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郷原元東京地検特捜検事が指摘する続出する企業のデータ改ざん問題の本当の”戦犯”
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171208-00000045-sasahi-bus_all
AERA dot. 12/8(金) 15:51配信
郷原信郎(ごうはら・のぶお)/郷原総合コンプライアンス法律事務所代表弁護士 1955年生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを経て2006年に弁護士登録。総務省顧問・コンプライアンス室長、企業や大学、自治体の第三者委員会の委員...
大手素材メーカーで製品の品質データの改ざんが相次いでいる。神戸製鋼所から始まり、非鉄大手の三菱マテリアル、繊維大手の東レと続いた。東レは経団連の榊原定征会長の出身企業でもあり、「日本のものづくりへの信頼」を揺るがしかねない問題となっている。
今のところ改ざんがあっても、消費者が使う最終製品の安全性に問題は見つかっていない。企業の不祥事やコンプライアンスに詳しい郷原信郎弁護士は、不安が広がっている原因は、企業だけでなく、十分な対策を打ち出せない経済産業省にもあると指摘する。郷原氏に今回の問題の背景や、対策などを聞いた。
――自動車や電気製品などの安全性について不安が広がっています。
最大の問題は、企業対企業(BtoB)の取引と、企業対消費者(BtoC)の取引との違いが理解されていないことだ。企業対消費者の場合、販売者の企業が消費者に対して製品に関する全責任を負う。安全性の問題や表示と内容との重要な違いがあれば商品の回収も必要となる。
一方で企業対企業の場合、製品の素材や部品を納入した企業は消費者への責任は直接負っていない。素材や部品のデータに改ざんがあったとしても、それが最終製品の品質や安全性にどのような影響を与えたのかを調べて公表する責任を負うのは、素材・部品メーカーではなく最終製品を作っている企業だ。
素材・部品メーカーがデータの改ざんを把握した場合、まず必要なのは、納入先の企業に正確な情報を提供し説明して、最終製品の品質・安全性に影響があるかどうかの確認を求めることだ。納入先を飛び越して改ざんを公表しても、最終製品の安全確認は納入先に任せるしかない。確認を行っている間に「改ざん」という言葉だけが独り歩きして、消費者に誤解を与えてしまう。
自動車や電気製品などは、契約上の規格基準について、かなりの余裕をもっている。素材・部品のデータ改ざんがただちに安全性に影響するわけではない。安全性と無関係に改ざんの事実だけが公表されると、不安だけが広がるおかしなことになってしまう。
――消費者からするとデータの改ざんがあれば、すぐに発表してもらいたいと思います。
データ改ざんは良くないことであり、是正しなければならない。しかし、それを把握した時に、急いで公表することが適切かどうかは別問題だ。問題は改ざんの有無ではなく、最終製品の品質・安全性にどれだけ影響があるかだ。「納入先に依頼してこれから確かめる」という説明しかできないのでは、かえって不信感を高めてしまう。
調査のために外部者による委員会を立ち上げるのであれば、品質・安全性の専門家を加えることで、それらの評価を客観化すべきだ。ところが、実際には「委員会」を設置しても弁護士中心で、製品の品質・安全性の専門家は加わっていない。
改ざんという不正行為を公表するなと言っているわけではない。不用意に公表した場合の悪影響を考慮しなければならないことを、分かってもらいたい。最終製品の品質・安全性に関わる重大な改ざんならすぐに公表すべきだが、そうでないなら調査が終わり確認できてから公表するのが望ましいと思う。
――多くの企業で同じような問題があると言われています。
神戸製鋼の問題は、顧客との契約で一定の余裕を持たせた規格や仕様になっているため、それから若干外れていても実質的な品質・安全性に影響はないとの認識が背景にあったと考えられる。契約上の規格・仕様を満たした製品を100%納品することが困難な場合、規格外であることを顧客側に了承を得て出荷する「トクサイ」というやり方が認められていたが、いつしか顧客の了承を得る手間が省略され、データが改ざんされて出荷されるようになったようだ。
