仮想通貨とモバイル決済と高額紙幣廃止議論 --- 久保田 博幸
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171209-00010002-agora-bus_all
12/9(土) 16:51配信　アゴラ

ビットコインを代表とする仮想通貨、中国やスウェーデンなどで利用が拡大しているモバイル決済、インドなどでの高額紙幣廃止等々動きなどから、日本での1万円札廃止論なども出ている。これはハーバード大学のケネス・ロゴフ氏による日本での高額紙幣廃止論がひとつのきっかけとみられるが、仮想通貨とモバイル決済、高額紙幣問題は、キャッシュレス化社会としての動きとしてトータルで捉えるよりも、それぞれ切り離して考えるべきものではなかろうか。

ビットコインを代表とする仮想通貨であるが、自国の通貨に信用のおけなくなった国であれば代替通貨としての利用も考えられるが、法定通貨である円に対する信認が強い日本では、通貨としての利用は考えづらい。仮想通貨は通貨と称しているもののネットを通じた仮想の金融取引手法であり、投機的に利用されているだけである。その値動きからも17世紀のオランダのチューリップバブルと類似しているものである。仮にビットコインバブルが弾けようと、実態経済への影響はほとんどないのではなかろうか。

キャッシュレス社会が到来かと騒がれている中国などでのモバイル決済普及の動きについては、たとえば通常の電話網が整備されていないところで急速に携帯電話が普及したようなもので、現金利用に障害があることで、モバイル決済の普及が進んだといえる。さらに日本はモバイル決済の後進国などではなく、少額貨幣の利用ではキャッシュレス化は進んでいる。ただし、アプリなどの寡占化が行われず、各種のカードやアプリが乱立してしまっていることで、中国などに比べて普及が進んでいないかのような印象となっている。

問題なのは高額紙幣問題であるが、ケネス・ロゴフ氏は日本での現金流通水準の高さ、1万円札など高額紙幣の利用度の高さの要因はマネーロンダリングや脱税などの犯罪行為に高額紙幣が利用されているためとしている。日本での1万円札など現金が異常に利用されているのは何故なのか。マネーロンダリングやテロの資金調達などに日銀券が使われている可能性は全くないとまでは言い切れないものの極めて低いと思われる。

問題となるのは現金の匿名性を利用した脱税への利用であるが、これについては存在する可能性はある。昔の証券会社などにとっての金融商品販売の主力商品が割引金融債であったが、これは金融商品としてだけでなく、匿名性を利用した相続などでの脱税などにも利用されていた可能性があった。

現在は中期ゾーンの国債の利回りもマイナスとなっているため、利息ゼロの現金のほうが中期債に比べれば利回りが高い状況となっている。保管費用はかかっても、多額の現金をしまい込んでいる富裕層がいる可能性は否定できない。ときおり所有者不明の多額の現金が発見されるが、それも税金対策などであった可能性はありうる。

だからといって現金を廃止すべきというのはやや極論ではなかろうか。日本国内での現金利用率の高さは、決済等含めたその使い勝手の良さが大きく影響している。治安の良さ、現金をATMで引き出せる利便性、偽札が少ないこと、紙幣がクリーンであることなど、それなりの費用をかけて現金が利用されやすいインフラが整備されている。

キャッシュレス化はその費用を軽減させることになるが、それには特定の使いやすいアプリなども必要となろう。ただ、高齢者にとってはモバイル決済は馴染みにくい面もある。脱税を防ぎ、キャッシュレス化を進展させるために高額紙幣を廃止するという議論は極端すぎるし、日本社会に混乱を招きかねない。いずれ否応なくモバイル決済などを通じたキャッシュレス化は進むであろうし、日銀がマイナス金利政策をやめれば、保管費用のかかる現金保有は減ることも予想される。


編集部より：この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年12月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちら（http://bullbear.exblog.jp/）をご覧ください。

