円と17年度当初予算を0・3%(2581億円)上回りました。日本共産党の小池晃書記局長は同日、談話を発表しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122301_01_1.jpg (写真)防衛省が取得経費を計上した長距離巡航ミサイル「JSM」(統合打撃ミサイル)=ノルウェー・KDA社パンフレットから
憲法9条を焦点に改憲をめざす安倍政権のもとで、軍事費の膨張が鮮明です。一方で、暮らし関連の予算は削減・抑制されています。軍事費は過去最大の5兆1911億円となりました。一方、社会保障予算は概算要求時に6300億円と見込まれた自然増を1300億円圧縮しました。 歳出では軍事費が突出しています。第2次安倍政権発足以来、6年連続の増額で、4年連続で過去最高を更新しています。北朝鮮による弾道ミサイル発射を口実に、陸上配備型迎撃ミサイルシステム(イージス・アショア)配備に向けた調査費などに7億3000万円を盛り込みました。敵基地攻撃能力につながる長距離巡航ミサイルの取得経費で22億円を計上しました。F35Aステルス戦闘機(6機、785億円)など米国製の高額兵器購入も盛り込んでいます。FMS(有償軍事援助)による米国からの兵器調達は4102億円と高水準になっています。 社会保障では生活保護を切り下げます。生活扶助費を18年10月から3年かけて160億円削減します。また診療報酬改定で薬価を見直して社会保障予算の自然増を4997億円に抑制しました。 公共事業費は17年度に比べ26億円の増額でした。増額は6年連続です。「生産性革命」の看板で三大都市圏環状道路等の整備加速に2283億円、国際コンテナ戦略港湾の機能強化に766億円など不要不急の大型プロジェクトが盛り込まれました。 「人づくり革命」発表後最初の予算編成でありながら、教職員定数は2861人の純減です。文教予算は17年度比34億円減の4兆488億円でした。 歳入では税収が17年度を1兆3670億円上回る59兆790億円と見積もりました。新規国債は17年度比6776億円減の33兆6922億円を発行します。 「税制改正」大綱には賃上げなどを口実に、大企業への減税策が盛り込まれました。850万円超の給与収入を得ている人を増税し、フリーランスや個人事業主を減税します。一方、富裕層の所得の多くを占める株式譲渡益や分離課税の配当所得には手を付けていません。 (小池書記局長の談話) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122301_01_1b.jpg http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122301_01_1.html 2017年12月23日(土) 辺野古新基地も過去最大 名護市長選にらみ加速狙う http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122301_02_1.jpg 政府は2018年度予算案の軍事費で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設費を歳出ベースで前年度から280億円増やし、過去最高となる816億円を計上しました。うち752億円が、護岸工事や埋め立て土砂の調達・投入など本体工事にかかる経費です。来年の名護市長選(1月28日告示、2月4日投票)や秋の県知事選をにらみ、新基地建設を加速させる狙いです。
防衛省沖縄防衛局は現在、3カ所(K9、K1、N5)で護岸工事を強行。これに加えて、14日の日米合同委員会では新たに4カ所の護岸工事着手で合意。うち、最長のK4護岸(1029・2メートル)が完成すれば、K1〜K4〜N5とつながり、土砂の投入が可能となります。 ただ、使用が想定されている辺野古ダム周辺の土砂の運搬には、名護市との協議が避けて通れません。このため、安倍政権は名護市長選での市政奪還に総力をあげることが予想されます。稲嶺ススム市長が3選を勝ち取れば、埋め立て土砂の調達がゆきづまり、新基地を推進する日米両政府にとって大きな打撃となります。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122301_02_1.html 2017年12月23日(土) 沖縄振興 2年連続減 来年度予算案 一括交付金は最低 政府は22日に閣議決定した2018年度予算案で、沖縄振興予算として今年度当初予算比4・4%減の3010億円を計上しました。2年連続の減少で、名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する沖縄県の翁長雄志知事に圧力をかける狙いがあるとみられます。翁長知事は3400億円以上とするよう要望し、内閣府は概算要求に3190億円を計上していました。特に減額幅が大きいのが、県が自由に使途を決められる一括交付金。170億円減の1188億円で、12年度に同交付金が創設されてから最低となりました。
翁長知事は同日、沖縄振興予算の減額について「極めて残念だ」とするコメントを発表しました。そのなかで「事業の選択と行政資源の集中に努め、沖縄振興に全力で取り組む」と強調しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122302_03_1.html 2017年12月23日(土) 軍事栄え生活しぼむ 大企業に忖度 庶民には格差 来年度政府予算案
