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国がタクシー業界を保護してウーバーを規制、国民にとって望ましいことなのか?
http://biz-journal.jp/2017/12/post_21773.html
2017.12.21 文=真壁昭夫/法政大学大学院教授 Business Journal
タクシー乗り場(「Wikipedia」より/Kuha455405)
最近、ライドシェアや民泊など、いわゆる“シェアリング・エコノミー”の傾向が拡大している。その背景にあるのが、観光などを目的とした訪日外国人の増加がある。中国ではライドシェアを活用することが当たり前だ。すでに、羽田空港や成田空港などの周辺では、中国人の運転手が中国人観光客を無許可で送迎するケースが増加してきた。いわゆる“白タク”だ。すでに中国人観光客を対象とした白タクが摘発されるケースも出ている。
この問題を受けて、これまで規制によって保護されてきたタクシー業界は、規制緩和に反発している。その一方、規制を緩和してライドシェアを解禁し、インバウンド需要を的確に取り込める環境を整備すべきだとの意見が出ている。確かに、規制に守られた状況が続くと、企業が環境の変化に適応することは難しくなる。競争を避けようとするのではなく、自ら変革を起こし、従来にはなかったモノやサービスを生み出す姿勢は重要性を増すことだろう。
■来日客数の増加に伴い急拡大する白タク
わが国では道路運送法により、自家用自動車を用いた有償の運送サービスを提供することは禁じられている。タクシー営業には第二種運転免許が必要だ。緑色のナンバープレートを付け、営業用として認められた車両を使うことも義務付けられている。そのため、白ナンバーの自家用車を使って送迎などを行い、対価を受け取るライドシェア(相乗り)は、原則として認められていない。
ただ、一部に例外はある。国家戦略特区の京丹後市では、米ウーバーテクノロジーズのシステムを用いたライドシェアが運用されている。2015年4月からは過疎地域での移動手段確保のために、国土交通大臣の登録を受けたNPOなどが“自家用有償旅客運送”を提供することも認められてはいる。
都市部では中国人の観光客と運転手がネット上で配車の依頼、料金の支払いをやり取りすることが増えている。ネット上で予約や支払いが完了するため、摘発は難しい。一方、中国からの観光客にとってみれば、言語やモバイル決済への対応など、白タクのほうが便利なことが多いだろう。違法であることを知らない人も多いはずだ。
すでに、ライドシェアおよびタクシー配車サービスを手掛ける中国企業の滴滴出行(ディディチューシン)は、世界最大の配車サービス会社に成長した。中国の人々にとって、ライドシェアは“当たり前”のサービスとなってきたのである。
わが国では道路運送法により、自家用自動車を用いた有償の運送サービスを提供することは禁じられている。タクシー営業には第二種運転免許が必要だ。緑色のナンバープレートを付け、営業用として認められた車両を使うことも義務付けられている。そのため、白ナンバーの自家用車を使って送迎などを行い、対価を受け取るライドシェア(相乗り)は、原則として認められていない。
ただ、一部に例外はある。国家戦略特区の京丹後市では、米ウーバーテクノロジーズのシステムを用いたライドシェアが運用されている。2015年4月からは過疎地域での移動手段確保のために、国土交通大臣の登録を受けたNPOなどが“自家用有償旅客運送”を提供することも認められてはいる。
都市部では中国人の観光客と運転手がネット上で配車の依頼、料金の支払いをやり取りすることが増えている。ネット上で予約や支払いが完了するため、摘発は難しい。一方、中国からの観光客にとってみれば、言語やモバイル決済への対応など、白タクのほうが便利なことが多いだろう。違法であることを知らない人も多いはずだ。
すでに、ライドシェアおよびタクシー配車サービスを手掛ける中国企業の滴滴出行(ディディチューシン)は、世界最大の配車サービス会社に成長した。中国の人々にとって、ライドシェアは“当たり前”のサービスとなってきたのである。
■ライドシェアに困惑するタクシー業界
一方、国内での議論を見ていると、ライドシェアの全面解禁は容易ではない。既得権益層であるタクシー業界にとっては、まさに“黒船来襲”というべき一大事である。ライドシェアが解禁されれば、太刀打ちできないと恐怖感を持つ経営者も多いという。それが規制緩和への議論を進みづらくしている。米国のウーバーテクノロジーズはタクシー配車を優先して国内でのビジネス開拓を進める方針を示した。規制緩和への期待は後退しているともいえる。
わが国のタクシー料金は公共料金として扱われ、政府によって価格設定への認可がなされてきた。競争原理が働きづらい環境が続いてきたのである。優れたサービスを提供する企業がシェアを高め、その結果としてサービス価格が形成されてきたわけでは必ずしもない。
そのために、業界団体はライドシェアが普及すると、運転技術が未熟なドライバーが増え事故につながる、乗客とのトラブルが増えるなどの懸念を強調し、規制緩和に反対している。タクシーの配車を行うアプリを開発し、全国各地域での利便性向上を進めればライドシェアは必要ないとの主張もある。
これでは、わが国の状況は変わらないだろう。国内の法律がタクシー業界を保護し、タクシー関連企業が経営の革新よりも、現状維持を重視していることは明らかだ。
一部では、新しい取り組みを進める動きもある。ソフトバンクの仲介を受けて、第一交通産業は滴滴出行と業務提携を行うことを決めた。当面はタクシーの配車サービスの分野で協働が進む見通しだ。今後の展開は見守るしかないが、白タク営業が増加するのであれば、こうした提携がライドシェア推進の足掛かりとなる可能性は排除できない。
■収益チャンスのあるところ競争は不可避
ライドシェアの解禁は、観光だけでなく、過疎化が進む地域での生活を支えるためにも役立つだろう。場所によっては、タクシーの配車に時間がかかることもある。それに比べ、目の前を走っている車を移動手段として使うことができるなら、より便利だ。それが、人々の満足感を高めるということだ。
重要なことは、競争原理を発揮して、高い満足感を得られるモノ(プロダクト)やサービスを生み出すことだ。それが潜在成長率の引き上げには欠かせない。まさに、従来にはない発想を実現するなどの常識にとらわれない行動=イノベーションが求められる。
この発想は、既存の事業を守ることとは根本的に異なる。タクシー業界は新しいサービスを生み出し、ライドシェアでは得ることのできない満足感(付加価値)を顧客に提供することを考えるべきである。実際に顧客から評価されれば、競争力は高めることができる。
政府と既得権益層が従来の規制を重視し続けたとしよう。そのなかで、外国からの観光客や地方からの要請を受けてライドシェアが解禁されたと仮定する。従来よりも低い価格でサービスを利用できるなら、タクシーよりもライドシェアを選ぶ人は増えるだろう。イノベーションを起こすことができなければ、タクシー業界の競争力は低下するはずだ。
このような低価格競争が進む結果、浮いたお金がその他の消費に回るのであれば成長率は維持できる。しかし、節約志向が高まると消費は減少し、経済は縮小均衡に向かう恐れがある。それが、シェアリング・エコノミーのリスクだ。それを防ぐためにも、これまでにはない新しい取り組みを進め、イノベーションを発揮することが不可欠である。
ネットワーク技術の進歩と普及によって、従来にはなかったビジネスが短期間で成長するケースが増えている。国内外で、企業競争は加速するだろう。それに対応するためには、従来にはないサービスを生み出して顧客からの支持をつなぎとめるなど、自ら変革を進めようとする取り組みが欠かせない。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)
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