久保田 博幸

コメント
1. 2017年12月09日 21:49:09 : zYQhP04yNA : iufaC7RN9d0[329] ▲△▽▼ 　善悪が　何かを　まったく判断できていない　評論家が　書くと　このような文章になる 　＝＝＝ 　愛は　現金　＝　地下経済　＝　高額紙幣　＝　日本の経済　と定義付けていて 　 　やくざ・自民党・土建談合・相撲の八百長・ばくち・・・・・ 　ほとんどの　悪事が　金にまつわることだ〜〜 　＝＝＝ 　金を　「透明」にすることは 　犯罪防止　＝　高額紙幣廃止　＝　マイナス金利　＝　電子決済　なのだから 　＝＝＝ 　２１世紀を　選択するには　マイナス金利しか　方法はない 　＝＝＝ 　あ〜〜でもない　こ〜〜でもない　と　評論する時代は　終わったのだ 　＝＝＝ 　世界中の　アンダーグランド・マネー（ヘッジファンド）は　 　いまや　マイナス金利の時代に　入っている 　銀行は　そのほとんどが　すでに　黒田のマイナス金利で　本業（金貸し）で 　利益が出ない状態だから　多くの銀行が　廃業に追い込まれる 　＝＝＝ 　すでに　世界中の経済が　マイナス金利の時代に　突入しているわけで 　すでに　入ってしまっている　マイナス金利を　正しく理解できないでいることは 　単なる　アホ　なのだ〜〜
2. 2017年12月09日 22:10:00 : zYQhP04yNA : iufaC7RN9d0[330] ▲△▽▼ 　２０世紀の　経済理論は　 　消費　＝　生産　＝　所得　だというのが　大原則（定説）だが　 　２１世紀は　　消費　＝　生産　だけにして　所得は　別扱いにしなければならない 　＝＝＝ 　政府の役目は 　国民に消費を　させるために　借金をして　ＢＩで　国民に金を配ることだと思う 　＝＝＝ 　国民は　自分の労働とは別に　単に　政府からいただいた金で　自分の好みの　消費をすることだ 　消費をしたのなら　それに見合う　生産（工場が動くこと）が必要になってく 　消費　＝　生産　の関係は　常に成り立つ 　＝＝＝ 　工場の生産で　受け取った　売上高（利益）が　労働者に　全額分配されれば 　生産　＝　所得（給与）　となるのだが　 　日本の　利益の　分配率は　６０％位だから　　生産　＞　所得となるわけで 　所得　＝　消費　だとすると　毎年　消費が　減少することになるわけだ 　＝＝＝ 　つまり　　消費　＞　所得　にしない限り　経済は　持続できないのだ〜〜 　政府が　ＧＤＰを維持しようとすると　ＢＩで　所得を補てんしなければならない
3. 2017年12月10日 00:31:57 : 2n8VyjC53U : NU9xtp6HOQg[7] ▲△▽▼ 現金は反銀行で 仮想通貨も、反銀行だ 反銀行同士で戦わせても 議論にならない、不毛の議論だ。 ところで今何故仮想通貨だが、 米国債の打ち出のこずちの緩和テロが 臨終危機！ そこで 仮想通貨で 地下経済に逃避の鞍替え詐欺となる。 「0金利と仮想通貨で銀行経営妨害」 0金利で預金妨害とし、現金溜め込み奨励。 仮想通貨で銀行バイパス決済煽り そして 銀行の経営妨害で銀行押さえ込み から、 0金利国債と連動の米国債押し売り工作である。 であるから、 銀行叩きの量産となる。 そして、 仮想通貨で 地下経済に逃避の鞍替え詐欺となる。 との黒田金融テロは末期症状である。
4. 2017年12月11日 14:29:09 : oopVNdE4SQ : ruOd3dUOR9c[5] ▲△▽▼ ビットコインは、発行量が定まっている、管理主体がなく、優れた技術により決済移送のコスト低下が図れるとされている。 しかし、予想もしなかった計算力供給と通貨量の増大により、上記の3つの利点が将来(発行量が限界に近づいて)、中央銀行発行の貨幣と全く同様なものになってしまうのではなかろうかと思う。 　信用されるものは信用され通貨となるが、そうでなければくずとなることは自明なのだ。
5. 2017年12月11日 20:38:41 : oopVNdE4SQ : ruOd3dUOR9c[6] ▲△▽▼ 4です。 将来(発行量が限界に近づいて)といったけれど、通貨増加量は時間に比例しているようなので、限界予想とされている2140年ということか。しかし、通貨の利用が増せば増すほど、計算が難しくなるのでマイニングコストは高くなる。利用利便性の増加に従って通貨の実態価格が上昇するのであろうが、本当に両者が合理的な釣り合いになるという保証はあるのだろうか。先に実態価格が上昇している今日、マイニングには問題がなかろうが、一度崩れると逆にバランス点が無くなってしまうのではなかろうか。

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