憲法9条改悪、「戦争する国づくり」を突き進む安倍政権。同政権が22日に閣議決定した2018年度政府予算案は、歯止めのない大軍拡への危険な一歩を踏み出す一方で、生活保護や医療・介護など社会保障ではサービスの削減と国民にいっそうの負担増を押し付けています。安倍首相が総選挙で公約した「幼児教育・保育無償化」も先送りにするなど国民の願いに冷たく背を向けた予算案です。 米国製武器を大量購入 軍事費 米の要求うのみ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_01_1.jpg 北朝鮮の核・ミサイル開発問題で対話を否定し、日米同盟を絶対視してトランプ大統領による米国製武器の大量購入要求にそのまま応じる安倍政権のもと、大軍拡が加速し、軍事費は過去最大を更新しました。 北朝鮮情勢に対応するためとして、弾道ミサイル防衛関連経費は1365億円にのぼりました。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」導入のため地質測量調査費や基本設計費など7億3000万円を新たに盛り込みました。 「島しょ防衛」を理由に、将来の敵基地攻撃能力保有の布石となる、長距離巡航ミサイル「JSM」の取得経費21億6000万円を計上しました。「高速滑空弾」や「対艦誘導弾」の技術研究費も計上し、攻撃能力の向上を狙います。 米国製の高額兵器の購入もさらに膨張しています。米国からの有償軍事援助(FMS)に基づく購入額は4102億円と、17年度から506億円も増えました。 昨年、今年と墜落事故が連続した垂直離着陸機オスプレイ(4機393億円)、F35Aステルス戦闘機(6機785億円)、無人偵察機グローバルホーク(147億円)などを購入。イージス艦に搭載する能力向上型の迎撃ミサイル「SM3ブロックIIA」の取得に440億円をつけています。 「イージス・アショア」は米ロッキード・マーチン社製で、日本の戦闘機に搭載するため3000万円の調査費が盛り込まれた射程900キロのミサイル「JASSM」「LRASM」も米国製。導入が進めば、米国製兵器購入額がさらに増大します。 「米軍再編関係経費」(「地元負担軽減」を口実に基地強化などを図る分)は、17年度比150億円増の2161億円で過去最高。沖縄に関する特別行動委員会(SACO)関係経費が51億円、米軍「思いやり予算」が1968億円と、米軍関係の三つの経費を合わせた額は4180億円に達しました。 住民の反対の声が上がっているにもかかわらず、南西諸島への自衛隊の増強を進め、警備部隊配置のため鹿児島県の奄美大島の施設整備に156億円、沖縄県の宮古島の施設整備に261億円を盛り込んだほか、同県の石垣島の用地取得経費などに136億円をつけました。 19年度以降に支払いが生じる新たなツケ払い(新規後年度負担)額は、2兆1164億円となりました。 医療・介護・生活保護… 社会保障 抑制一辺倒に http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_01_1b.jpg 2018年度政府予算案で、安倍政権は、社会保障予算では、「自然増」分を1300億円削減しようとしており、同政権の6年間の削減額は1・6兆円に達することになります。(左表) 安倍政権は、「骨太方針2015」の中で、16〜18年の3年間で社会保障費の自然増を計1・5兆円程度に抑える「目安」を設定。5000億円を超えた分を予算案の段階で圧縮・削減し、18年度予算案も、概算要求段階の6300億円から1300億円削減しました。 削減のターゲットとされているのが、病気や障害、生活苦をかかえる高齢者や障害者、生活保護受給者ら本来、国が憲法25条にもとづいて積極的に支援すべき人たちです。 安倍政権は、社会保障の給付削減と自己負担増を連続して進めてきました。 18年度も、70歳以上の患者負担限度額の引き上げ、75歳以上の後期高齢者医療保険料の低所得者への特例軽減の縮小、介護保険の利用者負担の2割から3割への負担増を計画。 生活保護では、来年10月から、食費や光熱費など日常の生活費にあてる「生活扶助」を現行から最大5%引き下げ、後発医薬品の使用を原則とするなど医療扶助も抑制を図り、生活保護費負担金を166億円削減します。 生活保護世帯は9月時点で過去最多を更新。保護費の引き下げは「貧困と格差」の拡大につながります。 安倍政権の社会保障連続改悪のもとで、医療・介護、障害者福祉を支える事業者の経営や従事者の待遇は悪化の一途で、改善は急務です。 18年度予算案では、改善を求める現場の声と運動を反映して、診療報酬で人件費などにあてる「本体部分」は0・55%、介護報酬は0・54%、障害者福祉サービス等の事業者報酬は0・47%と、いずれも若干の増額改定が行われました。 しかし、その引き上げ幅には「0・55%の引き上げでは医療従事者の雇用・労働環境の抜本的改善には程遠い」(全国保険医団体連合会)、「プラス改定といっても、(介護報酬は)前回2015年改定で過去最大級となる2・27%もの引き下げが実施されており、わずか0・54%の引き上げでは、事業所が現状で抱えている困難を解決するには程遠い水準」(全日本民医連)など厳しい声が出ています。 政府予算案の抜本的な組み替えが求められます。 