製品を作っていれば、必ず規格外ものは出てくる。その取り扱いによって、「データの書き換え」が行われる可能性がある。初期のころはわずかな書き換えで問題ないと思ってやっていたのが、世の中が改ざんに厳しくなったため隠蔽(ルビ/いんぺい)せざるを得なくなり、さらに巧妙、潜在化していくという構図がある。そういう行為は自社ではあり得ないと言い切れるメーカーの方が少ないはずだ。
――隠蔽されている改ざんを明らかにするのは大変ですね。
だからこそ行政の責任は重大だ。東レの子会社の改ざん問題を受けて、世耕弘成経済産業相は「公表のタイミングがはっきり言って非常に遅い。日本の製造業の信頼を傷つけかねない」「顧客対応などとは別に、速やかに社会に対して公表をして、社会からの信頼回復に全力を注ぐことを期待したい」と発言した。
しかし、顧客対応などとは別に公表することは、この問題をめぐる混乱を増幅しかねない。経産大臣にそのように言われれば、改ざんを把握したら、ただちに公表せざるを得ない。そうなると混乱を招くのは必至だ。企業としては実態を把握しないように、不徹底な調査にとどめてしまう。
経産大臣は改ざんが発覚した個別企業の問題だと、とらえているように見える。データ改ざんという「カビ型不正」は、個人や個別企業のレベルを超えた構造的な問題だ。経産省として解消するための道筋を付けるべきだが、対策は示せていない。経産大臣の発言は無責任だと言わざるを得ない。経産省は監督官庁として企業に改ざんの有無を速やかに把握させて、品質・安全性について誤解を受けないように対策を取るべきだ。いまのままだと問題は収束せず、信頼回復は遠のく。
――では、どのような対策を取るべきでしょう。
1カ月程度の期限を区切って社員に自主申告を求めるのが最も効果的だ。法令違反や安全性に問題がないのなら、不正について社内処分はしないと確約する。逆に期限内に申告せず隠していたことが後から分かれば、厳しいペナルティーを科すことを予告する。
経団連の要請にしたがって多くの企業がデータ改ざんの有無を自主調査しているが、担当者に直接聞き取りをしても本当のことを言うとは思えない。改ざんがばれると会社に重大な影響が生じるので、上司は部下に「うちではやっていないよな」と聞き、部下は上司に「もちろんやっていません」と答えるしかない。
現場では不正をしていることに悩む人もいるはずだが、中途半端な自主点検ではそのような人の声を引き出すのは難しい。
もう一つの有効な方法は、外部の第三者に依頼して全従業員を対象に「問題発掘型アンケート」を実施することだ。匿名のアンケートを適切に活用することで、現場で改ざんが行われていることを把握できる。
――アンケートで多くの企業で改ざんが明らかになれば、ものづくりへの信頼が失われませんか。
改ざんはその事実を会社が把握して、原因を除去しない限り、現場で自主的に止めることは困難だ。東レの子会社の改ざんがネットの匿名掲示板「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」の書き込みで発覚したように、情報は何らかの形で表に出る。
五月雨式に不正が明らかになるより、きちんと調べて表に出して、契約や製造システムの見直しにつなげるべきだ。この際集中的に調査してすべて明らかにしないと、いつまでたってもこの問題は終わらない。
今の企業や行政の対応では、世の中に不安を生じさせ、日本のメーカーに対する国際的信頼を失墜させてしまう。まず、日本企業におけるデータ改ざんの実態を全体的に把握して、表に出すことが先決だ。それと同時に専門家も交えた委員会などを設置して、製品の実質的な品質・安全性への影響について検証をする。世の中全体で問題を冷静に受け止められるようにするための対策も必要だ。(本誌・多田敏男)
※週刊朝日オンライン限定記事
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