低すぎる保育所の整備 少子化対策 伸びわずか http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_01_1c.jpg 少子高齢化を「最大の課題」「国難」といって衆院解散の口実にした安倍首相。ところが少子化対策費の伸びはわずか1・4%にすぎません。19年10月の消費税率10%への引き上げを前提にしているため、総選挙で訴えた幼児教育無償化も先送りしています。 保育所に入れない待機児童が大きな社会問題になるなか、安倍政権は20年度までに32万人分の保育の受け皿を整備するとし、18年度予算案では8・5万人分の整備費として1231億円を計上しました。しかし、32万人分は非現実的な保育の利用申込率を前提とした過少な見積もりにすぎず、民間調査機関からはいまの整備目標のままなら約60万人分不足するとの試算もでています。 18年度の8・5万人分のうち2万人分は子どもの年齢制限や人数制限がなく、保育士の配置基準なども緩い企業主導型保育です。安心して通うことができる認可保育所の増設という、圧倒的多数の保護者の願いに背を向けています。 安倍政権は子育て世帯に重くのしかかる消費税増税を前提に、「人づくり革命」「生産性革命」といって19年度から3〜5歳の認可保育所や幼稚園を無償化するとしています。住民税非課税世帯の子どもを対象に大学や専門学校の授業料も免除するとしています。 しかし、そこでうたわれているのは「世界で一番企業が活躍しやすい国」をつくるための教育です。人工知能などの技術革新に対応した能力を身に付けるための幼児教育の重要さが語られ、学費免除の対象となる大学には「産業界のニーズ」を踏まえるよう要求。「人づくり革命」の本質は財界奉仕の人材育成にほかならず、憲法が定める教育の機会均等の保障とは真逆の思想です。 法人税を大幅引き下げ 生産性革命 大企業優遇 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_01_1d.jpg 18年度予算案と「税制改正」大綱は「生産性革命」を看板にしています。その実態は大企業への優遇策です。 予算案では人工知能(AI)技術とロボットを融合させた次世代技術の研究開発や、トラックの自動走行システムの実証実験などが盛り込まれました。 公共事業では生産性革命として、物流ネットワークを強化するといいます。その中身は「迅速かつ円滑な物流の実現のため、三大都市圏環状道路や空港・港湾などへのアクセス道路の整備を推進する」というもの。「低金利」を活用して、高速道路への財政投融資も行うことも盛り込みました。結局、看板を変えて不要不急の大型プロジェクトを推進するのです。 「税制改正」では生産性革命の目玉として「賃上げ減税」が盛り込まれました。これは一定の賃上げや投資を行った企業に対し、法人税額の20%まで税額控除ができるという制度です。 賃上げした企業がさらに、IoT(モノのインターネット)など情報連携利活用設備などに投資した場合にも投資額に応じて、法人税額の20%まで税額控除ができます。 賃上げ減税の恩恵を受けられるのは法人税を納めている企業だけです。加えてIoT投資ができるのは大企業に限られます。経営の苦しい中小企業が工夫して賃上げをしても1円も減税されません。 大企業優遇税制の代表格である研究開発減税は法人税額の40%まで控除が可能です。大企業が研究開発減税と賃上げ減税を最大限活用すれば、法人税は8割引きとなり、地方税と合わせても企業の税負担は12%程度まで下がります。 生産性革命は税制の面からも予算の面からも大企業優遇の新しい看板にすぎません。 貧困層に負担いっそう アベノミクス 経済壊す 18年度政府予算案と「税制改正」大綱は国民が求めている「格差と貧困」の是正に背を向け、いっそうの格差拡大をすすめるものとなっています。5年間続いたアベノミクスのもと、日本社会の格差と貧困は深刻化しました。「異次元の金融緩和」による円安加速と株高は富裕層の資産を膨らませました。一方で中間層は疲弊し、貧困も深刻です。 貧困層の生活苦に拍車をかけたのが安倍政権が14年4月に強行した消費税増税です。消費不況で日本経済の低迷が続いています。にもかかわらず、今回、生活保護費のさらなる削減を打ち出し、貧困層に一層の負担を強いようとしています。 「税制改正」では多様な働き方を応援するとして、給与所得控除の縮小と基礎控除の拡大を盛り込みました。たしかに850万円超の給与収入を得ている人が増税となり、多くのフリーランスや個人事業主は減税となります。しかし、富裕層の金融所得への優遇税制を聖域としているため、所得格差の是正には程遠い状況です。さらに19年10月に10%への消費税増税を強行すれば、格差はますますひどくなり、国民生活も日本経済もどん底に突き落とされます。 いま必要なのは、税制では能力に応じた税負担です。歳出では低所得者に手厚い社会保障です。この方向こそ、国民生活を豊かにし、日本経済の低迷を打破する道です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_01_1e.jpg http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-12-23/2017122303_01_1.html
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